漢方はインフルエンザやがんの治療にも活躍するー誤解の多い漢方薬

【お話を伺った人】渡辺 賢治先生

慶應義塾大学医学部漢方医学センター長・准教授 1984年慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院内科、足利赤十字病院内科、慶應義塾大学病院内分泌内科、東海大学医学部免疫学教室、米国スタンフォード大学…

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(編集・制作 (株)法研

漢方の有効性や医療経済的な効果が広く知られていない。慢性疾患だけでなく急性期治療や最新医療でも効果。西洋医学と漢方を融合したわが国独自の「日本型医療」を。

漢方はインフルエンザやがんの治療にも活躍するー誤解の多い漢方薬

保険適用から外されそうになった漢方

2009年11月、内閣府の行政刷新会議が「事業仕分け」を実施し注目を集めましたが、医療用漢方薬の健康保険給付がその対象となったことはご存じでしょうか? わずか3週間のうちに保険適用継続を求める署名が100万通近くも寄せられた結果、健康保険給付は継続されることになりました。

多くの医師が漢方薬を処方しているが、医療用製剤全体からみればわずか

漢方薬は、1976年に医療用漢方製剤が健康保険適用となりました。それ以来、医師が使用する医薬品として30年以上使われてきた実績をもち、品質が高いことも知られています。科学的な研究が進み、臨床研究も多く発表されています。日本漢方生薬製剤協会の調査によると、現在日本の医療現場では8割以上の医師が漢方薬を処方していることがわかっています。

漢方は女性のPMSや更年期にも有効

8割以上の医師が漢方薬を処方しているにも関わらず、なぜ漢方薬の保険適用が外されそうになったのでしょうか? それは、わが国の医療は西洋医学中心で、漢方が正しく認識されておらず、その有益性が国民に理解されていないことが一因と考えられます。

慶應義塾大学医学部漢方医学センター長・准教授の渡辺賢治先生はいいます。「多くの医師が漢方薬を使用しているといっても、漢方の市場シェアは医療用製剤全体のわずか1.2%にすぎません。これは、漢方薬がファーストチョイスとしてどんどん使用されるという状況ではなく、ごく限定された処方のみしか用いられていないことを表しています。」
「しかし漢方薬がファーストチョイスになる疾患は多々あります。月経前症候群や更年期障害など女性医療の分野、パニック障害や軽度うつなど心療内科分野、冷えや腰痛、膝関節症といった高齢者に多くみられる疼痛に対しても漢方が有効です。さまざまな領域でもっと積極的に用いられてもよいと思います。」

漢方は日本の風土、人に合わせ独自に発展してきた日本独自の伝統医学

そもそも漢方とは何でしょうか? 漢方を中国の医学と思っている方も多いかもしれません。しかし漢方は、5~6世紀に中国から伝わった医学が日本の風土や人に合わせて独自に発展してきた、日本独自の伝統医学なのです。「漢方」という呼び名も、江戸時代に「蘭学」「蘭方」と区別するために命名されたものです。

患者の体質や状態に合わせて処方できるのが漢方の魅力

漢方の特徴を示す重要な考え方に「未病(みびょう)を治す」があります。「未病」とは、病気ではないが、病気になりかかっている状態を表します。たとえば検査で異常が出なくても気になる症状があれば早めに対処して健康を保つ、未病を放っておかず病気になる前に治すという考え方です。話題の「メタボリックシンドローム」も、症状はなくても検査値の異常が複数重なった状態を改善していこうということですから、予防を重視する未病の考え方が取り入れられているといってよいでしょう。

また漢方は、病気の症状だけでなく、患者一人ひとりの体質、体型、気質などを総合的に判断して処方します。つまり、病気に対して薬が決まるのでなく、病気を持つ人を全体的に診て薬を決めるのです。そのため、不定愁訴をかかえやすい女性や、いくつもの症状をかかえる高齢者などにも有効に対処ができます。実際、女性や高齢者の疾患、慢性疾患に対して、漢方は比較的よく用いられています。

それでは、漢方は慢性疾患には有効だが、それ以外の病気には西洋医学のほうが有効かというと、決してそうではありません。

インフルエンザや花粉症、がん治療にも効果がある漢方薬

たとえば、インフルエンザの急性期には葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、大青竜湯(だいせいりゅうとう)などが用いられ、1日で解熱することもしばしばあります。昨年流行して大変な騒ぎになった新型インフルエンザに対しても、漢方専門医の間では、麻黄湯でタミフルと同等の効果を得たという結果が複数出ています。

花粉症の時期には小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麻黄附子細辛湯、苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)などが体質に合わせて用いられますが、即効性もあります。

最新医療の現場でも漢方薬は効果を上げています。がんの化学療法と併用して十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)や人参養栄湯(にんじんようえいとう)などの漢方薬が用いられています。これらの漢方薬には免疫系を刺激し生体防御能を高める作用があり、抗がん薬の副作用を和らげたり、合併症などのリスクの軽減に効果があります。

