腎臓の役割は血液から老廃物や余分な水分、塩分などを取り出すことです。腎臓は横隔膜の下、背骨をはさんで左右に1つずつあります。腎臓が病気になると、体にどのように影響するのでしょうか? 今回は慢性腎臓病(CKD)や腎臓のはたらきについてくわしく解説します。

慢性腎臓病(CKD)とはどんな病気? なりやすい人の特徴

慢性腎臓病(CKD)は、ひとつの腎疾患を意味するのではありません。腎機能低下が慢性に進行する、すべての腎疾患を包む疾患概念です。ですから、それぞれの疾患により、原因もさまざまです。

腎臓の機能が低下して腎不全が進み、どのような方法でも治療できない末期腎不全になると、 人工的に腎臓の代わりをする透析療法や腎臓移植 などを行わなくてはなりません。このような患者が世界的にみると、この 20年間で約43万人から210万人にも増えています。 なかでも日本は人口当たりの透析患者数が最も多く、2009年末の全国調査では29万人にも及んでいます。透析療法を受けるようになると、仕事や日常生活が大きく制約されるだけでなく、 心臓や血管の病気を合併しやすくなります。 さらに高額な医療費が国の負担となって社会的にも大きな問題となっています。

慢性腎臓病の初期には、自覚症状がほとんどありません。 このため、以下のようなハイリスク群の人は、健診をきちんと受けて早期発見に努めることが大変に重要とされています。

○慢性腎臓病になりやすい人(ハイリスク群)
(1)高血圧、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームがある人
(2)高齢者
(3)近親者に慢性腎臓病の人がいる
(4)膠原(こうげん)病、尿路感染症、尿路結石などの病気がある
(5)以前、腎臓病にかかったことがある、たんぱく尿などを指摘されたことがある
(6)薬(鎮痛剤、抗炎症剤など)を常用している

腎臓の役割とは? 尿の元は1日に約150〜200Lもつくられている

腎臓は横隔膜の下、背骨をはさんで左右に1つずつあります。重さは約150g、握りこぶしよりやや大きく、縦の長さが約10㎝、幅約5〜6㎝で、そら豆のような形をしています。

心臓から腎臓へ送られた血液は、「糸球体」の毛細血管に流れ込み、分子の大きい赤血球やたんぱく質などはここでろ過されます。分子の小さい水やブドウ糖、アミノ酸、カリウム、ナトリウム、尿酸、クレアチニンなどの老廃物は原尿(尿のもと)となり、糸球体から続く「尿細管」に送られます。糸球体では、1日約150〜200Lもの原尿がつくられますが、実際に尿として排出されるのは原尿の約1%ほどです。

腎臓の病気

腎盂(じんう)がん・尿管がん
腎臓の中心部にある腎盂は尿を尿管へ送る通路です。この腎盂で発生するのが腎盂がんです。腎盂は移行上皮と呼ばれる粘膜で構成されており、がんはここで発生します。尿管も移行上皮で構成されているため、腎盂がんに尿管がんを合併することも少なくありません。

腎細胞がん(腎がん)
腎臓の尿細管の上皮細胞から発生するがんで、腎臓にできるがんの約9割を占めるといわれています。腎細胞がんは静脈へ侵入して広がる傾向があり、腎静脈から下大動脈へと腫瘍血栓をつくって、心臓の右心房へ達することもあります。

急性糸球体腎炎
腎炎の一種である急性糸球体腎炎は、腎臓以外のところで感染がおき、その後、感染した病原体に対する免疫反応が糸球体を障害していくというものです。不要なものをこしとる毛細血管の“基底膜“という部分に、感染した病原体とこれに立ち向かう物質が結合した“免疫複合体“が沈着して炎症がおきます。すると、基底膜が分厚くなったり、毛細血管の内皮細胞が壊死するなどの異変が発生します。

急性腎不全
急性腎不全は、
①血圧低下や全身の血流量低下、
②重い急性腎炎や尿細管の閉塞など、
③尿路以降の病変(腎臓から下の尿路結石など)が原因で数時間から数日の間に腎機能が著しく低下した状態です。1日の尿量が400ml以下になります。

慢性腎不全
慢性腎不全は 糖尿病や慢性糸球体腎炎などの腎臓病が原因 で、糸球体の能力が50%以下になった状態です。クレアチニンクリアランスという検査の数値が30〜50ml/分になったころから、 夜間の多尿などの症状 が現れます。

慢性腎臓病(CKD)の症状とは?

