めまいや動悸、息切れに、日常的に悩まされている人も多いのではないでしょうか。少し休むと症状が治まるため、特に病院で診察を受けることなく、そのまま放置している人も少なくないと思います。しかし、なかには怖い病気の前触れとして起こっているめまいや動悸、息切れもあります。そうしたシグナルをしっかりキャッチし、正しい対処をとることが健康管理には大切です。ここでは、見逃せないめまいや動悸、息切れの症状について解説。どんな場合に緊急の対処が必要か、改めて確認しておきましょう。
生月 弓子先生(ミッドタウンクリニック)
信州大学医学部 卒業
東京大学 大学院 卒業
医学博士 日本産科婦人科学会 認定医
婦人科(子宮、卵巣)癌検診、健康相談、また避妊、低用量ピル、緊急避妊ピル、月経調節、月経困難症、過多月経、月経異常、不正性器出血、月経前症候 群、子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科腫瘍、更年期症状、掻痒感、性感染症、不妊、妊娠などの一般産婦人科診療、セカンドオピニオンも行っている。

放置すると怖い! 命の危険につながる「めまい・動悸・息切れ」

めまいや動悸、息切れを引き起こす病気には、さまざまなものがあります。なかには取り立てて医師の診断を必要とせず、あまり気にしなくても大丈夫なものもありますが、反対に、早めに医療機関を受診した方が良いものもあります。ここでは放置すると危険なめまい、動悸、息切れについて紹介します。

心臓の鼓動が劇的に速くなったり、遅くなったり…。めまい、ふらつきもある

通常、心臓の拍動はリズムが決まっています。拍動の回数を心拍数と言いますが、健康な人の場合、安静時の測定では男性が平均60~70回/1分程度、女性だと65~75回/1分程度だと言われています。しかしこのリズムが乱れて、1分間に100回以上も打ったり、反対に、50回以下しか打たなかったりすることもあります。この場合、疑われるのは不整脈です。不整脈にはいくつかの種類があります。一つずつ、見て見ましょう。

(1)頻脈

脈が速くなり、1分間に100以上打つことを頻脈と言います。頻脈を起こす原因はさまざまで、興奮や緊張によっても起こりますが、たとえば心房全体が震えた状態になって頻脈を起こすタイプの不整脈は脳梗塞を引き起こすリスクもあり、注意が必要です。また、心室が痙攣を起こすタイプの不整脈は血圧が極度に下がり、突然死につながることもあります。

(2)徐脈

脈が遅くなり、1分間に50以下になることを徐脈と言います。徐脈が続くと血液の循環が悪くなり、心筋梗塞や狭心症、心不全などを引き起こす可能性が高まります。

(3)期外収縮

脈が乱れ、一時的に飛んだり、心臓が止まったりするようになることを期外収縮と言います。もっとも多く見られる不整脈で、健康な人でもよく起こりうる状態なので、あまり心配はいりません。しかし、稀に狭心症や心筋梗塞、心不全などの病気が潜んでいることもあります。

不整脈の症状はさまざまであり、これらのうち複数を合わせて発症している人もいます。また、特に期外収縮の場合は自覚症状がないことも少なくありません。必ずしも重篤な症状を引き起こすものではありませんが、脈の異常が感じられたら、速やかに病院で診察を受けた方が良い場合もあります。特に、狭心症や心筋梗塞など心臓の病気を持っている人。それから、高齢者で動悸が長引いているという人。そのほか、突然失神しそうになった理、意識を失いそうになったりした経験のある人は、早めに医師の診察を受けた方が良いでしょう。

原因:不整脈

治療法:薬物療法、生活習慣の改善

チェック方法:脈の乱れ、動悸、めまい

関連する病気: 不整脈不整脈の基礎知識〜3つのタイプの不整脈|注意するべき不整脈の症状は?

緊急性はないが、日頃から意識しておきたい「めまい・動悸・息切れ」

緊急性のない、めまい・動悸・息切れについて紹介します。今すぐ命の危険につながるということはありませんが、頻発して起こったり、症状がひどくなったり、普段と違う変化が感じられる場合は医師の診断を受けるようにしましょう。

1)日頃から血圧が低く、全身の倦怠感やめまい、立ちくらみなどが起こりやすい

普段から、収縮期血圧(最大血圧)が100mmHg未満である場合、低血圧症と呼びますが、低血圧症になるとめまいや立ちくらみを引き起こしやすくなります。血圧が低下すると全身を巡る血液量や、心臓から送り出す血液量が低下するため、めまいや立ちくらみなどが起こるのです。低血圧になるタイミングはさまざまで、安静にしていても低血圧であるほか、寝た状態から立ち上がったときに血圧が下がったりするなど、姿勢と血圧の関係性も広く指摘されています。特に、臥位(がい)(寝た状態)から座位になったり、急に立ち上がったりしたときに血圧が下がり、ふらつきやめまい、動悸を引き起こすものを「起立性低血圧症」と呼んでいます。放置しても、命の危険には及びませんが、高齢者の場合、めまいやふらつきがひどくなると怪我につながるリスクもあります。一般に、低血圧を改善するには、食事内容の見直しや生活習慣の改善を行う必要があります。また、必要に応じて病院で投薬治療を勧められることもありますので、医師の指示に従いましょう。