また、認知症の周辺症状(妄想、徘徊など人によって現れ方が違う症状)にも、抑肝散(よくかんさん)や釣藤散(ちょうとうさん)などの中枢神経を刺激する作用のある漢方薬が効果を発揮し、患者さんはもちろん介護する家族の負担軽減にも役立っています。

『漢方は高い』は誤解? 漢方薬は医療費削減にもつながる

このように漢方は、慢性疾患の治療だけでなく、感染症の急性期治療や、最新治療においても効果を上げているのです。しかも、漢方薬の活用によって、医療費削減効果も期待されます。たとえばインフルエンザ治療では、タミフルの1日薬価約618円に比べ、麻黄湯は約65円、葛根湯は約73円と安価(成人の場合)。漢方薬は高いと思われているようですが、これも間違った認識です。実際には、最も高価な柴苓湯(さいれいとう)でも1日薬価約485円と、漢方製剤は非常に安いのです。

こうした漢方の有効性や医療経済的な効果については広く知られていないどころか、むしろ誤解されていることも多いため、冒頭の「事業仕分け」のようなことになってしまうのでしょう。

渡辺賢治先生は、国民の健康を守るために、最先端医療と伝統医学である漢方を融合したわが国独自の「日本型医療」を創るべきだといいます。日本には漢方の医師免許はなく、日本の医師は西洋医学を修得した上で漢方医学の勉強をしています。そのため、両方の知識を兼ね備えた医師が、互いのよいところを組み合わせて行う日本独自の医療が可能なのです。

一方、現在世界的に伝統医学への認識が高まるとともに、漢方薬の原材料である生薬の需要も急速に伸びています。しかし日本の生薬の国内自給率はたったの15%。輸入のほとんどを中国に依存していますが、生薬の世界的需要増加により中国からの供給にも限界がみえています。中国の人件費高騰も加わり、生薬の価格は年々上がっています。もっと漢方薬を使いたくても、このままでは原料が手に入らないという事態にもなりかねません。とくに本年10月に名古屋で開催が予定されている生物多様性条約第10回締約国会議でどのような議論になるのかが注目されています。
漢方への正しい理解を促すとともに、生薬資源を安定的に確保するために、国の政策が求められます。

※この記事は2010年4月に配信された記事です



更年期障害ってどんなことがおこるの?つらい症状は薬で改善できる?

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つらい「更年期障害症候群」改善-漢方医学、西洋医学での対処法

気を巡らせて、イライラを改善

出典:株式会社法研「女子漢方」
著者:矢久保 修嗣 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 科長
木下 優子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 外来医長
上田 ゆき子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 救急担当医長

漢方医学の考え方

症状

更年期障害とは、おもに、閉経を挟んだ前後10年くらいの間に、のぼせやほてり、顔が赤くなる、息切れ、イライラしやすい、発作的な頭痛、動悸がする、手足に汗をかくなどの症状があらわれます。その多くは気逆(き ぎゃく)の症状と一致しています。そこで漢方では、気逆の治療をおもに行います。

気逆が起こる原因は、更年期の前後に、五臓の腎が加齢によって衰えることで、ほかの臓腑とのバランスが悪くなるためだと考えられます。

気逆になると、うまく巡れなくなった気が上昇して、気が不足します。これが、頭はのぼせるけれど足は冷えるという”冷えのぼせ”が起こる原因です。

また、気は血や水に比べて動きやすい性質をもっているので、症状が移り変わりやすくなっています。これが、「更年期は不定愁訴」と言われる原因の一つです。

なお、気の流れは呼吸や運動によってととのいやすくなります。つまり、更年期障害は、日頃から適度な運動をすることで軽減できるのです。

逆に、もともとストレスがあったり、気分が落ち込みやすく、気に異常が疑われる症状がある人は、更年期の症状も出やすくなっているので注意が必要です。

そして、更年期の症状が気逆の症状とよく似ているために、更年期ではない気逆の女性が、「自分も更年期?」と考えてしまうこともよくあります。

更年期障害は、卵巣機能の衰えによるエストロゲン(卵胞ホルモン)の急激な低下によって起こるものなので、きちんと月経がある若い人などの場合には当てはまりません。

ただし、漢方治療はどちらも気逆の治療になるので、結局、両方に加味逍遥散が処方されることが多いのです。

漢方処方

*更年期障害のNo.1処方・加味逍遥散

「更年期障害と言えばこれ!」と言うくらい代表的な気逆の処方が、加味逍遥散(かみしょうようさん)です。

逍遥という処方名は、そぞろ歩きという意味もあり、移り変わる多彩な症状があるときによく使われます。冷えのぼせや動悸などの身体症状と、イライラや落ち込みなどの精神症状の両面に効果があります。

加味逍遥散以外の気逆の処方としては、のぼせが強いときに使う女神散(にょ しん さん)、唇の乾燥や手のほてりを伴うときに使う温経湯(うん けい とう)、あまりひどくないけれど、どこかがずっと痛むときに使う五積散(ごしゃくさん)などがあります。女神散は、症状が移り変わる加味逍遥散に対して、一つの症状を訴える人に用います。

