経口感染症起因菌による食中毒<食中毒>の症状の現れ方

 突然発病し、発熱を伴わず、激しい水様下痢と嘔吐が起こります。水様便は便臭がなく、米のとぎ汁のように見えます。大量の水分と電解質が失われるので、典型的な例では、嗄声(させい)(しわがれ声)、無尿、排腸筋などの筋肉のけいれんが起こります。近年はこうした定型例よりも、極めて軽少なもの、あるいは無症状に経過する例のほうがはるかに多くみられます。
 患者または保菌者の糞便、およびそれにより汚染された手指、食品、水、器物などが感染源となります。発熱、腹痛、下痢、時に嘔吐などによって急激に発症し、重症例ではしぶりを伴う膿粘血を排泄します。
 近年は、重症例は少なくなり、数回の下痢、軽度の発熱などの症状だけで軽快する例が多くなっています。一方、2〜3週間にわたって排菌が続く例も知られています。
 症状は一般に成人よりも小児のほうが重い傾向にあります。
 典型的症状として、特異な熱型、比較的徐脈、バラ疹(ピンク色の斑状丘疹)、脾腫(ひしゅ)(脾臓がはれる)、便秘、時に下痢、鼓腸(こちょう)(腸内にガスがたまり腹部がふくらむ)などを伴う全身性感染症です。回腸のパイエル板に特有な病変を生じ、第3病週ころに潰瘍形成による腸出血、腸穿孔(せんこう)が起こることがあります。
 重症例では、意識障害を起こし、死亡することもあります。現在は、抗菌薬が有効なので、重症例は少なくなってきています。発病3カ月後も排菌を認める例もあります。

経口感染症起因菌による食中毒<食中毒>の診断と治療の方法

 水分および電解質が大量に失われている場合には、迅速かつ大量な輸液が必要になります。市販の輸液では乳酸加リンゲル液が適当です。経口的輸液としては、1lの飲料水にブドウ糖20・5g、NaCl3・5g、NaHCO3 2・5gおよびKCl1・5gを溶解したものが用いられます。
 抗菌薬による治療は下痢およびコレラ菌の便中排菌期間を著しく短縮させます。ニューキノロン系薬剤、テトラサイクリン系薬剤、エリスロマイシン系薬剤、ST合剤などが用いられます。
 対症療法では、脱水の程度に応じて経静脈的に補液を行います。コレラと同じ経口補液の使用もすすめられています。抗菌薬の第一選択薬は成人ではニューキノロン系薬剤、小児ではホスホマイシンです。耐性菌が出現しているので感受性試験をすることが必要です。
 ニューキノロン系薬剤、セフェム系薬剤などが有効ですが、近年多剤耐性菌、とくにニューキノロン系薬剤に低感受性の菌の頻度が高くなってきて、治療に抵抗を示す例が出てきているので注意を要します。菌の感受性検査を行うことが重要です。