原因:低血圧症

治療法:生活習慣の改善、薬物療法

チェック方法:低血圧、めまい、動悸、息切れ

関連する病気: 低血圧症起立性低血圧症

2)病院で検査しても異常が見つからない。でも、めまいや動悸、ふらつきが起こる

特に原因が思い当たらず、病院で精密検査を受けても、どこにも異常が見つからない、でも、めまいや動悸、ふらつきに悩まされている…。そんな場合は、もしかしたら自律神経失調症が原因かもしれません。自律神経は、全身の器官をコントロールする神経で、このバランスが乱れると、全身のいたるところに不具合が生じます。自律神経失調症を引き起こす原因は過度なストレスや生活習慣の乱れ、環境の変化などさまざまですので、症状も多彩。慢性的な疲労や倦怠感、手足のしびれ、食欲不振、不眠、微熱など人によって異なり、めまいや動悸、息切れもそのひとつです。めまいやふらつきが気になるならまずは循環器科を受診し、もし異常が見つからなかったら医師の診断を仰ぎつつ、精神科や心療内科を受診することをお勧めします。

原因:自律神経失調症

治療方法:薬物療法、生活習慣の改善、カウンセリング

チェック方法:慢性的な疲労、倦怠感、手足のしびれ、食欲不振、吐き気、不眠、微熱、頭痛、めまい、動悸、息切れ

関連する病気: 自律神経失調症

3)45〜55歳くらいの女性にめまい、ふらつき、動悸が起こる。でも、検査では異常が見つからない

45~55歳ごろの女性は、いわゆる「更年期」。加齢に伴う卵巣機能の低下により、体にさまざまな不調が現れます。肩こり、関節痛、腰痛など身体的な異常が起こることもあれば、精神不安定や意欲低下など、心理面でのトラブルが起こることもあります。さらに、自律神経のバランスが乱れることにより、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)や多量の発汗、睡眠障害が起こることも。そして、めまいや動悸、息切れが見られる人もいます。加齢が主な原因とはいえ、これらの症状を放置しておくと日常生活に支障をきたすこともありますから、症状が気になる場合は婦人科で診察を受けると良いでしょう。ホルモン補充療法などで大きな改善を見込めることもあります。

原因:更年期障害

治療法:薬物療法

チェック方法:肩こり、腰痛、食欲不振、精神不安定、不安感、記憶力減退、ホットフラッシュ、発汗、冷え性、めまい、動悸、息切れ

関連する病気: 更年期障害

【まとめ】

このように、めまいや動悸、息切れを引き起こす病気にはさまざまなものがあります。それだけ、めまいや動悸、息切れは私たちの日常生活にとって身近なものであると言っても過言ではありません。しかし、「よく起こるから」「我慢していれば治るから」とそのまま放置しておくのは危険なケースもあります。特に、日頃から心臓に持病を抱えている人、あるいは、高齢者は念のため、早めに医師の診察を受けるとおいでしょう。

めまい,動悸,息切れの関連コラム

肺も老化する? 咳が止まらない・息切れする人は要注意! 6つのチェック診断

運動不足を解消するために階段を使ってみたら、なんだか息がゼイゼイ……。普段、呼吸する時は意識していませんが、呼吸を行... 続きを読む

めまいの3つのタイプと原因と症状-ストレスが原因のめまいも

朝起き上がろうとしたとき、くらっときたり、目の前の風景がぐるぐる回ったりすることはありませんか?<br>「めまい」の原因の7... 続きを読む

健康用語の解説 動悸

心臓の鼓動がふだんより激しかったり、乱れていると感じること。驚いたときや運動したときなどにドキドキす... 続きを読む

パニック障害の症状と治療法-動悸や息苦しさ不安を感じたら

突然、心臓がドキドキしてきて、息苦しくなってきた。ふらつきも感じるし、不安でたまらない。これはいったいなんだろう・・・... 続きを読む

めまいの原因が症状でわかる-脳の病気の危険性もあるめまい

あるとき突然起こるめまい。くり返し起きたり長く続くようなら、何かの病気が原因かもしれません。なかには命にかかわる重大な... 続きを読む

めまいの検査(耳の病気)

①眼振の検査 <br>めまいがする時に、患者さんは天井などのまわりの景色がぐるぐる回っていると訴えます。この時、実際に天井が回っているのではなく、眼球のほうが回っているためそう見えるのです。この眼球... 続きを読む

パニック障害、13の症状でセルフチェック-動悸・発汗・胸痛など

特別な理由も何の前触れもなく、突然激しい動悸(どうき)や息苦しさに襲われ、死ぬかと思うような恐怖を感じる……。そんな症... 続きを読む

喫煙者の発症率は2倍!せき・たん・息切れはCOPDかも

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、かつて「肺気腫」、「慢性気管支炎」と呼ばれた病態を合わせた病気。最大の原因は喫煙である... 続きを読む

立ちくらみと貧血は別物 疲れやすさや動悸・息切れは貧血かも

立ちくらみは俗に脳貧血といわれるが、貧血とは別のもの。 「貧血」は血液中の赤血球が少なくなる病気。一過性の血圧低下による... 続きを読む

めまいの原因はストレスかも? 25の質問からストレス危険度チェック

くらっときて、足元がおぼつかなくなった経験ありませんか? 誰もが経験したことのあるめまいは、ストレスと大きく関わっていま... 続きを読む