ハーセプチン注射用の効能・用量・副作用など

ハーセプチン注射用の基本情報

モノクローナル抗体とは,特定の物質だけに結合する人工的につくった抗体のことです。本剤は,がん細胞の表面にあるHER2(ハーツー)という蛋白に結合して,がん細胞の増殖を抑えます。HER2の過剰発現はさまざまながんでおこりますが,現在のところトラスツズマブは乳がんと胃がん,ペルツズマブとトラスツズマブ エムタンシンは乳がんが適応となっています。
なお,エムタンシンは細胞毒性が強く,単独では医薬品として不適とされていましたが,トラスツズマブと結合させることでHER2の発現したがん細胞に直接送り込むことが可能となり,副作用も抑えられることで医薬品として用いることができるようになりました。

処方薬/市販薬 処方薬/先発品
分類 分子標的治療薬>HER2陽性がん治療薬>トラスツズマブ(遺伝子組み換え)
形状 注射用剤
製造販売会社 中外
保険薬価 注射用剤60mg 1瓶(溶解液付) 24,567.00円
注射用剤150mg 1瓶(溶解液付) 57,515.00円
同じ分類の薬 先発薬: パージェタ点滴静注  カドサイラ点滴静注用   

ハーセプチン注射用の効果・効能

[トラスツズマブ]HER2過剰発現が確認された乳がん,HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん
[ペルツズマブ,トラスツズマブ エムタンシン]HER2陽性の手術不能または再発乳がん

ハーセプチン注射用の使用上の注意と副作用

警告

(1)本剤の使用に際しては,緊急時に十分に措置できる医療施設で,がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師に,本剤の有効性・危険性を十分に聞き・たずね,同意してから受けなければなりません。
(2)本剤の使用によって心不全などの重い心障害が現れ,死亡に至った例も報告されています。
(3)本剤の使用によって,アナフィラキシー様症状・肺障害などの重い副作用(気管支けいれん,重度の血圧低下,急性呼吸促迫症候群など)がおこり,死亡例が報告されています。

基本的注意

*トラスツズマブ(ハーセプチン注射用)の添付文書による

(1)使用してはいけない場合……本剤の成分に対するアレルギーの前歴
(2)特に慎重に使用すべき場合(原則禁忌,処方医と連絡を絶やさないこと)……重い心機能障害
(3)慎重に使用すべき場合……アントラサイクリン系薬剤アントラサイクリン系抗生物質の使用中またはその使用歴/胸部への放射線照射中/心不全症状またはその前歴/左室駆出率が低下している人,コントロール不能な不整脈,臨床上重大な心臓弁膜症/冠動脈疾患(心筋梗塞,狭心症など)またはその前歴/高血圧症またはその前歴/肺転移・循環器疾患などによる安静時呼吸困難またはその前歴/高齢者
(4)検査……本剤を使用中は適宜,心機能検査(心エコーなど)を,特に上記の「慎重使用」の人は頻回に検査を受ける必要があります。
(5)Infusion reaction……注射や点滴を行った後,24時間以内に多く現れる症状などをInfusion reaction(注入反応,点滴反応)といいます。本剤では,発熱,悪寒,吐きけ,嘔吐,疼痛,頭痛,せき,めまい,発疹,無力症などのInfusion reactionが約40%の人に現れます。
(6)二次発がん……本剤と他の抗がん薬の併用により,急性白血病,骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告があります。
(7)その他……
・妊婦での安全性:有益と判断されたときのみ使用。
・授乳婦での安全性:使用するときは授乳を中止。
・小児での安全性:未確立。「薬の知識」共通事項のみかた

副作用の注意
重大な副作用

(1)呼吸困難・起坐呼吸・せきの増加などを伴う心不全,心原性ショック,肺浮腫,心のう液貯留,心筋症,心膜炎,不整脈,徐脈などの心機能障害(アントラサイクリン系薬剤投与中の人は特に注意が必要です)。(2)アナフィラキシー様症状(めまい,耳鳴り,頻脈,呼吸困難,ぜんそく,顔面・咽頭浮腫,気管支けいれん,呼吸不全,胸水,低酸素症など)。(3)間質性肺炎,肺線維症,肺炎,急性呼吸促迫症候群などの肺機能障害。(4)白血球減少,好中球減少,血小板減少,貧血。(5)肝不全,黄疸,肝炎,肝機能障害。(6)腎機能障害。(7)昏睡,脳血管障害,脳浮腫。(8)敗血症。
そのほかにも報告された副作用はあるので,体調がいつもと違うと感じたときは,処方医・薬剤師に相談してください。

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