【認知症の基本情報】原因となる病気や特徴・症状・進行などについて解説


  • 出典:株式会社法研「認知症の9大法則 50症状と対応策」
  • 著者:杉山 孝博川崎幸(さいわい)クリニック院長

認知症は、脳に障害を及ぼす病気や怪我などが原因で起こる症状です。この原因によって、症状の現れ方や進行の仕方が異なります。認知症を引き起こす主な病気のうち、最も多いのはアルツハイマー病で全体の約60%、次いで血管性疾患とレビー小体型が合計で約30%、特発性正常圧水頭症が約5%、残りがそのほかとなっています。根治が難しい病気もありますが、適切な治療や対処を行えば症状の改善や進行の抑制が可能です。

慢性硬膜下血腫や特発性正常圧水頭症は、手術により症状を劇的に改善することもできます。ただし、いずれも早期発見、早期治療が重要です。病気の特徴を知り、気をつけるポイントを押さえ、早期に適切に治療できるようにしましょう。

病 名 根治は難しいもの 手術で改善できるもの
アルツハイマー型認知症 脳血管性認知症 レビー小体型認知症 前頭側頭型認知症(ピック病) 慢性硬膜下血腫 特発生正常圧水頭症
原 因 脳の神経細胞が死滅し、脳が委縮する 脳出血、脳梗塞など脳卒中により、神経細胞が死滅する レビー小体という特殊なたんぱく質が神経細胞に沈着する 脳の前頭葉から側頭葉が委縮する 頭部の打撲などにより、頭蓋骨と脳の間に徐々に血液がたまり脳を圧迫する 脳脊髄液が脳室に過剰にたまって脳を圧迫する
好発年齢・性別 75歳以上の人に増えている。女性に多い 60~70歳代の男性に多い 70歳前後の男性に多い 性差はほとんどない 60歳以上の男性やアルコール常飲者などに多い 70歳代以上で、男性がやや多い
進行の特徴 ゆるやかな下り坂を転がるように、徐々に進行する 脳卒中の発作を起こすたびに急激に進行する ゆっくり年単位で進行する ゆっくり年単位で進行する 発症まではゆるやかだが、発症後は数日で進行する ゆっくり進行することが多いが、急に悪化することもある
症状の特徴 物忘れから始まり、次第に大脳機能が失われて、末期には寝たきりになる可能性がある 脳の障害を受けた部分の働きは悪くなるが、正常な部分もあるため症状はまだらにあらわれる。麻痺を伴うことも多い パーキンソン病のような手の震えや小刻み歩行、生なましい幻視、うつ症状などがある 意欲障害、性格変化、反社会的な行動など。初期には、記憶障害はあまりない 打撲後2週間~3カ月の間に頭痛、半身まひ、けいれんなどが出現する 歩行障害、物忘れなどの認知症状、失禁などが起こる
対処・治療法 根治は困難だが、進行を遅らせる薬や周辺症状を改善する薬がある 血栓をとかす、脳の血管を広げるなど、脳卒中の治療とリハビリを行う 症状が多彩で、薬の影響も受けやすいので慎重な対応が必要 有効な治療法はない。症状によって向精神薬や抗うつ剤などが用いられる 頭蓋骨に穴を開け、血腫を取り除く手術を行う 脳脊髄液を排出させる「髄液シャント術」などを行う

その他の記事 - 第4章 認知症の基本情報
その他の章の記事 - 認知症の9大法則