スマホやパソコンなどで手指を酷使することが増えています。そんな中、手や指先がジンジンする、触るとチクチクするなどのしびれが起きたら、不快ですよね。しびれは体中、どこにでも起きる可能性のある症状ですが、特に手の場合は神経が敏感なので、しびれを感じやすい部位です。

体の下に腕や手を敷いて寝ていたために、起きた時に手がしびれるなど、すぐに思い当たる原因がある場合は心配ありませんが、手のしびれには病気が隠れている場合があります。また、しびれるのが右手か左手かによって、疑われる原因が異なることもあります。放置しておくと実は怖い手のしびれについて、詳しくご紹介します。
生月 弓子先生(ミッドタウンクリニック)
信州大学医学部 卒業
東京大学 大学院 卒業
医学博士 日本産科婦人科学会 認定医
婦人科(子宮、卵巣)癌検診、健康相談、また避妊、低用量ピル、緊急避妊ピル、月経調節、月経困難症、過多月経、月経異常、不正性器出血、月経前症候 群、子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科腫瘍、更年期症状、掻痒感、性感染症、不妊、妊娠などの一般産婦人科診療、セカンドオピニオンも行っている。

特に注意が必要な症状とは?

手のしびれで、特に注意が必要で緊急度が高いのは、脳障害が原因のしびれ、心臓が原因のしびれ、糖尿病が原因のしびれで、多発性硬化症が原因のしびれです。

1)片方の手だけがしびれ、同じ側の足や顔にもしびれがある場合に考えられる病気

脳梗塞などの脳血管障害(脳卒中)によって脳の血管が詰まると、手がしびれることがあります。起床時や運動中などに起きやすく、短時間で、何かに覆われたような鈍いしびれが左右どちらかの手に起きることが特徴です。また、脳が原因の場合は手だけがしびれるということは少なく、手と同じ側の足、顔面なども同時にしびれることが多いのです。頭痛や吐き気、食欲不振などを伴ったら、すぐに神経内科医、脳外科医、脳卒中専門医などを受診しましょう。

原因:脳梗塞などの脳血管障害(脳卒中)

治療法:おもに内科的な薬物療法

チェック方法:手のしびれと同じ側の足や顔面の感覚障害があるか、言語障害や失語症、ふらつき、ものが二重に見える、飲み込みづらいなどの症状があるか

関連する病気: 脳卒中 脳梗塞

2)左肩から腕にかけて突然しびれる場合に考えられる病気

左手だけがしびれる場合は、狭心症の可能性があります。狭心症とは、血管の内側が狭くなることによって、心臓に十分な血液や酸素が送られないことにより、胸の痛みや圧迫感を引き起こす病気です。狭心症の発作は、階段を上ったり、急激なストレスがかかったり、興奮したりといったきっかけで起きる場合もあれば、毎日のように1日に何度も起きる場合もあります。ほかにも胸がしめつけられる感じがしたり、胃のあたりや背中、のどが痛むなどの症状があるなら、循環器科か内科を受診しましょう。

原因:狭心症

治療法:薬物療法、冠動脈バイパス手術など

チェック方法:胸の奥が痛い、胸がしめつけられる・押さえつけられる、胸が焼けつくような感じ、胃のあたりや背中、のどが痛むなどの症状を伴うか

関連する病気:狭心症

3)左右対称のしびれが指先から中心部に広がっていく場合に考えられる病気

糖尿病によって血糖値が高い状態が続くと、神経がむくんだり、神経に栄養を補給する細い血管が詰まったりして神経が部分的に死ぬことによって、手足がしびれる場合があります。これは糖尿病神経障害といわれ、左右対称に表れ、指先から中心部に広がっていくしびれが特徴です。放っておくと神経が死滅して感覚が麻痺してしまうので、糖尿病専門医を受診しましょう。

