全身性エリテマトーデス,全身性紅斑性狼瘡,SLEの詳細

 自分自身の体の組織に障害を与える抗体(自己抗体)ができ、さまざまな臓器で炎症を引き起こす病気です。よくなったり(寛解(かんかい))、悪くなったり(増悪(ぞうあく))を繰り返しながら慢性に経過します。...
 ループスエリテマトーデス(LE)とは、頬などの露出部に特徴的な赤い斑点(紅斑(こうはん))が現れ、徐々に広がる膠原病(こうげんびょう)の総称で、主なものに全身型と皮膚限局型があります。  LEの語源...
 全身性エリテマトーデス(SLE)は、細胞の核成分に対する抗体を中心とした自己抗体(自分の体の成分と反応する抗体)が作られてしまうために、全身の諸臓器が侵されてしまう病気です。よくなったり悪くなったり...

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【図解付き】免疫機能不全による病気(膠原病、全身性エリテマトーデス)など

循環器の―One Point Column 免疫機能が正常にはたらかず、外敵からからだの防御ができなくなると感染症などの病気を引き起こします。 膠原病とは全身の関節、血管、内臓など、広範囲に障害をおこ... 続きを読む

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全身性エリテマトーデス(SLE)とは、自分自身の体の組織に障害を与える抗体(自己抗体)ができ、さまざまな臓器で炎症を引き起こす病気です。よくなったり(寛解(かんかい))、悪くなったり(増悪(ぞうあく))を繰り返しながら慢性に経過します。

全身性エリテマトーデスとはどんな病気なの?

膠原病 (こうげんびょう)の一種として考えられている病気です。全身の臓器に原因不明の炎症がおこり、その独特の形から蝶形紅斑と呼ばれる 頬から鼻にかけての紅斑や、全身にじんましん、紫斑、皮膚腫瘍 などが現れます。

発生頻度は 圧倒的に女性に多く 、男女比は1:10程度。日本には約5~7万人くらいの患者がいます。また若年層に頻発し、 20歳~30歳代 の出産可能な若い年代での発症が多いことから、女性ホルモンとのかかわりがあると考えられています。

発症の原因はウイルス感染のほか、日光に当たること、外科手術、妊娠、ストレスなどです。

○膠原病とは… 膠原病とは 全身の関節、血管、内臓など、広範囲に障害をおこす病気 です。血液中の抗体が、正常にはたらかず、自分の細胞に反応するなど異常な振るまいで自らの組織を攻撃し、発病すると考えられています。
発熱、倦怠感、関節痛や、手足の動脈に血流が不足 して、冷感や皮膚の色が変化するレイノー現象などを伴います。
病状は慢性化し、一進一退を続けながら、重症の場合は死に至ることもあります。現在でも 正確な原因の解明はされておらず、治療法などもみつけられていない難病 です。

全身性エリテマトーデスの部位別に現れる症状

一般的に、全身症状、皮膚や関節症状がほとんどの患者さんに見られます。これに、さまざまな内臓、血管の病気が加わります。しかし、これらの症状の組み合わせは患者さん毎に異なります。内臓の症状が全くない軽症のタイプもあります。


◇全身症状
発熱、全身倦怠感、易疲労感、食欲不振など


◇関節症状
手や指が腫れて痛い関節炎を起こします。肘、膝などの大きな関節や手の指など、日によって場所が変わる 移動性の関節炎 が見られることもあります。


◇皮膚症状
もっとも有名なのは、 頬に出来る赤い発疹で、蝶が羽を広げている形 をしているので、蝶型紅斑(バタフライ・ラッシュ)と呼ばれています。 皮膚をさわると、発疹が重なりあい、少し盛り上がっているのが特徴です。同じ、頬に出来るものでも、盛り上がりのない、ハケで薄紅色の絵の具をぬったような紅斑も見られます。また、一つ一つが丸く、ディスク状(レコード盤様)のディスコイド疹も、この病気に特徴的で、顔面、耳介、頭部、関節背面などによくみられます。


◇日光感敏症
強い紫外線にあたった後に、皮膚に赤い発疹、水膨れ、あるいは熱が出る人がいます。このような症状は、 日光過敏症 といい、この病気でよく見られます。この症状が、病気の始まりであることも少なくありません。しかし、この病気以外にも、日光過敏症を起こす病気がいくつかありますので、それらとの区別が必要です。


◇口内炎
多くは、口の奥、頬にあたる部位や上顎側に出来る粘膜面がへこんだもので、痛みが無く自分で気付かないことがしばしばですが、時に痛みを伴うこともあります。


◇脱毛
朝起きたときに、枕にこれまでなかったほどたくさん髪の毛がつくようになります。また、円形脱毛のように、部分的に髪の毛が抜けたり、全体の髪の量が減ったりすることもあります。また、髪が痛みやすく、髪の毛が途中から折れてしまう人もいます。上で述べたディスコイド疹が頭部に見られると、その部分の脱毛が治らないことが多いので、積極的に治療をする必要があります。


◇臓器障害
様々なものが知られています。すべての症状が起こるわけではなく、一人一人によって、出てくる症状、障害される臓器の数が違います。全く臓器障害のない、軽症の人もいます。特に 腎臓 (ループス腎炎と呼ばれることがあります)、 神経精神症状、心病変、肺病変、消化器病変、血液異常 などは生命に関わる重要な障害になることがありますから、きちんとした診断と治療が必要です。

全身性エリテマトーデスの検査と診断

一般的な検査としては、血沈(けっちん)(赤血球沈降速度)、尿、末梢血血液検査、胸部X線、心電図などが必要です。免疫血清検査では、免疫グロブリン、補体などの測定に加えて、抗核抗体・抗DNA抗体・抗Sm抗体・抗リン脂質抗体(抗カルジオリピン抗体、ループス抗凝血素、梅毒血清反応生物学的擬陽性)といった自己抗体の検査が重要です。

SLEそのものの診断は、1982年のアメリカリウマチ協会の「改訂基準」(1997年に改変)に照らして行われます。
SLEの活動性の指標としては、抗DNA抗体と補体が最も鋭敏で、活動性が高いと抗DNA抗体は上昇し、補体は低下します。一般的な炎症のマーカーである血清のC反応性蛋白は、SLEではあまり上昇しません。

全身性エリテマトーデスの治療方法

治療の中心は、 免疫のはたらきを抑えることと、炎症を止めること で、そのための第一選択薬は副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)です。効果不十分の場合は、ステロイドのパルス療法や免疫抑制薬の併用が行われます。
こうした治療により、現在SLE全体としての 5年生存率は90%を超えて います。死因で多いのは、 中枢神経障害、腎不全、感染症 です。

ステロイドの副作用 には、 満月様顔貌 (がんぼう)、 消化性潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症 (こつそしょうしょう)などがあります。とくに、ステロイドの内服量が多い間は、ニューモシスチス肺炎などの日和見(ひよりみ)感染に気をつける必要があり、ST合剤の内服やペンタミジンの吸入で予防します。骨粗鬆症はほぼ必発で、プレドニゾロン1日5mgであっても進行するため、活性型ビタミンD製剤やビスフォスホネート製剤などの予防内服が必要です。