漢方はインフルエンザやがんの治療にも活躍するー誤解の多い漢方薬

【お話を伺った人】渡辺 賢治先生

慶應義塾大学医学部漢方医学センター長・准教授 1984年慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院内科、足利赤十字病院内科、慶應義塾大学病院内分泌内科、東海大学医学部免疫学教室、米国スタンフォード大学…

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(編集・制作 (株)法研

漢方の有効性や医療経済的な効果が広く知られていない。慢性疾患だけでなく急性期治療や最新医療でも効果。西洋医学と漢方を融合したわが国独自の「日本型医療」を。

漢方はインフルエンザやがんの治療にも活躍するー誤解の多い漢方薬

保険適用から外されそうになった漢方

2009年11月、内閣府の行政刷新会議が「事業仕分け」を実施し注目を集めましたが、医療用漢方薬の健康保険給付がその対象となったことはご存じでしょうか? わずか3週間のうちに保険適用継続を求める署名が100万通近くも寄せられた結果、健康保険給付は継続されることになりました。

多くの医師が漢方薬を処方しているが、医療用製剤全体からみればわずか

漢方薬は、1976年に医療用漢方製剤が健康保険適用となりました。それ以来、医師が使用する医薬品として30年以上使われてきた実績をもち、品質が高いことも知られています。科学的な研究が進み、臨床研究も多く発表されています。日本漢方生薬製剤協会の調査によると、現在日本の医療現場では8割以上の医師が漢方薬を処方していることがわかっています。

漢方は女性のPMSや更年期にも有効

8割以上の医師が漢方薬を処方しているにも関わらず、なぜ漢方薬の保険適用が外されそうになったのでしょうか? それは、わが国の医療は西洋医学中心で、漢方が正しく認識されておらず、その有益性が国民に理解されていないことが一因と考えられます。

慶應義塾大学医学部漢方医学センター長・准教授の渡辺賢治先生はいいます。「多くの医師が漢方薬を使用しているといっても、漢方の市場シェアは医療用製剤全体のわずか1.2%にすぎません。これは、漢方薬がファーストチョイスとしてどんどん使用されるという状況ではなく、ごく限定された処方のみしか用いられていないことを表しています。」
「しかし漢方薬がファーストチョイスになる疾患は多々あります。月経前症候群や更年期障害など女性医療の分野、パニック障害や軽度うつなど心療内科分野、冷えや腰痛、膝関節症といった高齢者に多くみられる疼痛に対しても漢方が有効です。さまざまな領域でもっと積極的に用いられてもよいと思います。」

漢方は日本の風土、人に合わせ独自に発展してきた日本独自の伝統医学

そもそも漢方とは何でしょうか? 漢方を中国の医学と思っている方も多いかもしれません。しかし漢方は、5~6世紀に中国から伝わった医学が日本の風土や人に合わせて独自に発展してきた、日本独自の伝統医学なのです。「漢方」という呼び名も、江戸時代に「蘭学」「蘭方」と区別するために命名されたものです。

患者の体質や状態に合わせて処方できるのが漢方の魅力

漢方の特徴を示す重要な考え方に「未病(みびょう)を治す」があります。「未病」とは、病気ではないが、病気になりかかっている状態を表します。たとえば検査で異常が出なくても気になる症状があれば早めに対処して健康を保つ、未病を放っておかず病気になる前に治すという考え方です。話題の「メタボリックシンドローム」も、症状はなくても検査値の異常が複数重なった状態を改善していこうということですから、予防を重視する未病の考え方が取り入れられているといってよいでしょう。

また漢方は、病気の症状だけでなく、患者一人ひとりの体質、体型、気質などを総合的に判断して処方します。つまり、病気に対して薬が決まるのでなく、病気を持つ人を全体的に診て薬を決めるのです。そのため、不定愁訴をかかえやすい女性や、いくつもの症状をかかえる高齢者などにも有効に対処ができます。実際、女性や高齢者の疾患、慢性疾患に対して、漢方は比較的よく用いられています。

それでは、漢方は慢性疾患には有効だが、それ以外の病気には西洋医学のほうが有効かというと、決してそうではありません。

インフルエンザや花粉症、がん治療にも効果がある漢方薬

たとえば、インフルエンザの急性期には葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、大青竜湯(だいせいりゅうとう)などが用いられ、1日で解熱することもしばしばあります。昨年流行して大変な騒ぎになった新型インフルエンザに対しても、漢方専門医の間では、麻黄湯でタミフルと同等の効果を得たという結果が複数出ています。

