悪寒は発熱の前兆のひとつ。悪寒が起こってからすぐに、あるいは、少し時間が経ってから一気に高熱が出た、という経験のある人も多いでしょう。なかには放置しておくと危険な発熱もありますから、その場合は早めに病院で診察を受ける必要があります。では、どのような症状の場合に、医師の診察を受けたら良いのでしょうか。合わせて、突然の悪寒や発熱にどう対処すべきか、改めて確認しておきましょう。
生月 弓子先生(ミッドタウンクリニック)
信州大学医学部 卒業
東京大学 大学院 卒業
医学博士 日本産科婦人科学会 認定医
婦人科(子宮、卵巣)癌検診、健康相談、また避妊、低用量ピル、緊急避妊ピル、月経調節、月経困難症、過多月経、月経異常、不正性器出血、月経前症候 群、子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科腫瘍、更年期症状、掻痒感、性感染症、不妊、妊娠などの一般産婦人科診療、セカンドオピニオンも行っている。

細菌やウイルスによる感染が原因の高熱は、早めに病院で診察を!

一般に、高熱とは38度以上の発熱を言います。成人の場合、38度を超える発熱が見られたら、ウイルスや細菌に感染している可能性が疑われます。感染被害を拡大しないためにも、早めに病院を訪れた方が良いでしょう。また、高熱の原因となる病気はさまざまですが、まずは内科を受診して診断をつけてもらうことをお勧めします。

1)急激に熱が上昇。筋肉痛、関節痛、倦怠感など全身症状がある

突然、38〜40度の高熱が出て、筋肉痛や関節痛などの痛みも見られる場合、インフルエンザを疑います。冬に多く発生する感染症で、鼻水、くしゃみなど風邪に類似した症状も見られます。ウイルスに感染後、2〜3日で体内のウイルス数は最大になり、高熱や倦怠感などの症状もピークになりますが、その後はウイルス数が激減し、発症して3〜5日後ころには熱も下がります。しかし、発熱してから5日間は鼻やのどからウイルスが排出されているため、それ以前に体調が回復しても、その期間は外出を控えた方が良いでしょう。治療では、発症から48時間以内に治療薬を服用すると、発熱期間が短縮されたり、鼻や喉からのウイルス検出量も減少するなど効果が期待できますから、早めの治療開始が望ましいとされています。

原因:インフルエンザ

治療法:薬物療法

チェック方法:急な発熱、筋肉痛、関節痛、全身の倦怠感、頭痛、食欲低下、鼻水、くしゃみ

関連する病気: インフルエンザ

2)発熱、頭痛、吐き気など風邪に類似した症状に加えて、首の硬直がある

発熱のほか、首のあたりに硬直が見られたら、細菌性髄膜炎かもしれません。髄膜炎とは、脳や脊髄を覆う保護膜である髄膜に炎症が起こった病気のこと。髄膜炎は原因により複数の種類に分類されますが、最も一般的なのは細菌性髄膜炎です。主に乳幼児の罹患率が高いのですが、成人でも風邪をひいているなど、免疫力が落ちている場合、あるいは、インフルエンザに感染した場合、その延長として髄膜炎・脳炎を発症するケースがあります。症状は風邪に似ていますが、首の硬直や痛みが見られるというのが特徴。悪化すると意識障害や痙攣など重大な症状を示す可能性があり、また、難聴や脳神経障害、認知機能障害などの後遺症を残すこともあるため、早めに医師の診察を受けることが必要です。

原因:細菌性髄膜炎

治療法:薬物療法

チェック方法:急な発熱、喉の痛み、咳、鼻水、首の硬直や痛み

関連する病気: 細菌性髄膜炎

3)急な発熱のほか、喉の痛みや嚥下痛がある

急な発熱に加えて、喉の痛みや嚥下痛など、喉に異常が見られる場合は、急性扁桃炎かもしれません。これは、喉の入り口あたりにある口蓋扁桃が赤く腫れた炎症で、とくに子どもや若い世代に多く発症します。発症すると、38度以上の高熱や全身の倦怠感に加えて、喉の痛みが見られ、また、首のリンパ節が腫れることもあります。原因は細菌やウイルスで、体の免疫力が低下している時にインフルエンザ菌、溶血性連鎖球菌、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などに感染すると、体内で菌が増殖。扁桃は免疫を司る働きをしているため、それらの菌と戦って炎症を起こすのです。治療せずに放置すると扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍などを発症し、さらに悪化する可能性があるので、早めに医療機関で受診しましょう。

