生理前の不調(PMS)むくみ・イライラ・頭痛に効果的な漢方薬とは?

【お話を伺った人】天野 恵子先生

千葉県衛生研究所所長 千葉県立東金病院副院長  1942年生まれ。東京大学医学部卒業(医学博士・循環器内科専攻)。東京大学講師、 東京水産大学教授を経て、現在千葉県衛生研究所所長 兼 千葉県立東金…

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(編集・制作 (株)法研

漢方で月経異常や子宮、卵巣などの病気を予防しましょう。漢方では、気・血・水が滞って病気になるといわれています。自分の体調をチェックしてみましょう。

その人の体質、症状で診断する

漢方は、6世紀頃、中国医学が日本に伝えられ、それが日本で独自に発達した、伝統医学です。
西洋医学では、臓器や組織の異常のある部分を見つけ、病名を決定し、治療を行います。ところが、漢方では、その人の体質や症状などから診断を下し、処方を決定します。ですから、病名は同じでも、処方が西洋医学と異なることがあるのです。

女性の身体は、男性に比べて筋肉が少ないため、熱やエネルギーを作り出すことが苦手です。また、微妙な女性ホルモンバランスを保っているため、自律神経が狂いやすく、気温の変化や冷房、飲食物でも身体に影響が出てしまいます。このようなことから女性は血行不良になりやすく、冷え症や月経痛をはじめとするさまざまな体調不良がおきます。
漢方では、体内のエネルギーのバランスが整った状態を「健康」と考えます。ですから、女性の抱える体調不良はエネルギーのバランスが崩れている状態ととらえ、バランスを取り戻せるようトータルで治療していきます。その際使われる漢方薬は、月経痛や冷え症といったひとつの症状を消し去るための薬ではなく、体調不良が起こらないよう体質改善するための薬といえるのです。
漢方薬の原料は、薬草の茎や根、葉を乾燥させたものや、動物、鉱物など。一般には、漢方薬は副作用がないと思われがちですが、これは間違いです。薬である以上、体調になんらかの作用を及ぼします。素人判断で安易に利用せずに、必ず、医師や薬剤師の指示を受けるようにしましょう。

生理前の不調(PMS)むくみ・イライラ・頭痛に効果的な漢方薬とは?

婦人科系疾患の原因になる「淤血(おけつ)」

漢方では、人間の体内をめぐる「気・血・水」に着目します。「気」は全身をめぐるエネルギー。同時に、精神的なはたらきも意味しています。「血」は血液そのものや、その循環。そして「水」は血液以外の水分代謝のことを指します。これらの3要素が、順調に体内を循環している状態が、漢方で考える健康です。

「気・血・水」のどれかが、異常を起こすと、体に不調が起こり、ひどくなると病気の症状が現われます。血液の流れが悪くなることを「淤血(おけつ)」と呼び、女性の場合は、婦人科系疾患の原因の一つになりやすいのです。

「淤血」は、血液のとどこおりです。腹診で、へそのまわりや下腹部を手で押して、抵抗感やひびくような痛みがあるときは、淤血のサインです。
淤血によって起こりやすい婦人科系の症状は、月経異常や卵巣炎、子宮内膜症など。それを改善するために、漢方ではどのような処方が行われるのでしょうか。

さまざまな漢方薬を知っておこう

生理前に、イライラ、頭痛、むくみなどが起こる月経前緊張症は、淤血以外にも、気・血・水のバランスが乱れていることが多いのです。その原因は、主に冷えと考えられています。また、夏場に冷たい飲食物をとり過ぎたり、無理なダイエットで体温が低下した場合には、冷えによって無月経になることもあります。

これらのケースでは、体力がある人には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を、体力がない人には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を処方します。桂枝茯苓丸は、月経異常だけでなく、卵巣炎、卵管炎、子宮内膜症、更年期障害などにも効果があるといわれています。

また、子宮筋腫のようなはれものやできものも、血流の異常が原因と考えられています。淤血を解消するために、桂枝茯苓丸や当帰芍薬散、加味逍遥散(かみしょうようさん)などが用いられます。また、骨盤内のうっ血に対しては、温経湯(うんけいとう)が効果を示すことがあります。

さらに、漢方薬は精神状態の不調にも効き目を持っています。最近、うつ傾向の人が増えているようですが、漢方ではうつは「気」と「水」の流れが滞ることととらえます。体力のある人には柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつばれいとう)、体力のない人には香蘇散(こうそさん)などを処方します。

月経によってホルモンバランスが変化する、女性のからだは、不安定になりがち。体をトータルにとらえ、体液やエネルギーの循環をととのえる、漢方医学の知恵を参考にしたいものですね。

(「よくわかる女性のからだ事典」天野恵子監修、法研より)

※この記事は2006年8月に配信された記事です



妊娠中のつわりに効果のある漢方とは? 風邪やむくみなどの体調不良にも

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つらい「妊娠・出産の症状」改善-漢方医学、西洋医学での対処法

ストレスをためず、軽い運動を

妊娠中のつわりに効果のある漢方とは? 風邪やむくみなどの体調不良にも

出典:株式会社法研「女子漢方」
著者:矢久保 修嗣 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 科長
木下 優子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 外来医長
上田 ゆき子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 救急担当医長


漢方医学の考え方

症状

妊娠中の女性の体の変化には個人差があり、とくに不快感はなく、心地よく過ごしている人もいますが、つわりになったり、切迫流産や早産になったりするなど、予想できないことの連続です。

つわりは、とくに、においや食の嗜好には敏感になりがちで、今まで好きだった食べ物がおいしいと感じなくなったり、ご飯を炊くにおいも気になったりするなど、さまざまな変化が起こります。

その原因には、気の巡りが悪いことや水の滞りがあることが考えられます。妊娠すると、妊婦さんは、ほぼ全員、水毒(すい どく)になります。そのため、むくみが出たり、ひどい場合は高血圧になったりします。

