皮膚が痒くなったり、赤く腫れたりすることがあります。なんとなく、「湿疹がでた」や「じんま疹かも」と自己判断してしまいがちですが、湿疹とじんま疹の違いを正確に理解しているでしょうか。実は、湿疹とじんま疹では症状の現れ方や原因が違います。当然、対処法も異なります。ここでは、湿疹とじんま疹の正しい見分け方について解説。しかし、もしかしたら「隠れアトピー」など、他の病気が隠れている場合もありますので、安易に自己判断せず、なかなか症状が引かなかったり、症状が頻発して現れたりする場合は、早めに医師の診断を受けた方が良いでしょう。
生月 弓子先生(ミッドタウンクリニック)
信州大学医学部 卒業
東京大学 大学院 卒業
医学博士 日本産科婦人科学会 認定医
婦人科(子宮、卵巣)癌検診、健康相談、また避妊、低用量ピル、緊急避妊ピル、月経調節、月経困難症、過多月経、月経異常、不正性器出血、月経前症候 群、子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科腫瘍、更年期症状、掻痒感、性感染症、不妊、妊娠などの一般産婦人科診療、セカンドオピニオンも行っている。

湿疹とじんま疹。その違いは?

湿疹もじんま疹も肌に起きる症状で、痒みを伴うブツブツが現れることでは一緒です。しかし実は、その症状や原因は異なります。

(1)違い1「症状が現れる期間」

湿疹は痒みが現れてから、少なくとも数日から1週間以上、その状態が続きます。しかしじんま疹は、數十分から数時間、長くても2〜3日で治まることがほとんど。なかには症状が1ヵ月以上続く慢性じんま疹もありますが、大抵はサッと現れ、サッと消えていきます。

(2)違い2「症状の内容や現れ方」

湿疹は痒みを伴う赤いブツブツが体の一部に発生します。境界がはっきりした炎症が起こる「かぶれ」も湿疹の一種です。ひどくなると水ぶくれ(水疱)が出現することもあります。一方、じんま疹は体の一部あるいは全体に、突然痒みを伴う皮膚の盛り上がり(膨疹)や、赤み(紅斑)がたくさんできるのが特徴です。

(3)違い3「症状の経過」

湿疹は、症状が持続しながらだんだん悪化することもあります。悪化するとジクジクして水ぶくれになり、さらに痒みがますこともあります。一方、じんま疹は数時間から1日程度の間に、症状が起こったり、消えたりするのが特徴。非常に短時間の間に何度も出現したりするほか、いつも夕方から夜にかけて症状が現れ、朝から午前中にかけて消えるなど、時間によって症状が変化することもあります。

(4)違い4「発症の原因」

湿疹は、何らかの刺激物に皮膚が直接触れ、それがアレルギー反応を引き起こして発症するケースが目立ちます。たとえば、金属アレルギーの人がピアスやネックレスを素肌に身につけ、それが原因でアレルギー反応を起こして体中に痒みを伴うブツブツが現れることがあります。また、化粧品の化学物質やウルシ、ゴム類、洗剤などに使われる界面活性剤など、身の回りのあらゆるものが刺激物となりえます。一方じんま疹は、食べものや食品添加物、抗生物質などの薬剤や、植物、虫などに反応することによって起こります。たとえば、サバやアジなどの青魚やそばなどを食べた時、全身に症状が現れる人がいます。これは、サバやアジなどに含まれるヒスチジンが酵素の働きでヒスタミンとなり、そのヒスタミンに対して免疫機能が過剰に反応したことによって起こるアレルギー反応です。そのほか、運動や発汗によってもじんま疹は起こります。

突然の湿疹とじんま疹。どうやって対処する?

原因や症状が異なれば、当然、対処法も異なります。それでは、突然の湿疹やじんま疹にはどのように対処したら良いのでしょうか。基本的な事柄を見てみましょう。

(1)湿疹は、「身につけるもの」に注意

アクセサリーや衣類など、身につけるものに対して敏感に反応し、痒みを発症してしまうことがあるので、直接肌に触れるものは肌にやさしく、低刺激のものを選ぶようにしましょう。金属アレルギーがある場合は、アクセサリーを身につけることもやめておいた方が無難。また、衣類は刺激が少なく、柔らかな肌触りの木綿のものを選ぶと良いでしょう。それから入浴は、熱いお湯だと痒みをさらに悪化させてしまうので、ぬるめのお湯で短めに入ると良いでしょう。