花粉症の時期には小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麻黄附子細辛湯、苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)などが体質に合わせて用いられますが、即効性もあります。

最新医療の現場でも漢方薬は効果を上げています。がんの化学療法と併用して十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)や人参養栄湯(にんじんようえいとう)などの漢方薬が用いられています。これらの漢方薬には免疫系を刺激し生体防御能を高める作用があり、抗がん薬の副作用を和らげたり、合併症などのリスクの軽減に効果があります。

また、認知症の周辺症状(妄想、徘徊など人によって現れ方が違う症状)にも、抑肝散(よくかんさん)や釣藤散(ちょうとうさん)などの中枢神経を刺激する作用のある漢方薬が効果を発揮し、患者さんはもちろん介護する家族の負担軽減にも役立っています。

『漢方は高い』は誤解? 漢方薬は医療費削減にもつながる

このように漢方は、慢性疾患の治療だけでなく、感染症の急性期治療や、最新治療においても効果を上げているのです。しかも、漢方薬の活用によって、医療費削減効果も期待されます。たとえばインフルエンザ治療では、タミフルの1日薬価約618円に比べ、麻黄湯は約65円、葛根湯は約73円と安価(成人の場合)。漢方薬は高いと思われているようですが、これも間違った認識です。実際には、最も高価な柴苓湯(さいれいとう)でも1日薬価約485円と、漢方製剤は非常に安いのです。

こうした漢方の有効性や医療経済的な効果については広く知られていないどころか、むしろ誤解されていることも多いため、冒頭の「事業仕分け」のようなことになってしまうのでしょう。

渡辺賢治先生は、国民の健康を守るために、最先端医療と伝統医学である漢方を融合したわが国独自の「日本型医療」を創るべきだといいます。日本には漢方の医師免許はなく、日本の医師は西洋医学を修得した上で漢方医学の勉強をしています。そのため、両方の知識を兼ね備えた医師が、互いのよいところを組み合わせて行う日本独自の医療が可能なのです。

一方、現在世界的に伝統医学への認識が高まるとともに、漢方薬の原材料である生薬の需要も急速に伸びています。しかし日本の生薬の国内自給率はたったの15%。輸入のほとんどを中国に依存していますが、生薬の世界的需要増加により中国からの供給にも限界がみえています。中国の人件費高騰も加わり、生薬の価格は年々上がっています。もっと漢方薬を使いたくても、このままでは原料が手に入らないという事態にもなりかねません。とくに本年10月に名古屋で開催が予定されている生物多様性条約第10回締約国会議でどのような議論になるのかが注目されています。
漢方への正しい理解を促すとともに、生薬資源を安定的に確保するために、国の政策が求められます。

※この記事は2010年4月に配信された記事です



女性の体の不調には東洋医学がおすすめー漢方が女性に合う理由とは?

ノーイメージ

【お話を伺った人】石野 尚吾先生

香雲堂石野医院院長・昭和大学医学部第一生理学客員教授 1966年昭和大学医学部卒業。日本医科大学産婦人科教室医局長、昭和大学医学部第三内科研修、北里研究所東洋医学総合研究所診療部門長(2008年3…

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(編集・制作 (株)法研

冷え、むくみ、月経痛、肌あれなどに悩む人に朗報。女性の気になる症状には漢方薬、鍼灸、ツボマッサージが効果的。

女性のこころと体にやさしい東洋医学

女性の体は、ストレスや加齢、季節の変化などにより、ホルモンバランスが崩れやすく、とてもデリケート。だから冷え症、月経不順、月経痛のほか、自律神経の乱れからくる頭痛や肌あれ、動悸(どうき)、イライラ、不眠など、さまざまな症状に悩まされることが多いのです。

このような、検査をしても異常がみられない女性特有の症状には、正しく用いれば副作用が少ない漢方薬や鍼灸(しんきゅう)などの東洋医学が有効といわれます。治療を続けることで「体の不調がいつの間にか取れて、あまりイライラしなくなった」という声をよく聞きます。それは、東洋医学には自然治癒力に働きかけ、こころと体の症状をまるごと改善していく効果があるからです。

