一般に、3歳から中学生くらいまでの子どもに多く発症する溶連菌感染症。喉の痛みや発熱など、風邪と似たような症状が起こることが多い病気ですが、風邪と違うのは、正しく治療を行わないと再発する可能性が高いということ。また、合併症を引き起こすこともあり、体に大きな負担をかけてしまいます。まずは、溶連菌感染症について正しく理解することが大切。溶連菌感染症の疑いが見られたらスムーズに対処することが、病気を重症化させないために必要です。
生月 弓子先生(ミッドタウンクリニック)
信州大学医学部 卒業
東京大学 大学院 卒業
医学博士 日本産科婦人科学会 認定医
婦人科(子宮、卵巣)癌検診、健康相談、また避妊、低用量ピル、緊急避妊ピル、月経調節、月経困難症、過多月経、月経異常、不正性器出血、月経前症候 群、子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科腫瘍、更年期症状、掻痒感、性感染症、不妊、妊娠などの一般産婦人科診療、セカンドオピニオンも行っている。

溶連菌感染症、原因は?

溶連菌感染症は、いずれの年代にも発症する可能性がありますが、特に3歳から中学生くらいまでの子どもに多く見られる病気です。兄弟に感染する可能性も高く、なかには親にうつることも。まずは、原因を見てみましょう。

(1)原因は細菌感染

溶連菌感染症は、文字通り「溶連菌(溶血性連鎖状球菌)」という細菌が感染することによって起こります。感染した人の咳やくしゃみ、つばなどのしぶきによって感染します。子どもから子どもへうつるだけでなく、風邪や疲労などで免疫力が低下している大人や妊婦などに感染するケースもあり、注意が必要です。一般に、潜伏期間は2〜5日間とされています。

(2)予防接種はあるの?

溶連菌感染症の予防接種はありません。そのため、病気の感染を防ぐには、手洗いやうがいを徹底して行ったり、マスクを使用したりすることが必要。もし、家族に溶連菌感染症に感染した人がいる場合は、同じコップやお皿を使用するのは避けましょう。

(3)登園や登校はいつからできる?

溶連菌感染症は、学校保健安全法において「第三種(条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる疾患)」に位置づけられています。そのため、医療機関を受診した日とその翌日は登校・登園できません。また、厚労省のガイドライン*でも『抗菌薬内服後24~48時間経過していること。ただし、治療の継続は必要』との記載があります。

*厚生労働省「2012年改訂版 保育所における感染症対策ガイドライン」平成24年11月

(4)流行期は、1年に2回

一般に、溶連菌感染症が流行するのは1年に2回あるとされています。「冬」と「春から夏にかけて」の時期は、特に注意が必要です。

(5)合併症の危険もある!

医師の指示に従って適切な治療を行えば、溶連菌感染症は比較的早く感染力がなくなり、症状も改善します。しかし、完全に溶連菌が体内から消えなければ再発の危険もあるので、要注意。心臓弁膜に障害を起こすリウマチ熱や、血尿やむくみを起こす急性糸球体腎炎といった合併症を起こすこともあるので、医師の指示通り、抗生物質を最後まで飲み続けることが大切です。

代表的な症状は?

次に、溶連菌感染症の代表的な症状を見てみましょう。ここで紹介したもののほか、嘔吐、頭痛、腹痛、首筋などリンパ節の腫れなどがみられることもあります。なかには熱が上がらず、少し喉が痛いくらいの場合もあり、見逃しやすいため注意が必要です。

(1)38度程度の発熱

多くの場合、38〜39度程度の発熱がみられますが、なかには熱が上がらない子どももいます。抗生物質を服用すれば大抵の場合、3〜5日以内に熱は下がります。

(2)喉の痛み

発熱とともに現れるのが、喉の痛み。喉も赤くなって、腫れてきます。

(3)発疹

体や手足に発疹が現れることもあります。特に、手首、股関節、首周りに現れます。

(4)舌にブツブツがでる

舌の上に、いちごのようなブツブツが現れることもあります。これをいちご舌と言います。

(5)手足の皮膚が剥ける

熱が下がった後、回復期には手足の皮膚が向けることがあります。

溶連菌感染症にかかったら?