病期1〜2までは、無症状であることがほとんど です。

病期3では 夜間尿、軽度の高窒素血症 (こうちっそけっしょう)、 高血圧 (軽症)が、
病期4では 多尿、貧血、中等度の高窒素血症、代謝性アシドーシス、高リン・低カルシウム血症、高血圧 (中等度)が認められます。

さらに病期5では、 著明な高血圧、浮腫、肺水腫、貧血、消化器症状 (悪心(おしん)、嘔吐(おうと)など)、 循環器症状 (うっ血性心不全、不整脈、胸痛など)、 皮膚症状 (かゆみ、色素沈着など)、 神経症状などの尿毒症 (にょうどくしょう)症状が出現し、放置すると死に至ります。

慢性腎臓病の早期発見のためには尿たんぱくとクレアチニン

慢性腎臓病(CKD)は、そのほとんどは 進行するまで自覚症状が乏しく、気づいたときには失った腎機能を元に戻すことができない ことがあります。しかし 尿検査と血液検査によって腎機能を調べることができる ので、早期発見に役立ちます。

尿検査でわかる尿たんぱく
健康診断で必ず行う尿検査によって、 尿にたんぱく が出ていないか(尿たんぱく)が分かります。これは 腎炎や糖尿病性腎症 などの病気の初期に出現することが多く、CKDの診断に重要な検査項目です。

腎臓が正常であれば、体に必要なたんぱくが尿中にもれ出す量はわずかです。そのため、たんぱく尿が多い場合は、再検査で確認する必要があります。ただし、過労時や運動後、あるいは多量飲酒の後にもたんぱく尿が出ることがあり、持続するものでなければ心配はないことがしばしばです。

血液検査で分かるクレアチニン
クレアチニン(Cr) とは筋肉運動のエネルギー源となるアミノ酸「クレアチン」が代謝されてできた老廃物で、腎臓の糸球体で濾過(ろか)され、尿細管ではほとんど再吸収されずに尿中に排泄されます。腎機能が低下するとクレアチニンを十分に捨てることができなくなって体内に蓄積するため、血液中の数値は高くなります。

●【図解付き】クレアチニンの検査の目的

筋肉運動の代謝産物であるクレアチニンは筋肉量に比例した量となり、一般に女性より男性のほうが10〜20%高値になります。高齢者の場合は年齢とともに腎機能が低下しますが、筋肉量も減少するため、年齢による変動はほとんどありません。

慢性腎臓病とメタボの危険な関係 腎臓を守る食生活

メタボリックシンドロームが怖いのは、高血圧や高血糖などの危険因子の重なりが 心臓や脳の動脈に動脈硬化をもたらす ためです。高血圧や高血糖の状態が続くと腎臓の動脈にも動脈硬化がおこり、腎臓の血流が滞ってその働きが低下してしまいます。

また、腎臓は血圧を上げるホルモンをつくるある種の酵素を分泌しています。動脈硬化などで血流が不足すると、腎臓は血圧を上げるホルモンを分泌するように働き、血圧を上げて少しでも多くの血液を循環させようとするのです。

そこで、腎臓の働きが十分でないことがわかれば、高血圧、高血糖、さらにはメタボリックシンドロームなどが進んでいることも推測できます。

腎臓を守る生活の一つは、肥満を防ぐこと です。詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、肥満の人に腎臓の働きが低下している人が多いことは事実です。ともあれ、肥満は血圧や血糖値を上げ、脂質異常も招くことから、メタボリックシンドロームを防ぐ意味でもその対策は重要です。

食生活で最も気をつけなければいけないのは、 食塩(塩分)をとりすぎないこと です。腎臓の働きが低下すると高血圧になりやすい上に、塩分過剰は血圧を上げる最も大きな危険因子ですから、ふだんの食事で食塩(塩分)を控え目にした薄味に慣れていくことが大切です。薄味に慣れるには次のような工夫をしてください。

  • 減塩調味料を使う。
  • 調味料を少なくするため、鮮度のよい食材を選んで素材の味そのものを味わう。
  • 調味料の代わりに香辛料、かんきつ類の酸味、ねぎやしょうがなどの薬味などで味を補う。
  • めん類のつゆは飲み干さない。
  • ねりものや干物、ハム、ソーセージなど加工食品の塩分に注意する。

このほか、十分な水分摂取にも気を配りましょう。水分を十分にとることで、尿量を増やして排尿をスムーズにします。水や無糖のお茶で1日に1.5リットル以上をとってほしいものです。

慢性腎臓病,CKDの詳細

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