原因:糖尿病神経障害

治療法:血糖コントロール、薬物療法

チェック方法:手足の先に異常な感覚がある、アキレス腱反射で両足とも反応がない

関連する病気:糖尿病神経障害

4)視力低下、手足の脱力、しゃべりにくさなどを伴う手のしびれがある場合に考えられる病気

多発性硬化症(MS)の可能性があります。多発性硬化症は脳や脊髄に同時期に2ヶ所以上の硬い病巣が見られる病気で、厚生労働省の特定疾患(神経難病)に指定されています。20~30代の女性に多く発症し、起こっては治るということを繰り返すので、周囲からなかなか理解されずに苦しむ患者さんも多い病気です。時間の経過とともに症状が進行するため、早めの治療が大切です。手足のしびれや脱力感に加えて、物が二重に見える、視力が低下する、しゃべりにくさや飲み込みにくさがあるなどの症状があれば、神経内科を受診しましょう。

原因:多発性硬化症(MS)

治療法:薬物療法

チェック方法:物が二重に見える、視力が低下する、しゃべりにくさや飲み込みにくさがあるなどの症状をともなう

関連する病気:多発性硬化症

整形外科を受診すべきしびれは?

正座をした後のように血行が一時的に悪くなったことが原因のしびれと違い、たびたび起きるしびれは神経が圧迫されたことによるものと考えられます。整形外科を受診すべきしびれの特徴は以下の通りです。

1)小指や薬指がしびれる場合に考えられる病気

肘部管症候群の可能性があります。肘部管症候群は男性に多い病気で、小指や薬指の感覚や筋肉の動きを支配している神経が圧迫されて起きる神経麻痺の一種です。子どもの頃に肘を骨折し、それが完治していない場合に大人になってから発症することもあります。小指や薬指がしびれる側の、ひじの内側のくるぶしの後ろをたたいてみて、しびれや痛みが走ったら、整形外科を受診しましょう。

原因:肘部管症候群

治療法:消炎鎮痛薬やビタミンB剤の内服、手術

チェック方法:肘の内側のくるぶしの後ろをたたくと、痛みが指先にひびく

関連する病気: 肘部管症候群

2)起床時にしびれが強くなり、手指を動かすとラクになる場合に考えられる病気

手首の手のひら側にある手根管を通る神経が慢性的に圧迫されて起きる手根管症候群の可能性があります。原因としては、手の使いすぎのほか、妊娠によるむくみ、血液透析によるアミロイドという物質の沈着などが考えられ、女性に多い病気です。朝起きた時に特にしびれがひどくなり、しびれのために目が覚めてしまうことがあるようなら、整形外科を受診しましょう。

原因:手根管症候群

治療法:ステロイド薬のトンネル内注射、消炎鎮痛薬やビタミンB剤の内服、手術

チェック方法:手首の手のひら側をたたくと、痛みが指先にひびく

関連する病気: 手根管症候群

3)起床時にしびれとともに手指がこわばる場合に考えられる病気

30代~50代の女性に多い関節リウマチの可能性があります。関節リウマチは左右対称に症状が出るのが特徴なので、起床時に両手に違和感がある場合はそのことを医師に伝えましょう。関節リウマチと診断された場合は、リウマチ専門医(内科または整形外科)での治療が必要になります。

原因:関節リウマチ

治療法:抗炎症薬と抗リウマチ薬による薬物療法

チェック方法:起床時に手指などの関節がこわばって動かしにくく、ぎこちない感じを自覚し、温めたり動かすと数分〜数時間で消える

関連する病気: 関節リウマチ

4)手指がしびれ、首や肩の痛みもある場合に考えられる病気

首が長く、なで肩の女性に多い胸郭出口症候群の可能性があります。胸郭出口症候群とは、心臓から腕や手指に伸びる血管と、腕や手指に行く末梢神経の束が鎖骨周辺で圧迫されることによって起こります。手指や腕がしびれたり、熱く感じる、冷たく感じる、力が入らないなどの症状の後、しだいに首や肩、肩甲骨まわりにうずくような痛みが現れます。電車のつり革につかまるような動作を行ったり、首を回したりすると症状が強くなります。同様の症状が出る病気には、脊椎の病気や肺の腫瘍などもあるので、ただの肩こりだろうと放置せず、整形外科を受診しましょう。