それでは、溶連菌感染症にかかったらどのように対処すれば良いのでしょうか。先述したように、正しく治療を行わないと再発したり、合併症を引き起こしたりすることもあります。いざという時のために、適切な対処法を理解しておきましょう。

(1)病院で細菌感染しているか検査を受ける

熱の程度やのどの発赤の様子、体に現れた発疹の具合から、溶連菌に感染している疑いがあるとされる場合は、検査によって溶連菌の有無をチェックします。検査時間は5〜10分程度で終わることが多いので、すぐに感染しているかどうか、わかります。

(2)抗菌薬で溶連菌を退治する

溶連菌に感染しているとわかった場合は、抗生物質を服用して、菌を完全に退治します。抗生物質を服用すると、多くの場合2〜3日で熱が下がり、4〜5日で症状は改善します。しかし、溶連菌を完全に退治しないと菌が体内に残り、再発するリスクが高まります。熱が下がって症状が軽くなっても、抗生物質は処方通りに正しく服用しましょう。

(3)完治したか、再検査する

発症2〜3週間後に再び医師の診察を受け、尿検査などを含め、溶連菌が体外から完全に排出されたかチェックします。

溶連菌感染症の治療では、ココに気をつけたい!

溶連菌感染症は、かつて「猩紅熱」と呼ばれ、法定伝染病に指定されていた病気です。危険性が非常に高く、亡くなる人も少なくありませんでした。現在では抗生物質が開発されたため、そこまで危険度は高くありませんが、正しく治療を行わないと、症状が長引いたり、再発したりすることもあります。ここでは、治療を行う上で気をつけるポイントをあげてみます。

(1)薬は最後まで飲み切る

抗生物質とは、細菌や真菌には効くけれどウイルスには効かない薬です。そのため、風邪などウイルス感染による病気には効果がありませんが、溶連菌感染症のように、細菌感染の病気には大きな効果を発揮します。処方された薬は、必ず指示通りに最後まで飲みきることが大切。薬を服用する期間は、病気の重症度によって異なるので一概には言えませんが、医師は再発や合併症の危険を見越して、抗生物質を処方しています。自己判断で中断せず、必ず最後まで飲みましょう。

(2)自然治癒に任せない

確かに溶連菌感染症は自然治癒することもあります。特に、熱がそれほどでなかったり、風邪と間違って医師の診察を受けなかったりした場合は、「気づいたら治っていた」ということもあるでしょう。しかし、適切な治療を行わないとリウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を引き起こすこともあります。特にリウマチ熱は、溶連菌感染症の治癒から3週間後くらいに現れる可能性が高く、心臓弁に障害を残すこともあります。溶連菌感染症は確実に治癒することが必要です。

(3)喉に優しい食事で栄養補給

溶連菌感染症にかかると喉が痛くなることが多いため、食事が取りにくくなったり、食欲が減退したりすることもあります。そのため、喉に優しい食事で栄養を補給するようにしましょう。例えば、ヨーグルトやゼリー、プリンなど喉越しの良い食べものや、おかゆ、煮込みうどん、味噌汁なども良いでしょう。反対に、辛いものや熱すぎるもの、酸っぱいもの、炭酸の入った飲みものなど、喉に刺激を与えるものは控えましょう。

原因:細菌感染
チェック法:発熱、喉の痛み、発疹
治療法:薬物療法
関連する病気: 猩紅熱

【まとめ】

発熱と喉の痛みを訴えて医師の診察を受けた人の大半は、実際は風邪などウイルス性感染の疾患です。しかし、溶連菌感染症も決して珍しい病気ではありません。主にペニシリン系の抗生物質で治すことができますから、医師の指示通りに適切な処置を行いましょう。また、家族内感染の可能性もありますから、少しでも疑いが見られる場合は念のため、医師の診察を受けた方が良いでしょう。

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