大腸がんで亡くなる人の数は、この50年で10倍に増加しているといわれていますが、早期発見なら100%近くの確率で治る病気です。早期発見のために、自覚症状の見分け方や、生活習慣や食生活での予防の知識をしっかり身につけましょう。

大腸がんの基礎知識 大腸がんてどんな病気?

大腸は肛門に近い約20cmの部分を直腸、それ以外を結腸といいます。がんの発生した部位により、結腸がんと直腸がんに分けられます。

○結腸がん
結腸に発生するがんで、発生部位により右側結腸がん(上行結腸がん)、左側結腸がん(下行結腸がん、S状結腸がん)と呼ばれます。とくにS状結腸にはがんができやすく、直腸がんと合わせて大腸がん全体の約7割を占めます。

  • 右側結腸がんの特徴

多くの場合、 初期には無症状です。 この部位にある内容物(便)は液状であり、比較的腸管が太いため、がんができても閉塞することはあまりありません。ただし、進行すると右下腹部のしこり、便秘や下痢、黒色便、貧血などの症状がみられます。

  • 左側結腸がんの特徴
初期症状は下血(血便あるいは血液と粘液が混じった粘血便)です。 この部位にある内容物(便)は固形で腸管も細いため、がんができると狭くなったり閉塞することがよくあります。そうなると便秘と下痢を繰り返したり、腹痛がしたり、便とガスが出なくなったりします。

○直腸がん
大腸の終末部・直腸にできるがんです。固形状になった便が病変部を刺激するため、 早期に下血(血便、粘血便)がみられることがよくあります。 がんが大きくなって腸管を詰まらせると便秘と下痢を繰り返したり、排出された便が普段より細くなります。また、がんがあるため、排便しても腸に便が残っている感じがします。

国立がん研究センターがん対策情報センターの「最新がん統計」によると、わが国での生涯で大腸がんにかかるリスク(2005年データ)は、男性で12人に1人(臓器別では、結腸と直腸を合わせた大腸がんは、肺がんと並んで2位)、女性で15人に1人(臓器別では、結腸と直腸を合わせた大腸がんは、第2位)。大腸がんで死亡するリスク(2009年データ)は、男性で35人に1人(臓器別では、結腸と直腸を合わせた大腸がんは、第3位)、女性で44人に1人(臓器別では、結腸と直腸を合わせた大腸がんは、第1位)と発表されています。

罹患率をみると、 男性では40歳代から、女性では50歳代から急に増えている 傾向がみられ、男女ともに増えています。

大腸がんは、女性のがんでは死因第1位!

かつて、欧米人に比べると、日本人には大腸がんにかかる人が少ないといわれていました。ところが近年、日本人にも大腸がんにかかる人が増えてきました。

また、患者数の増加に伴い、大腸がんで亡くなる人の数も増えてきています。厚生労働省の人口動態調査によると、昭和30年に大腸がんで亡くなった人の数はおよそ4200人でしたが、平成17年には約4万800人になっています。

人口10万人あたりの部位別死亡率の推移を見ると、男性では昭和30年に4.7だったのが、平成16年には35.4に。女性の場合は昭和30年に4.8だったのが、平成16年には28.2になっています。しかも、 女性ではがんによる死因の第1位が大腸がん なのです。

大腸がんが増え続ける背景のひとつに、 食生活の欧米化 があげられます。世界の統計で見ても、欧米の食事のように、脂肪摂取量の多い国ほど、大腸がんの発生率が高くなっています。

それでは、どうしたら大腸がんを防ぐことができるのでしょうか。専門家は、定期検診の重要性を指摘しています。

早期発見が大切! 大腸がんの危険度セルフチェック

大腸がんはがんの中では、比較的治しやすい病気です。早期に発見すれば、手術によってほぼ完治します。しかし、初期には症状が乏しいため、発見が遅れて肝臓や肺に転移して治療が困難になることもあります。

そこで大腸がんの予防のためには、地域や職場で行われる定期検診を受けることが重要なのです。ただし、便潜血検査を行うだけでは、出血をともなわない大腸がんの場合、発見できないこともあります。内視鏡検査もできれば受診するようにしましょう。

また参考までに、大腸がんの危険度セルフチェックの項目をあげておきます。沢山あてはまる人は、一度、医師の診察を受けましょう。

大腸がんの危険度セルフチェック
(1)がん家系である。
(2)肛門の病気がある。
(3)肉食が多い。
(4)喫煙している。
(5)糖尿病を患っている。
(6)便秘がちでおなかが張りやすい。
(7)便に血や粘液が混じる、便が細い、下痢しやすい。
(8)運動不足である。
(9)40歳以上である。
(10)貧血がある。
(11)大腸ポリープを持っている、切除したことがある。
(12)倦怠感がある。
(13)食欲がない。
(14)がんの治療をしたことがある。
(15)ストレスが多い。
(16)たくさん酒を飲む。