*全身の倦怠感や貧血がある場合

女性の三大処方である当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)など、血虚(けっ きょ)を改善する処方を使います。当帰芍薬散は、体が弱く、冷え、貧血がある人にも処方されています。

また、十全大補湯も、体が虚弱で、貧血、疲労などとともに、産後、病後などで体力が弱っている場合にも使われます。

*アンチエイジングの処方、八味地黄丸

足がつる、かかとが痛む、目がかすむ、手足の先がしびれる、腰が痛いなど、腎に関わる症状が強いときには、八味地黄丸(はち み じ おう がん)を使います。

八味地黄丸には、地黄(じ おう)、 山茱萸(さん しゅ ゆ)、山薬(さん やく)、沢瀉(たく しゃ)、茯苓(ぶく りょう)、牡丹皮(ぼ たん ぴ)、桂皮(けい ひ)、附子(ぶ し)という8つの生薬(しょうやく)が使われています。疲れやすい人や下半身の冷えがある人、糖尿病の副作用を軽減する目的や、高齢者の頻尿などにも使われるアンチエイジングの漢方薬です。

ただし、体の冷えをとり除く作用があるので、ほてりやのぼせがある人にはおすすめできません。

八味地黄丸でほてりが強くなってしまう場合には、温める作用のある桂皮(けい し)、附子(ぶ し)の二つの生薬を除いた六味丸(ろく み がん)にします。単独で処方するだけでなく、加味逍遥散との併用も行います。

 

西洋医学の考え方

症状

40代後半から50代半ばまでの閉経前後のいわゆる更年期と言われる時期になると、卵巣の機能が低下して、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少します。

そのため、ほてり、のぼせ、発汗、動悸、頭痛、便秘、イライラ、落ち込み、不眠、肌荒れなど、実にさまざまな不快な症状が起こります。

体の変化もさることながら、女性は、30代から50代にかけて、出産、子育て、子離れ、人によっては親との別れなど、実に変化が多く、精神的にもストレスのかかる状況にあります。この環境要因によって、症状がより悪化することもあります。

更年期障害の西洋医学的な治療としては、減少した女性ホルモンを補うHRT(hormone replacement therapy. ホルモン補充療法)があります。

HRTは、乳がんや子宮がんになるリスクが増えるといって恐れる人がいますが、乳がんになる確率は1万人に3人程度の増加です。

また、乳がんの人とそうでない人だと、そうでない人のほうがHRTをしている人が多かったというデータもあります。

 適度な運動で筋力や体力を保ちましょう。気、血、水の巡りをよくする効果があります。

 

乳がんや子宮がんはむしろ、早期発見することが大切なので、きちんと検診を受けて、早期に治療するほうが重要だと考えられています。

しかし、HRTはやりたくないと言う人に無理やりおすすめする治療でもありません。主治医の先生ときちんと相談して、納得したうえで、治療を受けましょう。

一般的に、急にのぼせるなどの血管運動神経性障害が見られるときにはHRTが有効です。

これに対して、症状が多い、気分の落ち込みやイライラなどの精神的な症状が主といった場合には、漢方治療が向いています。

ただし、更年期障害だと思っていたらうつ病だったというケースもあります。おかしいなと感じたときは、ぜひ受診してください。

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不妊の原因になる子宮内膜症・子宮筋腫|生理痛・量が多い・下腹部痛に注意

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つらい「子宮内膜症・子宮筋腫」改善-漢方医学、西洋医学での対処法

治療の中心は西洋医学。漢方でうまくサポートを

出典:株式会社法研「女子漢方」
著者:矢久保 修嗣 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 科長
木下 優子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 外来医長
上田 ゆき子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 救急担当医長

漢方医学の考え方

症状

子宮内膜症や子宮筋腫は、月経痛が強くなったり、月経の期間が長くなる、出血量が多くなるなどの症状があらわれます。

これらの症状や、ホルモン療法によって、イライラしたり、のぼせたりする症状をとるためには、漢方の治療を行います。

漢方では、子宮内膜症や子宮筋腫の原因は、血の巡りが悪くなっている瘀血(お けつ)によるものと考えられていて、どちらの病気であっても病気自体の改善のためには、瘀血を治療する漢方薬を使います。

また、冷えが関係して症状が悪くなっている場合もあるので、冷え症を改善する処方もよく使われます。

しかし、実際に漢方薬だけで、子宮内膜症や子宮筋腫を治療するのは難しいため、西洋医学的な治療が中心になります。そこでは、漢方薬はつらい症状の軽減や、治療による副作用の軽減のために用いられます。

漢方処方

*瘀血を改善する場合

まず、病気自体が瘀血によって引き起こされていると考えられることと、月経痛の原因となることから、血の巡りをよくして、瘀血を改善する処方がよく使われます。

代表的な漢方薬の処方は、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。それ以外にも、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)や通導散(つうどうさん)や大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)などがありますが、副作用として下痢があるため、使用には注意が必要です。

このほか、長年続く瘀血に効果があるとされていて、不安感やイライラするなどの精神的な症状にも効果がある漢方薬、芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)を用いる場合もあります。

*冷え症が強い場合

冷えの代表的な処方である漢方薬、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を使うことで、冷えに伴う痛みが改善する場合があります。

