マターナルPKU

大浦敏博

 フェニルケトン尿症の女性が妊娠すると自然流産を起こしやすく、また生まれてきた子どもに高率に知能障害、発育不全、心臓奇形などを合併することがわかってきました。これは、母体の血液中の高濃度のフェニルアラニンが子宮内の胎児の発育を損なうことにより生じるもので、母性フェニルケトン尿症(マターナルPKU)と呼ばれています。

 表17に示すように成人期に達したフェニルケトン尿症患者の血中フェニルアラニン濃度は、食事療法の緩和により15㎎/㎗程度に上昇していることが多くなっています。お子さんを希望されるフェニルケトン尿症の女性は、妊娠前より厳格なフェニルアラニン制限食を再開し、血中フェニルアラニン濃度を6㎎/㎗以下にコントロールしておく必要があります。この血中フェニルアラニン濃度をコントロールした状態で妊娠し、出産までの10カ月間維持することによりマターナルPKUの予防が可能です。


子どもの病気