かぜをひくと、熱が出たり、鼻水が止まらなかったり、喉がイガイガしたり、さまざまな症状が現れます。そのうち、「関節が痛くなる」というのも、かぜの代表的な症状のひとつです。関節痛が前兆となって、風邪をひいたことを自覚したり、これから熱が上がりそうということを予測したりする人もいるでしょう。全身の倦怠感や重だるさなどを伴い、日常生活にも支障をきたすことのある関節痛。一体、どうやって対処すれば、それほど悪化させずに済むのでしょうか。また、風邪をはやく治すには、どうしたら良いのでしょうか。対処法について考えてみます。
生月 弓子先生(ミッドタウンクリニック)
信州大学医学部 卒業
東京大学 大学院 卒業
医学博士 日本産科婦人科学会 認定医
婦人科(子宮、卵巣)癌検診、健康相談、また避妊、低用量ピル、緊急避妊ピル、月経調節、月経困難症、過多月経、月経異常、不正性器出血、月経前症候 群、子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科腫瘍、更年期症状、掻痒感、性感染症、不妊、妊娠などの一般産婦人科診療、セカンドオピニオンも行っている。

そもそも「かぜ症候群」の正体とは?

あらゆる年齢層で発症し、一般的な病気である風邪。医学的には「かぜ症候群」と示されることが多く、鼻腔から咽頭までの気道を上気道と呼び、かぜ症候群ではこの部分に急性の炎症の症状がみられます。原因は、ほとんどの場合がウイルス感染。そのほか、最近よく耳にするようになった「肺炎マイコプラズマ」など特種な細菌も、かぜ症候群を引き起こす要因となります。患者のくしゃみなどで飛散する飛沫を通し、ウイルスなどの病原体が気道内に入ることによって感染します。

(1)かぜの主な症状

自覚症状としては、鼻水や鼻づまりなどの鼻症状、咽頭痛などがあげられます。そのほか、発熱、全身倦怠感、頭痛などもあり、気管や気管支、肺などの下気道も炎症を起こすと、咳やたんなどの症状も出現します。

(2)混同されがちな「インフルエンザ」との違い

インフルエンザもかぜのような症状を起こすことの多い疾患ですが、かぜと決定的に違うのは、突然38度以上の高熱がでることや、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感、食欲不振などの全身症状が現れるということです。特に、突然高熱がでた場合には要注意。通常、インフルエンザは約1〜3日の潜伏期間の後に発症します。その後、高熱や全身倦怠感などの症状が現れ、さらに咳や喉の痛み、鼻水、腰痛、悪心などの症状が出ることもあります。また、発症の時期にも特徴があり、かぜは通年みられますが、インフルエンザには季節があります。日本では例年、11月ごろから流行が始まり、1〜3月ごろにピークを迎えます。

(3)病院へ行った方が良い症状とは?

かぜは、決して珍しい病気ではありません。わざわざ病院へ行くまでもないと考えて、自然治癒に任せる人も多いのではないでしょうか。では、どんな場合に病院へ行った方がよいのか見てみましょう。

  1. 38度以上の発熱が数日間続く
  2. 37度台の微熱に加えて、咳や痰が10日間以上続いている
  3. 血便や強い腹痛を伴う嘔吐・下痢がある
  4. 水分や食事がとれない
  5. 咳がひどく、胸が痛い。呼吸が苦しい。血痰がでる
  6. くしゃみや鼻水などの症状はないけれど、38度を超える発熱がある

通常、かぜでは数日以内にウイルス量がピークを迎え、それを過ぎると次第に症状が治まってきます。通常、3日(72時間以上)激しい症状が続くことはありません。そのため、上記のような場合は、かぜではなく他の病気を引き起こしている可能性もあります。できるだけ早めに医師の診断を受けた方がよいでしょう。

原因:ウイルス感染
チェック方法:咳、鼻水、くしゃみ、発熱、咽頭痛、全身倦怠感、食欲低下、関節痛
治療法:薬物療法

関連する病気: かぜ症候群

厄介な関節痛。対処法は?

