てんかんの詳細

 脳の神経細胞の過剰な放電によって反復性の発作(てんかん発作)が生じる病気です。てんかんの頻度は人口の1%程度とされていますが、その多くは小児期に発症し、小児のてんかんでは年齢と密接に関連した好発年齢...
 てんかんは大脳の病気です。発作的に繰り返し、自律的に大脳が異常に興奮する状態をてんかんと呼びます。  そのため、1回きりの発作や熱性けいれんは、てんかんとは呼びません。また、交通事故からの回復期(ほ...
 発作で手と足がつっぱり、眼を見開いて、口から泡を噴(ふ)き意識が失われることから、古来てんかんは悪魔や神に取り憑(つ)かれた病気、「倒れやまい」といわれてきました。しかし、病気の実態が明らかになり、...

てんかんの関連コラム

代表的な抗てんかん薬

 抗てんかん薬の開発は、昔は動物に電気刺激を与えて起こるけいれんに対し、たくさんの薬物を試して効くものを探す方法がとられ、フェノバルビタール(フェノバール)やフェニトイン(アレビアチン)が見つかりました。  それ以後の薬物開発も同様の方法が...

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てんかんの外科的治療

 部分てんかんのなかでも側頭葉てんかんによる複雑部分発作は、薬物治療に対し抵抗性を示すことがよくあります。とくに側頭葉の内側にてんかん起源となる病巣のある場合、発作の始まりに胸やけのような不快感や吐き気を催し、一点を見つめて意識が遠のく発作...

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てんかんによく似たいろいろな発作

 てんかんに似た病気には、熱性けいれん、脳への血流が一時的に不十分となり意識が消失する失神発作があり、心臓の病気で十分な血圧が保てない場合や自律神経の病気で姿勢に順応した血圧調節ができない場合に起こります。また、脳血管障害の一種である一過性...

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抗てんかん薬の血中濃度測定

 抗てんかん薬が確かに服用され、体重あたりの十分量がとられているかを確認するために、薬の量を調べる血液検査を、抗てんかん薬血中濃度測定といいます。  服用された抗てんかん薬は消化管から体に吸収されて血液の流れとともに脳内に取り込まれて初めて...

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チック症と発達障害の関係とは? てんかんとの違い|症状や原因

咳払いや肩をすくめることが繰り返し起こるチック症。チック症と似た症状がてんかんにもありますが、この2つの原因は異なります。症状や違いをまとめました。 チック症が慢性化しているとトゥーレット症候群と診断 4~11歳頃に発症する...

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てんかんの予後と合併症

 てんかんの予後については、20年間の追跡調査により、発作のなくなる率(寛解率)は5年で42%、10年で65%、20年で76%であり、一般に患者さんの5〜8割は2〜5年以内に発作がなくなります。  とくに特発性てんかんの予後はよく、発症15...

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意外と身近なてんかん(癲癇)とはどんな病気

てんかん(癲癇)てどんな病気  てんかんとは、突然意識を失い痙攣を引き起こす怖い病気であると誤解されることの多いてんかん(癲癇)ですが、その症状や程度は人によりさまざまで、必ずしも痙攣や意識消失を伴うわけではありません。      現在、広...

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てんかん

けいれんや意識障害などの発作をくり返す脳の病気の総称。人口1000人に対し5〜8人の患者さんがいるとみられ、神経疾患のなかでも頻度の高い病気である。症状は、全身のけいれん発作を起こすものから、数分間意識がぼんやりする程度までさまざまである。...

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抗てんかん薬の副作用

 抗てんかん薬にはそれぞれ異なる副作用があることが知られています。またすべての抗てんかん薬は、妊婦が服用するとその子どもに奇形がみられる可能性があることが知られていて、その頻度は健康な妊婦にみられる頻度の約2倍といわれています。  とくにた...

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発達障害と同時に現れる症状の詳細(知的障害、てんかん・脳波異常、運動機能の障害など)

発達障害と同時に現れる症状の詳細(知的障害、てんかん・脳波異常、運動機能の障害など) 出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」 著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授  広汎性発達障...

