日本脳炎,その他のウイルス性脳炎の詳細

 発熱、頭痛、意識障害、けいれん、昏睡(こんすい)へと進行する、死亡率も高い重症の脳炎で、アジア地域に広く分布しています。
 コガタアカイエ蚊による日本脳炎ウイルスによって広められます。インド、タイなどのアジア地区での流行では小児に多発していますが、日本では、主として成人・高齢者にみられます。病理学的に日本脳炎の好発部位は...
 コガタアカイエ蚊による日本脳炎ウイルスによって広められます。インド、タイなどのアジア地区での流行では小児に多発していますが、日本では、主として成人・高齢者にみられます。病理学的に日本脳炎の好発部位は...
 日本脳炎ウイルスをもった蚊に刺されることでウイルスに感染し、体のなかで増えたウイルスが、脳や脊髄(せきずい)に入って起こす病気です。日本脳炎ウイルスは主にブタの体内で大量に増えて、その血を吸った蚊が...

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日本脳炎ウイルスをもった蚊に刺されることでウイルスに感染し、体のなかで増えたウイルスが、脳や脊髄に入って起こす病気です。日本脳炎ウイルスは主にブタの体内で大量に増えて、その血を吸った蚊が感染しウイルスをもちます。蚊が活動する初夏〜秋にかけて、関東より西の地域で発生します。また、東アジアや東南アジアでも日本脳炎が流行しているので、これらの国で感染する場合もあります。

日本脳炎とはどんな病気? 原因は?

日本脳炎ウイルスに感染したブタの血を吸った蚊(コガタアカイエカ)に刺されて感染します。 潜伏期間は1週間前後 です。
インド、タイなどのアジア地区での流行では小児に多発していますが、日本では、主として 成人・高齢者 にみられます。
日本の日本脳炎患者数は、1990年以降は年間ほぼ10人程度の発症とされています。一方、インド、タイなどアジア地区においては、現在なお年間に1000人を超える大流行がみられます。

日本ではまれな病気になっていますが、日本脳炎ウイルスを広めるコガタアカイエ蚊の活動も確認されており、かつワクチン接種が減っている現状を考慮すると、再び増加に転じる可能性もあります。

日本脳炎の症状と治療法

日本脳炎の症状の現れ方

蚊に刺されてウイルスに感染してから 6〜16日くらい で、 体がだるく頭痛やむかつきが出て、時に吐くことも あります。その後熱が出て 意識障害 が現れたり、 首の後ろが硬くなる、手足に震えがくる、硬く動かなくなる、勝手に動く 、などの症状や 麻痺症状 が現れます。脳炎が進行すると、脳がはれて けいれんが起こったり、呼吸ができなくなります

日本脳炎ウイルスといっても、必ずしも脳炎だけを起こすわけではありません。脊髄炎 を起こしたり、髄膜炎 (ずいまくえん)の症状(頭痛、吐き気、首の後ろの硬直など)だけで回復する場合もあります。また、ウイルスをもった蚊に刺されても、 発病する人は300人に1人 くらいです。

その他のウイルスによる脳炎も、蚊が媒介するしないにかかわらず、症状はよく似ています。

日本脳炎の治療方法

日本脳炎に対する治療は、 ウイルスそのものに対する治療薬はない ので、症状を和らげる治療をします。とくに、脳のはれを抑える、けいれんを予防する、呼吸を安定させるといった治療が大切です。治療が長期化することが多いので、肺炎 などの合併症の予防や早期発見も重要です。

日本脳炎の 死亡率は約30% で、 後遺症には認知症、パーキンソン症状、四肢麻痺 などが残ります。現在のところ、特異的な抗ウイルス薬はなく、全身管理や脳浮腫(のうふしゅ)対策が主体ですが、副腎皮質ステロイド薬の有効性は確認されていません。
 ワクチンは予防に有効なので、 流行地域に行く時には接種を行う ことがすすめられます。

日本脳炎に気づいたらどうする

発熱性の疾患ではどの疾患も同じことですが、高熱だけでは心配することはありません。 けいれんも多くの場合には2〜3分以内に治まる 熱性けいれん なので、体を横にして楽な姿勢をとらせて様子をみます。嘔吐があると誤嚥(ごえん)の危険があるので、 顔を横に向けて吐物がのどにたまらないように します。

