「肌荒れかな?」と思って、いつもより丁寧にスキンケアを行っても、治らない肌トラブル。特に女性は、顔にトラブルが起こると憂鬱な気分になる人も多いでしょう。原因がわからないまま自己流でケアをすると、ときには症状を悪化させてしまったり、跡を残してしまったりすることもあります。トラブルが発生したら、できるだけ早く皮膚科の診断を受けるなど、専門家からのアドバイスをもらうのが完治の近道。今回は、肌トラブルを引き起こしがちな病気について解説します。
生月 弓子先生(ミッドタウンクリニック)
信州大学医学部 卒業
東京大学 大学院 卒業
医学博士 日本産科婦人科学会 認定医
婦人科(子宮、卵巣)癌検診、健康相談、また避妊、低用量ピル、緊急避妊ピル、月経調節、月経困難症、過多月経、月経異常、不正性器出血、月経前症候 群、子宮筋腫、子宮内膜症、婦人科腫瘍、更年期症状、掻痒感、性感染症、不妊、妊娠などの一般産婦人科診療、セカンドオピニオンも行っている。

スキンケアでも治らない、肌荒れの原因は…?

通常、肌はターンオーバーという仕組みによって、常に新しいものに生まれ変わります。皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造になっていて、さらに表皮は4つの層に分類されます。そして表皮の中でもっとも下部にある基底層で新しい細胞が生まれ、それが徐々に上に押し上げられていき、一番上の角質層に上がったとき、細胞は垢となって剥がれ落ちます。この仕組みを「ターンオーバー」と呼び、これが正常に働いているうちは、いつでも肌の状態は健康に保たれているのですが、このターンオーバーが乱れると肌荒れが発生。ターンオーバーが乱れる原因にはさまざまありますが、以下のようなものが考えられます。

(1)乱れた生活習慣

寝不足、ストレス、疲労、タバコ、過度のアルコール、運動不足、無理なダイエット、食生活の乱れ

(2)外部要因

紫外線、乾燥、化学薬品、金属

「生理前になると肌荒れが起こる」という人も多いでしょう。その原因はホルモンバランスの乱れ。また、洗顔、クレンジング、ピーリングのしすぎや、過度な乾燥などでも、肌のバリア機能が失われ、肌荒れを引き起こすこともあります。そのほか、化粧品や洗顔剤に含まれる化学薬品やアクセサリーの金属など、過度な刺激で肌が荒れることもあります。

肌トラブルを引き起こす病気とは?

生活習慣を正し、栄養バランスの良い食事を心がけたり、適度に運動をしたり、肌を乾燥から守ったり、自分でできることを頑張って行っても、肌荒れが治らない場合もあります。その場合は、病気が原因となって起こっているかもしれません。では、どんな病気が考えられるのでしょうか。

1、アレルギーが原因の病気

アレルギーとは、本来、体に備わっている免疫機能が過剰に起こること。体のなかに特定の食物やダニ、埃、花粉などが侵入したとき、異物に対して免疫機能が必要異常に働き、その結果、皮膚や呼吸器、粘膜などにトラブルを引き起こします。このアレルギーが原因となって、顔にかゆみなどのトラブルが起こる場合もあります。

(1)アレルギー性接触皮膚炎

アクセサリーなどの金属製品や化粧品などの化学製品、ウルシやハゼなどの植物と接触したことが原因で、皮膚にアレルギー反応が発生。かゆみや紅斑、小水疱などが現れることがあります。こうした症状をアレルギー性接触皮膚炎と呼び、接触後、数時間〜1、2日経過してから症状が現れます。治療は抗ヒスタミン薬やステロイド軟膏など薬物を用いるのが一般的。また、アレルギー性接触皮膚炎の疑いがある場合は、アレルゲン物質を突き止め、それらに接触しないよう注意するため、病院でパッチテストや血液検査を行うことをお勧めします。

原因:金属製品、化学薬品、植物などへの接触
治療法:薬物療法
チェック方法:かゆみ、紅斑、丘疹、水疱

関連する病気: アレルギー性皮膚接触炎

(2)花粉症

スギやヒノキなどの花粉が飛ぶ時期に、鼻や目に辛い症状が出る人も多いでしょう。なかには顔のかゆみや赤み、腫れなどのトラブルに悩む人もいます。この肌荒れは花粉症が原因。「肌が敏感になっていつもの化粧水がピリピリ感じられる」「肌が過度に乾燥してヒリヒリする」という人もいるでしょう。花粉によって体がアレルギー反応を起こし、目をこすったり、鼻を頻繁にかんだりすると、体が摩擦によってダメージを受けます。この摩擦が肌に負担を与え、肌を過敏にしてしまうのです。加えて、花粉が飛ぶシーズンは気温や湿度が不安定で乾燥しやすく、もともと肌トラブルを引き起こしやすい時期。こうしたことも、肌荒れの原因になっています。できるだけ目をこすらないようにする、肌が花粉に触れないようにメガネやマスクを使う、敏感肌用の化粧品を使うなど、自分で対処できることもありますが、症状がひどい場合は皮膚科やアレルギー科に相談すると良いでしょう。