また、血虚(けっ きょ)もよくみられる症状で、貧血や立ちくらみなどが起こることがあります。

一方の切迫流産や早産は、おなかの張りが強くなることで起こると考えられます。そこで、緊張をゆるめる作用のある芍薬(しゃく やく)を含む処方を使うことになります。

つわりは、赤ちゃんからのメッセージだという考え方もあります。食べないで欲しいものや、食べて欲しいものを赤ちゃんが伝えてきていると言うのです。

また、それまでの食生活や生活習慣によって母体に出ている影響を、この時期にリセットしようとしているという見方もあります。

どちらにしても、つらいことには変わりがないので、症状を少しでも和らげるようにするのがよいでしょう。

なお、食べられないと胎児が育たないのではないかと心配する人もいますが、そんなことはありません。食べられるときに食べられる物を食べたらいいと気楽に考えることが大切です。

妊娠の症状には個人差があり、また、同じ人でも、一人目はつわりが重かったけれど、二人目はそうでもなかったなど、妊娠するたびに異なります。しかし、つわりや妊娠高血圧症候群などは二度目も出ることが多いので、一回目の妊娠で症状があった人は早めに漢方薬を飲むことをおすすめします。

漢方処方

*妊娠時の万能薬は、当帰芍薬散

妊娠時に、もっともよく使われるのが、婦人科系の病気の処方としても代表的な漢方薬、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。安胎薬(あん たい やく)と呼ばれ、もともとは、妊娠時の腹痛の薬として処方されていました。

血虚(けっ きょ)に対する漢方薬なので、貧血に効果があり、また、水毒の漢方薬として、むくみを改善する作用もあります。そこで、現在では、腹痛に加えて、妊娠時の貧血や高血圧症候群に対する漢方薬としても使われています。

妊娠の初期から出産時にまで使うことができる便利な処方なので、一回目の妊娠で高血圧症候群やむくみが認められた人は、早い時期から内服をおすすめすることがあります。

また、不妊や習慣性流産のある人などにも処方されます。まさに、女性のための万能薬と言えます。

*つわりがある場合

よく使われる漢方薬は、香蘇散(こう そ さん)です。つわりには紫蘇がよいとされており、この香蘇散にも入っています。

吐き気に対しては、半夏(はん げ)と茯苓(ぶく りょう)の組合せも有効で、小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)、茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)が使われます。

また、胃腸のもたれや体力回復に効果のある人参湯(にん じん とう)を処方することもあります。

ただし、つわりがひどいときは、エキス剤すら飲みたくないと感じることがあります。その場合は、生薬(しょうやく)を粉末にして内服すると飲める場合があります。それでもつらいときは、漢方薬ではなく、紫蘇酢(し そ ず)なども効果があります。ドラッグストアでも売っているので、ためしてみるとよいでしょう。

つわりは、悪化すると入院になることもある症状です。体調が悪いときには、無理をせず、主治医に相談しましょう。

*風邪を引いた場合

よく使われるのが、香蘇散(こう そ さん)です。現在では、気分が落ち込むなど、抑うつの傾向のみられる人に使うことで知られていますが、もともとは、風邪の処方です。

風邪とは、読んで字のごとく、風の邪(じゃ)であり、気の巡りをよくすることで風邪を追い出そうというものです。

なお、風邪で咳や喉の痛みが続く場合には、麦門冬湯(ばく もん どう とう)を使います。悪寒がして、風邪かなと思うようなときには、桂枝湯(けい し とう)がおすすめです。

*むくみや妊娠高血圧症候群がある場合

むくみや妊娠中の高血圧には、水毒が関係していることが多いので、余分な水分をのぞく作用のある漢方薬、五苓散(ご れい さん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を処方します。悪くなってから飲むのではなく、早めの内服が効果的です。

 

西洋医学の考え方

 妊娠初期は、つわり。後期は、むくみや妊娠高血圧症候群などの症状があらわれやすくなります。医師の指示に従いながら生活習慣をととのえますが、ひどいときは、漢方薬をすすめられる場合もあります。

 

症状

妊娠中は、短期間でホルモンのバランスが変わるため、さまざまな不調が起こります。

具体的な症状としては、初期は眠気、頻尿、食欲不振、食欲増加、便秘、貧血、つわりによる吐き気やむかつきなどがあります。妊娠4~6週目から12~16週目の時期は、胃のむかつきや吐き気を感じるつわりが起こります。

つわりの症状が強く、食べ物だけでなく、水も受けつけなくなって脱水症状を起こすなど、日常生活に支障をきたすような場合は、妊娠悪阻(お そ)と呼び、入院が必要になる人もいます。

また、妊娠中は、月経前に増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)が、普段の何倍も出ることが原因で、むくみやすくなります。

中期以降になると、切迫流産、妊娠に伴ってみられる高血圧、たんぱく尿、むくみ、1週間に500g以上の体重増加などの症状の一つ、もしくは二つがあらわれる妊娠高血圧症候群の症状が起こりうる可能性があります。

妊娠後期(6ヵ月以降)は、基本的には安定期に入りますが、さらにむくみやすくなります。これは、おなかの中で大きくなった子宮が血管を圧迫して、血液やリンパの流れが悪くなるためです。

ほかにも、内臓が圧迫されたような感覚になり、息苦しさや、胃もたれなどがあらわれることがあります。これを第二のつわり、と呼ぶ人もいます。

また、ホルモンの影響と、大きくなったおなかの負担により、腰痛を起こしやすくなります。食欲が増加して、食べ過ぎや妊娠高血圧症候群や、切迫早産などの可能性もあります。

そのほか、妊娠期間中に、風邪を引いたり、花粉症の症状が出たりする人もいると思います。風疹の感染なども、問題になっています。しかし薬の服用は、漢方薬であっても絶対に自分では判断せずに、担当の医師に相談してください。

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生理前の不調の原因と改善方法|つらいPMSを助けてくれる食材とは?

