【認知症の基本情報】治療薬の効用や副作用について


  • 出典:株式会社法研「認知症の9大法則 50症状と対応策」
  • 著者:杉山 孝博川崎幸(さいわい)クリニック院長

認知症は、薬物療法によって進行を抑えたり、症状を改善したりすることができます。

認知症で最も多いアルツハイマー型認知症は、アセチルコリンという脳の神経伝達物質が極端に減少するのが特徴です。このアセチルコリンは脳でつくられ、働きを終えると分解酵素によって分解されるため、その酵素の働きを阻害してアセチルコリンを脳内に留めるための薬が用いられます。代表的な薬が、日本で開発されたアリセプトです。このほか、2011年にはレミニール、リバスタッチ、メマリーなど3種類の新薬が登場し、治療の幅が広がりました。

脳血管性認知症は、脳卒中の発作により悪化するため、再発予防が重要です。高血圧、糖尿病、動脈硬化症など、脳卒中の原因となる病気を治療します。

レビー小体型認知症の専門の薬はありません。それぞれの症状に合わせて、アルツハイマー型認知症と同じ薬や抗精神病薬、抗不安薬などが処方されます。

抑うつ、妄想、徘徊などの周辺症状にも、抗精神病薬、抗不安薬などが有効です。脳血管性認知症の意欲の低下や興奮などの症状は、脳循環代謝改善剤で改善されることがあります。

アルツハイマー型認知症の治療薬

商品名(一般名) メマンチン塩酸塩(商品名:メマリー) リバスタッチ、イクセロン(リバスチグミン) レミニール(ガランタミン臭化水素酸塩) アリセプト(ドネペジル塩酸塩)
適 応 中等度~重度 軽度~中等度 軽度~中等度 軽度~重度
作用・特徴 神経伝達をコントロールし、興奮や攻撃性などを抑える。アリセプトなどと併用できる アリセプトと同様の効果がある。貼り薬なので飲み薬が服用しにくい人にも使える アリセプトと同様の効果がある。記憶力や集中力などが改善する 認知症の中核症状を改善する。脳の働きが活性化し、意欲も高まる
副作用 めまい、眠気、頭痛、便秘、高血圧など 皮膚の発赤、かゆみ、かぶれ、食欲不振など 下痢、嘔吐、食欲不振、腹痛など 比較的少ないといわれているが下痢、嘔吐、食欲不振、腹痛など

周辺症状(行動・心理症状)の治療薬

種 類 抗精神病薬 抗不安薬 脳循環・代謝改善薬 漢方薬
商品名(一般名) リスパダール(リスペリドン)、ジプレキサ、ジプレキサザイディス(オランザピン) パーロデル(ブロモクリプチンメシル酸塩) リーゼ(クロチアゼパム) サアミオン(ニセルゴリン) 抑肝散
作用・特徴 幻覚、妄想、興奮などを抑制する パーキンソン症状を抑える 不安感、緊張などを和らげる 脳梗塞の後遺症による意欲の低下を改善する 幻覚、興奮、攻撃性などを抑え、不眠、徘徊などを改善する
副作用・注意 転倒しやすくなる。血糖値が上がりやすくなるので糖尿病の人には使えない 吐き気、食欲不振、便秘、幻覚、妄想など 副作用は眠気、ふらつきなど。服用中飲酒は禁忌。依存性に注意する 副作用は食欲不振、下痢、便秘など。12週服用しても効果がなければ中止する 消化器症状、過鎮静、低カリウム血症(筋力低下、不整脈など)など

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