サルコイド(sarcoid)という名前の一部である sarco はラテン語で「肉」を、また oid は「〜のような」を意味しています。したがってサルコイドーシス(sarcoidosis)とは、「肉のようなものができる病気」という意味で、大小さまざまな類上皮細胞肉芽腫(るいじょうひさいぼうにくげしゅ)という「肉の塊のような」組織ができる病気です。

サルコイドーシスとはどんな病気なの?

ベーチェット病、原田病とともに、日本における 三大ぶどう膜炎 のひとつです。 全身のリンパ節やいろいろな臓器(肺、肝臓、脾臓、骨髄など)に腫瘍状の塊(結節)ができる病気で、その症状のひとつとして、ぶどう膜炎を起こします。約60〜70%の患者に眼の症状が現れるといわれており、汎(はん)ぶどう膜炎の形をとることがほとんどです。
原因はよくわかっていませんが、感染症などがきっかけになって免疫反応が亢進することによると考えられます。

○ぶどう膜炎とは… 眼球の内側にある、ぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)に炎症を起こす疾患。ぶどう膜炎自体は一つの疾患を指しているのではなく、様々な疾患の一つの表現形である。充血、眼痛、視力障害をおこす。

○汎ぶどう膜炎とは… 炎症が目のすべての主要な部分に影響を与える場合を指します。

サルコイドーシスの部位別に現れる症状

◇肺

胸部X線写真で両側肺門部リンパ節の腫大(Bilateral Hilar Lymphadenopathy; BHL)が健診などで 偶然発見される場合が多い です。この場合には、自覚症状はほとんどありません。また、若くてBHLだけで見つかって、あまり症状もないという患者さんでは、 8割がた自然になおって しまいます。それから、病気が肺の中まですすんできて胸部X線写真でびっくりするほどの陰影があってもあまり 自覚症状がない のが、この病気の特徴のひとつです。逆にいうと、肺のサルコイドーシスは病気がすすんでもあまり症状がなくて、進展度が自分ではわからないわけですから、定期的に医療機関で胸部X線写真を検査し続けることが必要です。 それでも肺の陰影が長く続くと、進行して 「肺線維症」 という状態になって、 せきや息切れ がでてくることがあります。自然になおってしまう患者さんがいる一方、肺線維症になって、肺移植の適応になる方もおられるわけです。あまり進行する前に治療を開始する必要があります。

◇眼

日本では、欧米に比べて、 目の症状をきっかけに発見 されることが多いのが特徴です。ほとんどの場合、目の ぶどう膜という部分に炎症 がおこり、 ものがかすんで見えたり(霧視)、まぶしくなったり(羞明)、蚊が飛んでいるように見えたり(飛蚊症)、目が充血したり、視力が低下 したりします。ブドウ膜炎をおこす病気として、昔はベーチェット病が第一位で、サルコイドーシス、原田氏病がそれに続いていましたが、現在は全国的にサルコイドーシスが一位になっています。患者さんは目の症状ですから眼科を受診されますが、そこでふ「どう膜炎」と診断されたら、サルコイドーシスなどほかの病気である可能性を考えて内科にも受診して、全身検査をする必要があります。 合併症として、白内障、緑内障、ドライアイなどがあり、全体の約3%が失明 したという統計がありますので、はじめから適切な治療をすることがたいせつです。