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つらい「月経前緊張症(PMS)」改善-漢方医学、西洋医学での対処法

気を巡らせて、イライラを抑える

出典:株式会社法研「女子漢方」
著者:矢久保 修嗣 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 科長
木下 優子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 外来医長
上田 ゆき子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 救急担当医長


漢方医学の考え方

症状

腹痛や頭痛など、一般的に生理痛と言われている症状が月経困難症です。多くの女性にあらわれ、本人でないとわからないつらい症状が特徴で、日常生活に支障をきたす人もいます。

月経困難症の人の大半は、血の滞りである瘀血(お けつ)がある可能性があります。瘀血の程度はさまざまで、食養生や運動だけで、ある程度改善されるものから、漢方薬での治療が必要なものまであります。

痛みだけでなく、イライラ、倦怠感などがある人もいます。これは、ホルモンバランスの崩れやストレスなどによって気が滞る気滞(き たい)、冷え、水が滞る水毒(すい どく)などが複合的に起こることが原因だと考えられています。

イライラや気分が落ち込むなどの症状が出る理由は、血や気が滞ると、自律神経を司る肝の働きが低下するためです。肝は、血を貯蔵しておくところであるとともに、怒りの感情にも繋がっているからです。

このほか、冷えも月経困難症の症状を悪化させますので、冷えがある場合には、治療が必要です。

婦人科には行きづらいと感じている人が多く、またついついがん検診などもおろそかになってしまいがちです。しかし、もしも、月経痛に悩んでいるようなら、ぜひ一度、婦人科を受診することをおすすめします。この月経痛が、子宮筋腫や子宮内膜症、あるいは子宮がんなどの大きな病気のサインのこともあるからです。

実際に検査をして、具体的な病気が見つからない場合は、痛み止めなどの対症療法が主となります。このようなときに、漢方薬がよく用いられます。

漢方処方

処方の中心になるのは、女性の三大処方と言われる当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。

瘀血に対する効果の強さを順番であらわすと、「桂枝茯苓丸>加味逍遙散>当帰芍薬散」となりますが、漢方薬の効果の強さで決めるというわけではなく、ほかにみられる症状で処方を決めていきます。

原則的には、月経困難症の症状が出ている期間だけではなく、毎日内服してもらうことになります。その理由は、痛みを感じるのは月経のときだけだとしても、その原因となっている瘀血や冷えは、常にあると考えているためです。

*色白でむくみやすく、冷えやすい場合

虚弱な女性のさまざまな症状に用いることができると言われている当帰芍薬散を用います。処方される人に、竹久夢二の絵に出てくるような儚げな感じの美人が多いことで知られていて”当芍美人(とうしゃくびじん)”と言う言葉があるくらいです。

また、むくみの原因となっている水毒があるために、全体的にはほっそりしていますが、足首は引き締まっていないことが多いです。むくみによって、めまいや手足のだるさを訴えたり、冷え症があらわれる人もいます。

このほか、のどが渇きやすかったり、トイレに行く回数が人より少なかったりするのも水毒の徴候の一部です。

当帰芍薬散は、もともとは、妊娠時の腹痛の薬なので、腹痛に対する効果も定評があります。

*イライラしたり、症状がいくつもある場合

イライラなどの精神症状を伴う場合には、加味逍遙散(かみしょうようさん)を用います。

また、「イライラだけでなく、頭痛もあって、体がだるい」など、不調の種類が多い場合に対応するのも、この処方の特徴の一つです。不調の種類が多いと、医学的に説明の難しい不定愁訴だと言われがちですが、この不定愁訴こそが、加味逍遥散を使う目的の一つなのです。

漢方薬の名前についている逍遥とは、いろいろと移り変わるという意味で、この移り変わる症状に使う処方だからこそ加味逍遥散という名前がついています。症状がいろいろあって、なおかつ移り変わるというのがポイントなのです。

このほか、イライラが強くてキーッとなってしまう人で、下腹部が痛む人には、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)がおすすめです。

*にきびや肩こりを伴う生理痛で、瘀血の症状が中心の場合

血の滞りによる瘀血で、にきびや肩こりがみられる場合には、桂枝茯苓丸を使います。瘀血があると、気の滞りも合併することが多く、のぼせを伴いやすくなります。

瘀血のある人は、おへその周りや舌の部分を押すと不快な感じや痛みがあることが多いので、自分で押してみるのもいいでしょう。舌や唇の色が暗くくすんで見えたり、眼の下にくまが見られるというのも瘀血の症状です。

また、桂枝茯苓丸は、別名、催生湯(さい せい とう)とも言われ、子宮筋の緊張を促す可能性があることから、妊娠中は飲むことができません。

このほか、ちょっと意外な処方としては、胃薬だと思われている安中散(あんちゅうさん)があります。これは、安中散に含まれる生薬(しょうやく)、ウイキョウとエンゴサクに痛みをとる効果があるからです。もともと胃腸虚弱があり、胃痛を伴うような生理痛に用います。ウイキョウは、ハーブではフェンネルとも呼ばれ、消化促進などにも使われている植物です。

*生理痛がひどいときの頓用(症状が出たときや、つらいときなど、必要に応じて薬を服用)

月経中に痛みがあるときには、右記に紹介した処方と併用して、漢方薬の芍薬甘草湯(しゃく やく かん ぞう とう)や呉茱萸湯(ご しゅ ゆ とう)を用います。芍薬甘草湯は、おなかが引きつれるように痛むときに、呉茱萸湯は冷えや胃痛を伴うときに用います。

 