このほか、むくみや、胃の中でぽちゃぽちゃと水の音がする水毒(すい どく)の症状が強い人には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が有効です。

*出血が多い場合

止血効果のある漢方薬、芎帰膠艾湯(きゅう き きょう がい とう)を使います。

*治療のホルモン剤による副作用

代表的な処方は、婦人科系の病気の多くの症状に使われる加味逍遥散(かみしょうようさん)です。

ホルモン剤を使うと閉経に近い状態になるので、更年期障害症候群のようなのぼせ、イライラなどの症状が出やすくなります。そのため、更年期障害症候群の治療薬と同じ処方がよく使われます。たとえば、のぼせが強いときには、生薬(しょう やく)の当帰(とう き)、香附子(こう ぶ し)などを組み合わせた女神散(にょ しん さん)を用います。

 

西洋医学の考え方

症状

子宮内膜症のおもな症状は、月経痛、性交痛、下腹部の痛みなどです。一方の子宮筋腫の症状は、月経期間の長さ、多量の出血、下腹部のしこりや痛みなどで、いずれも不妊の原因にもなっています。

おもな原因は、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)が過剰になることで、生じると考えられています。

子宮内膜症とは、本来は子宮の内側にしかないはずの子宮内膜の組織が、子宮の内側以外の場所にできてしまう病気です。

通常、子宮内膜は、妊娠が成立しないとはがれ落ちて排出されますが、子宮内膜症の場合は、内膜の組織の一部が卵管を通っておなかの中にこぼれて落ち、その一部がおなかの中で増殖した状態になり、月経に伴って、炎症やほかの組織との癒着、出血を起こしたりします。

一方の子宮内膜症の種類には、卵巣の内側に子宮内膜の組織が入りこんで増殖したり、癒着したりする卵巣チョコレート嚢胞(のう ほう)、ダグラス窩(か)と呼ばれる子宮と直腸の間で、子宮内膜の組織が増殖したり癒着するダグラス窩閉塞などがあります。

子宮筋腫は、女性ホルモンの影響によって、子宮にできた良性の腫れ物のことで、一つだけできることもあれば何十個もできる人もいます。大きさは、顕微鏡で見ないとわからないくらい小さなものから、数十センチに及ぶものまであります。

子宮筋腫ができると、その周囲に新しい毛細血管が張り巡らされます。腫れ物は、その血管から栄養をもらって大きくなり、そのため、月経が長引いたり、月経血の量が増えたりするのです。また、子宮筋腫に子宮内膜症が合併して起こることもあります。

対処法

子宮内膜症の治療は、低用量ピルや黄体ホルモン製剤などで、内膜の増殖を抑える薬物療法や、手術療法があり、年齢や妊娠を希望するかどうかによって、治療法を選択することとなります。

なお、薬物療法には、痛みを抑えるための対症療法や、必要に応じて行うホルモン補充療法があります。

対症療法は、病気の進行を抑える効果はないので、定期的に受診しながら、経過を診ていくことになります。手術療法は、大きなサイズの卵巣チョコレート嚢胞が見つかった場合などに行います。

子宮筋腫の治療もほぼ同様で、ホルモン剤などの薬物療法で症状を抑えたり、手術で筋腫だけ、あるいは、子宮全部を摘出する場合などがあります。

 

「子宮内膜症・子宮筋腫」を食材で改善-女性ホルモンをととのえて、血の巡りを改善


イソフラボンでホルモンバランスをととのえる

ホルモンバランスを整える代表的な食材は、植物性エストロゲンとも呼ばれている大豆です。

大豆には、女性ホルモンに似た構造をしている栄養素、イソフラボンが含まれています。エストロゲン(卵胞ホルモン)が足りなければ補い、多すぎるときには減らそうとする作用があると言われています。

 

血を補う食材をとる

子宮内膜症は、子宮から大量の血液が排出され、月経量が増えることがあるので、貧血を起こしやすい傾向にあります。そのため、血の巡りを促す食材をおすすめします。鶏レバー、豚レバー、ホウレンソウ、春菊、ヒジキ、シジミ、牡蠣、黒キクラゲなどは、鉄分が多く含まれています。

 

カルシウムで骨を守る

エストロゲンは、骨をつくる働きもあります。ホルモンのバランスが崩れてエストロゲンが減少すると、骨量が減少するので、カルシウムも摂取することをおすすめします。実際、治療の際に、ホルモンバランスの調整などで、骨の中のカルシウムが失われる副作用が起こることも稀にあります。

カルシウムを多く含む食材は、チーズなどの乳製品、ワカメ、昆布、ヒジキなどの海藻類です。

なお、ホルモンのバランスを崩しやすい食材は、精製された白砂糖、白い小麦粉、白米。動物性脂肪が多く含まれる肉類、乳製品などです。

 

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妊娠しやすい体になるポイント|不妊に効果のある漢方とは?