原因:花粉によるアレルギー反応
治療法:薬物療法
チェック方法:肌のかゆみ、乾燥、ピリピリする、発疹、皮むけ

関連する病気: 花粉症

(3)成人のアトピー性皮膚炎

元来、アレルギーを引き起こしやすい人や、皮膚のバリア機能が落ちている人に発症しやすいアトピー性皮膚炎。皮膚に異常なほどのかゆみや乾燥、丘疹などを引き起こします。これまでは子どもの病気と考えられ、成人すると症状が治ると考えられていましたが、最近では大人になって再び症状が悪化したり、成人してから初めて発症したりするケースも見られるようになりました。大人のアトピー性皮膚炎は肌の乾燥や摩擦などの刺激、ストレスや睡眠不足などの不規則な生活習慣、ダニや埃、食物、花粉などのアレルギーなど、さまざまな要素が重なり合うことで発症します。一度発症すると根治することは困難ですが、生活習慣に気をつけたり、上手に薬物療法を取り入れたりすることで症状を緩和させることは可能です。

原因:免疫異常
チェック方法:皮膚の乾燥、丘疹、ジクジクした湿疹、猛烈なかゆみ、紅斑
治療法:薬物療法

関連する病気: 成人のアトピー性皮膚炎

2、その他の病気

アレルギーを原因としない病気でも、肌トラブルを引き起こすものがあります。

(1)皮膚掻痒症

湿疹や発疹などの異常がないのにかゆみが起こることがあります。その場合は皮膚掻痒症かもしれません。これは主に冬季など、皮膚の水分や油分が少なくなり、過度に乾燥したことが原因となって発症。しかし、なかには糖尿病や腎不全、肝硬変など内臓疾患が原因となっている場合もあります。さらに、全身にかゆみが出るのではなく、外陰部や肛門周辺など一部だけに症状がでることもあります。その場合は溶連菌や大腸菌などによる細菌性膣炎や、腟カンジダ症や腟トリコモナス症、クラミジア感染症などSTD(性感染症)も疑われます。かくとさらにかゆみがひどくなったり、皮膚に傷ができたりする場合もあるので、早めに医師の診断をあおぐことをお勧めします。

原因:過度な乾燥、内臓疾患、STD
チェック方法:持続的あるいは発作的なかゆみ
治療方法:薬物療法

関連する病気: 皮膚掻痒症

(2)汗疹(あせも)

夏季など、大量に汗をかいたあとにかゆみが見られる場合があります。これは汗疹が原因かもしれません。汗腺が詰まって発汗できなくなるため、汗が周りの組織に漏れ出して水ぶくれや発疹を発症します。顔や首など、汗をかきやすい場所に症状が現れ、こまめに汗を拭き取るなどケアをすれば、自然と治ります。しかし、かゆみがひどい場合や炎症を起こしている場合、かき壊してしまった場合などは皮膚科で早めに診察を受けましょう。

原因:大量の発汗による汗腺の詰まり
チェック方法:赤い丘疹、軽いかゆみ、チクチク感、小水泡
治療法:薬物療法

関連する病気: 汗疹(あせも)

(3)口囲皮膚炎

口の周りが赤くなったり、湿疹や嚢胞ができたりすることがあります。これは口囲皮膚炎の症状です。口囲皮膚炎の主な原因は、ステロイド剤の長期外用。そのほか、日光に長時間当たったり、化粧品にかぶれたりして発症することもありますし、妊娠や歯科的治療が原因となることもあります。心当たりがある場合は、早めに病院で診察を受けましょう。

原因:ステロイド剤の長期外用、日光曝露、化粧品、妊娠

チェック方法:口の周りの小丘疹、小嚢胞、紅斑、かゆみ、ほてり、灼熱感
治療法:薬物療法

関連する病気: 口囲皮膚炎

【まとめ】

「春や夏など、特定の時期になると毎年肌トラブルが起こる」という場合は、対処しやすいもの。しかし突然発症したトラブルについては、まず原因を突き止めるところから始めなければなりません。アレルゲンと知らずに、肌に合わない化粧品や金属類などを使い続けることは、ときに重大なリスクに繋がることもあります。原因のわからない肌トラブルが現れた場合は、速やかに皮膚科で診断を受けると良いでしょう。

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