破傷風の詳細

 傷から破傷風菌が侵入したのち、けいれんを起こす病気で、発症した人のおよそ3人に1人が死に至る恐ろしい病気です。ただし、破傷風のワクチンをきちんと受けた子どもの発症例はほとんどありません。
 破傷風菌が傷口(創(そう))などから体内に侵入して増殖すると、細菌がつくる毒素により、開口障害やけいれんなどの特有な症状が現れ、重症になる致死性の疾患です。  日本では、1953年から破傷風ワクチン...
 土壌中にひろく常在する破傷風菌が傷口から体内に進入し、菌が出す毒素によって全身の筋肉がけいれん・麻痺する病気です。平成18年の全国統計によれば、年間117例が報告され、しかもその95%は30歳以上の...

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創感染予防および破傷風予防(外傷)

創感染予防 <br>傷や創(皮下組織にまで達した傷)は、感染があると治癒のメカニズムがはたらきません。生体は、ある一定の病原微生物の侵入に対して殺菌できますが、その数を超えると病原微生物は増殖し、組... 続きを読む

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土壌中にひろく常在する破傷風菌が傷口から体内に進入し、菌が出す毒素によって全身の筋肉がけいれん・麻痺する病気です。平成18年の全国統計によれば、年間117例が報告され、しかもその95%は30歳以上の成人でした。

破傷風とはどんな病気なの?

破傷風菌が傷口などから体内に侵入して増殖すると、細菌がつくる毒素により、開口障害(口が開きにくい)やけいれんなどの特有な症状が現れ、重症になる致死性の疾患です。

日本では、1953年から破傷風ワクチンの任意接種が開始され、1968年からは 三種混合ワクチンジフテリア 、破傷風、百日咳 (ひゃくにちぜき))のひとつとして実施されました。その結果、1950年ころは年間数千人いた破傷風患者が、 現在では年間50〜100人程度 にまで減りました。

発症後の治療は難しく、 死亡率は一般に30%以上 で、高齢者ほど重くなるため、予防が重視されています。

破傷風の原因

破傷風菌は、 地表から数cm付近の土や泥のなか などの嫌気性環境(酸素が少ない環境)で生息、増殖します。適さない環境では芽胞(がほう)という硬い膜におおわれて保存されます。創(傷口)などから砂粒や木片などが入って体内に残ると、付着していた破傷風菌が皮下などの組織で増殖して毒素を放出します。毒素はヒトの神経の一部に接合して神経の興奮を持続的に引き起こすため、全身や顔面の筋肉のけいれんなどの症状が現れます。

一般的には、刺創 のような深い創から感染するとされていますが、小さな創からも感染することがあります(4分の1は外傷歴不明例)。また、 まれに分娩時の不適切な臍帯(さいたい)処理により感染 し、新生児破傷風あるいは妊婦の産褥性(さんじょくせい)破傷風として発症する場合や、消化管などの手術時に感染する場合もあります。

破傷風の症状~検査と診断

潜伏期は2日〜8週間 であり、一般的に感染から発症までの時間が短いほど、また開口障害から全身けいれんまでの時間(オンセット・タイム)が短いほど高い死亡率を示します。

典型的な全身のけいれんを示す全身性破傷風、けいれんが創の周囲に限られている限局性破傷風、頭部の創から感染して顔面神経を中心とする脳神経の麻痺を来す頭部破傷風、新生児破傷風に分類されます。

第1期では全身の倦怠感 (けんたいかん)などの不定愁訴で、この時期の診断は困難です。 第2期の顔の筋肉がこわばり、口が開きにくくなる特徴的な症状 を牙関緊急(がかんきんきゅう)といい、こわばりから笑っているような顔の症状を痙笑(けいしょう)(ひきつり笑い)といいます。このような症状や所見から、歯科や耳鼻科を受診するケースが多く、破傷風と診断されると集中治療室がある病院へ送られます。この時期での診断とすみやかに治療を開始することが大切です。 第3期は全身的な筋肉のけいれん が現れる時期で、けいれんして背中が反り返る後弓反張(こうきゅうはんちょう)などの特徴的な症状を示します。呼吸筋のけいれんにより呼吸ができないため、人工呼吸器が必要になります。呼吸や血圧の管理が必要で、ICUなどでの集中治療が必要です。 神経に結合した毒素の作用が低下すると、第4期の回復期 に入ります。

破傷風の診断~治療方法

破傷風の検査と診断

感染部位の一部を切り取って調べる検査(生検)を行います。しかし、細菌培養によって診断が確定することはむしろまれで、感染部位が特定されない場合も少なくないので、主に症状から診断が行われています。

破傷風の治療方法

毒素中和のため、ただちに抗破傷風免疫グロブリンの投与を行いますが、いったん体に取りついた毒素は中和できません。対症療法として、全身の管理を集中治療室で行います。

予防接種が有効ですが、たとえ小児期に接種を受けていても、5〜10年で予防効果は薄れます。そのため、成人の外傷の場合は、追加接種が行われています。

事故などで破傷風を発症するおそれのある場合には、発症の予防を目的に、沈降破傷風トキソイドが投与されます。

破傷風に気づいたらどうする

医師の診断を受けることが必要です。破傷風は、5類感染症全数把握疾患に定められていますので、診断した医師は7日以内に最寄りの保健所へ届け出る必要があります。

こんな時は破傷風に注意!

動物咬傷
哺乳類によって咬まれた創(傷のこと)をいいます。 イヌやヒトの口腔内は雑菌が多数存在 し、また唾液などの消化酵素を含んでいるため、組織の融解(ゆうかい)・壊死(えし)や感染の合併が非常に多く起こります。

感染を起こすと発赤、腫脹(しゅちょう)(はれ)、疼痛を伴い、膿性の分泌物 が認められます。破傷風 (はしょうふう)の予防のために、抗生物質とともに、患者さんの免疫状態に応じてトキソイド、破傷風免疫ヒトグロブリンを投与します。

刺創
刺創とは、汚染された包丁やナイフなど先端の鋭利な刃物や、アイスピック、錐(きり)、針、釘(くぎ)、鉛筆、箸(はし)などの器物が先端から刺入することによって生じる創(そう)です。「創」とは、皮膚の皮下組織や筋肉などにまで達した傷のことです。

とくに感染症では、生命に関わる ガス壊疽(えそ)や破傷風 (はしょうふう)などの嫌気性菌(けんきせいきん)(酸素が少ないところで繁殖する細菌)によるものがあげられます。これらの感染症の予防として、消毒、抗菌薬の適切な使用、破傷風トキソイドワクチンの接種が必要になります。