一般的に3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態を便秘と言います。どちらにしてもお腹のあたりがスッキリせず、お腹がガスっぽかったり、張っている感じがしたりして辛いですよね。便秘を解消するため、食生活や運動などで気をつけていても、どうしても便秘になりやすいタイプの人はいます。ここでは、便秘で困っている人のために、腹痛を緩和する方法をご紹介。また、もしかしたら便秘のかげに病気が潜んでいる可能性もあるので、あまりに便秘が続く場合は医師の診断を受けましょう。
生月 弓子先生(ミッドタウンクリニック)
信州大学医学部 卒業
東京大学 大学院 卒業
医学博士 日本産科婦人科学会 認定医
婦人科(子宮、卵巣)癌検診、健康相談、また避妊、低用量ピル、緊急避妊ピル、月経調節、月経困難症、過多月経、月経異常、不正性器出血、月経前症候 群、子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科腫瘍、更年期症状、掻痒感、性感染症、不妊、妊娠などの一般産婦人科診療、セカンドオピニオンも行っている。

便秘にはタイプがある

「旅先ではいつも便秘になる」「ストレスを感じると便秘になる」という人もいるでしょう。それらは急性の便秘であり、環境が元に戻れば自然と解消されるはずです。しかし、中には慢性の便秘もあり、実際、多くの人が悩んでいるのはこちらのタイプです。慢性の便秘には、大きく分けて二種類あります。

(1)機能性便秘

便が作られる過程や排便の仕組みに障害があるものを機能性便秘と言います。さらに3つのタイプに分けられます。

1、弛緩性便秘
腸のぜん動運動が弱かったり、筋力が低下したりしたことが原因で起こる。デスクワークの時間が長く、体を動かす時間があまりない人や、高齢者、お産回数の多い女性に多く見られる。

2、痙攣性便秘
腸ぜん動運動が強くなりすぎて腸が引きつり、便がスムーズに送られなくなった状態のこと。普段からストレスの多い人や、下剤を乱用している人に多く見られる。

3、直腸性便秘
排便のリズムが乱れ、排便の反射が弱くなって便が直腸まで送られても便意が起こらない状態のこと。職場のトイレでは恥ずかしくて排便できないなど、排便を我慢する習慣のある人に多く起こる

(2)器質性便秘

大腸や胃、肛門などに疾患があって、それが原因で便秘を起こしているもの。初期のうちは、単なる便秘としてつい見過ごしてしまいがちですが、多くの場合、血便や嘔吐、服痛など他の症状も現れます。知らず知らずのうちに病気が進行している場合もあるので、注意が必要です。

関連する病気: 慢性便秘

便秘による服痛がひどい。そんな時は?

便秘によって引き起こされる痛みには、さまざまなものがあります。突然、キリキリと痛み出す場合や、指でお腹を押すと痛む場合、あるいは、背中や腰など広範囲に痛む場合など、人によって異なります。いずれにしても、突然の服痛が起こったときにどう対処したらいいのでしょう。簡単にできるセルフケアの方法をお伝えします。

(1)お腹を温める

便秘によって服痛が起きている時は、冷たい飲みものや食べものを控えること。温かい飲みものや食べもので、体内から暖をとることが大切です。腸を冷やすと働きが停滞し、便を押し出すぜん動運動も弱くなってしまいます。また、カイロや腹巻、ブルマなどを着用して、体の外側からも温めるようにしましょう。

(2)マッサージをする

お腹の右下に両手のひらを重ねて当て、そこから時計回りに「のの字」を描くようにマッサージしてみましょう。お腹周りがポカポカ暖かくなってくる頃には腸が刺激され、ぜん動運動がスムーズになるはずです。また、お腹をひねったり、ねじったりするストレッチ運動も効果的です。

(3)水溶性食物繊維を積極的にとる

食物繊維には水溶性のものと不溶性のものがありますが、便秘で腹痛がある場合は、ぜひ、水溶性の食物繊維を積極的にとりましょう。水溶性食物繊維には、腸内の善玉菌を増やし、お腹の中で柔らかいゲル状の便を作る働きがあります。コチコチ硬い便がでる人は、水溶性食物繊維をたくさんとると良いでしょう。りんごやみかんなどの果物、ワカメやオクラ、納豆などのネバネバした食べもの、ワカメや昆布などの海藻類に多く含まれています。ちなみに、腸のぜん動運動が弱い「弛緩性便秘」の人や、いつも下痢になりやすい人は不溶性食物繊維をとることがおすすめ。イモ類やきのこ類、豆類に多く含まれる不溶性食物繊維には、便のかさを増やし、腸のぜん動運動を活発にする働きがあります。ヨーグルトや牛乳などの乳製品を積極的に摂ることもお勧めです。

(4)ツボを押す

便秘に効くツボは、体のあちこちにあります。例えば、手首の関節部分の小指側で、骨と筋の間のくぼんでいる部分にある「神門(しんもん)」や、内側のくるぶしの骨から指4本分上にある「三陰交(さんいんこう)」、おへそから左右へ指幅3本分離れたところにある「天枢(てんすう)」、肋骨の一番下から指2本分下で、背骨から左右に指4本分離れたところにある「便秘点(べんぴてん)」は、便秘に効果のあるツボです。朝起きてすぐや、仕事の合間など、ちょっとした隙間時間に押してみましょう。

もしかして、病気の疑いも?