西洋医学の考え方

症状

PMS(premenstrual syndrome)は、月経が始まる3~10日前の時期にあらわれるさまざまな症状のことを言います。

症状は、頭痛、腰痛、乳房やおなかの張り、むくみ、肌荒れやニキビ、便秘、眠気、倦怠感、そして、甘い物がいつも以上に食べたくなる人もいます。

その原因は、月経の約2週間前から排卵の時期までにプロゲステロン(黄体ホルモン)が増加して、女性ホルモンの分泌のバランスが大きく変化することだと考えられています。

このほか、ストレスが多い人、生活が不規則になっている人も、ホルモンのバランスの崩れによって症状が強く出やすくなります。

 散歩や買い物、外食などで、気分転換をして、楽しむ時間をつくりましょう。

 

対処法

基礎体温をつけることで、女性ホルモンのバランスをある程度チェックすることができます。

また、月経前には、無理なスケジュールを組まず、ビタミンやミネラルをたくさんとり、睡眠や休息をたくさんとるようにしましょう。

痛みが強い場合には鎮痛薬、むくみには利尿薬、イライラや落ち込みなどメンタルの症状が強い場合には、抗うつ剤や精神安定剤など、精神科の薬を使うこともあります。

 

つらい「月経困難症、月経前緊張症(PMS)の食養」改善-漢方医学、西洋医学での対処法

血を巡らせて、自律神経の安定を促す食材をとる

 

月経困難症、月経前緊張症(PMS)は、いずれも血を巡らせて、体を温め、自律神経や女性ホルモンのバランスをととのえることがポイントとなります。

 

月経困難症の場合

月経血に黒い塊が混じる瘀血タイプ

月経血は、正常であれば鮮紅色(せん こう しょく)でサラッとしていますが、月経血が黒ずんでいたり、血の塊のようなものが混じっていたりする人は、血が滞っている瘀血(お けつ)の状態だと考えられます。

血行が悪いので、月経の子宮収縮時に月経痛が起こりやすくなります。このような人は、血の流れをよくする食材をとりましょう。

代表的な食材は、タマネギ、サフラン、ウコンなどです。タマネギは、温性で胃腸を温め、消化を促し、利尿作用や気の巡りを改善する作用があると言われています。また、血栓を溶かす作用もあります。加熱するとうまみ、甘みが増し、価格も安定していて、和食にも洋食にも使え、とても優れた食材と言えるでしょう。

サフランは、パエリアの色づけなどで知られていますが、お湯に入れればサフランティーに、ご飯を炊くときに加えればサフランライスになり、普段の食事に手軽にとりいれることができます。

冷えやむくみなどがある水毒の場合

冷えには、鶏肉や生姜などの食材がおすすめです。同時に、利尿作用のある小豆、トウモロコシ等の食材でむくみを改善しましょう。鶏肉、生姜、トウモロコシを入れたスープなら、冷えとむくみの両方に有効です。

*月経前緊張症(PMS)の場合

ストレスやホルモンバランスの乱れから、気逆(きぎゃく)や気滞(き たい)になっていると考えられます。気逆は、中枢から下に流れるべき気が、上へと逆行している状態で、動悸や冷えのぼせなどの症状があらわれます。

このような場合は、気の巡りをよくする大根、のぼせて上昇した気を降ろす作用のあるソバなどをとり、気の流れを戻してあげましょう。さらに、精神を安定させる作用を持つユリ根やハスの実などをとるとよいでしょう。

自律神経のバランスをととのえて、肝の機能を助ける作用のあるレバー、牛筋、シジミ、ウナギ、トマトもおすすめです。また、ピーマン、クレソン、菊花には、肝の余分な熱を収める働きがあると言われています。

 

月経困難症、月経前緊張症のお助け食材

熱性・温性 鮭、羊肉、鶏肉、鶏レバー、ニラ、ウド、桃、杏、ヨモギ、紅花、ウコン、生姜、松の実、シナモン
平性 玄米、うるち米、小豆、黒豆、豚肉、黒キクラゲ、山芋、ウズラ、烏骨鶏、イカ、トウモロコシ、サフラン、ユリ根
涼性・寒性 ソバ、ハマグリ、ナス、トマト、キュウリ、冬瓜、大根

 

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つらい生理痛がおこる原因とは?月経困難症に効果のある漢方

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つらい「月経困難症」改善-漢方医学、西洋医学での対処法

血を巡らせて、冷えを改善

出典:株式会社法研「女子漢方」
著者:矢久保 修嗣 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 科長
木下 優子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 外来医長
上田 ゆき子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 救急担当医長


漢方医学の考え方

症状

腹痛や頭痛など、一般的に生理痛と言われている症状が月経困難症です。多くの女性にあらわれ、本人でないとわからないつらい症状が特徴で、日常生活に支障をきたす人もいます。

月経困難症の人の大半は、血の滞りである瘀血(お けつ)がある可能性があります。瘀血の程度はさまざまで、食養生や運動だけで、ある程度改善されるものから、漢方薬での治療が必要なものまであります。

痛みだけでなく、イライラ、倦怠感などがある人もいます。これは、ホルモンバランスの崩れやストレスなどによって気が滞る気滞(き たい)、冷え、水が滞る水毒(すい どく)などが複合的に起こることが原因だと考えられています。

イライラや気分が落ち込むなどの症状が出る理由は、血や気が滞ると、自律神経を司る肝の働きが低下するためです。肝は、血を貯蔵しておくところであるとともに、怒りの感情にも繋がっているからです。

このほか、冷えも月経困難症の症状を悪化させますので、冷えがある場合には、治療が必要です。

婦人科には行きづらいと感じている人が多く、またついついがん検診などもおろそかになってしまいがちです。しかし、もしも、月経痛に悩んでいるようなら、ぜひ一度、婦人科を受診することをおすすめします。この月経痛が、子宮筋腫や子宮内膜症、あるいは子宮がんなどの大きな病気のサインのこともあるからです。

