毒性ガスの吸入とはどんな病気か

 体に毒作用のあるガスを吸入することによって生じる病気一般を指します。
 ガスの作用によって、とくに毒性の強い狭義の毒性ガスと刺激性ガスに分けられます。毒性ガスには必ずしもにおいや色はありません。毒性ガスの吸入は事故、(ガスもれ、不完全燃焼、産業事故)、自然(火山など)のほか、自殺やテロなどによっても起こります。

ファーストエイド

 倒れている人を発見したら、迅速に安全な場所へ移して新鮮な空気を吸わせることが原則です。
 その際、最も気をつけるべき点は、まず発見者がガスの危害を受けないようにすることです。危険と思われる場合には、無理に近づかず、ただちに消防署に通報して救助を待ちましょう。ガスの種類によっては引火や爆発の危険もあります。

原因別の症状と治療


(1)一酸化炭素

 空気より軽く無味無臭、無色の猛毒ガスで、火災や練炭などの不完全燃焼により発生します。一酸化炭素(CO)は血液中のヘモグロビン(Hb)と結合してCO‐Hbとなり、酸素の運搬を阻害します。
 このCO‐Hbが10%を超えると頭痛が出現し、30%を超えると吐き気、めまいなどが出現し、さらに上昇すれば錯乱や運動麻痺などを来し、50%以上になると生命の危険に陥ります。
(2)硫化水素ガス
 無色で空気より重く、卵の腐ったような特有の臭いのあるガスです。火山ガスとして知られていますが、近年、自殺目的で使用され社会問題となっています。
 細胞の代謝を障害する毒性の強いガスですが、刺激性もあり、皮膚や粘膜に触れるとびらんや水疱(すいほう)を生じ、吸入するとのどの痛みと咳、呼吸困難を来します。
(3)塩素ガス
 空気より重く、黄緑色の特有の刺激臭をもつガスです。工場で使用されますが、家庭の漂白剤とカビ取り剤を混合しても発生します。非常に水に溶けやすく、塩酸となり、やけどを生じます。
 眼、鼻、気道を刺激し、重症化すれば呼吸困難や肺水腫(はいすいしゅ)などを来します。
 救急隊員はいずれのガスの場合も、酸素投与を行い、必要なら気道確保、人工呼吸を行って病院に搬送します。病院では原因となったガスの種類に応じて必要な治療を行います。