上記で紹介した「機能性便秘」の場合は、腸の働きに原因があるもので、便秘の辛さはあるものの、深刻な病気ではありません。しかし、気をつけたいのが「器質性便秘」です。これらは腸などの疾患が原因で起こるもので、放置しておくと病気が進行してしまう可能性もあります。では、器質性便秘の原因になる病気にはどのようなものがあるのでしょうか。

(1)大腸がん

大腸がんは日本人に多いがんであり、男女ともに注意が必要な疾患です。大腸の長さは一般的に約2mもあり、腸の内容物に水分を加えて大便にする器官です。大腸は直腸と結腸から成り立っていて、日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。大腸がんの主な症状としては、血便、下血、下痢と便秘の繰り返し、残便感、お腹の張りなどがあげられ、中でも特徴的なのは血便です。しかし、痔と間違って放置するケースも多く、発見の遅れにつながっています。大腸がんは悪性度がそれほど高くはないので、早期であればもちろん、進行しているがんでも切除手術によって根治を望むことが可能です。当然、発見が早ければ早いほど体への負担が軽くて済みますので、血便を含む便通の異常が見られたら、早めに消化器科、胃腸科、肛門科などを受診しましょう。

原因:高脂肪の食事など
チェック法:下痢と便秘の繰り返し、血便、下血、残便感、腹部膨満感、便が細くなる、体重減少
治療:外科手術、薬物療法
関連する病気: 大腸がん

(2)腹膜炎

腹腔内を覆う膜である腹膜に炎症が起こったものを腹膜炎と言います。経過から、急性腹膜炎と慢性腹膜炎に分類され、特に、急性腹膜炎の一つである急性汎発性腹膜炎は、生命に関わきる危険性があり、速やかに医師の診断を受ける必要があります。腹膜炎を発症する患者のほとんどが急性腹膜炎であり、主な症状は急激な服痛や発熱、吐き気、嘔吐などがあげられます。多くの場合、胃や十二指腸、小腸、大腸などの消化管に穴があき、胃液や腸液、大腸内の便が、腹腔内に漏れたことによって腹膜炎が起こるのですが、中には便秘が原因で腸が破れ、腹膜炎を起こすケースもあります。腹膜炎が進行するとショック状態に陥ったり、脱水症状を引き起こしたり、また、命に関わるケースもあるので、できるだけ早めに医師の診断を受けましょう。

原因:急性虫垂炎や急性胆嚢炎など腹腔内の臓器の炎症、消化管疾患や外傷、消化管穿孔などによる胃液や胆汁などの腹膜への漏出
チェック方法:激しい腹痛、嘔吐、吐き気、発熱、頻脈、便秘
治療法:薬物療法
関連する病気: 急性腹膜炎

(3)腸閉塞

腸の一部が狭くなって食べものが胃腸を通過しにくくなったために起こるものを腸閉塞(イレウス)と呼びます。過去に受けた手術の影響や、ヘルニア、腫瘍、神経の異常や炎症など、閉塞が起こる原因はさまざまです。はじめのうちは食べ物やガスなどが腸から動けなくなって、便秘のような症状になるため、つい見過ごしがちですが、やがて激しい痙攣性の腹痛や嘔吐、腹部膨満感、発熱、頻脈などを引き起こし、症状が悪化してしまいます。悪化するとふん便様の汚物を吐くこともあるので、繰り返す便秘に加えて痙攣性の腹痛や腹部膨満感が見られる場合は、早めに診断を受けましょう。

原因:ヘルニア、腫瘍、神経の異常や炎症
チェック法:激しい腹痛、吐き気、腹部膨満感
治療法:薬物療法
関連する病気: 腸閉塞(イレウス)

【まとめ】

他にも、病気と間違える可能性の高い病気にはさまざまなものがあります。便秘は決して珍しいものではなく、市販薬などを使ってしのいでいる人も少なくないと思います。しかし、たとえ便秘の影に恐ろしい病気が隠れていないとしても、自然に排便できる力をつけておかないと、腸はどんどん働きを失い、ぜん動運動の力が弱くなってしまいます。食生活に気をつけたり、運動習慣をつけたり、自分のできることから生活を改善していきましょう。

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