けいれんが治まっても 呼吸が不規則だったり、顔色が悪いまま だったり、あるいは けいれんが10分以上続いたり、何度も繰り返す時にはすぐに 小児科医のいる、入院施設のある病院を受診してください。 内科医や外来診療だけの病院に行くのは時間の無駄ですし、手遅れになる場合もあります。

日本では 日本脳炎が子どもに発病することはほとんどなく 、予防接種の必要性を否定する向きもあります。しかし、北海道以外の地域では毎年夏になると日本脳炎汚染ブタが多数出ているので、 定期接種を忘れないように します。改良ワクチンが開発されています。

日本での 日本脳炎の発症は、7〜9月初めにかけて です。診断には、 発熱、意識障害、大脳巣症状 (片麻痺やパーキンソン症状)などの起こり方を聞くことが大切です。意識障害がある患者さんからは聞き取りにくいので、家族や同居人から状態を聞く必要があります。

日本脳炎を予防するワクチンについて

日本脳炎に対しては日本をはじめ韓国、台湾、東南アジアなどでも広く使われている 不活化ワクチン(ウイルスを殺したワクチン) があります。これは従来マウスの脳から作られていましたが、現在は培養細胞にウイルスを接種して作ったワクチンが使われ始めています。

日本では 小児に定期接種 がすすめられています。接種年齢は次の2期に分かれています。

  • I期:初回は生後6カ月以上90カ月未満(標準的には3歳)の幼児に1〜4週の間隔で2回、I期の初回終了後おおむね1年おいて(標準的には4歳)追加1回。
  • II期:9歳以上13歳未満(標準的には小学校4年生)で1回。

ただし、不活化ワクチンは5年で効果が薄れ始めるため、その後 成人しても日本脳炎ウイルスの活動の活発な地域に居住する人や流行地に出かける時は、追加接種 するのがよいでしょう。

夏の旅行は蚊による感染症に注意! 4つの命に関わる感染症

蚊が媒介する病気に感染すると、重症化して命にかかわることもあります。流行地を訪れるときは、病気の特徴を知って対策を立てましょう。

<デング熱>

  • アジアやアフリカ、中南米などの熱帯* 亜熱帯地域で発生。
  • 感染源はデングウイルスを持つ蚊。昼間、都市部にも生息。
  • 潜伏期間は2~15日。症状は突然の発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹など。多くは1週間程度で回復するが、一部は重症化して出血やショック症状をきたすことがある。
  • 特効薬はなく、対症療法が中心。有効なワクチンもない。


<マラリア>

  • アジア、アフリカ、中南米などの熱帯* 亜熱帯地域で発生。
  • 感染源はマラリア原虫を持つ蚊。夕方から夜間に出没する傾向あり。
  • マラリア原虫の種類によって異なるが、潜伏期間は7日~数カ月、症状は高熱、悪寒、震え、息苦しさ、結膜の充血、おう吐、頭痛、筋肉痛など。
  • 抗マラリア薬が有効だが、治療が遅れると重症化し命にかかわる。滞在日数などによって予防薬の内服がすすめられる。

<ウエストナイル熱>

  • アフリカ、ヨーロッパ、中東、中央アジア、西アジアなどで発生していたが、近年は北米、中南米、ロシアにも広がっている。
  • 感染源はウエストナイルウイルスを持つ蚊。
  • 感染者の約2割が発症。潜伏期間は2~14日、症状は高熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹など。ごく一部は重症の脳炎を発症する。
  • 特効薬はなく、対症療法が中心。有効なワクチンもない。

<日本脳炎>

  • 日本を含むアジアで多く発生。
  • 感染源は日本脳炎ウイルスに感染した豚の血を吸った蚊。
  • 感染しても発病するのは100~1000人に1人程度。潜伏期間は6~16日。症状は高熱、頭痛、おう吐などが数日間続き、その後意識障害、けいれん、異常行動、筋肉の硬直などが現れる。
  • 発病者の死亡率は高く、生存者も多くは後遺症が残る。
  • 有効な治療法はなく、ワクチンが有効。
  • 平成7~18年度に生まれた人は、予防接種が不十分になっている可能性がある。