かぜの症状のひとつに関節痛があります。これは一体なぜ起こるのでしょう。咳や鼻水など、かぜの主症状はウイルスや細菌が原因となって起こりますが、実は、関節痛は発症する仕組みが違います。

(1)関節痛が起こる仕組み

ウイルスや細菌に感染すると、体内では体を守るために白血球からサイトカインと呼ばれる物質が分泌されます。このサイトカインが過剰に分泌されると臓器を機能不全にすることがあるため、このサイトカインの分泌を抑制するために、今度は体内でPGE2(プロスタグランジンE2 )という物質が分泌されます。しかし、このPGE2には関節の痛みや熱を引き起こす作用があるのです。「関節痛が起こると、そのあとに熱が上がる」という人も多いでしょうが、それはこのため。つまり、関節痛が起こるのはウイルスや細菌が悪さをしているというよりも、むしろ、それを退治するために、体の免疫機能が戦っている証拠なのです。

(2)関節痛、賢い対処法は?

かぜを引いたときの関節痛は、できるだけ早めに抑えたいものです。しかし、関節痛は体の免疫機能が働いていることによるものなので、痛み止めなどを服用して抑え込もうとするのは逆効果です。では、関節痛が起こった時にはどのように対処すればよいのでしょうか。

1、病院で診察を受ける
関節痛の原因がインフルエンザなど、ウイルスや細菌感染によるものの場合、適切に治療を行うことが必要になります。少しでも病気が疑われる場合は病院で検査を受け、精査してもらうことが大切です。

2、休養をとる
「当たり前」のように思われがちですが、とにかくかぜを引いたときは休養と睡眠をしっかりとって、治すことに集中しましょう。無駄なエネルギーを使うと、それだけ完治が遅くなることも。いつも以上に睡眠時間を長めに確保して、十分体を休めましょう。

3、消化のよいもので栄養をとる
かぜを早く治すためには、栄養をとることも必要です。しかしここで注意しなければならないのは、体は食べものを消化したり吸収したりするのに、相当のエネルギーを必要とするということ。食欲がないのに頑張ってしっかり食事をとる必要はありません。それよりも、少量でも栄養価が高く、消化のよいものをとることが大切。また、脱水症状にもなりやすいので、水分を意識してとるようにしましょう。

4、アロマオイルで鎮静
ラベンダーやペパーミントなどのアロマオイルには、痛みを鎮静する効果があります。また、カモミールやローズマリーには痛みを和らげたり、炎症を抑えたりする効果もあります。アロマオイルをたくと、心理的にもリラックスできるので、活用してみもよいでしょう。

5、どうしても困ったら、鎮痛剤配合の風邪薬
「絶対にはずせない仕事がある」など、病院へ行く時間はないけれど、どうしても関節痛をなんとかしなければならないシーンもあるかもしれません。その場合はかぜ薬に頼ってもよいでしょう。鎮痛剤が配合されているものもありますから、市販薬を購入するときは薬剤師などの専門家に相談しましょう。

もう一つ、気をつけたいのが、鼻や喉などの炎症が治まり、他の症状がなくなった後でも関節痛が残る場合は、早めに医師の診断を受けましょう。別のウイルスが侵入してしまった可能性もありますし、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど、他の病気が隠れている場合もあります。その場合は重症化させないためにも、早めに適切な治療を行いましょう。

【まとめ】

このように、かぜによる関節痛が起こったら、無理に痛み止めや解熱剤を飲もうとするのではなく、「かぜを治すことを第一に考える」のが一番。たっぷり睡眠をとったり、あたたかい部屋でゆっくり休んだりして、治療に専念するようにしましょう。また、関節の痛みがどうしても我慢できなかったり、長期間続いたりする場合は無理に我慢せず、医師の診断を仰ぎましょう。かぜの場合、何科で診断を受けたらよいのか迷う人も多いようですが、基本的には内科でも耳鼻咽喉科でも大丈夫。「食欲不振や倦怠感など、全身の症状が見られる場合は内科」「喉や鼻の症状が辛い場合は耳鼻咽喉科」など、使い分けてもよいでしょう。

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