15q11部分の遺伝子変異による疾患です。通常の染色体分析では欠損部位がはっきりと検出されない微細欠損が多いためFISH法(蛍光色素で標識したDNAの断片を使って、その断片に相当するゲノム部位の欠損などを検出する方法)を利用して診断がなされます。
 この症候群は、出生時に筋緊張低下が強いことから気づかれ、発達は遅れがちになります。幼児期より食事量が増え、小児期より肥満傾向が出ますが、手足は比較的細く先細りです。痛みの感じ方が弱く、痛みの訴えも少ないので、周囲の注意が必要です。比較的こだわりが強い性格なので、疾患の特徴をよく理解して養育に関わることも大切です。
 低身長には成長ホルモン治療が考慮されることもあります。性腺機能も低下します。過食は極端な肥満にもつながるので、食事の盛りつけを工夫するなど本人の満足をはかったうえでの食事量のコントロールとともに運動が大切です。
 この疾患の原因は、父由来の遺伝子が発現しないこと(父由来の遺伝子の欠損、父由来の15番染色体が欠失し母由来の染色体が重複したダイソミーなど)によることがわかりました。この疾患と同じ部位に遺伝子の変異がある疾患には、けいれんや発達障害で知られるアンジェルマン(Angelman)症候群がありますが、これは逆に母由来の遺伝子発現がありません。このように親のどちらから由来したかによって遺伝子の発現が違う現象は、ゲノム刷り込み現象(インプリント)と呼ばれます。