あなたの「証(しょう)」に合わせて処方する漢方薬

最近は多くの病院に、東洋医学科や漢方外来が開設されています。東洋医学では、「望(ぼう)診、聞(ぶん)診、問診、切診」の4つの診察法を行い、これらを総合してその人独自の体の状態をあらわす「証」を決めて診断の目安とします。

  • 望診とは顔色や表情、舌、態度、体型、髪質などを診る。
  • 聞診とは声の大きさや話し方、せきやたんの出方、呼吸音などを聞く。
  • 問診は自覚症状、病歴、食べ物の好み、日常生活などを質問する。
  • 切診は手を脈や腹部に当てて診る「脈診」と「腹診」を合わせた診断法です。

ベーシックな方法には「実証」と「虚証」に分ける診察法があります。

  • 実証は抵抗力があり、しっかりした体格、皮膚、筋肉、腹部も緊張して、はりがあるタイプ。
  • 虚証は抵抗力が弱く、やせ型か水太りの体格で、皮膚があれやすく、筋肉、腹部ははりがなく、疲れやすい。
  • 実証と虚証の中間のタイプを「中間証」と呼びます。

証が異なる場合は、症状が同じでも治療が違ってくることが少なくありません。たとえば体力があり、のぼせて便秘しがちな人が、月経不順、月経痛、めまいや肩こりに悩んでいる場合は「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」が処方され、虚弱な体質の人で手足が冷えやすく、疲れやすいタイプでは、同じ症状でも「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」が処方されるといった具合です。
これが東洋医学の大きな特長(利点)で、今の症状だけでなく、病気をおこすに至った人生まで詳しく聞いて、その人に合った漢方薬や鍼灸が処方されます。東洋医学こそオーダーメイド医療といってよいでしょう。

気(き)、血(けつ)、水(すい)の循環をよくして全身のバランスを整える

私たちの体に潜在している自然治癒力とか生命エネルギーを東洋医学では「気」といい、全身を巡り組織に栄養を与える「血」(現代で言う血液)と、それ以外の体液「水」の3つがバランスよく循環している状態を健康体と考えています。

気の循環が滞ると元気をなくし、頭痛、動悸、不安感やイライラ感、便秘などの症状が出てきます。また、血の循環が滞った状態を「お血(けつ)」といい、月経異常や更年期症状、冷え症、肌あれなどをおこします。水が滞った「水毒」は、むくみ、多汗、めまい、口渇などをもたらします。
東洋医学では、これらの滞りを解消し、全身のバランスを整えることで症状が解消されるように治療していきます。

ツボを刺激して気血の循環をよくする鍼灸

気、血(鍼灸では水は血に含まれます)の滞りは、全身に巡らされた経絡(けいらく)というエネルギーの通り道にあるツボを適度に刺激することで解消されるといわれます。ツボに鍼をうち灸をすえる鍼灸治療は体内の循環をよくし、治癒力を高めて、さまざまな症状の改善に役立ってきました。

鍼灸の最も得意とするのは痛みとこりの軽減で、腰痛や肩こりなどには即効性も期待できます。また、自律神経を安定させたり、血行をよくすることから、頭痛、肌あれ、冷え症や不眠などにも効果があり、最近では花粉症などのアレルギー疾患にも効果が認められています。婦人科では月経不順や月経困難症などのほか、逆児(さかご)の矯正にも鍼灸治療がよく行われています。

鍼灸は、信頼できる専門家に相談するのが安心です。家庭で手軽にできるという点では、ツボマッサージも効果的。全身にあるたくさんのツボを覚えるのは大変ですが、足の裏や手には全身のツボと連動したツボがあります。手と足を、あるいはどちらかでも、まんべんなくもみ続けると、全身の気、血の循環がしだいにスムーズになっていきます。
自分で心地よく感じられる強さで1回5~6分、毎日続けてみませんか。そのときゆっくり息を吐きながら腹式の呼吸法を合わせてみましょう。3か月以上続けているうちに「よく眠れるようになった」「肌のつやが違う」「疲れがすぐとれるようになった」「食事がおいしく感じられる」など、健康感が実感できるでしょう。

※この記事は2008年7月に配信された記事です

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うつ病は抗うつ剤を飲まずに完治できる? 抗うつ剤の副作用-うつに効く漢方