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てんかんは発作で手と足がつっぱり、眼を見開いて、口から泡をふき意識が失われることから、古来は悪魔や神に取りつかれた病気、「倒れやまい」といわれてきました。実際は、乳幼児から高齢者までどの年齢層でも発病する可能性があり、患者数も1000人に5人〜8人と、誰もがかかる可能性のあるありふれた病気のひとつです。

てんかんとはどんな病気?

脳のはたらきは、脳神経細胞から適切・適量の電気信号が秩序正しく流れることにより行われます。この電気信号がちょうど雷が落ちるように、 ある時突然に過剰となり秩序なく流される と、脳本来のはたらきが障害されたり、機能が過剰に発揮されて起こるのが てんかん発作 です。

この発作が 同じパターンで慢性的に何度も反復再発する病気がてんかん です。一般に発作のない時はまったく正常なのがてんかんの特徴です。

てんかんの分類について

てんかんは、その原因が脳の一部に限られている “部分てんかん” と、脳深部の異常により最初から脳全体の機能が障害される “全般てんかん”の2つに大きく分けられます。

さらにそれぞれのてんかんは、その原因のあるなしで、 原因のある“症候性てんかん”と原因が特定できない“特発性てんかん” に分けられます。

まれなてんかんで、症候性と考えられるがその原因がはっきりしていないてんかんは、原因がもぐっているとして “潜因性(せんいんせい)てんかん” と呼ばれます。これは部分てんかんにも全般てんかんにも、少ないながらみられます。

てんかんの原因とは?

交通事故で強く頭を打ったあとで、てんかんが起こることがあることからも明らかなように、 脳が受けた何らかの傷がてんかんの元になる 場合が多くあります。

ただし、脳に傷があるからといって、てんかんが必ず起きるわけではありません。むしろ、この傷をカバーして機能を回復させようとする脳の試みが、もともとはわずかな漏電を大規模な異常放電に最終的にはつなげるような結果をもたらすことがあります。

脳細胞は、あるグループごとに重要なはたらき、たとえば意識、行動、感情、運動機能、感覚機能を司っていて、過剰な電流が流れるとこれらの機能が乱されます。 手と足をつっぱる発作は過剰な運動機能を表し、意識障害は意識機能の障害、精神症状や異常行動は感情、行動の障害 を意味します。

生まれる前の胎児期からさまざまな原因で脳に病気が起こり、とくに 分娩前後の母体の異常からくるもの、新生児期の感染や呼吸困難、幼児期の髄膜炎、脳炎、成人の頭部外傷、脳血管障害、糖尿病や尿毒症に伴う代謝異常による脳症 など、原因となる元の病気が明らかである場合は 症候性てんかん と呼ばれます。

一方このような原因がまったくなく、精度のよいMRI機器でも脳内に 異常が見つからない場合を特発性てんかん といい、その原因として 遺伝的要因が関係 しているとされます。

すなわち部分てんかん、全般てんかんは、それぞれ症候性のものと特発性のものとに区別診断され、それに基づいて治療・管理が行われるわけです。

症候性てんかんの症状とは?

脳の限られた部位に生じる異常な電気的放電は、脳のどの部位にでも起こる可能性があります。そのため異常な電気放電が始まる部位により、 前頭葉 (ぜんとうよう)、 側頭葉 (そくとうよう)、 頭頂葉 (とうちょうよう)、 後頭葉 (こうとうよう) てんかんの4つ に分けられます。

頻度が高いのは 前頭葉の運動を司る部位から始まる運動発作、頭頂葉の感覚を司る部位から始まる感覚発作、それに感情・行動のはたらきが集まっている側頭葉内側底面から始まる自律神経発作と精神発作 です。これらにはしばしば意識障害が合併します。

とくに 精神発作では意識混濁、夢遊状態、認知障害、恐怖・驚愕を示す感情障害 が発作中にみられることがあり、これらの発作は複雑部分発作と呼ばれます。この発作は治療に反応しにくく、 難治性てんかんの大部分を占める発作型 です。

これらの部分発作でもあまりに過剰な異常放電が脳中心部に到達すると、そこから大脳の全般に電気変化が広がり、二次的に全身のけいれんを起こすこともしばしばあります。

症候性てんかんの治療方法とは?