原因:胸郭出口症候群

治療法:消炎鎮痛薬による薬物療法、手術

チェック方法:首や肩を特定の姿勢にすることでしびれや痛み、手指の色の変化が現れる

関連する病気: 胸郭出口症候群

5)手指や手首が伸ばしにくく、しびれがある場合に考えられる病気

腕をまっすぐ伸ばすと手首から先がダランとしてしまうようなら、橈骨神経麻痺の可能性があります。橈骨神経麻痺は下垂手とも言われ、長時間の腕枕などで神経が圧迫されて起きる圧迫性末梢神経障害の一種です。内服薬による治療が必要なので、放置せずに整形外科を受診しましょう。

原因:橈骨神経麻痺

治療法:薬物療法

チェック方法:腕をまっすぐ伸ばすと手首から先がダランとする

連する病気: 橈骨神経麻痺

6)しびれや痛みをともなう瘤がある場合に考えられる病気

神経のそばに発生する良性の腫瘍・神経鞘腫(しょうしゅ)である可能性があります。40代後半に多くみられ、こぶを押したりすると痛みます。体の深い部分に発生し、原因不明のしびれや痛みとなる場合もあります。しびれや痛みが我慢できない場合は、手術を行うこともできるので、整形外科を受診しましょう。

原因:神経鞘腫

治療法:経過観察、切除手術

チェック方法:こぶを押すと傷む

関連する病気: 神経鞘腫

そのほかに考えられる原因は?

上記のどれにもあてはまらない場合、思いがけない原因がしびれを引き起こしている可能性もあります。

1)両手がしびれ、体全体のしびれもある場合に考えられる病気

神経は酸素が十分に行き渡らないとしびれを感じます。そのため、自律神経失調などにより血流が悪くなって神経が酸欠になることが原因のしびれもあります。関節や筋肉が原因のしびれの場合は右手か左手、どちらかであることが多いのですが、神経が酸欠になっておきるしびれは両手がしびれたり、体のほかの部位にもしびれを感じることが多いのが特徴です。

原因:自律神経失調症

治療法:薬物療法、一般心理療法、自律訓練法など

チェック方法:体のほかの部位にもしびれを感じ、ほかにも頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、全身倦怠感、口が渇く、げっぷ、胸やけ、吐き気、食欲不振、多汗などの症状がある

関連する病気: 自律神経失調症

2)お酒をよく飲み、手のしびれがある場合に考えられる病気

日本酒換算で1日5合、ビールで5本以上毎日飲むようなアルコール依存症の人は、食事をバランスよく摂ることができないため、栄養不足になります。特にアルコール代謝に必要なビタミンB群が慢性的に欠乏するため、ビタミン欠乏によるアルコール性末梢神経障害を起こすことがあります。症状としては、手足の先にしびれや痛みがあり、脱力、筋萎縮などが起きる場合もあります。

原因:アルコール性末梢神経障害

治療法:飲酒をやめ、ビタミンB1、B6、B12を補給

チェック方法:日本酒換算で1日5合、ビールで5本以上毎日飲んでおり、手足の先にしびれ、痛み、脱力、筋委縮などがある

関連する病気: アルコール性神経障害

3)喘息の治療後に手がしびれる場合に考えられる病気

アレルギー性の肺疾患を好酸球肺浸潤症候群と呼びますが、その一つであるアレルギー性肉芽腫性血管炎によっても手がしびれることがあります。アレルギー性肉芽腫性血管炎は喘息で発症するのが特徴で、喘息の治療が成功しているのに手足がしびれてきた場合は、この病気を発症している可能性があります。

原因:好酸球肺浸潤症候群

治療法:薬物療法

チェック方法:しびれとともに咳、呼吸困難、発熱、全身倦怠感などがある

関連する病気: 好酸球肺浸潤症候

【まとめ】

片方の手だけがしびれる場合はは重要な病気かもしれないので、早めに病院に行きましょう。また、お酒をよく飲む人はビタミンBを含む食材を積極的に摂るよう心がけて。しびれとともに起きる症状にも注意することが、適切な対応につながります。

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