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つらい「不妊」改善-漢方医学、西洋医学での対処法

体を温めて、妊娠しやすい状態に

出典:株式会社法研「女子漢方」
著者:矢久保 修嗣 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 科長
木下 優子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 外来医長
上田 ゆき子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 救急担当医長


漢方医学の考え方

症状

不妊の原因は、漢方では、気虚(き きょ)や血虚(けっ きょ)、瘀血(お けつ)などいろいろありますが、とくに、影響していると考えられているのは、栄養状態が悪くなっている血虚や、血の巡りが滞っている瘀血などの血の異常と冷えです。この場合は、気虚も合併していることがあります。

冷えがあると妊娠しにくいのは昔から知られていて、後継ぎを生むお嫁さんの体を冷やさないように”秋ナスは嫁に食わすな”ということわざがあるほどです。

また、若い頃にダイエットをしていた人は、冷え症が起こりやすく、不妊の原因になっていることがあります。この場合、気虚や血虚を伴なっていることがあり、そもそも月経が不順だったり、月経がこなかったりする場合もあります。するとまず、月経不順や無月経の治療から始めなくてはなりません。月経自体は、西洋医学的に治療することができたとしても、生体のリズムをとりもどしてもらうために、漢方薬を併用することがあるのです。

いずれにしても治療は困難で、時間がかかるので、無理なダイエットはやめたほうがよいでしょう。ダイエットは、血虚の原因にもなります。

瘀血も不妊の原因となります。瘀血は、栄養不足だけでなく、運動不足や食生活によって誘発されますので、日頃から健康的な生活を心がけることが大切です。また、ストレスによる気滞(き たい)も瘀血に繋がります。

漢方処方

西洋医学的な不妊の原因は、下記で説明しますが、卵管閉塞などの器質的疾患がある場合には、西洋医学的な治療を優先します。それ以外の場合も、漢方だけで治療するのではなく、西洋医学的な治療と併用して行う場合が大半です。

たとえば、いくら卵子がよい状態でも、受け入れる子宮の状態がよくなければ妊娠しません。このような場合は、漢方で全身と子宮の状態をととのえて妊娠しやすい状態をつくって、体外受精を行うなどの方法をとります。

*冷えがある場合

まず冷えの治療を行います。不妊治療の際によく用いる漢方薬は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)などです。生薬(しょうやく)の附子末(ぶ し まつ)を加えてさらに温めたり、紅参末(べに じん まつ)を加えて血流と栄養を改善したりもします。

過剰なダイエットなどで、気虚と血虚を合併しているときには、十全大補湯(じゅう ぜん たい ほ とう)を用います。

*月経のリズムを元に戻す場合

排卵障害を伴う場合に、もっともよく使われる漢方薬は、温経湯(うん けい とう)です。必要に応じて、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や十全大補湯(じゅう ぜん たい ほ とう)などを用いることもあります。頻度は高くありませんが、生殖を司る腎が弱っている場合には、アンチエイジングの薬としても利用される八味地黄丸(はち み じ おう がん)も使います。

*瘀血があり、血流を改善する場合

瘀血をとる漢方薬、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などを処方することがありますが、子宮筋の緊張を促す可能性があるので、中期以降の内服は流産の危険があると言われています。そのため、妊娠がわかったら、すぐに内服を中止する必要があります。必ず専門家に相談して服用してください。

*男性にも漢方薬を一緒に飲んでもらう場合

疲労回復に効果がある漢方薬、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、精子の運動率を高める可能性があると言われていて、よく使われます。アンチエイジングの処方である八味地黄丸(はち み じ おう がん)も人気があります。この二つは、ご夫婦で仲良く飲んでいるケースも多い処方です。

 

西洋医学の考え方

症状

避妊をせず、普通の夫婦生活を送っていて、2年以上妊娠しない状態のことを不妊と定義しています。

不妊かなと思ったら、原因を調べるために、まず検査をする必要があります。

基礎体温をつけることから始まり、血液検査、ホルモンの値を調べる検査、卵管が狭くなっていたり詰まっていたりしないかを調べる子宮卵管造影、性交後、子宮頸管粘液の中にある精子の状態を見るフーナーテストなど、さまざまな検査があります。すべての検査を終了するのに、1ヵ月ほどかかります。

女性側の不妊の原因としては、排卵障害や高温期が短い黄体機能不全などの卵巣機能の障害、卵管がつまっていて卵子が通過できない卵管閉塞などの理由があります。子宮内膜症や子宮筋腫も不妊の原因になります。毎月月経があっても排卵していない場合もあります。

女性の側に原因があるとは限らないので、通常は男性の精液検査も一緒に行います。

男性側の原因としては、精子の数が少なかったり、運動率が悪かったり、奇形率が多かったりすることがあげられます。

しかし、男女ともに、検査では全く異常がないのに、妊娠しない場合もあります。これらは、原因不明不妊、あるいは機能性不妊と言われます。

対処法

最初は、排卵日を予測して、その前後に性交を行うタイミング法で様子を見ます。

それで妊娠しない場合は、とりだした精子を、カテーテルを用いて子宮や卵管に入れる人工受精を行います。それでも難しい場合は、精子と卵子を体外で受精させて、受精卵を子宮の中に移植する体外受精を行います。このとき、精子と卵子が受精しない場合は、顕微鏡で確認しながら、精子と卵子を受精させる顕微授精を行います。”

