気のおけない仲間たちと、楽しくお酒を飲むひとときは、心身ともにほどよくリラックスさせてくれますよね。しかし、うっかり羽目を外しすぎて、後から「しまった!」と焦ることはありませんか。特に、お酒を飲んだ後の頭痛に悩まされた経験がある人も多いでしょう。どれだけお酒を飲んでも、まったく体調に変化のない人もいますし、その一方、少量のお酒にも敏感に反応してしまう人もいます。お酒を飲んだとき、頭痛を起こしやすいという人は、ぜひとも適切な対処法を知っておきたいもの。ここでは、お酒を飲んだ後の頭痛の原因として考えられることと、そのときの対処法についてご紹介します。
生月 弓子先生(ミッドタウンクリニック)
信州大学医学部 卒業
東京大学 大学院 卒業
医学博士 日本産科婦人科学会 認定医
婦人科(子宮、卵巣)癌検診、健康相談、また避妊、低用量ピル、緊急避妊ピル、月経調節、月経困難症、過多月経、月経異常、不正性器出血、月経前症候 群、子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科腫瘍、更年期症状、掻痒感、性感染症、不妊、妊娠などの一般産婦人科診療、セカンドオピニオンも行っている。

飲酒後、頭痛が起こるメカニズムとは?

お酒を飲んだ後、いったいどうして頭痛が起こりやすくなるのでしょう。まずは、その仕組みを考えてみましょう。
飲酒後の頭痛には2つのタイプがあります。ひとつは、お酒を飲んでいるとき、あるいはその直後に発生する頭痛。もうひとつは、翌日以降に発生する頭痛です。

1)お酒を飲んでいるとき、あるいはその直後に発生する頭痛

まず考えられるのは、アルコールが体質に合わないということです。生まれつき、アルコールを分解する能力が欠けているため、お酒という異物を体内に取り入れることで、顔が赤くなったり、頭痛を起こしたり、不快な症状を引き起こしてしまうのです。また、お酒を飲むことで脱水症状が起こり、これが頭痛の原因となっていることもあります。お酒を飲むと、トイレが近くなるということはありませんか。これは早くアルコールを分解して排出しようとする、肝臓の働きによるもの。尿と一緒にアルコールを排出しようとするために体内が脱水状態となり、その結果、頭痛も起こります。

2)お酒を飲んだ翌日以降に発生する頭痛

代表的なものは、二日酔いです。アルコールを摂取すると、体内で分解するときにアセトアルデヒドという有害物質が合成されます。このアセトアルデヒドが体内に残ってしまうと、頭痛やめまい、吐き気などを引き起こします。また、大量のアルコールを摂取したときには、翌日もまだ脱水症状が続いているということもありますので、この場合も頭痛を起こしやすくなります。

気をつけたい! 飲酒後の頭痛はこんな病気が原因かも

脱水症状による頭痛や二日酔いは、十分に水分を補給したり、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かって発汗作用を高めたりすることで、自然と解消できるでしょう。しかし、なかには速やかに医師の診断を受けた方が良いケースもあります。頭痛に加えて次のような症状が見られたら、むやみに状況を判断せず、冷静に対処しましょう。

1)一時的な意識障害や嘔吐、血圧低下が起こる

短時間で大量のアルコールを摂取すると、お酒に含まれているエチルアルコールが一気に体内に入ります。通常、アルコールを代謝して体外へ排出しようという役割は肝臓が担っていますが、あまりに大量のアルコールが体内へ入ると、肝臓の働きが追いつかず、血液中のアルコール濃度がどんどん高くなります。すると、アルコール血中濃度が高くなり、アルコールの毒性が体内で中毒症状を引き起こします。これが、急性アルコール中毒です。顔や全身が赤くなったり、発汗が高まったりするほか、頭痛、めまい、口の渇き、嘔吐などの症状が見られるほか、悪化すると意識障害を引き起こし、昏睡状態となることも。なかには吐瀉物が喉に詰まったり、呼吸麻痺が起こったりして死に至るケースもあります。また、足元がふらついて大怪我につながることも珍しくありません。意識がない場合は、すぐに救急車の手配を。その際、喉に吐瀉物が詰まらないよう、気道の確保に気をつけましょう。

原因:急性アルコール中毒

治療法:薬物療法

チェック方法:顔面や全身の紅潮、発汗、動悸、呼吸困難、嘔吐、低血圧、意識障害、昏睡、失禁

関連する病気: 急性アルコール中毒

2)顔が赤くなって、ヒリヒリする

お酒を飲んだ後、頭痛とともに顔が赤くなってヒリヒリ痛み出したら、酒さかも知れません。これは30〜60歳くらいの人に多く見られ、慢性的に起こる病気です。酒さを引き起こす原因として飲酒のほか、紫外線、ストレス、激しい温度差、刺激の強い食べ物などがあげられ、人によって原因は異なります。鼻や頰のあたりが赤くなるのが初期症状。悪化すると発疹や皮膚の化膿が見られたり、鼻瘤ができたりすることもあります。アレルギーや日焼けなどと似ているので、酒さと自覚しないことも多いのですが、特徴は、酒さは偏頭痛を伴うことが多い、ということ。頭痛に加えて顔が赤くなったり、ヒリヒリしたりする症状が見られたら、酒さを疑ってもいいかもしれません。その場合は皮膚科を受診すると良いでしょう。

原因:酒さ

治療方法:薬物療法、外科的療法

チェック方法:赤ら顔、発疹、ニキビ、膿胞、鼻瘤、偏頭痛

関連する病気: 酒さ

3)頭の片側が痛み、1回の頭痛は15分〜3時間程度。一定期間に何度も繰り返す。目の充血などが見られることも

お酒を飲んだ後、目をえぐられるような激しい頭痛に襲われることはありませんか。もし、一定期間にそのような状態が何度も繰り返し、ときにはお酒を飲まなくても激しい頭痛が起こることがあったら、それは、群発頭痛かもしれません。ちょうど、群発期に地震が何度も発生するのと似ているのでこの名称がつけられました。群発頭痛は男性に多く見られる病気で、よく、「目をえぐられるような」と表現されるくらい激しい頭痛が15分〜3時間程度続きます。目の後ろを通っている内頸動脈が拡張して炎症を起こすのが原因ではないかとされていますが、未だ、明確にはされていません。群発頭痛が起こっている期間は禁酒がおすすめ。また、喫煙も群発頭痛の誘因となるため、その期間は禁煙を心がけましょう。

原因:群発頭痛

治療法:薬物療法、純酸素吸入法

チェック方法:頭の片側に激痛、短時間の頭痛を一定期間に繰り返す、目の充血、鼻水

関連する病気: 群発頭痛

【まとめ】

「百薬の長」とも言われるお酒。しかし、それは自分にとっての適量を知り、自分のペースを守って、適切に楽しむことができるからこそ。「適量」とひとくちに言っても、その分量は人によってさまざまです。お酒を飲むときは周囲の雰囲気に流されることなく、自分に合ったペースで味わいながら楽しみましょう。また、お酒を飲みすぎたと思ったら、「カフェインなど利尿作用のあるものを摂って、アルコールを体外へ排出すること」「水分をたくさん摂って脱水症状に気をつけること」に気をつけると、速やかな回復が期待できます。しかし元来、体質的にアルコールを一切受け入れないという人もいますので、お酒を飲んだ後に必ず不快な症状が起こるという場合は、医療機関で検査してもらうのも良いでしょう。

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