大腸がんを疑う症状とは? 便通異常やお腹のしこり

大腸がんはがんの中では比較的治しやすい部類に入るがん。初期の頃に発見し、手術を受けると、100%近く完治が可能です。そのため、早期発見が重要。次のような症状があったら、医師の診察を受けましょう。

血便・下血
血便と下血は、大腸がんの代表的な症状 です。血便とは、便に血がついていたり、排便時に出血すること。下血は、それに対して、血だけが出る状態です。どちらも真っ赤な血が出たり、どす黒い血などが出ます。

血便や下血は痔の場合にも起こりますが、痔では真っ赤な血が排便時にポタポタ落ちたり紙に付着するのに対して、がんでは、血が便の表面に付着していたり、便と混じっているのが特徴です。

便通異常(便秘・下痢)
便通異常とは、毎日1回は排便の習慣があった人が、突然便秘症になったり、下痢をしたり、便秘と下痢をくり返すようになる症状です。食生活やストレスなどから、便秘や下痢が起こることもありますから、あまり神経質になる必要はありませんが、このような症状が続くようなら、一度検査を受けてみましょう。

腹部膨満感・腹痛・しこり
腹部膨満感とは、お腹が張った感じのこと。また、やせている人の場合は、お腹のしこりに触れて初めて気がつくことがあります。ひどい場合は、便が出なくなり、お腹がぱんぱんに張った腸閉塞の状態になります。

その他の症状
肛門から離れた盲腸や結腸のがんでは、他に症状がなく貧血だけ現われることがあります。また、便が細くなったり、直腸がんでは、排便した後に残便感があることがあります。

大腸がんの診断と治療法

内視鏡で大腸がんを診断
大腸がんが気になる人に対しては、内視鏡検査が行われます。内視鏡検査によって、異変のある部分の組織を採取し(生検と呼ばれます)、それを顕微鏡で観察して、診断が下されます。最近では、軽い麻酔による無痛内視鏡検査も行われていますので、怖がらずに検査に足を運びたいものです。

大腸がんと診断されたときは、なんらかの方法で治療の手だてがとられます。というのも、大腸がんはそのままにしておくと徐々に大きくなり、浸潤や転移を起こして治療が困難になるからです。ちなみに浸潤というのは、がんが周囲の組織を破壊しながら増殖すること。そして転移とは、がん細胞がリンパ球や血流にのって他の臓器に飛び火し、そこで増殖することです。大腸がんの場合、最も多いのがリンパ節転移、次が肝転移で、ついで肺に転移することが多いようです。

進行度で異なる治療
大腸がんの治療の基本は、がんを切除し、がん細胞を取り除くことです。しかし、病気の進行度によって、切除できない場合もあります。そこで医師は詳細な検査を行って、まず病期(ステージ)を判定します。

病期(ステージ)とは、がんの進行度のこと。その判断の対象となるのは、浸潤、リンパ節への転移、遠隔臓器への転移の3つです。この3つの度合いによって、治療法が決められます。

病期の判定基準には、国際的に使われている、TNM分類とデュークス分類の主に2つがあります。そのうちの1つ、デュークス分類を紹介してみましょう。

デュークス分類
デュークスA … がんが大腸壁内にとどまるもの
デュークスB … がんが大腸壁を貫くが、リンパ節転移のないもの
デュークスC … リンパ節転移のあるもの
デュークスD … 肝臓、肺、腹膜播種などへの遠隔転移のあるもの

「大腸がんは恐ろしい病気」と、誰でも感じていると思います。でも、早期発見・早期治療をすれば、生存率も高く、治る見込みも大きい疾患です。いたずらに恐れていないで、定期的に検診を受け、生活習慣に気を配るなど、セルフケアを心がけたいものです。

大腸がんを食生活で予防するコツ

大腸がんは、 食生活と係わりの深い病気 です。食事に気をつけて、予防したいものです。

大腸がんの増加の一因といわれている欧米化した食生活の特徴は、肉類を中心とした 高たんぱく、高脂肪、食物繊維の少ない食事 です。予防のためには、その弊害をマイナスした内容が適しています。それは、 穀物、魚類、野菜を中心 にした、従来、日本人が好んできた食事です。肉を食べたら、いつもより野菜を沢山食べるなど、栄養のバランスをとりたいものです。

そして、 大腸がん予防のためには、アルコールもほどほどに しましょう。1日に ビールなら中びん1本まで が目安です。

つね日頃から便秘がちだという人も多く、女性にとって大腸がんは身近な脅威です。日頃の心がけから、リスクを遠ざけたいものですね。

大腸がんの詳細

 大腸は消化吸収が行われた食べ物の最終処理をする消化管で、主に水分を吸収します。長さは約1・8mで口側から肛門側に盲腸(もうちょう)、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸に分けられます。この部...
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