 

つらい「習慣性流産、不育症について」改善-漢方医学、西洋医学での対処法

 

流産は、決して珍しいことではありません。年齢差や個人差はありますが、妊娠した人の約10~15%は流産になると言われ、比較的多くの人が経験しています。

流産には、さまざまな状態があります。自然に起きる流産、そして、体内で胎児は死亡しているけれど、まだ出血、腹痛などの症状がない稽留流産(けいりゅう)などです。

妊娠はするけれど、その後、流産や死産をくり返す状態を不育症、習慣性流産と言います。3回以上くり返す場合には、習慣性流産として原因を調べ、治療することが望ましいとされています。

なお、妊娠反応は陽性で、子宮の中の赤ちゃんの袋が見える前に流産してしまう化学流産の場合は、不育症としての流産の回数には含まれません。

しかし、流産は女性の心身に大きな負担になることであり、ご本人の希望で2回目の流産をきっかけに検査をするということも少なくありません。

また、この段階で、体質をととのえるために漢方薬を処方する場合があります。漢方薬で不育症に効果があるとされているのは、柴苓湯(さい れい とう)です。漢方医だけでなく、産婦人科の先生方も処方される漢方薬です。それ以外では、婦人科系の疾患によく用いられる当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を処方することもあります。

 

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産後の体調不良の原因とは?抜け毛・白髪・食欲不振・腹痛の改善方法

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つらい「産後の不調」改善-漢方医学、西洋医学での対処法

無理をせず、体力回復に努めましょう

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著者:矢久保 修嗣 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 科長
木下 優子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 外来医長
上田 ゆき子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 救急担当医長


漢方医学の考え方

症状

出血を伴い、体力を消耗する出産後は、気や血を消耗して、気虚(き きょ)や血虚(けっ きょ)の状態になりやすいと考えています。気虚が出ると疲れやすくなりますし、血虚になれば貧血になったり、立ちくらみが出たりします。白髪や脱毛が起こるのもこのためです。

疲れやすくなったり、本当は食べなければいけないのに食欲が出ないのは、気虚の症状のあらわれです。このとき、同時に、気がうまく巡らない気滞(き たい)や瘀血(お けつ)の状態も起きやすくなります。出産後、子宮や膣から、中にたまっていた血液や胎児を包んでいた卵膜、子宮内膜のかけらが出血する悪露(お ろ)が続いたり、胎児の成長とともに大きくなった子宮が、出産後、収縮をくり返しながら元の大きさに戻っていく子宮の戻りが悪くなったり、おなかが痛くなったりするのはそのためです。

また、年月が経ってから、出産が原因の不調があらわれる例もあります。出産後、ときどき腹痛が出るようになり、あまり気にしていなかったけれど、10年以上経ってから、腹痛が慢性化するのです。産後のケアは大切なので、無理せず、ゆっくりと元の生活に戻していくようにしましょう 。

漢方処方

*産後の諸症状を回復させる処方

産後、もっともよく使われる漢方薬は、芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)です。瘀血と血虚を改善し、気の巡りをよくする効果があるので、子宮の戻りや、悪露の改善、マタニティブルーを軽くする効果があり、産後のすみやかな回復に有効です。多くの患者さんに内服することをおすすめする代表的な処方です。

疲労感が強く、貧血がひどい場合には、十全大補湯(じゅう ぜん たい ほ とう)を処方します。俗に言う”産後の肥立ちが悪い”ときの処方です。貧血が進むと、母乳の出も悪くなるので、このような場合にも使用します。

十全大補湯は、脱毛にも効果があります。しかし、出産後の脱毛や白髪は、多くの人にあらわれ、たいていは回復するので、それほど気にしなくてよいでしょう。

このほか、脱毛や貧血には、芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)を用いることもあります。これらの処方を使い、症状が落ち着いたら、芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)に変更する場合があります。

*マタニティブルーで不安やイライラがある場合

もっともよく使われる漢方薬は、芎帰調血飲です。それでも落ち込みが強い場合には、香蘇散(こう そ さん)を、イライラが強い場合には、女神散(にょ しん さん)を併用します。

それ以外に、もともとあがり症で、周囲に気を使うタイプは抑肝散(よく かん さん)を。不安が強く、怖い夢を見ることがあるなどという場合には、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などを処方します。

*子宮の収縮による痛みが続く場合

子宮の収縮が強いのは、回復のためにはよいことですが、痛みが強い場合には和らげるために芍薬を含む処方、当帰芍薬散などを使います。

*乳腺炎で母乳がつまってしまう場合

葛根湯(かっ こん とう)が有効です。ただし、マッサージなどとの併用が必要な場合が多いので、母乳マッサージや母乳外来も受診するとよいでしょう。

西洋医学の考え方

 母乳をあげることで、子宮が収縮して戻りやすくなります。

 

症状

妊娠、出産によって母体に起こる変化から、元の状態に戻るまでの期間を産褥期(さんじょくき)(6~8週)といいます。子宮や膣は出産後、すぐに元に戻るのではなく、徐々に収縮して小さくなり、それに合わせて、膨らんでいたおなかも徐々に元に戻っていきます。