◇皮膚

わが国では福代先生の分類があります。サルコイドーシスの皮膚病変は皮膚サルコイド、瘢痕浸潤、結節性紅斑に分類され、皮膚サルコイドには結節型、局面形成型、皮下型、びまん浸潤型、その他があります。皮膚サルコイドは、生検をするとサルコイドーシスに特徴的な類上皮細胞肉芽腫が認められるものです。瘢痕浸潤は膝などに昔すりむいた痕にできてくる皮疹で、やはり肉芽腫が生検で認められます。結節性紅斑は病気のはじめに下肢にできる紅斑で、生検しても肉芽腫は認められず、ほとんど早期に消えてしまいます。 皮膚サルコイドがよくできる場所は、鼻の横、額、頬、上下肢、胸や背中、腹部や臀部など で、 痛くも痒くもない赤い斑点 ができるのが一番多いパターンで、皮下型は皮膚の下にコリコリ触れるものです。型によって、なおりやすいのもあれば治りづらいのもありますが、多くはゆっくりと治っていくものと思ってください。女性で両方の頬に赤くできてきた場合が美容上も困るわけですが、塗り薬などではとても治りませんので、早く良くしたければ、一時期を我慢してやや多めのステロイド薬を服用したほうがよいでしょう。ミノサイクリンやドキシサイクリンが有効な例もありますが治療法として確立されたものではありません。

◇心臓

日本には眼病変が多いと話しましたが、心臓病変も多いのが特徴です。 日本人サルコイドーシスの約10%に心臓に病変 があり、大きく分けて2種類の病変があります。1つは刺激伝導系が侵されて 不整脈がおこる場合 、もう1つは 心臓を収縮させる筋肉が侵される場合 です。前者は、偶然心電図で発見されたり、患者さんが不整脈を自覚されたり、あるいは高度の房室ブロックのために心臓の実質的拍動が弱まって、意識消失(失神)で緊急受診となったりします。高度の房室ブロックでは、原因が何であれペースメーカーが挿入されて急場をしのぐことが多いでしょう。後者の場合は、放置すると心臓の拍出力が次第に落ちてきて動くと息切れがする、 慢性心不全 になってきますので、診断がなされたら早めに十分な治療を開始する必要があります。 欧米のサルコイドーシスの死因で最も多いのは肺の病気による呼吸不全ですが、 日本でもっとも多いのは、心臓病変 によるものです。ですから、サルコイドーシスの患者さんでは、落ちついておられても、定期的に心臓の検査を行います。

サルコイドーシスの検査と診断

血液検査
アンジオテンシン変換酵素(ACE)は70〜80%の症例で高くなり、この病気の活動性の指標としても重要です。

胸部X線および胸部CT検査
両側肺門リンパ節のはれ具合や、肺全体にわたって小さな塊がないか調べます。

気管支鏡検査
気管支のなかを食塩水で洗い、その洗浄液のなかに含まれる細胞、とくにリンパ球の数や白血球表面マーカーでのCD4とCD8の比の上昇を調べます。

組織検査
顕微鏡で類上皮細胞肉芽腫を確認すること(生検)で診断されます。表在リンパ節の腫脹(しゅちょう)または皮膚病変があれば、まずこの部位の生検を行います。気管支鏡検査で、肺の一部を取って調べることもあります(経気管支肺生検)。

サルコイドーシスの治療方法

患者さんの5〜10%では、病気が長期間続くことがありますが、 70〜80%では発病3年以内におさまります。 日本人のデータに基づくエビデンス(治療の根拠)がまとめられており、無症状なら基本的には治療はせずに、病気の経過を見守ります。ぶどう膜炎には、ステロイド薬の点眼・結膜下注射のほか、散瞳(さんどう)薬を併用します。
一方、以下の場合にはステロイド薬を中心とした薬物療法を行います。

(1)肺病変が進行して咳(せき)・呼吸困難などの症状が強い例

(2)心症状がある

(3)神経症状がある

(4)点眼薬で改善しない活動性眼病変

(5)顔面など美容上問題となる皮膚病変

(6)持続する高カルシウム血症または尿崩症がある例

ステロイド薬の投与法は、症例により異なり一律には決められませんが、一般に初回投与量はプレドニゾロン1日15〜30mg相当で始め、1カ月以上続けます。軽快傾向がみられたら、以後は自覚症状や検査所見を参考にしながら徐々に減らしていきます。

サルコイドーシスの詳細

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