「めまい」と「耳鳴り」、この両方の症状が現われることがあります。耳の奥には、体のバランスを保つ働きに関わる「三半規管」があり、ここに問題が生じるとめまいが起こります。また「蝸牛(かぎゅう)」という、音を聞く働きに関わる部位があり、その異常が耳鳴りにつながります。この三半規管と蝸牛はとなりあっているため、一方に障害が起こると、もう一方も影響を受け、めまいと耳鳴りが現われることが多いのです。原因となるのは、耳の病気が多いですが、それ以外のことも。このように、めまいと耳鳴りが一緒に起こった場合、考えられる病気をご紹介します。
仲 眞美子先生(アスクレクリニック上野)
医学博士。認定内科医、認定産業医、人間ドック検診専門医。
昭和50年、東京医科大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了。愛知県がんセンター第二内科・化学療法部国内留学。社会保険蒲田総合病院内科医長、他。イーク丸の内院長、医療法人社団葵会AOI国際病院健康管理センター所長を経てアスクレクリニック上野院長。

耳の異常が原因でめまいと耳鳴りが出る場合

めまいと耳鳴りが併発する原因で、最も考えられるのが耳の異常です。チェック項目にあてはまったら、耳鼻科を受診しましょう。

1)突然ぐるぐる目が回り、耳鳴りも起こる

めまいと耳鳴りが一緒に起こる代表的な病気といえるのが「メニエール病」です。その症状はいくつかあり、めまいはぐるぐる回転するような強いめまいが起こり、数時間続くこともあります。そして耳鳴りは、ブ~ンといった音が続きます。また音が聞きとりにくくなる難聴や、耳の閉塞感・圧迫感が生じることも。原因は、内耳のリンパ液によるむくみとも言われます。症状が起こる間隔は、人により、数日、数週間、数カ月、あるいは1年に1回などさまざま。また、吐き気、嘔吐、冷や汗、動悸なども伴います。

原因:メニエール病

治療法:薬物療法、手術

チェック方法:回転するようなめまい、耳鳴り、難聴、耳の閉塞感・圧迫感、吐き気、嘔吐、冷や汗、動悸

関連する病気: メニエール病

2)めまいと共に、水を感じる音やはじけるような音を感じた場合は

耳に強い圧がかかることで小さな孔が開き、これが原因でめまいや耳鳴りが起こる病気を「外リンパ瘻(ろう)」といいます。圧がかかる状況としては、重いものを持ち上げる、強く鼻をかむ、水中に潜る、頭部の外傷などがあります。発症時に、パチッとはじけるような音が聞こえることがあります。また、水が流れるような音や、水の中にいるような音がするという症状も。耳鳴りの他、難聴、耳閉感も伴います。

原因:外リンパ瘻

治療法:安静にする、手術

チェック方法:めまい、耳鳴り、難聴、耳閉感

関連する病気: 外リンパ瘻

3)突然の難聴と耳鳴りに、めまいを伴う

突然、耳が聞こえにくくなるのが「突発性難聴」です。片耳で起こることが多いですが、両耳で発生することもあります。難聴の発生と前後して、耳鳴りやめまいが生じます。耳鳴りは「キーン」とする金属音のような音が多く、めまいはグルグル回る感じがする回転性のめまいが出ます。早く対応するほど予後がいいとされるので、急に耳が聞こえにくくなったら、早急に耳鼻科を受診しましょう。

原因:突発性難聴

治療法:薬物療法、高酸素療法

チェック方法:片耳あるいは両耳の突然の難聴、耳鳴り、めまい

関連する病気: 突発性難聴

4)中耳炎の後に、耳鳴りやめまいが現れたら

耳には外耳・中耳・内耳の部位があり、中耳に炎症が起こる「中耳炎」は、耳に痛みが出たり、膿が出る耳だれなどの症状が出ます。この中耳炎が内耳にまで影響し、炎症が起きたのが「内耳炎」で、耳鳴りやめまいが現れます。炎症が急激に進むと激しい回転性のめまいとともに、吐き気・嘔吐を起こします。また耳鳴りや難聴も重度になります。しかし、内耳への炎症がゆっくりした進行の場合、めまい、耳鳴り、難聴の症状もゆるやかに現われてきます。ただし、早期に適切な治療が行われないと、炎症が治まっても難聴などが残ることがあるので治療をしっかり行いましょう。

原因:内耳炎

治療法:薬物療法、手術

チェック方法:中耳炎の後に出る、耳鳴、めまい、難聴、吐き気、嘔吐

関連する病気: 内耳炎

5)耳だれを伴う難聴やめまい

中耳炎の炎症が奥へ進み、鼓膜の一部が奥へ入り込んだ病気を「真珠腫性中耳炎」と言います。患部が白い真珠のように見えることから、この病名がついています。中耳炎の症状の耳だれに加えて、難聴、耳鳴り、めまいなどの症状が起こります。悪化すると髄膜炎など命に関わる症状にも発展するので、しっかり治療を。

原因:真珠腫性中耳炎

治療法:薬物療法、手術

チェック方法:耳だれ、耳鳴り、難聴、めまい

関連する病気: 真珠腫性中耳炎

脳の病気が原因でめまいと耳鳴りが起こるのは

めまいや耳鳴りが起こる原因には、脳の異常が原因のこともあります。緊急性の高い病気のこともあるので、すぐに脳神経外科や神経内科を受診しましょう。

1)耳鳴りと、ふわふわしためまいが起こる場合は

脳の血行障害が原因の「脳卒中」でめまいと耳鳴りが現れることがあります。脳卒中には、脳の血流がつまる「脳梗塞」と、血管が破れる「脳出血」があります。脳卒中で起こる耳鳴りは、雨のような「ザーザー」といった音や「シャー」という感じの音、あるいは、心臓の鼓動のような音が聞こえるといいます。また脳卒中でのめまいは、ふわふわした感じで、歩けなくなるタイプのものです。脳卒中では他にも、急にいびきをかく、頭痛、吐き気、顔面のマヒ、手足のしびれ、ろれつが回らない、といった症状も。こうした異常を感じたら、すぐ病院に行き、症状が重篤なときは、救急車を呼びましょう。

原因:脳卒中

治療法:薬物療法、手術

チェック方法:耳鳴り、めまい、急にいびきをかく、頭痛、吐き気、顔面のマヒ、手足のしびれ、ろれつが回らない

関連する病気: 脳卒中

2)片側の耳鳴りや難聴とめまいが起こる病気は

脳腫瘍の中でも、耳の症状がよく現れるのが「聴神経腫瘍」です。これは、脳から出る神経のうち、耳に関わる「聴神経」に良性の腫瘍ができる病気。片側の耳鳴りや難聴が主要な症状です。腫瘍が大きくなるにつれ、難聴がひどくなり、めまいやふらつきなどの症状も現れてきます。

原因:聴神経腫瘍

治療法:手術、放射線療法

チェック方法:耳鳴り、難聴、めまい、ふらつき

関連する病気: 聴神経腫瘍

【まとめ】

めまいと耳鳴りが伴う症状は、進行すると難聴が戻らなくなってしまうものや、脳卒中のような重篤な病気の可能性もあるので、症状がおさまったとしても油断は禁物です。医師にしっかりと症状を伝え、治療していきましょう。

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