頭や胸などの痛みや嘔吐など、突然おこるさまざまな症状に対して、速やかに手当を行って症状の悪化や苦痛の軽減をはかり、命を守ることが大切です。原因となる病気などの解説は「症状からみた病気」や本論をみていただくとして、ここでは急を要する主な症状別に、その対処と手当のしかたをみていきます。
頭がとても痛い
【1】いちばん楽な姿勢をとらせ、衣服をゆるめる。
- 頭を動かさないようにして安静を保つ
- 冷たいタオル、氷嚢(ひょうのう)、蓄冷剤(ちくれいざい)などで頭を冷やす
- 口のなかに何か入っていたら出させる
- 励まして落ち着かせ、安心させる
- 寒がるなら毛布などをかけ、暑がらない程度に保温する
- 飲み物や食べ物は与えない
【2】医師に連絡し、指示をあおぐ。
【3】状態をよく観察。
- 秒単位で発症した(発症した時間が「○時○分○秒だった」といえるほど急激に発症した)頭痛
- 今まで経験したことのないほどの強い頭痛
- 意識がおかしい
- 吐き気・嘔吐
- 麻痺
- けいれん
- 呼吸の乱れ
- 目の痛み、目のぼやけ
- 行動異常
- 歩行障害
- 失禁
など、ひとつでもあれば、すぐに119番に通報する
※吐いた物が見えたら横向きに寝かせ、反応のある傷病者の場合では吐き出すように指示する。特別な異物の除去は行わない
【4】意識がない、または非常に反応が鈍くなってきたら、心肺蘇生法を、救急車が来るまで続ける。
胸がとても痛い
【1】すぐに119番に通報する。
【2】意識の有無を調べる。
【3】意識があるなら衣服をゆるめ、本人のいちばん楽な姿勢をとらせる。
- 座位または半座位にして、座ぶとんや枕などを背中にあてがうと楽になる。呼吸が困難になるので、あお向けに寝かせない
- 寒がるなら毛布などをかけ、暑過ぎない程度に保温する
- 不安がらないように元気づけ、落ち着かせる。不安は発作を悪化させる
- 食べ物や飲み物を与えない
- 口のなかに何か入っているなら出させる
- 吐きたいなら吐かせ、薄い塩水か水でうがいをさせる
【4】意識がない、または非常に反応が鈍くなってきたら、心肺蘇生法を、救急車が来るまで続ける。
おなかがとても痛い
【1】膝を立てて、あお向けに寝かせる。
- 低い枕をし、クッション、または座布団などを折ってあてがうと楽になる。これが苦しいなら、いちばん楽な姿勢をとらせる
- 急におこる嘔吐が考えられるため、顔を横に向けておき、吐瀉物(としゃぶつ)による窒息を防ぐ
- 吐きたいなら吐かせ、薄い塩水か水でうがいをさせる
- 水や食べ物を与えない
- 浣腸は使わない
- 痛みが治まったら、しばらく安静にして落ち着かせ、早めに受診する
【2】状態をよく観察。
- 激しい痛みが続く、または短時間でぶり返す
- 吐いても痛みが治まらない
- お腹がふくれ上がる、板のように堅くなる
- 血便があり、右下腹部にしこりがある
- 腟(ちつ)から出血している(女性)
- 全身状態が悪化する(ショック症状)→顔面蒼白、冷や汗、めまい、失神、息切れ、意識朦朧(もうろう)
など、ひとつでもあれば、すぐに119番に通報する
【3】意識がない、または非常に反応が鈍くなってきたら、心肺蘇生法を、救急車が来るまで続ける。