子宮の収縮は、赤ちゃんが母乳を吸ってくれることでより早まります。この収縮によって、生理痛のような痛みがある場合があります。

同時に、悪露(お ろ)と呼ばれる経血のような血液や粘膜が混ざったおりものが出ます。悪露は、2~3日くらいまでは多く、赤い色をしていますが、その後、だんだん色も薄くなり、1ヵ月程度でほとんどなくなります。もしも、出血がいつまでも続くようなときは、婦人科で検査してもらいましょう。

また、産後は精神的に不安定になりやすく、ちょっとしたことで落ち込んだり、イライラしたりすることがあります。”マタニティブルー”と呼ばれ、ホルモンバランスの急激な変化や、出産後の疲れ、育児や家事のストレスや不安によって引き起こされるものといわれています。

しかし、マタニティブルー自体はほとんどの人が経験するもので、特別なことではありません。一人で悩まず、周囲に相談したり、家族に手伝ってもらったりするようにしましょう。症状がひどいと、不眠やうつに繋がる場合もあるので、専門家の診察やカウンセリングを早めに受けることが大切です。

いずれにしても、産後1ヵ月ほどは、無理をせずに安静にすることです。その間に、体力が回復したら少しずつできることから始め、日常生活のペースをつかむようにしましょう。

赤ちゃんも漢方薬を飲める?

漢方薬は、子どもからお年寄りまで幅広く使われるお薬です。もちろん、赤ちゃんでも、風邪や湿疹、夜泣きなどでは、よく処方しています。風邪の場合の漢方薬は、葛根湯(かっ こん とう)、麻黄湯(ま おう とう)、麻杏甘石湯(まきょうかんせき とう)、麻黄湯と桂枝湯(けい し とう)を半分ずつ使うなどします。湿疹がある場合は、治頭瘡一方(ち ず そう いっ ぽう)、夜泣きには、抑肝散(よく かん さん)といった具合です。

漢方薬は、「飲みにくくて、子どもは飲まないのでは?」と言われることがありますが、意外と飲んでくれるものです。

また、妊娠中に漢方薬を飲んでいたお母さんから生まれた赤ちゃんは、漢方薬に抵抗が少ない印象があります。

うまく飲まないときの飲ませ方は、ミルクを飲んでいる赤ちゃんならば、少量のお湯で練って、ほっぺたの内側に塗り、そのあと、ミルクや母乳を飲んでもらいます。離乳食が始まっている場合は、ゼリーやヨーグルトに混ぜてもよいでしょう。乳酸菌飲料に混ぜて飲んでいる子もいます。

ちょっと変わった飲ませ方では、ママが漢方薬を飲んでから母乳をあげると、赤ちゃんが母乳の中の漢方薬を服用することになる、継母乳投与という方法もあります。味の好き嫌いもなく、飲ませやすいです。

ただし、漢方薬にも副作用はありますので、小さなお子さんに使うときには、必ず医師や薬剤師などの専門家に相談してから使ってください。

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妊娠中のつわりに効果のある漢方とは? 風邪やむくみなどの体調不良にも

提供:gooヘルスケア

つらい「妊娠・出産の症状」改善-漢方医学、西洋医学での対処法

ストレスをためず、軽い運動を

妊娠中のつわりに効果のある漢方とは? 風邪やむくみなどの体調不良にも

出典:株式会社法研「女子漢方」
著者:矢久保 修嗣 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 科長
木下 優子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 外来医長
上田 ゆき子 日本大学医学部附属板橋病院 東洋医学科 救急担当医長


漢方医学の考え方

症状

妊娠中の女性の体の変化には個人差があり、とくに不快感はなく、心地よく過ごしている人もいますが、つわりになったり、切迫流産や早産になったりするなど、予想できないことの連続です。

つわりは、とくに、においや食の嗜好には敏感になりがちで、今まで好きだった食べ物がおいしいと感じなくなったり、ご飯を炊くにおいも気になったりするなど、さまざまな変化が起こります。

その原因には、気の巡りが悪いことや水の滞りがあることが考えられます。妊娠すると、妊婦さんは、ほぼ全員、水毒(すい どく)になります。そのため、むくみが出たり、ひどい場合は高血圧になったりします。

また、血虚(けっ きょ)もよくみられる症状で、貧血や立ちくらみなどが起こることがあります。

一方の切迫流産や早産は、おなかの張りが強くなることで起こると考えられます。そこで、緊張をゆるめる作用のある芍薬(しゃく やく)を含む処方を使うことになります。

つわりは、赤ちゃんからのメッセージだという考え方もあります。食べないで欲しいものや、食べて欲しいものを赤ちゃんが伝えてきていると言うのです。

また、それまでの食生活や生活習慣によって母体に出ている影響を、この時期にリセットしようとしているという見方もあります。

どちらにしても、つらいことには変わりがないので、症状を少しでも和らげるようにするのがよいでしょう。

なお、食べられないと胎児が育たないのではないかと心配する人もいますが、そんなことはありません。食べられるときに食べられる物を食べたらいいと気楽に考えることが大切です。

