息切れ、息苦しいについて

空気中からとり入れられた酸素は肺で血液のなかに入り、心臓から全身へ送られています。この血液中の酸素が不足すると息切れが起こってきます。激しい運動をしたりするとしばしば息切れを感じますが、病気としての息切れは呼吸器や循環器の異常、あるいは血液のなかにあって酸素を運んでいる赤血球の不足(貧血)などによって起こります。なお、息切れ、息苦しい、呼吸困難などいろいろな表現がありますが、医学的にはすべて同義語として扱われています。

息切れから考えられる主な病気

緊急を要する息切れ

以下に示す場合は緊急を要します。ただちに救急車を呼ぶか、大至急、病院へ連れて行く必要があります。また、適切な救命手当も大切です。

急性心不全

心臓の機能が急激に低下し、全身の血液の流れがとどこおった状態(うっ血)です。急性心筋梗塞や心臓弁膜症、拡張型心筋症、甲状腺機能亢進症などが原因で発症します。

突然、激しい呼吸困難が現れ、同時に咳と痰が出ます。呼吸困難は上半身を起こすと楽になり、あおむけになると苦しくなります。唇は紫色、手足は冷たくなり、全身に冷や汗が出ます。

異物誤吸入

病気ではありませんが、とくに小さな子どもや高齢者では、コインや餅などをのみ込んで息が詰まることがあります。

咳込んだり、ヒューヒューという呼吸をしているなら気道に異物が詰まっています。窒息死する危険があるので、すぐに救命手当をしてください。

異物が食道に詰まった時は胸痛、吐き気や嘔吐が起こります。この場合は、まず窒息死することはありません。

そのほか、自然気胸、肺塞栓そく/せん(肺梗塞)、心筋梗塞こう/そく、胸膜炎も急を要します。

気になる症状 疑われる病気名
胸痛
胸痛は深呼吸や咳で増悪、発熱
頻呼吸、血痰、発熱、発汗
意識障害、冷や汗、吐き気
泡状の痰(時にピンク色)、咳、唇が紫色、手足が冷たくなる
咳、喘鳴

早めに受診

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

タバコの煙を主とする有害物質を長期に吸入することによって生じた肺の炎症性疾患です。従来、慢性気管支炎、肺気腫と呼ばれていた病態を包括して、近年では国際的にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と呼ぶようになりました。

危険因子は、外因性因子(喫煙、大気汚染、職業上で吸入する粉塵ふん/じんや化学物質、受動喫煙)と、内因性因子(遺伝素因)に分けられます。最大の外因性因子は喫煙で、一般に喫煙者の20〜30%に発症するといわれています。2000〜2001年に日本で行われた疫学調査では、40歳以上の8・5%、約530万人がCOPDにかかっていると考えられています。

典型的な症状は、慢性のせきや痰、体動時の息切れです。COPDはゆっくりと進行し、これらの症状も重症になってはじめて現れることが少なくありません。息切れは、最初は階段や坂などをのぼる時につらい程度から、平地でも息切れが起こったり、さらには会話や衣服の着脱などでも息が切れてきます。

気管支喘息

咳や痰が出て、ゼイゼイ、ヒューヒューという音(喘鳴ぜん/めい)をさせながら発作を繰り返します。発作の多くは夜中から明け方にかけて起こります。重症の場合では、命に関わることもあります。

会話もできないような状態なら、ためらわずに救急車を呼んでください。自分の車では運ばないようにしましょう。酸素吸入器のある救急車のほうが途中で死亡する危険性が少ないからです。

過換気症候群

突然、呼吸数が増し、呼吸をしすぎて酸素を吸いすぎ、呼吸困難になります。手指などが硬直し、指先や口の周囲のしびれ感、不穏興奮状態、意識混濁などの症状も現れます。不安やストレスなどによって起こり、思春期の、とくに女性に多くみられます。

そのほか、息切れはとても多くの病気で起こりますが、とくに随伴する症状がなくても、平らな道でも息切れを感じるようなら一度調べてもらいましょう。それと体重にも注意を。標準体重を10%以上超えると肺や心臓への負担が増え、息切れが起こりやすくなります。

気になる症状 疑われる病気名
胸痛
左胸のごく狭い範囲の胸痛、動悸、めまい
あお向けで寝た時に強まる呼吸・咳、発熱
就寝後しばらくしての息苦しさ(夜間発作性呼吸困難)
労作時の息切れ
ビヤ樽状の胸郭
黄~緑色の痰の増加
体重減少
発熱
発熱、胸痛
体重減少、胸痛、血痰
嚥下障害、神経痛、かすれ声、血痰、縮瞳
喘鳴
動悸、疲れやすい、倦怠感
スプーン状の爪、口角炎、舌炎
出血傾向
食欲増進、体重減少、頻脈、発汗、手のふるえ、動悸
声がれ、嚥下困難、喘鳴
四肢の筋力低下、複視、しゃべりにくい、嚥下障害、頻脈
筋肉の硬直、指先や口周囲のしびれ感、不穏興奮状態、意識混濁
慢性的な不安、いらいら、肩こり、頭痛、動悸、めまい
その他