(2)じんま疹は、疲労やストレスは厳禁

心理的あるいは身体的なストレスがたまったり、睡眠時間が足りない状態が続いたりすると、じんま疹が発症したり、悪化しやすくなったりします。できるだけストレスや疲労を溜めず、リラックスした生活を心がけましょう。また、過度な飲酒も禁物です。さらに、風邪やインフルエンザなどの感染症にも気をつけましょう。特定の素材や汗など、じんま疹を発症する原因が明らかになった場合は、日常生活の中で、それらの因子を抑えることも大切です。たとえば、汗をかくとじんま疹が出やすいという場合は、激しい運動を避けたり、発汗を促すような刺激物を摂取したりすることは避けた方が良いでしょう。

関連する病気: じんま疹

いつもの湿疹やじんま疹と違う!? こんな病気にも注意

普段から湿疹やじんま疹を繰り返していると、つい見逃してしまいがちな皮膚の痒み。でも、もしかしたらそれは普段の湿疹やじんま疹と別の病気が現れているのかもしれません。

(1)帯状疱疹

体の左右どちらかに、ピリピリと刺すような痛みが現れたら、帯状疱疹かもしれません。「痒い」というよりもむしろ、「ピリピリした刺激」といった症状が特徴で、次第に赤い斑点や小さな水ぶくれが帯状に現れてきます。これは、水疱瘡のウイルスが原因の皮膚湿疹のこと。子どもの頃にかかった水疱瘡のウイルスが消滅せず、神経節に何十年間も潜伏しています。若いうちは免疫力が強いので、ウイルスの活動を抑制することができますが、加齢とともに免疫力が落ちると、ウイルスの働きが活発になり、急な痛みや発疹を引き起こしてしまうのです。水疱瘡は人に伝染しますが、帯状疱疹が感染することはありません。しかし診察が遅れると、湿疹などの皮膚症状が悪化してしまったり、神経痛が残ってしまったりすることがあるので、早めに治療した方が良いでしょう。一般に、抗ウイルス薬の内服や塗布を行います。

原因:水疱瘡ウイルス感染
チェック法:体の片側にピリピリした発疹、紅斑、水疱、神経痛
治療法:薬物療法
関連する病気: 帯状疱疹

(2)アトピー性皮膚炎

大人になって、初めてアトピー性皮膚炎を発症する人が増えています。アトピー性皮膚炎とは、痒みを伴う湿疹が全身に現れる病気で、症状が悪化したり(憎悪)、良くなったり(寛解)を繰り返すのが特徴です。本人または家族が、アレルギー性の病気(アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、ぜんそく、結膜炎など)を持っている、または、アレルギーと深い関係がある免疫物質「IgE抗体」を作りやすい体質を持っているなど、そもそもアレルギーを起こしやすい体質の人が発症しやすいとされ、皮膚が乾燥してバリア機能がしているところへ埃やダニ、特定の食べものなどのアレルゲンが体内へ侵入。それに対し、免役機能が過剰に反応することで起こります。完治するための治療法は確立されていませんが、できるだけ早めに皮膚の炎症を抑えること、しっかり保湿して乾燥を防ぐこと、皮膚への刺激を減らすこと、バランスの良い食事を心がけることなどで、症状を悪化させず、上手にコントロールすることが可能になります。ただし、強い痒みを伴う湿疹が長く続く場合や、何度も再発を繰り返している場合、家族がアレルギー疾患を持っている場合などは、医師の診断を受け、適切な治療を行った方が良いでしょう。

原因:免疫異常
チェック法:赤みのある湿疹、皮膚の肥厚化
治療法:薬物療法

関連する病気: 成人のアトピー性皮膚炎

【まとめ】

湿疹やじんま疹は、とても辛い病気です。命に関わる重症な病気ではないとはいえ、何度も繰り返すうちに皮膚が荒れたり、ささくれ立ったりして、あとに残ってしまう場合もあります。特に、良くなったり、悪くなったりを繰り返す場合は、早めに皮膚科で診察を受けて、適切な治療を開始した方が良いでしょう。症状がひどくなる前に受診すれば、治療期間も短くて済む場合があります。また、医師の診察を受けるときは、「どんな時に痒みが現れるのか」「どうするとかゆみがひどくなったり、治ったりするのか」など、正確に病状を伝えることも大切です。

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