原因:急性扁桃炎

治療法:薬物療法

チェック方法:急激な高熱、全身の倦怠感、喉の痛み、嚥下痛

関連する病気: 急性扁桃炎

4)発熱や悪心に加えて、みぞおちから肋骨にかけて激しい痛みがある

みぞおちから肋骨にかけて激しい痛みがあるほか、38度近い発熱が出たり、吐き気や嘔吐などの症状が見られたりする場合は、胆嚢炎かもしれません。これは胆石が胆嚢を閉塞し、そこへ細菌が感染したことによって発症します。治療では外科手術によって胆嚢を摘出するほか、絶食や点滴、抗菌薬の投与などが指示されます。

原因:胆嚢炎

治療法:外科手術、薬物療法、食事療法

チェック方法:みぞおちから肋骨にかけての痛み、発熱、吐き気、嘔吐

関連する病気: 胆嚢炎

5)子どもが39度近い高熱を出した。首や胸に発疹も見られる

子どもが38〜39度の熱をだし、嘔吐や喉の痛みなどの症状も見せる場合は、溶菌性感染症かもしれません。風邪によく似た症状から始まり、かゆみのある赤い発疹が体や手足に現れるほか、舌にいちごのようなブツブツが出たりします。5〜15歳の子どもの罹患率が高く、溶連菌感染症にかかった人の咳やくしゃみ、つばなどによって感染します。菌の潜伏期間は2〜5日間。子どもだけでなく、免疫力の低下した大人が感染することもあるので、注意が必要です。

原因:溶連菌感染症

治療法:薬物療法

チェック方法:高熱、嘔吐、喉の痛み、悪寒、発疹、いちご舌

急に高熱が出た! そんな時は、どう対処する?

ここで紹介した3つの病気以外にも、急に発熱を引き起こす疾患にはさまざまなものがあります。病気の原因が解明できれば、それに即した対処法をとることもできますが、夜間で医療機関が閉まっているなど、医師の診察を受けられないこともあるでしょう。では、そんな時、どのように高熱に対処すれば良いのか、基本的な事項を紹介します。

1)体を温める

部屋の温度を上げるとともに、重ね着をするなどして体温をあげる努力をしましょう。また、温かい食べ物や飲み物をとることも有効です。体を温めると免疫を司る白血球が活性化し、高熱の原因である細菌やウイルスを退治しやすくなります。

2)水分を補給する

高熱がでた時には汗がでて、脱水症状に陥りやすくなります。高熱がでたら、普段よりも意識的に多くの水分を摂取するようにしましょう。その際には水、お茶のほか、糖分やミネラルを適度に含んだスポーツ飲料などもお勧めです。

3)安静にする

高熱がでた時は、仕事や学校を休んでしっかり安静にすることが、速やかな回復のための第一歩。その際、もし可能なら、弱った胃腸を刺激しないよう、おかゆやうどんなど消化しやすい温かいメニューで、栄養を補給するようにしましょう。ビタミンが豊富に含まれている果物でも良いでしょう。

【まとめ】

熱が出ると、すぐに市販薬に頼る人も多いのでは、と思います。確かに解熱剤を服用すれば、一旦は熱が下がります。しかし、熱があるということは、体内の免疫力が高まり、細菌やウイルスと戦っている証拠。近年の研究により、発熱によって白血球などの免疫に関わる細胞が活性化され、病原体の増殖が抑えられることがわかっています。解熱剤で無理に熱を下げようとせず、医師の診断を仰ぐようにしましょう。

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