腫瘍などの脳病変を除去すべき場合には、外科的に腫瘍の摘除を行いますが、それ以外は 一般に薬物治療 を行います。

発作の開始が左右いずれかに限られた部分発作からなる症候性てんかんには、カルバマゼピン(テグレトール)が第一選択薬としてすすめられ、もし副作用で服用できない時には、第二選択薬としてフェニトイン(アレビアチン)が、さらにそれも服用できないときにはバルプロ酸ナトリウム(デパケン)が使われます。

難治のてんかんでは、外科的治療を考える前に、新規の抗てんかん薬であるトピラマート(トピナ)やラモトリジン(ラミクタール)、さらにゾニサミドやクロバザムといった薬を試みるべきですが、これらの薬を十分量用いて5年以上治療してもなお、てんかん発作が週1回以上起こる難治性てんかん(側頭葉てんかん)には、薬物療法より外科的治療が推奨されるので、てんかん専門医に相談してみてください。

特発性てんかんの症状とは?

特発性てんかんの原因は不明 であり、MRIやCTを用いて脳を検査してもまったく異常は見つかっていません。しかし、その起こりやすさに 遺伝的な要素が関係 していると考えられ、ある年齢で発作が出現し、ある年齢が来ると自然に発作回数が減り、発作が起こらなくなることが多くみられます。ただし、 てんかんそのものが代々遺伝するわけでは決してありません。

新生児期にだけみられる良性の家族性けいれん発作や、家族性でないものがあります。 小児期に発症するのがほとんどであり、非けいれん性の意識消失からなる欠神(けっしん)発作は5〜10歳に始まり、治療をしないと20歳ごろまで続きます。

これは 何の前ぶれもなく、突然に意識がなくなり ますが、決して姿勢が崩れたり転倒することはありません。突然進行中の行動、会話などが止まり、 眼は1点を見つめてうつろとなり、1秒に3回ほどのまたたきをして 数秒あるいは1分間で元の状態にもどり、前の行動を継続できる発作です。

また、全身のけいれんからなる 強直(きょうちょく)発作、間代(かんたい)発作、強直間代発作 もみられます。これらは主に 25歳までにみられる発作 で、全身の筋肉が同時に収縮して 手足がつっぱり、 呼吸筋も収縮を持続するので 呼吸が不可能となります。 顔色がチアノーゼとなります。 眼は見開いたまま眼球が上転し、 全身の筋肉が収縮するので 背中を弓なりに曲げて反る姿勢 を続けます。

しばしば 舌をかみ、口から出血 がみられます。通常は 数分で徐々に筋収縮がゆるみ、 手足を曲げたり伸ばしたりする発作に移行します。この間呼吸不能の状態が続きます。発作が短時間で自然におさまっても、発作後には意識がもうろうとして、会話がしばらくはできません。普通、発作後には眠りに入ります。

ほかに思春期にみられる若年性ミオクローヌスてんかんや、脱力発作を症状とする全般てんかんもまれにあります。

特発性てんかんの治療方法

使用する薬物としては、十分な医学的証拠のあるバルプロ酸ナトリウム(デパケン)が第一選択薬となります。欠神発作はこれだけで十分治療できます。またこの発作型にのみエトスクシミド(ザロンチン)が極めて特異的に有効で、発作の再発はほとんどみられません。

それ以外の全般発作では、発作が完全に抑えられない時にはラモトリジン(ラミクタール)、フェニトイン(アレビアチン)かカルバマゼピン(テグレトール)が第二選択薬として加えられます。特発性てんかんには外科的治療は推奨できません。

治りにくい場合には、根気よく2剤、3剤と薬の種類を増やして薬物治療が続けられます。ベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬(クロナゼパム、クロバザム)も使用されます。2年以上にわたり発作が一度も起こっておらず、脳波もほぼ正常となった場合には、抗てんかん薬の減量、中止を考えてもよいとされています。
しかし、発作の再発が薬の中断者の数〜十数%にみられることから、勤務や自動車運転の必要性などの社会的状態を十分に考慮して、医師とよく相談しましょう。