【図解付き】クレアチニン検査の目的

「腎臓系検査」腎機能低下をチェック


  • 出典:株式会社法研「からだと病気のしくみ図鑑」
  • 監修:川上 正舒 自治医科大学名誉教授 地域医療振興協会練馬光が丘病院 院長
  •    野田 泰子 自治医科大学医学部解剖学部門 教授
  •    矢田 俊彦 自治医科大学医学部生理学講座統合生理学部門 教授

検査の目的

腎機能低下の有無をチェック

図解-クレアチニンの基準値

血液中のクレアチニンの測定は、腎機能の低下を調べるために重要な検査の一つです。

クレアチニンの尿への排泄が障害されると、血液中のクレアチニンが上昇します。

クレアチニンが高値になるということは、腎臓の排泄機能が低下しているということです。

検査値が高ければ高いほど、腎臓の障害の程度も高いことを示します。

クレアチニンは採血するだけで測定できる簡便な検査なので、腎機能や腎糸球体機能のスクリーニング検査としてよく用いられます。

ただし、高齢者や筋ジストロフィー、長期間病気で休んでいる人などで筋肉量が落ちていると、腎機能が低下していてもクレアチニンが基準値範囲内になることがあります。

また、初期の腎機能低下の場合は、血中クレアチニン値だけでは不十分です。

診断にあたっては、腎糸球体機能をよりくわしく調べるクレアチニン・クリアランスを行います。

基準値から外れる要因

図解-慢性腎臓病の発症と進行

クレアチニンは筋肉量に比例するため、男性は女性に比べてやや高めの数値となります。

男性で1.1~1.2mg/dl、女性で0.8~0.9mg/dlになると経過観察が必要とされ、男性で1.3mg/dl、女性で1.0mg/dlを超えると、精密検査または治療を要します。

クレアチニンが基準値を超えて高値になる場合は、急性腎炎、慢性腎炎や糖尿病腎症など腎実質障害が疑われます。

そのほかにも、前立腺肥大や腎結石、腎盂腎炎などによる尿路閉塞性疾患、尿管結腸吻合、火傷や脱水などで血液が濃縮されたときに高値を示します。

一方、尿崩症、妊娠、筋ジストロフィーなどでは、基準値を下回る低値になります。

腎機能低下の問題点

腎臓病で定期的に透析を受けている患者は年々増加する傾向にあり、今やその数は29万人以上にものぼっています。

原因を疾患別に見てみると、もっとも多いのは糖尿病性腎症と慢性糸球体腎炎で、この2つの疾患で全体の7割以上を占めています。そのほかにも、慢性腎盂腎炎や腎硬化症などの患者が透析を受けています。

透析とは、腎不全に陥り機能が低下した腎臓の代わりに、血液中の老廃物を除去する療法です。1回の治療に3~5時間を要し、1週間に2~3回の治療を受けなければなりません。

腎不全とは、腎機能が正常の30%以下に低下した状態をいい、数時間から数日で発症する"急性腎不全"と、数カ月から数年かけてゆっくり進行する"慢性腎不全"があります。

慢性腎不全は、慢性腎炎や糖尿病性腎症、慢性腎盂腎炎などが進行しておこります。

慢性腎炎や糖尿病腎症で障害された腎機能は、元に戻ることはなく、治療は病気の進行を遅らせることを目的に行われます。

しかし、腎機能が正常の10%以下になると、透析治療を余儀なくされます。

近年は、生活習慣病が背景となって腎機能の低下が持続する慢性腎臓病(CKD:ChronicKidneyDisease)が増えています。

糖尿病や高血圧、肥満、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣は、脳血管や心血管だけでなく、腎臓や腎臓の血管にも負担をかけます。


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