以前より治療法が増えてきているうつ病ですが、治療の中心となるのは、薬物療法。抗うつ剤を用いた治療が多く行われています。軽い症状の場合は、漢方が有効に働くことも。この代表的な2つの治療薬についてまとめました。

うつ病は抗うつ剤を飲まずに完治できる? 抗うつ剤の副作用-うつに効く漢方

薬で不足した脳内神経伝達物質を整える

病院でうつ病と診断されると、抗うつ薬が処方されます。薬を使わない治療もありますが、現在でも薬物治療は、最も基本となる重要な治療法です。

うつ病は、強いストレスを感じたことをきっかけに発症することが多い病気です。というと、精神力が弱いからと思いがちですが、病的な気持ちの落ち込みの直接的原因は、脳内環境がバランスを崩してしまったことにあります。このバランスを元の状態に戻すために取り入れられるのが、抗うつ薬です。

脳内環境のバランスを崩す元となっているのが、神経伝達物質。この物質は、神経細胞と神経細胞の隙間を行き来しながら、脳内の情報を巡らせています。ストレスを受けると、この物質が減少するため、脳の機能が低下。気分や意欲を支配する部分が影響を受け、抑うつ症状を引き起こすと考えられています。

うつ病の治療のメインとなるのが、抗うつ薬を用いた治療です。この薬は、不足した脳内の神経伝達物質の量を増やして、脳を活発にすることで、症状をよい方向へと導く働きをします。抗うつ薬には、依存性はありません。ただし、薬ですので副作用はあります。

抗うつ薬にはどんな種類があるの?

まず、抗うつ薬にはいくつか種類があり、「三環系」「非三環系」「SSRI」「SNRI」などに分類されます。
飲み始めは、どれも胃腸に影響が出ることが多く、吐き気や便秘、胃のむかつきなどが起こることがあります。また、「三環系」や「非三環系」と言われるものは、のどの渇きやめまい、ふらつき、眠気などが起こることもあります。

「SSRI」「SNRI」は副作用が比較的少ないとされていますが、子供に使用すると「アクチベーション・シンドローム」という現象が起きる可能性があります。これは、脳内の神経伝達物質のひとつセロトニンの働きが活発になりすぎるために起こる現象で、攻撃的になったり、自傷行為に走ったりなどの副作用が成人に比べて多く認められます。そのため、16歳未満には使用が禁止されています。もちろん、医師は知っていますが、覚えておきましょう。

「SSRI」「SNRI」は副作用が比較的少ないとはいえ、薬との相性は人により異なるので、「三環系」の方が効くという場合もあります。
ちなみに、「三環系」「非三環系」は、値段が安く、経済的負担が少ないという特徴もあります。

効果より先に副作用が起こる

薬を飲み始めたばかりの頃は副作用が現れやすくなります。抗うつ薬は、だいたい1週間から数週間で効果がでることがほとんど。そのため、効果よりも副作用が先に出る場合があるのです。

薬の量は、少量から始めて、様子をみながら少しずつ増やしていく場合がほとんど。副作用があまりにつらくて、続けて飲むのが難しい場合は、医師に相談してみましょう。ほかに自分に合う薬があるかもしれません。自己判断で薬の量を増減したりするのはやめましょう。再発の可能性が高くなります。

抗うつ薬は、もともとしばらく飲み続ける必要があるもの。初めてうつ症状が現れた場合の薬の摂取期間は、だいたい半年くらいが目安です。抑うつ症状が改善したからと勝手に服用をやめると、脳内環境がまだ安定していないため、せっかく改善しはじめたのに、また初めの状態に戻ってしまうのです。そのため、うつ症状を何回か再発している人の場合は、より長期の服用が必要となります。

東洋医学的なうつ病の考え方とは

うつ病の治療には、現代医療のサポートとして漢方医療も取り入れられています。人によっては漢方治療が体質によく合い、抗うつ薬が不要になったという症例もあります。東洋医学でうつは「気」の病変と考えられ、体にめぐるエネルギーが不足している状態です。気の変化は心身ともに影響し、ストレスなどで気が滞ると、心と体の両方に病気が現れるのです。

