ずっと正座をしていたために、足がしびれて立てない……。こんな経験、誰にでもあると思います。少し待てばしびれは治りますし、原因がわかっているので安心ですよね。しかし、ときには原因不明で起こる足のしびれもあります。なかには恐ろしい病気の前兆として、足のしびれが現れていることもあり、そんなときにはいち早く、適切な対処をすることが肝心です。「放っておけば治る」「温めれば大丈夫」など、安易に自己判断せず、正しく対処できるようにしましょう。
生月 弓子先生(ミッドタウンクリニック)
信州大学医学部 卒業
東京大学 大学院 卒業
医学博士 日本産科婦人科学会 認定医
婦人科(子宮、卵巣)癌検診、健康相談、また避妊、低用量ピル、緊急避妊ピル、月経調節、月経困難症、過多月経、月経異常、不正性器出血、月経前症候 群、子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科腫瘍、更年期症状、掻痒感、性感染症、不妊、妊娠などの一般産婦人科診療、セカンドオピニオンも行っている。

すぐに病院へ! 緊急性を伴う足のしびれ

特に気をつけたいのは、命の危険に及ぶ可能性のある足のしびれです。次のような症状が見られたら、すぐに病院で診察を受けましょう。

1)突然発症して、数分〜30分後には消えるしびれ

突然、足のしびれが発症したと思ったら、長くても30分程度では収まってしまう、ということがあります。これは一過性脳虚血発作と呼ばれる症状で、脳内の血管に剥がれた血栓が詰まり、脳の血液の流れが一時的に悪くなったために起こります。一般に脳梗塞の前触れであることが多いため、症状が消えたからといって安心せず、医療機関を受診した方が良いでしょう。特に、こうした症状を繰り返す場合は、一刻も早く医師の診察を受けることをお勧めします。脳梗塞は、時間との戦いと言われています。発症して3時間以内に治療を始めれば比較的、予後は良好とされますが、ずいぶん時間が経ってから治療を始めると死亡率は上昇。命をとりとめたとしても、麻痺や言語障害など後遺症が見られることもありますから、万全の注意が必要です。

原因:脳梗塞

治療法:薬物療法、外科的療法

チェック方法:生あくび、意識障害、手や足のしびれ、手足や顔面などの知覚障害、言語障害、失語症

関連する病気: 脳梗塞

2)足が冷たく感じられたり、歩行時の痛みを伴ったりするしびれ

足の冷感や歩行時の痛みを伴う足のしびれは、閉塞性動脈硬化症の可能性があります。これは、いわゆる「足の動脈硬化」で、足の血管が狭くなったり、詰まったりして血流が悪くなった状態のこと。足先へ栄養や酸素を送り届けることができなくなり、そのまま放置しておくと歩行障害が悪化する危険性もあります。怖いのは、脳血管疾患や冠動脈疾患など、他の動脈疾患を合併する可能性があること。心臓や脳の血管疾患を発症すれば、死亡率も高くなります。

原因:閉塞性動脈硬化症

治療法:運動療法、薬物療法、外科的療法

チェック方法:歩行障害、足の冷感

関連する病気: 閉塞性動脈硬化症

3)片側がしびれる

急に片方の足だけしびれが感じられる場合、まず疑うべきは脳出血や脳梗塞の、脳卒中です。このような症状が見られたら、一刻も早く救急車を呼んだ方が良いでしょう。かつては、「脳卒中を起こしたら、動かしてはいけない」と言われていましたが、現在、これは間違いであるとされています。もし、片側がしびれたら安静にできるところで横になり、呼吸をしやすい状態をキープして救急車を待ちましょう。

原因:脳卒中

治療法:薬物療法、外科的療法

チェック方法:突然の言語障害、突然の混乱状態、突然のめまいや歩行障害、突然の頭痛、突然目が見えなくなる

関連する病気: 脳卒中

循環器科や内科を受診すべき、足のしびれ

すぐ、命の危険に及ぶ病気ではありませんが、以下のような症状が見られた場合は、早めに医師の指示を仰ぐ必要があります。その場合、循環器科や神経科、内科を訪れると良いでしょう。

1)両足にピリピリしたしびれ

両足に、ピリピリとしたしびれがある場合は、糖尿病性神経障害(糖尿病性ニューロパチー)が疑われます。これは、糖尿病の悪化による代謝障害が原因となって起こる病気で、放置しておくと神経細胞が壊死してしまい、切断しなければならないことも。できるだけ早めに治療を開始しましょう。

原因:糖尿病

治療方法:薬物療法

チェック方法:足指から始まる痛み、膨満感または胸焼け、吐き気・下痢・便秘、立ちくらみ、過度の発汗、尿もれ

関連する病気: 糖尿病性神経障害糖尿病性ニューロパチー

2)喫煙者の足のしびれや冷感

喫煙者または喫煙経験者が足のしびれを感じたら、バージャー病かもしれません。これは、閉塞性血栓性血管炎とも呼ばれていて、足や手の血管に閉塞を起こし、血流を減少させたり、血管を詰まらせたりする病気です。放置すると痛みがひどくなるだけでなく組織が損傷し、重篤になると壊疽を引き起こします。男性に見られることが多いのですが、いまだ原因は追求されておらず、明確な治療法も確立されていない、難病のひとつです。

原因:バージャー病

治療法:禁煙、薬物療法

チェック方法:指先の冷感・蒼白化、歩行困難

関連する病気: バージャー病

3)手足のむくみや全身の倦怠感を伴うしびれ

なんとなく全身がだるかったり、手足のむくみが見られたりする場合は、ビタミンB1欠乏症かもしれません。体内でビタミンB1が欠乏すると神経障害を起こしやすくなります。その結果、脚気やウェルニッケ脳症が起こる可能性が高まります。怖いのはウェルニッケ脳症で、意識障害や運動障害が出るほか、健忘や作話など、アルツハイマー病によく似たコルサコフ症候群を引き起こす可能性もあります。特に高齢者や、胃切除術の既往歴がある人はビタミンB1が不足しやすいので、注意が必要です。

原因:ビタミンB1欠乏症

治療方法:薬物療法

チェック方法:全身の倦怠感、同期、むくみ、感覚異常、筋力低下

関連する病気: ビタミンB1欠乏症

【まとめ】

このように、「足のしびれ」と一口に言っても原因はさまざまであり、対処法も異なります。一般に、脳が原因のしびれは片足だけに現れることが多く、両方の足にしびれが現れる時は、内臓あるいは骨・神経などに異常があることが多いとされています。しかし、しびれの内容によっては一刻を争う危険なものもありますので、安易に自己判断せず、気になったら医師の指示を仰ぐようにしましょう。

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