実際に検査をして、具体的な病気が見つからない場合は、痛み止めなどの対症療法が主となります。このようなときに、漢方薬がよく用いられます。

漢方処方

処方の中心になるのは、女性の三大処方と言われる当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。

瘀血に対する効果の強さを順番であらわすと、「桂枝茯苓丸>加味逍遙散>当帰芍薬散」となりますが、漢方薬の効果の強さで決めるというわけではなく、ほかにみられる症状で処方を決めていきます。

原則的には、月経困難症の症状が出ている期間だけではなく、毎日内服してもらうことになります。その理由は、痛みを感じるのは月経のときだけだとしても、その原因となっている瘀血や冷えは、常にあると考えているためです。

*色白でむくみやすく、冷えやすい場合

虚弱な女性のさまざまな症状に用いることができると言われている当帰芍薬散を用います。処方される人に、竹久夢二の絵に出てくるような儚げな感じの美人が多いことで知られていて”当芍美人(とうしゃくびじん)”と言う言葉があるくらいです。

また、むくみの原因となっている水毒があるために、全体的にはほっそりしていますが、足首は引き締まっていないことが多いです。むくみによって、めまいや手足のだるさを訴えたり、冷え症があらわれる人もいます。

このほか、のどが渇きやすかったり、トイレに行く回数が人より少なかったりするのも水毒の徴候の一部です。

当帰芍薬散は、もともとは、妊娠時の腹痛の薬なので、腹痛に対する効果も定評があります。

*イライラしたり、症状がいくつもある場合

イライラなどの精神症状を伴う場合には、加味逍遙散(かみしょうようさん)を用います。

また、「イライラだけでなく、頭痛もあって、体がだるい」など、不調の種類が多い場合に対応するのも、この処方の特徴の一つです。不調の種類が多いと、医学的に説明の難しい不定愁訴だと言われがちですが、この不定愁訴こそが、加味逍遥散を使う目的の一つなのです。

漢方薬の名前についている逍遥とは、いろいろと移り変わるという意味で、この移り変わる症状に使う処方だからこそ加味逍遥散という名前がついています。症状がいろいろあって、なおかつ移り変わるというのがポイントなのです。

このほか、イライラが強くてキーッとなってしまう人で、下腹部が痛む人には、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)がおすすめです。

*にきびや肩こりを伴う生理痛で、瘀血の症状が中心の場合

血の滞りによる瘀血で、にきびや肩こりがみられる場合には、桂枝茯苓丸を使います。瘀血があると、気の滞りも合併することが多く、のぼせを伴いやすくなります。

瘀血のある人は、おへその周りや舌の部分を押すと不快な感じや痛みがあることが多いので、自分で押してみるのもいいでしょう。舌や唇の色が暗くくすんで見えたり、眼の下にくまが見られるというのも瘀血の症状です。

また、桂枝茯苓丸は、別名、催生湯(さい せい とう)とも言われ、子宮筋の緊張を促す可能性があることから、妊娠中は飲むことができません。

このほか、ちょっと意外な処方としては、胃薬だと思われている安中散(あんちゅうさん)があります。これは、安中散に含まれる生薬(しょうやく)、ウイキョウとエンゴサクに痛みをとる効果があるからです。もともと胃腸虚弱があり、胃痛を伴うような生理痛に用います。ウイキョウは、ハーブではフェンネルとも呼ばれ、消化促進などにも使われている植物です。

*生理痛がひどいときの頓用(症状が出たときや、つらいときなど、必要に応じて薬を服用)

月経中に痛みがあるときには、上記に紹介した処方と併用して、漢方薬の芍薬甘草湯(しゃく やく かん ぞう とう)や呉茱萸湯(ご しゅ ゆ とう)を用います。芍薬甘草湯は、おなかが引きつれるように痛むときに、呉茱萸湯は冷えや胃痛を伴うときに用います。

 ●症状がいろいろあって、なおかつ移り変わる人は加味逍遥散タイプ

 

 ●色白でほっそりしているけれど、むくみがちならば当帰芍薬散タイプ

 

 ●にきび、肩こり、のぼせがあるならば桂枝茯苓丸タイプ


西洋医学の考え方

症状

月経が始まる前、あるいは月経時に伴う月経痛で、薬を飲んだり、日常生活に支障をきたすほどの痛みがあるものを月経困難症と言います。月経困難症には、ホルモンのバランスによるものと、子宮筋腫・子宮内膜症などによるものがありますが、ここでは、ホルモンバランスによる月経困難症について説明します。

月経困難症の痛みの原因には、子宮の強い収縮、骨盤内のうっ血、自律神経の乱れなどが挙げられます。そのなかでも、主たる原因と考えられているのが、子宮の収縮です。

月経になると、プロスタグランジンという生理活性物質が子宮内膜でつくられます。この物質が子宮の平滑筋という筋肉を強く収縮させることで、いらなくなった子宮内膜がはがれ、外に排出されます。これが月経です。このときの収縮が、過度だったり、収縮に対して過敏だったりすると、それが原因で痛みとして感じてしまうのです。

子宮が未発達で子宮口(月経血の通り道)が狭い場合や、子宮後屈など子宮の位置が正常ではない場合は、とくに痛みが起きやすいようです。

 月経困難症は、ストレスなどによる気の異常を伴うのが特徴です。

 

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放置しちゃいけない!『冷えは未病のサイン』冷えの原因と改善方法

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つらい「冷え症」改善-漢方医学、西洋医学での対処法

万病のもと”未病のサイン”を見逃さずに

出典:株式会社法研「女子漢方」
著者:矢久保 修嗣 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 科長
木下 優子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 外来医長
上田 ゆき子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 救急担当医長

