消化性潰瘍,胃・十二指腸潰瘍の詳細

 消化性潰瘍とは、何らかの原因で胃・十二指腸の粘膜が深く損傷した状態になっていることをいいます。近年、子どもの領域でも内視鏡検査が普及してきたことにより、確定診断されるケースが少なくありません。  ま...
 胃酸の影響を受けて潰瘍を形成するものを総称して消化性潰瘍(しょうかせいかいよう)と呼んでいます。消化性潰瘍の代表は、胃潰瘍と十二指腸潰瘍です。  胃潰瘍は、40歳以降の人に多くみられるのに対し、十二...

消化性潰瘍,胃・十二指腸潰瘍の関連コラム

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違い(食道・胃・腸の病気)

<br>胃潰瘍と十二指腸潰瘍を併せて消化性潰瘍と呼んでいます。つまり、2つとも胃内の塩酸が原因で生じてくる病気です。もし、塩酸がなければ、ストレスがかかろうと、ピロリ菌が感染しようと、また薬剤を服用... 続きを読む

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胃酸の影響を受けて潰瘍を形成するものを総称して消化性潰瘍(しょうかせいかいよう)と呼んでいます。消化性潰瘍の代表は、胃潰瘍と十二指腸潰瘍です。
胃潰瘍は、40歳以降の人に多くみられるのに対し、十二指腸潰瘍は10〜20代の若年者に多くみられます。十二指腸潰瘍の患者さんは、過酸症(かさんしょう)であることが圧倒的に多いのですが、胃潰瘍の患者さんは、胃酸の分泌は正常かやや少なめの場合がほとんどといわれています。 また、ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)感染が、消化性潰瘍の一因であることがわかってきています。胃潰瘍の多くはピロリ菌陰性の急性潰瘍で6歳以下に、十二指腸潰瘍の多くはピロリ菌陽性の慢性潰瘍で10歳以上に多い傾向があります。

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)とは

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)はどのようにして病気を起こすのか

 ピロリ菌が、どのように胃の粘膜を障害していくのかについてはまだ十分わかっていません。ひとつには、ピロリ菌によって生じたアンモニアが胃の粘膜を障害することが明らかになっています。また、この菌がもっている蛋白分解酵素が粘液を分解し、胃の防御機構を低下させることによって酸の障害性を増強する機序(仕組み)も考えられています。

 ピロリ菌は、感染すると白血球やリンパ球などの炎症細胞浸潤(しんじゅん)を胃粘膜に引き起こしますが、呼び出されてきた白血球などから活性酸素や種々の細胞障害物質が放出されて、細胞障害を起こすともいわれています。

感染の状況

 健康な人におけるピロリ菌の感染率は、年齢が増すとともに上昇することが明らかになっていますが、国や地域で大きな差が認められます。一般に、衛生環境のよくない開発途上国では、若い年齢層から感染率が高く、年代別変化がほとんど認められないといわれています。欧米諸国では、若い年齢層ではピロリ菌の感染はほとんど認められず、年齢をへるごとに増加していく傾向を示します。

 日本の場合は、欧米諸国と開発途上国の中間のパターンを示していることが明らかになってきました。日本の20歳までの若い人たちのピロリ菌の感染率は低く、20%以下の低い値を示しています。これに対して50歳以上の世代では、感染率が80%と極めて高い状態を示しています。

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の検査と診断

 ピロリ菌感染の診断法は、内視鏡検査を必要とするものと、しないものに分けることができます。内視鏡検査を必要とする診断法は、内視鏡を挿入し胃粘膜を観察しながら、生検鉗子(せいけんかんし)を用いて組織を得る方法です。患者さんにとっては、内視鏡をのむという苦しみを伴うので、侵襲的(しんしゅうてき)診断法とも呼ばれます。

 内視鏡を必要としない検査法としては、血清抗体を測定する方法や、呼気中の二酸化炭素を分析する尿素呼気(にょうそこき)試験などが行われています。この検査法は苦痛がなく、感度もよくなってきているので、最近盛んに行われるようになりました。

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の治療方法

 ピロリ菌は、胃粘膜表層や粘液中にすみついているので、単独の抗生剤での駆除が難しい細菌です。そのため、いくつかの薬剤を併用する方法が行われています。抗潰瘍薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)とアモキシシリン(合成ペニシリン系抗生剤)、クラリスロマイシン(マクロライド系抗生剤)の3者併用療法が日本で保険適応となっており、1週間で90%前後の高い除菌率が報告されています。

 二次除菌法として、クラリスロマイシンの代わりにメトロニダゾール(抗原虫剤)を使用する療法も保険適用になりました。

 副作用としては、軟便、下痢などが10%前後生じますが、ほとんどが軽度のものです。

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に気づいたらどうする

 ピロリ菌の感染者は、日本の総人口の約半数(6000万人)くらいと考えられています。1993年のデータでは、このうち2〜3%前後が胃・十二指腸潰瘍 を発症し、0・4%が胃がん を発症したといわれています。

 日本から除菌により胃がんの発生が3分の1に抑制されるという結果が発表され、大きな反響を呼んでいます。日本ヘリコバクター学会は、改訂ガイドラインでピロリ菌陽性者の除菌を積極的にすすめています。