体の表面に発疹ができるとかゆみが気になって、落ち着いていられないですよね。大人でもそうなのですから、子どもならなおさらです。子どもの病気には、発疹が出るものがたくさんあります。なかには他人に感染するものもありますから、速やかに対処することが必要です。では、子どもの発疹にはどのような病気が原因となっているのでしょう。ここでは発熱の有無で大きく分けて、考えられる主な病気を紹介します。
生月 弓子先生(ミッドタウンクリニック)
信州大学医学部 卒業
東京大学 大学院 卒業
医学博士 日本産科婦人科学会 認定医
婦人科(子宮、卵巣)癌検診、健康相談、また避妊、低用量ピル、緊急避妊ピル、月経調節、月経困難症、過多月経、月経異常、不正性器出血、月経前症候 群、子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科腫瘍、更年期症状、掻痒感、性感染症、不妊、妊娠などの一般産婦人科診療、セカンドオピニオンも行っている。

発疹がでた! 原因を見極める大事な手がかりは「発熱」の有無

発疹とは、皮膚に現れた変化のこと。特定の症状を指すものではなく、皮膚に起こる病変の総称です。発疹を引き起こす原因はさまざまありますが、それらの原因を見極めるにはまず、発熱の有無をチェックしましょう。

(1)発疹に加えて熱が出た場合

発疹と共に熱が出た場合は、ウイルスや細菌による発疹が考えられます。多くの場合、発熱とほぼ同時、または発熱の数日後に発疹が出現します。ウイルスや細菌が原因で発疹が現れた場合は、ひとに感染する可能性があります。速やかに病院で診察を受けることが必要です。その際には、「いつ、発疹が現れたのか(発熱が先か。発熱と同時に発疹が出たのか)」を正確に伝えましょう。

(2)発疹のみ。熱はない場合

熱はなく、発疹のみが現れた場合は、アレルギーによる病気も疑われます。また、血液による病気が原因となっていることもあります。この場合は、人に感染する可能性はありません。しかし、再び症状が起こることがないよう、アレルギーの原因を確認する必要がありますから、やはり病院で診察を受けた方が良いでしょう。

熱+発疹の場合、考えられる病気とは?

それでは、発熱と発疹が同時に見られる場合、あるいは、発熱の数日後に発疹が現れた場合には、どのような病気が考えられるのでしょう。対処法とともに、それぞれの病気について簡単に解説します。

(1)麻疹(はしか)

麻疹ウイルスによって感染する病気で、人から人に感染します。感染力は非常に強く、10~12日間の潜伏期ののち38度台の熱を出し、その後、首筋や顔に発疹が現れて全身に広がります。症状が悪化すると気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎などの合併症を引き起こすこともあります。子どもにとっては特に重大な病気ですから、必ず定期的に予防接種を受けましょう。はしかワクチン(MR(麻疹・風疹混合)ワクチン)を受けると、ほとんどの場合、一生はしかにかかりません。

原因:麻疹ウイルス感染
チェック法:38度以上の発熱、全身の発疹、口腔粘膜に白い粘膜疹
治療法:薬物療法

関連する病気: 麻疹(はしか)

(2)風疹

トガウイルス科に属する風疹ウイルスによる急性感染症。感染後、14〜21日の潜伏期ののち、発熱とともに全身に淡い発疹が現れます。熱は微熱程度でおさまることもあり、通常3日程度できれいに消失するため、「三日ばしか」とも呼ばれます。はしかと共に効果のある、MR(麻疹・風疹混合)ワクチンを接種するのが予防にもっとも効果的です。

原因:風疹ウイルス感染
チェック法:発熱、発疹、リンパ節腫脹
治療法:薬物療法
関連する病気: 風疹(三日ばしか)

(3)突発性発疹症

生後5ヵ月から1歳くらいまでの赤ちゃんがよくかかる病気です。発症の原因はヘルペスウイルス6型で、38〜40度の高熱が3日ほど続き、熱が下がると点状から小豆サイズくらいの赤い発疹が全身に現れます。熱が急激に高くなった時に、熱性ケイレンを起こすこともありますが、多くの場合、数分で治ります。特徴は、熱があっても元気なこと。熱性ケイレンを起こしても多くの場合、命に危険はありませんから、慌てず経過を見守ることが大切です。ただし、3日以上の高熱が続いたり、激しい嘔吐があったり、痙攣を繰り返したりしている場合は、合併症が現れているかもしれませんから、速やかに医師の診察を受けましょう。

原因:ヘルペスウイルス6型感染
チェック法:38度以上の高熱、解熱後の発疹
治療法:薬物療法

関連する病気: 突発性発疹症

(4)水痘(みずぼうそう)

水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症。乳幼児や学童に多く発症します。37~40度ぐらいの発熱と共に、赤い発疹が胸・背中・おなかなどに出るのが特徴です。発疹は、初めはブツブツとして虫刺されのような形態ですが、1日くらい経つとどんどん水ぶくれに変化していき、大変なかゆみを伴います。そのため、小さい子どもはかき壊してしまうことが多いので、注意が必要です。水ぶくれは3〜4日後にはかさぶたに変わり、自然と剥がれて消失します。水疱瘡の潜伏期間は約2週間なので、幼稚園に水疱瘡にかかった園児がいたり、兄弟が水疱瘡にかかったりした場合には、2週間は注意して観察しましょう。また、水疱瘡にかかった場合はかすべての水ぶくれがかさぶたに変わるまで登園・登校してはいけません。治療では、ウイルスの増殖や重症化を抑える抗ウイルス薬やかゆみ止めを処方します。予防接種やワクチンも病気を防ぐのに効果的です。そのほか、水痘が治った後もウイルスが体内に潜伏し、大人になって帯状疱疹として現れることもあります。体の左右どちらかにピリピリした痛みが出たり、赤い斑点や小さな水膨れが見られたら帯状疱疹かもしれません。医師の診断を受けましょう。