妊娠の症状には個人差があり、また、同じ人でも、一人目はつわりが重かったけれど、二人目はそうでもなかったなど、妊娠するたびに異なります。しかし、つわりや妊娠高血圧症候群などは二度目も出ることが多いので、一回目の妊娠で症状があった人は早めに漢方薬を飲むことをおすすめします。

漢方処方

*妊娠時の万能薬は、当帰芍薬散

妊娠時に、もっともよく使われるのが、婦人科系の病気の処方としても代表的な漢方薬、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。安胎薬(あん たい やく)と呼ばれ、もともとは、妊娠時の腹痛の薬として処方されていました。

血虚(けっ きょ)に対する漢方薬なので、貧血に効果があり、また、水毒の漢方薬として、むくみを改善する作用もあります。そこで、現在では、腹痛に加えて、妊娠時の貧血や高血圧症候群に対する漢方薬としても使われています。

妊娠の初期から出産時にまで使うことができる便利な処方なので、一回目の妊娠で高血圧症候群やむくみが認められた人は、早い時期から内服をおすすめすることがあります。

また、不妊や習慣性流産のある人などにも処方されます。まさに、女性のための万能薬と言えます。

*つわりがある場合

よく使われる漢方薬は、香蘇散(こう そ さん)です。つわりには紫蘇がよいとされており、この香蘇散にも入っています。

吐き気に対しては、半夏(はん げ)と茯苓(ぶく りょう)の組合せも有効で、小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)、茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)が使われます。

また、胃腸のもたれや体力回復に効果のある人参湯(にん じん とう)を処方することもあります。

ただし、つわりがひどいときは、エキス剤すら飲みたくないと感じることがあります。その場合は、生薬(しょうやく)を粉末にして内服すると飲める場合があります。それでもつらいときは、漢方薬ではなく、紫蘇酢(し そ ず)なども効果があります。ドラッグストアでも売っているので、ためしてみるとよいでしょう。

つわりは、悪化すると入院になることもある症状です。体調が悪いときには、無理をせず、主治医に相談しましょう。

*風邪を引いた場合

よく使われるのが、香蘇散(こう そ さん)です。現在では、気分が落ち込むなど、抑うつの傾向のみられる人に使うことで知られていますが、もともとは、風邪の処方です。

風邪とは、読んで字のごとく、風の邪(じゃ)であり、気の巡りをよくすることで風邪を追い出そうというものです。

なお、風邪で咳や喉の痛みが続く場合には、麦門冬湯(ばく もん どう とう)を使います。悪寒がして、風邪かなと思うようなときには、桂枝湯(けい し とう)がおすすめです。

*むくみや妊娠高血圧症候群がある場合

むくみや妊娠中の高血圧には、水毒が関係していることが多いので、余分な水分をのぞく作用のある漢方薬、五苓散(ご れい さん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を処方します。悪くなってから飲むのではなく、早めの内服が効果的です。

 

西洋医学の考え方

 妊娠初期は、つわり。後期は、むくみや妊娠高血圧症候群などの症状があらわれやすくなります。医師の指示に従いながら生活習慣をととのえますが、ひどいときは、漢方薬をすすめられる場合もあります。

 

症状

妊娠中は、短期間でホルモンのバランスが変わるため、さまざまな不調が起こります。

具体的な症状としては、初期は眠気、頻尿、食欲不振、食欲増加、便秘、貧血、つわりによる吐き気やむかつきなどがあります。妊娠4~6週目から12~16週目の時期は、胃のむかつきや吐き気を感じるつわりが起こります。

つわりの症状が強く、食べ物だけでなく、水も受けつけなくなって脱水症状を起こすなど、日常生活に支障をきたすような場合は、妊娠悪阻(お そ)と呼び、入院が必要になる人もいます。

また、妊娠中は、月経前に増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)が、普段の何倍も出ることが原因で、むくみやすくなります。

中期以降になると、切迫流産、妊娠に伴ってみられる高血圧、たんぱく尿、むくみ、1週間に500g以上の体重増加などの症状の一つ、もしくは二つがあらわれる妊娠高血圧症候群の症状が起こりうる可能性があります。

妊娠後期(6ヵ月以降)は、基本的には安定期に入りますが、さらにむくみやすくなります。これは、おなかの中で大きくなった子宮が血管を圧迫して、血液やリンパの流れが悪くなるためです。

ほかにも、内臓が圧迫されたような感覚になり、息苦しさや、胃もたれなどがあらわれることがあります。これを第二のつわり、と呼ぶ人もいます。

また、ホルモンの影響と、大きくなったおなかの負担により、腰痛を起こしやすくなります。食欲が増加して、食べ過ぎや妊娠高血圧症候群や、切迫早産などの可能性もあります。

そのほか、妊娠期間中に、風邪を引いたり、花粉症の症状が出たりする人もいると思います。風疹の感染なども、問題になっています。しかし薬の服用は、漢方薬であっても絶対に自分では判断せずに、担当の医師に相談してください。

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