漢方医学の考え方

症状

冷えは「万病のもと」と言われ、漢方医学では、”未病のサイン”の代表的な症状の一つです。

季節を問わず寒気を感じたり、常に手足やおなかが冷えていると感じている人は、冷え症と言えます。この冷え症は、次の3つに分けられます。

手足の先端が冷える

女性に多いタイプです。原因は、血の巡りが滞る瘀血(お けつ)のため、体の隅々まで血が行きわたらなくなることだと考えられます。

全身が冷える

高齢者や、過激なダイエットなどによって新陳代謝が衰えている人に多くみられます。代謝が悪くなり、エネルギーである気が不足して気虚(き きょ)になることで起こります。

足先や下半身は冷えているけれど、頭や顔ののぼせがある

更年期の方に多くみられます。体力が落ち、気の巡りが滞る気滞(き たい)から、気逆(きぎゃく)が生じ、のぼせがあらわれます。

月経困難症、不妊、頭痛、肩こりなど、女性に多いさまざまな症状は、冷えから来ることも稀ではありません。また、花粉症やアレルギー性鼻炎などの症状が、冷えによって悪化することもあります。冷えに悩んでいるという人は、一度、婦人科を訪ねてみることをおすすめします。

漢方処方

*手足の先端が冷えている場合

手足の先端の冷えは、瘀血が原因だと考えられるので、冷えに対する処方として代表的な漢方薬、 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を用います。

このほか、むくみがみられる人は水毒(すい どく)の可能性もあるので、当帰芍薬散(とう き しゃく やく さん)を使います。当帰芍薬散は、婦人科系の多くの疾患に使われている処方です。生薬(しょうやく)の当帰(とう き)は、セリ科の植物の根で、漢方エキス製剤の約3分の1に使われています。また、当帰、芍薬(しゃくやく)には、血の巡りをよくする作用があります。

*全身が冷えている場合

新陳代謝の低下により、気が不足している気虚だと考えられますので、気を補ってあげる必要があります。

冷えのほかに、下痢や腹痛などもある人には、体の弱っている人によく処方される漢方薬、真武湯(しん ぶ とう)を使います。附子(ぶ し)という温める作用のある生薬が組み合わされています。

衰弱もみられる人には、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を処方します。さらに、貧血が見られる人には、十全大補湯(じゅう ぜん たい ほ とう)を用います。補中益気湯、十全大補湯は、いずれも全身の倦怠感がある人に使います。養命酒(よう めい しゅ)も十全大補湯の類似処方が応用されており、人参、地黄(じ おう)、当帰など、血を増やし、体を温める生薬が使われています。

*足先や下半身は冷えているけれど、頭や顔ののぼせがある場合

手足や腰は冷えているのに、顔がカーッと熱くなったり、ほてったり、のぼせたりする人は、上に向っている気を降ろしてあげる必要があります。この場合は、気を降ろし、気の巡りをよくする漢方薬、加味逍遥散(かみしょうようさん)が処方の中心となります。

のぼせは、ときに収まったり、また突然カーッとあらわれたりするなど一定ではありません。加味逍遥散の逍遥という言葉には、気まま、散歩するという意味があり、そこから転じて変化する、揺れ動く症状がある人に適していると言われています。

このほか、手のほてり、口の乾燥がある場合には温経湯(うん けい とう)を使います。温経湯は、月経不順、不妊症など、婦人科系の疾患にもよく使われている処方です。

 

西洋医学の考え方

症状

体温となる熱は、主に筋肉でつくられているので、筋肉の量が少ない人や、ダイエットなどで新陳代謝が低下している人ほど冷えやすくなります。

また、ストレスや女性ホルモンのバランスの崩れも冷えを招きます。これは、ストレスによって自律神経が傷害されるためです。ここで、ストレスと女性ホルモン、冷えとの関係を説明しましょう。

ストレスがかかると、私たちは、まず自律神経に影響があらわれます。自律神経には、緊張状態にあるときに働く交感神経と、休息しているときに働く副交感神経があります。

ストレスのある状態が続くと、交感神経が優位に働き、このときアドレナリンの作用が強まる影響で、血管が収縮します。血管が絶えず収縮した状態になると、血行が悪くなって、これが冷えをつくる原因の一つになるのです。

自律神経にはこのほか、寒いときには体温を上げたり、冷えているときには体温を下げようと調節する働きもあります。

月経後から排卵までの時期は、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の働きが盛んになり、体温は低い状態になります。排卵後は、女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されて、体温が高くなります。

自律神経と女性ホルモンは、どちらも脳の視床下部というところから指令を受けていて、互いに関係し合っています。どちらかのバランスが崩れると、もう一方もその影響を受けるのです。

なお、精神的なものだけでなく、生活の乱れや、冷房の効いている部屋に長くいたりすることも、体に対するストレスとなって、自律神経のリズムを乱れさせます。

自律神経には、私たちが意識しなくても、消化、呼吸、代謝、分泌などをコントロールする働きもあります。

また、女性の場合は、初潮、妊娠・出産、閉経など、女性ホルモンのバランスが大きく変化する機会が多く、自律神経のバランスが崩れやすいと言えます。そして、こうした変調期に冷え症になる女性が多いと考えられています。

対処法

西洋医学では、冷えは”病気”として、捉えられにくいものです。甲状腺機能低下症、心疾患など、冷えを感じる原因となる病気がある場合はその病気に対して治療を行いますが、冷えの症状そのものに対する有効な治療法はありません。

冷えを改善するためには、冷たい飲み物や食物を控える、薄着をしない、適度な運動をするなど、体を冷やさず、血行を促すように心がけましょう。また、次ページで紹介する冷えを和らげる食材も積極的にとりましょう。

 ●入 浴●38~40℃のお湯に20~30分浸かりましょう。自律神経の働きが弱っている人は、温まったあとに、冷たいシャワーを足や手に交互にかけると改善されます。

 