原因:水痘帯状疱疹ウイルス感染
チェック法:発疹を伴う高熱、全身に水ぶくれ
治療法:薬物療法

関連する病気: 水痘(みずぼうそう) 帯状疱疹

(5)手足口病

主にコクサッキーウイルスA‐16、A‐10、エンテロウイルス71の感染が原因となって起こる病気。急に38℃台の発熱があり、その後に口の痛み、よだれ、食欲低下、手足の発疹が見られます。病名通り、発疹が手足を中心に現れるのが特徴で、口内の発疹は多くの場合痛みやかゆみを伴います。潜伏期間は2〜5日間ですが、感染力が強いため、潜伏期間中でも他人にうつることがあります。手足口病には治療薬やワクチンが存在しないため、炎症を抑える薬や口内炎治療薬を用いるのが一般的。口内炎の痛みで脱水症状になる場合もあるため、プリンやゼリー、おかゆ、豆腐など、食べやすく柔らかいものを摂るようにしましょう。

原因:コクサッキーウイルスA‐16、A‐10、エンテロウイルス71感染
チェック法:発熱、口内炎、手足の発疹
治療法:薬物療法
関連する病気: 手足口病

(6)溶連菌感染症

溶血性連鎖球菌による感染症。代表的な症状は38度以上の高熱と喉の痛みで、そのほか、体や手足に小さくて赤い発疹が現れたり、舌にいちごのようなツブツブが出たりします(いちご舌)。喉の痛みと発熱により、風邪と間違われることの多い病気ですが、重症化するとリウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を引き起こすことがあります。溶連菌感染症が疑われる場合は、早めに医師の診察を受け、指示通りに薬を服用し、フォローすることが大切です。

原因:溶連菌感染
チェック法:発熱、喉の痛み、発疹
治療法:薬物療法
関連する病気: 猩紅熱

(7)伝染性紅斑(りんご病)

ヒトパルボウイルスB19による感染症で、主に子どもを中心に発症します。10〜20日の潜伏期間の後、両頬にりんごのような紅斑が現れることから、この名前がつきました。頬に続いて手や脚、体幹部などにも発疹が現れます。また、発疹がでる1週間〜10日くらい前に、軽度の発熱がみられることもあります。大人に感染することもあり、倦怠感が続くなどの症状が現れます。特に、妊婦さんが感染すると胎児に影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。

原因:ヒトパルボウイルスB19感染
チェック法:頬部に紅い斑状丘疹、手・脚に紅斑、発熱
治療法:薬物療法

関連する病気: 伝染性紅斑(りんご病)

熱がないが、発疹が出た。考えられるのはこの病気

熱はないけれど発疹が出た場合には、どのような病気が考えられるのでしょうか。代表的な病気をあげてみます。

(1)じんま疹

皮膚に赤い発疹が現れるアレルギー反応。原因は特定の食べ物や薬剤、物理的刺激、精神的ストレスなどさまざまあります。通常、強いかゆみとともに全身に赤い発疹が現れますが、ほとんどの場合一過性であり、半日以内に発疹は治ります。食べものや薬剤が原因となっている場合は、再発させないようにアレルゲンとなっている物質を特定する必要があります。その他の原因によりじんま疹が起こっている場合でも、可能な限り原因を追求して、対処することが必要です。治療では内服薬を用いますが、少量のステロイド剤を用いて炎症を抑えることもあります。

原因:特定の食べ物や薬剤、物理的刺激、精神的ストレス
チェック法:体の各所に赤い発疹
治療法:薬物療法

関連する病気: じんま疹

(2)アトピー性皮膚炎

赤みがあり、ジュクジュクした湿疹が皮膚に現れる疾患。額、目や口、耳の周り、首、わき、手足の関節などに湿疹が見られます。家族にアレルギーを起こしやすい「アレルギー体質」の人がいることに加え、皮膚のバリア機能の低下などが発症の要因となります。弱くなったり、悪くなったりを繰り返しながら、皮膚の炎症が長引くことが多く、治療には根気が必要になることも少なくありません。アトピー性皮膚炎の疑いがある場合はできるだけ早めに皮膚科で診察を受け、指示に従った治療を行いましょう。また、日頃から皮膚を十分に保湿したり、ダニやハウスダストを除去したり、食べるものや身につけるものに気をつけたりすることも必要です。
原因:免疫異常
チェック法:赤みのある湿疹、皮膚の肥厚化
治療法:薬物療法

関連する病気: 成人のアトピー性皮膚炎

【まとめ】

このように、発疹を伴う子どもの病気にはさまざまなものがあります。これらの中には感染力が強く、家族内で感染するリスクの高いものもありますから、もし誰かが感染した場合は食器を使いまわさない、手洗いを徹底するなどの対処が必要です。また、子どもだけに限らず、大人が発症するものもありますが、子どもと大人では症状の現れ方が異なったり、対処法が違ったりすることもありますので注意しましょう。

【子どもの発疹】熱はある?ない? それぞれの原因と対処法の詳細

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