気の異常の初期の段階を気うつ(気滞)といい、気が落ち込んだり、不安やイライラに襲われたりします。この状態が悪化して、気が不足した状態になると、無表情になり、やる気が起こらなくなります。初期や中等度のうつに処方される主な漢方薬がこちらです。

・香蘇散(こうそさん) 
気の不足を補います。不安で眠れず、意欲がわかない、食も細い人、普段から胃腸が弱い人に。

・酸棗仁湯(さんそうにんとう) 
深く眠れず、そのため疲れがとれない人に。

・柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 
不安、不眠、便秘、みぞおちに動悸がある場合。いろいろな生薬の配合薬で精神を安定させる作用も。

・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) 
うつやヒステリーなどの精神症状に。また、のどの通りが悪く、胸のつかえ感や吐き気などがある場合。

・ 加味帰脾湯(かみきひとう) 
動悸、貧血があり、体が疲れ、イライラして不安がある場合に処方される。精神症状の強い人に使い、体力をつけながら、精神を安定させる作用が。

・柴胡桂枝乾姜湯 (さいこけいしかんきょうとう) 
のどの渇き、汗、口が苦く、動悸、疲労感がある場合に。

漢方薬は、体質や、その人の現在の症状、体力・気力の状態などを総合的に判断して処方されますので、例にあげたものがすべての人に当てはまるということではありません。うつ病と診断され、漢方薬も取り入れたいと考えている人は、まずかかりつけの医師に相談してからにしましょう。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

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不妊症に効果がある漢方10選|女性のからだを助ける5つのサプリメント

現代医学と併用されて処方されることも多い漢方薬は、不妊にどんな効果があるのでしょうか? また、妊娠を望む人がとっておきたいサプリメントについてもまとめてご紹介します。

不妊症に効果がある漢方10選|女性のからだを助ける5つのサプリメント

体全体のバランスを整える 体質改善で不妊にアプローチ

現代医学では不妊の原因を特定し、それを治療していくのが主ですが、漢方医学では、からだ全体のバランスを整え、体質を改善していくもの。西洋医学との併用で相乗効果があるという報告が多数あります。

また、不妊症に大きな影響を与えているのがストレス。現代社会では、ストレスを完全に回避することはできません。漢方医学では抗ストレスに対して処方が可能なのも、不妊症の治療に大きく役立っています。

エネルギーを補給し 血の流れをよくする

漢方医学の考え方では、人が健康に生きる上で「気」「血」「水」3つの力が必要とされています。

「気」:生命活動の根本的エネルギー。心と体の機能をコントロールする
「血」:気の働きを担って全身をめぐるのが血。滞った状態を「於血(おけつ)といい、精神不安や月経障害などが起こる。婦人科でも重要。
「水」:気の働きを担って体を潤し、栄養を補給するもの。

不妊症に効果がある漢方10選|女性のからだを助ける5つのサプリメント

また、体の機能の単位として五臓(肝、心、脾、肺、腎)というグループがあり、それぞれの臓器がバランスをとりながら、体を維持していると考えられています。このグループ分けは、現代医学の内臓と同じ名前ですが、内臓を表す言葉というだけでなく、体の機能や働きを5つに分類したものでもあります。

不妊症に効果がある漢方10選|女性のからだを助ける5つのサプリメント

この考えをふまえ、漢方医療では不妊症の原因を「陰血虚弱」としています。そのため、気血の補充(補気、補血)をし、於血の改善を行うとともに、抗ストレス療法として、脾・肝の機能補正が必要です。改善に用いられる漢方薬は、下記の10種類です。なかには、漢方医からの処方箋が必要になるものもあります。自分の体質の見極めなど個人で判断するのは難しいので漢方医に相談するほか、かかりつけの婦人科医にも相談しましょう。

1)補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
気を補充しながら脾の働きを改善する。虚弱体質で、全身倦怠、食欲不振、動悸、不安感がある、言葉に力がない、目に勢いがない人に。

2)十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)
気のエネルギーと脾の働きを改善するとともに、血も補うのが特徴。疲労感体感、食欲不振、顔色が悪い、手足の冷え、貧血などの人に。