 ●服 装●下半身は、上半身より1、2枚厚着になるようにしましょう。また、室内と外気との温度差があるときは、首はストールなどで体温を調節しましょう。

 

つらい「冷え症」改善-体を温める食材

 

気や血の巡りを改善して、体を温める

冷えを改善するためには、体を温める温性、熱性の食材を意識してとりいれることが基本となります。

前頁で紹介したように、冷えは3つのタイプに分けられます。それぞれのタイプによって症状があらわれる原因は異なりますので、その原因を改善するような食材を中心にとるようにしましょう。

食材の約70%は、体を温めたり冷やしたりしない平性ですが、それぞれ生で食べるよりも、加熱することで体を温める効果は高まります。

なお、白砂糖のとりすぎは、冷えを悪化させます。砂糖は、できる限り精製していない黒砂糖、メープルシロップ、とくに料理ならばみりんを使うようにしましょう。

手足の先端が冷える場合

血の巡りが悪いために、体の末端まで血液が十分に行きわたっていないので、血行を促進し、体を温める食材をとるようにしましょう。

鮭、イワシ、カツオ、タラなどは血の巡りをよくする働きがあるので、主菜におすすめです。薬味や味つけには、温性の食材、ネギ、ニンニク、生姜、トウガラシなどを使うと効果的です。

全身が冷える場合

気が不足していると考えられます。気が満たされれば、血や水も動きだして、体は温まるので、気を補い、胃を温めて、胃腸の働きをよくする羊肉や、温性で栄養価も高いエビなどをとるとよいでしょう。ただし、どちらの食材も温める性質が強いため、食べすぎると余分な熱を生じやすくなるので注意してください。

主食では、うるち米より、もち米の方が体を温める作用があります。しかし、もち米は、うるち米より消化がよくないので、消化を促す山芋や大根などと一緒に食べることをおすすめします。

冷えのぼせがある場合

気の巡りを改善する食材を選びます。魚介類では、胃腸の機能を高める鮭やカジキマグロがこれにあたります。また、ミカンや金柑(きん かん)などのかんきつ類も、気の巡りをよくする作用があります。

野菜類は、タマネギ、ニラ、ラッキョウなどネギの仲間が体を温める働きをします。

これらの食材は、どのタイプの人にも合うので覚えておきましょう。なお、タマネギは、サラダなど、生で食べると、気の巡りをよくする作用があり、加熱して味噌汁などに使用すると、体を温め、消化器をととのえる作用が強まります。

 

冷えのお助け食材

熱性・温性 餅(もち)米、米麹、鮭、イワシ、カジキマグロ、赤貝、穴子、アンコウ、サバ、ブリ、マグロ、エビ、羊肉、鶏肉、菜の花、ウド、タマネギ、パセリ、紫蘇、ラッキョウ、ネギ、ニンニク、ニンニクの芽、ヨモギ、生姜、ニラ、ミカン、桃、ライチ、金柑、酢、唐辛子、シナモン、ウイキョウ
平性 玄米、小豆、黒豆、黒ゴマ、松の実、牛肉、鴨肉、豚肉、烏骨鶏、山芋、サツマイモ、ジャガイモ、サフラン、ユリ根、ハスの実
涼性・寒性 カツオ、タラ、アボカド、ピーマン、カボス、スダチ

 

+αでいつもの食事が、温めご飯に

 

  • いつものレシピに生姜を追加(カレーライス、味噌汁 など)
  • 料理に使う砂糖はみりんに変更
  • トッピングには、生姜、紫蘇をたっぷりのせる
  • お菓子や飲み物にはシナモンを

 

 

季節別おすすめ食材とおかず

春の食材 菜の花、ウド など

●おかず
ウドの酢みそ和え、ウドと豚肉の炒め物、菜の花のおひたし、ヨモギ団子 など

夏の食材 紫蘇、ニラ、ラッキョウ、サクランボ、 桃 など

●おかず
梅と紫蘇の混ぜご飯、エビとニラの餃子、ニラ卵、ラッキョウのすし飯 など

秋の食材 カブ、カボチャ、カツオ、金柑 など

●おかず
カボチャの煮物、カブのポタージュ、鮭のグラタン、サツマイモと豚肉の炒め物、金柑シロップ、カツオのたたき、タラと紅花のスープ など

冬の食材 ブリ、タラ、ネギ、ミカン など

●おかず
ネギのポタージュ、ブリの煮つけ など

通年のおかず 鶏肉とナツメの炒め物、サフランご飯、エビとネギの塩炒め、ヨモギ茶、黒豆茶 など

 

つらい「冷え症」改善-飲み物は常温以上で、甘くないものを

 

冷え症の人が冷たい飲み物を飲むと、ますます冷えが悪化しやすくなります。消化器は、温まって初めて働くからです。飲み物は、常温以上、とくにおすすめなのは、白湯です。

最近では、コンビニエンスストアでも常温の飲み物を販売するようになっています。冷蔵庫から出したての飲み物は、温度が常温に近づくまで待ったり、レストランで水をもらうときは、氷を入れないようにしてもらったりするなど、できる限り、冷たくない飲み物を飲むようにしましょう。

それから、清涼飲料水も控えてください。市販の清涼飲料水には、角砂糖5~10個分ほどの糖分が入っていると言われています。砂糖には、水をためこむ性質があるため、水毒(すい どく)の原因となり、冷え症を誘発させるのです。

水毒があると、連動して血の巡りも悪くなります。水と血の巡りがセットで悪くて、冷えとむくみが生じている人は多いのですが、砂糖のとりすぎが原因になっている人も多いです。

また、野菜や果物のスムージーも体を冷やします。ただし、栄養はあるので、飲むならば、身体活動が盛んで体温が上がりやすい朝や日中にしたり、冬は控えるようにするなど、タイミングを考えてとりいれるようにしましょう。

 

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そのむくみ、病気のサインかも? むくみの原因と解消法

【お話を伺った人】渡邉 賀子先生

麻布ミューズクリニック院長 慶應義塾大学病院漢方クリニック非常勤講師 1987年久留米大学医学部卒業後、熊本大学第三内科、近畿大学東洋医学研究所などを経て、1997年北里研究所にて日本初の「冷え…

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提供:gooヘルスケア

(編集・制作 (株)法研

デスクワークばかりの運動不足はご用心。血行改善と生活習慣の見直し、漢方薬でむくみを解消しよう。全身性のむくみは要注意!

