蒸しタオルを使う温罨法(おんあんぽう)で自然なお通じを。
お通じがない患者さんの看護に、蒸しタオルを腰に当てる方法が効果的。職場では湯たんぽなどを利用しても。

看護師の経験をヒントに始まった

入院患者の便秘の緩和に、「温罨法(おんあんぽう)」という方法が看護の現場で効果を上げています。蒸しタオルで腰やおなかを温めるだけ、という簡単な方法ですから、家庭や職場でも使えそうです。

病院では、手術後の患者さんや介護の必要な人など、自由に動けない人の便秘を緩和する方法として行われてきました。具体的には、蒸すかお湯で温めて絞った60度ほどの熱いタオルを10分ほど腰にあてがっておくやり方が一般的です。
聖路加看護大学看護学部長・菱沼典子教授らの研究報告によると、病院や老人保健施設で便秘に悩む人たちに上記の方法を行ったところ、半数以上でお通じがありました。さらに便秘を自覚している健常女性を対象に行った調査では、60度の熱布(1日1回10分)と40度の温熱シート(1日5時間)を使用し、いずれの温度でも効果を確認しました。後者では「4週間便秘している」人の割合が58%から14%と明らかに減少しました。

病院での温罨法は、看護師の経験をヒントに始まったようですが、元々は漢方医学の治療法の1つ。患部を温めることで痛みや咳(せき)を軽くしたり、痰(たん)を出しやすくする効果もあります。便秘の緩和に効果がある理由の1つとして、温熱刺激によって血液循環が良くなり、気持ち良いことから、腸の運動を促すためではないかと考えられています。

職場では湯たんぽや温熱シートで

温罨法を家庭で行うなら、電子レンジでぬれタオルを温めるのが手軽。電子レンジで使えるビニールの食品保存パックなどに入れて60度ほどに加熱したものを、さらに乾いたタオルにくるみ、腰やおへその下あたりに10分ほどあてがいましょう。レンジからぬれタオルを取り出すときは、熱いので直接手で触らないように注意してください。

職場でも、寒い季節はとくに腰やおなかが冷えがち。暖房も節電モードで低めの温度設定だとなおさらでしょう。こんなとき、マイセルフ暖房を兼ねて40度くらいの湯たんぽや温熱シートを利用してみましょう。1日5時間ほどしっかり温めることで、便秘だけでなく生理痛や腰痛などにも効果が期待できます。

便秘になりやすい生活習慣を改めることから

そもそも便秘はどうして起こるのでしょう。直接的には、便を送り出す腸の機能が正常に働いていないのが原因といわれています。それをもたらす要因として、朝食抜きとか野菜をあまり食べないような偏った食生活、夜更かしや昼と夜が逆転したような生活リズムの乱れ、心身への強いストレス、運動不足、便意があるのに我慢する──などが指摘されています。

便秘の人は、改めて自分の生活ぶりを振り返り、便秘につながるようなことがないかどうかチェックしてください。思い当たることがあれば、それらを改善することが大切。温罨法プラス生活習慣の改善で便秘を解消しましょう。

●朝に起こりやすい便意を我慢しない

大腸は、食事や水分摂取などをきっかけに総ぜん動という大きな運動が起こって便が移動し、便意が起こります。特に朝は、空っぽの胃に水や食べ物が入ってくるので大腸のぜん動運動が活発になりやすいとき。
総ぜん動は1日に1~2回しか起こらないため、朝の便意は大事にしたいもの。それを我慢して便をためてしまうと、便は硬くなって出にくくなります。朝の起きぬけにコップ1杯の水を飲んだり、朝食は必ずとるようにして便意を促し、トイレタイムも十分にとれるよう起床の時間配分をしましょう。

●食物繊維をたっぷりとる

食物繊維は便の量を増やして、大腸のぜん動運動を促します。この意味でも根菜類、きのこ類、海藻など食物繊維の豊富な食事をとっておくと、早ければ翌朝には立派な便がスムーズに出るようになるでしょう。

●水分もたっぷりとる

便は腸内に長くとどまるほど水分が吸収されて硬くなり、排便しにくくなるため、水やお茶などでこまめに水分補給をしてください。糖分の入った飲料はエネルギーのとりすぎにつながるので、無糖のものがおすすめです。

●運動で腸を刺激する

運動不足が便秘の一因になるのは、腸や排便に関係する筋肉の働きを弱くするためと考えられています。散歩やそれより少し強めのウオーキングなどは腸の運動を促します。腹筋体操やストレッチングなどで、おなかの筋肉を刺激するのもよいでしょう。

●ストレス解消に努める

精神的に緊張すると自律神経のうちの交感神経が優位になり、大腸のぜん動運動が抑制されます。おなかが動くのは副交感神経が優位なときです。そのため、自分なりのストレス解消法を工夫するのがいちばん良いのですが、腹式呼吸は自律神経を整え、横隔膜も動かすので大腸の刺激にもなります。
やり方は、初めに息をすっかり吐き切ります。そうすると自然に大きく吸い込みます。鼻から息を、おなかを膨らませるようにいっぱい吸い込み、次に口をすぼめてできるだけゆっくり吐き出します。これを何回か繰り返しましょう。

(編集・制作 (株)法研)
※この記事は2012年12月に配信された記事です
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【お話を伺った人】菱沼典子

聖路加看護大学看護学部長・教授  聖路加看護大学卒業。筑波大学大学院修士課程医科学研究科修了。天理よろづ相談所病院で看護師として勤務した後、聖路加看護大学に勤務。解剖生理学、基礎看護学、看護技術学…

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