【認知症の9大法則】認知症とは?まずはじめに知って欲しいこと


  • 出典:株式会社法研「認知症の9大法則 50症状と対応策」
  • 著者:杉山 孝博川崎幸(さいわい)クリニック院長

日本における認知症の人の数は、2012年8月の厚生労働省の発表では305万人、2013年5月に厚生労働省研究班の発表した推計値が462万人と増加する一方です。2015年1月に厚生労働省は、2025年には700万人に及ぶと新たに推計しています。この数字は、認知症がもはや他人事ではなく、私たち自身、もしくは家族の誰かがなる可能性が非常に高いことを示しています。

また、認知症高齢者の一人暮らしや、経済的、家庭的、社会的、遺伝的な問題を抱えている若年期認知症の人の増加、認知症の人が認知症の人を介護する「認認介護」が社会的にクローズアップされるなど、問題は多岐にわたっています。

認知症に関する診断・治療体制は充実してきており、2011年には、アルツハイマー型認知症の治療薬が3種類、追加承認されて、合計4種類となりました。しかし残念ながら完治できるまでには至っていません。

認知症になると、生活上のさまざまな混乱が生じます。記憶力、判断力、学習能力などの衰えは、認知症の中核症状と呼ばれています。この中核症状を基礎として、周囲の人との関係の中で起こりうるのが、幻覚、妄想、夜間不眠、暴力、徘徊などの周辺症状です。しかし周辺症状は、周囲の人が認知症の人の気持ちを理解して、安心できるような対応をすることによって軽減したりなくしたりすることができます。それは、これらの認知症の症状が、ある法則に沿って説明できるからです。

それが、私がまとめた「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」です。この法則を知っていただくと、認知症の人が何を感じ、どのような状況であるかがわかってもらえると思います。認知症の人の言動は決して異常ではなく、同じ状況になれば誰もが行う言動にすぎないと知ることで、周囲の人の気持ちは変わります。周囲の人の気持ちが穏やかになると、認知症の人も必ず穏やかになるのです。

本書では、認知症の主な50の症状を取り上げ、なぜその症状が出るのかを「9大法則・1原則」にあてはめて考えながら、適切で有効な対応ができるようになっています。

"知は力なり"です。認知症の人の世界を知って、介護サービスを上手に利用しながら、認知症の人と周囲の人が、よりよい関係性を築けるようになることを希望しています。行政や地域の協力体制も、ととのいはじめています。"認知症になっても安心して住み続けられる街づくり"が実現することを願ってやみません。

杉山孝博


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