女性だけでなく男性にも起こるむくみ

一日中出歩いたり、長い時間立ち仕事をした日の夕方、靴がきつくなったり、足がパンパンになったりしたことはありませんか? 足のすねを押すと引っ込んで戻らない、いつまでも靴下のあとがとれないなら、それは「むくみ」です。

「むくみ=女性の症状」と思われがちですが、外歩きの多い営業マンや、運動不足で筋力が低下している人の場合、男性にもむくみは起こります。むくみは心臓病や肝臓病など、病気が原因で起こることもありますから男性も要注意です!

そのむくみ、病気のサインかも? むくみの原因と解消法

むくみはなぜ起こるの?

からだの中の水分は血管内、細胞内、細胞外(細胞と細胞の間)にあって一定のバランスを保っていますが、何らかの原因でこれらのバランスが崩れ、細胞外に水分が増えすぎ腫れぼったくなった状態が「むくみ」です。むくみは、重力によって水分がたまりやすい下半身に起こることが多く、特に足首やすねなど、筋肉の少ない場所がむくみやすくなります。

足は第二の心臓といわれるように、足の筋肉は心臓から送られてきた血液を心臓に戻すポンプのような働きをしています。筋肉が発達していてよく動く人はこのポンプの働きがうまくいくため血行がよく、水分の排出もスムーズに行われます。
逆にいえば、長時間の立ち仕事やデスクワークなど、仕事中一定の姿勢であまり動かない人は、血行が滞ってむくみやすくなります。また、運動をしない人は筋力が弱く、冷えも血行を悪くしますから、冷え性で筋力の弱い女性に、むくみで悩む人が多いのです。

ほかにも、むくみの原因には次のようなことがあります。
●塩分のとりすぎ:血液中の塩分の濃度が高まり、濃度を一定に保つため水分を体内にためこもうとして飲水量が増え、細胞外の水分が増える。
●アルコールの飲みすぎ:細胞内が脱水状態となり、逆に細胞外に水がたまる。
●過度のストレス:手足の血流が悪くなったりホルモンが乱れ、体内の水分調整がくずれる。
●女性ホルモンの影響:特に月経前や妊娠中、更年期にはむくみやすい。

こうした日常生活で起こりがちなむくみは、お風呂にゆっくりつかって十分な睡眠をとれば解消されることがほとんどで、特に心配のないものといってよいでしょう。

むくみはからだの異常をあらわすサイン。こんなむくみは要注意!

足や顔がむくんでも、翌朝解消されていれば問題ありませんが、なかなかむくみが取れなかったり、時間とともにひどくなる場合、下記のような病気の可能性があります。むくみが全身に出る、1日中持続する、急に体重が増えた、尿の出が悪いなどの症状があったら、すぐに内科を受診しましょう。

●全身にむくみがあり、特にまぶたのむくみが続く→腎臓病
●足にむくみがあり、どうきや息切れもある→心臓病
●全身にむくみがあり、ひどい場合はおなかに水がたまる(腹水)→肝臓病
●足のすねを数秒間強く指で押しても、はじかれる→甲状腺(こうじょうせん)の病気

血行を改善してむくみを防ごう

たとえ病気ではなくても、足や顔がむくむのは不快なものです。そこで、むくみを起こさないための工夫や、むくんだときの対処法を覚えておきましょう。

なんといっても血行を改善させること! 顔のむくみなら蒸しタオルを顔に当てる、足のむくみなら足湯や青竹踏み、軽いストレッチやマッサージでむくんだ部分をほぐすのも効果的です。例えば足指の間に手指を交互に入れ、足首を大きく回します。
よく立ち仕事をする人は、足の下にクッションなどを当て足を高くして寝るとよいでしょう。長時間座ったまま仕事をする人は、合い間を見て伸びをしたり軽いストレッチをするなど、こまめに体を動かしましょう。
歩くことや足の屈伸運動は、足の筋肉を動かすことで血液の循環を改善し、むくみの予防と解消に大変効果があります。

睡眠不足や不規則な生活、無理なダイエットなどもむくみを起こしやすくしています。そんな生活習慣はただちに見直しましょう。利尿作用のあるコーヒーや日本茶、ミントやローズなどのハーブティーなどをとり、水分代謝を促すのもよいでしょう。

漢方薬で改善できる体質的なむくみ

血行をよくする努力をしてみても、生活習慣を見直してみても、冷え性で体力のない女性など、なかなかむくみが改善しない人もいるでしょう。そんな人は、体質だからとあきらめがちですが、漢方薬で改善されることがありますから、漢方も扱っている専門医に受診するか、専門の薬局に相談してみましょう。

漢方に詳しい医師なら、その人の体質に合わせて漢方薬の処方と日常生活の指導をしてくれます。体力や胃腸の丈夫さなどによって、処方される漢方薬は異なりますが、五苓散(ごれいさん)、真武湯(しんぶとう)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)などが多く処方されます。むくみそのものには短期間で効果が現れますが、冷えや疲れといった症状の改善には時間がかかるため、根気強い服薬が必要です。

※この記事は2007年1月に配信された記事です

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