豚由来新型インフルエンザ<感染症>の症状の現れ方

 症状は、基本的には、季節性インフルエンザと変わらないと考えられます。潜伏期は、1、2日〜数日です。成人では、突然の高熱、頭痛、咽頭痛(いんとうつう)、腰痛、四肢痛(ししつう)、関節痛、倦怠感(けんたいかん)など、いわゆる全身症状が強く表れます。2、3日すると、咳や鼻水など上気道症状が強くなってきます。小児では、最初から全身症状は目立たずに、高熱と、咳や鼻水が主要な症状なので、普通の感冒(かんぼう)と区別が困難です。2〜4日で解熱(げねつ)しますが、完全な体調にもどるまでには、1〜2週間程度かかります。
 注意すべき点は、豚インフルエンザでは、季節性インフルエンザと異なり、治療しないで放置すると、健康な成人や小児でも2〜4日目ぐらいから急速に肺炎を起こして重症化することがある点です。呼吸困難や多呼吸は肺炎が起きはじめた重要なサインです。豚インフルエンザでは、重症者の40%は基礎疾患のない健康成人と小児といわれています。
 小児での注意は脳症です。インフルエンザに感染した小児に一定の割合で脳症は起きるのですが、新型が流行すると、多数の子どもがインフルエンザを発病するので、結果として脳症が多発する可能性が高くなります。また脳症は、インフルエンザに初感染と思われる1〜3歳の低年齢層に好発しますが、今回は新型インフルエンザであり全年齢層で免疫がないので、小中学生でも脳症を発症する可能性が考えられます。呼びかけに応えない、訳のわからないことを言う、けいれんなどは脳症の最初の兆候です。このような症状がみられたら、すぐに病院に行きましょう。

豚由来新型インフルエンザ<感染症>の診断と治療の方法

 WHOから豚インフルエンザの治療指針が出ています。この指針の最も重要な点は、“ノイラミニダーゼ阻害薬(タミフルとリレンザ)の投与により、肺炎のリスクが有意に減少し、入院の必要性が減る”と明確に述べられている点です。豚インフルエンザの流行に際して、ノイラミニダーゼ阻害薬の役割は、季節性インフルエンザで周知の発熱を早く下げるとか、早く勤務に復帰するとかではなく、“重症化、入院、死亡を防止する”ことにあります。治療薬の重要性がとても大きいのです。
 治療開始はできる限り早いほうがよいとされていますが、発病後48時間以内であれば、十分な効果が得られます。内服のタミフルも吸入のリレンザも有効ですが、重症化した場合には、タミフルの使用が好ましいとされています。今回は新型インフルエンザで誰も免疫がないので、タミフルかリレンザを5日間しっかりと使う必要があります。2、3日でやめてはいけません。高齢者では、細菌性肺炎を合併することが多いので、抗菌薬を併用する場合もあります。