3)六君子湯(リックンシトウ)
脾の働き、気のパワーを補う代表的漢方。胃腸虚弱、疲れやすい、貧血症、冷え性の人に。

4)紅参末(コウジンマツ)
高麗人参を熱加工したもので、補気の作用に優れている。また、於血を改善するほか、抗ストレス作用も。どんな体質の人にも使用できる。

5)加味逍遙散(カミショウヨウサン)
肝の機能異常を整え、於血を改善する。比較的虚弱で冷え性、疲れやすい、精神的に不安的でイライラしている、不眠などが、月経周期に関係して現れる。

6)柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)
肝の機能を補正する、神経症やストレスがある人によい。卵巣機能不全への効果が報告されている。虚弱体質で冷え性、イライラ、不眠などの精神状態がある。

7)芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)
肝の機能を補正する。多嚢胞生卵巣症候群に有効という報告されている。平滑筋の萎縮による疼痛がある場合に使用。

8)桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
於血を改善する代表的なもの。月経周期の異常や月経困難症、肩こり、目まい、下半身の冷えがある。のぼせ性で赤ら顔のことが多く、体力は中程度の人に。

9)当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
優れた於血、および血虚改善作用がある。流早産予防にも使用。単体での使用または、クロミフェンとの併用で排卵・妊娠率向上が認められている。虚弱体質で冷え性、貧血傾向、月経周期にともなってむくみや頭の重さ、目まい、肩こりがある人に。

10)温経湯(ウンケイトウ)
優れた於血改善作用が認められている。また、排卵を促進する作用も。比較的体力が低下している、下半身が冷え・手のひらはほてる、肌荒れ、唇の乾燥、冷えによる下腹部痛がある人。

漢方医学では男性不妊も原因は同じため、同じ処方がされるそう。生活習慣の面では男性の場合、アルコールの飲み過ぎは、精力消耗、精子の放出が悪くなったりするので、なるべく控えましょう。

サプリメントの栄養サポートで妊娠しやすい体へ

ふだんの食事だけでは、なかなか補うことができない栄養素を補うのがサプリメント。妊娠しやすい体づくりをサポートする上で役立つといわれているものをご紹介します。サプリメントは、自分の足りない栄養素を補うのがメイン。合う、合わないなど個人差があるので、気になる人は医師と相談の上で、食生活に取り入れましょう。また、基本はあくまでもバランスのとれた食事であることは忘れずに。

●葉酸
葉酸はビタミンB9のこと。水溶性ビタミンB群の一種です。葉酸には細胞分裂や増殖に働きかける作用があり、子宮内膜を強化。これにより受精卵が着床しやすくなるそう。また、造血作用や血液サラサラ効果により、子宮内の血流をアップさせます。着床後の受精卵の発育促進にもつながります。

●マカ
南米ペルーで栽培されているアブラナ科の野菜で、必須アミノ酸や鉄分、カルシウムが豊富。また植物性のエストロゲンが、ホルモン様作用によってホルモンバランスを整えるとされています。そのほか、ビタミンEが冷えを解消、アルギニンが疲労回復など、健康な体に導きます。

●ルイボス
加齢やストレスで体内の活性酸素が増えると排卵障害や黄体機能不全、卵巣機能不全が起こり妊娠しにくい体に。ルイボスティーには、この活性酸素を除去する働きが。ホルモン分泌を改善するのに欠かせない成分、亜鉛も含み、生殖機能低下も改善します。

●たんぽぽ
女性ホルモンのエストロゲンを増やす作用があると言われています。また、血行を促進する働きで冷え性の改善にも。ホルモンバランスが整うほか、女性に不足しがちな、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。

●鉄
現代の女性は慢性的な鉄不足。厚生労働省が定める1日の摂取目標は12mgですが、達成できていないのはもちろん、年々摂取量は減少する傾向に。鉄が不足すると生理不順になるほか、妊娠を維持する黄体ホルモンの分泌も低下してしまうのです。鉄は、ビタミンCやたんぱく質と一緒に摂取すると吸収力がアップします。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

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漢方薬にもある副作用-薬の副作用が起きるしくみについて

【お話を伺った人】澤田めぐみ(さわだ・めぐみ)先生

内科医。東京医科歯科大学医学部卒。「医学を学ぶのは医師を目指す人たちだけ」という現状に疑問を抱き、「賢い医療消費者を育てたい」という思いから、2011年に日本で唯一の小中学生を対象とした医学教室「とう…

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漢方薬は副作用がないから安心ってホント?

副作用がゼロの薬はない、漢方薬も例外ではないことを知って。
薬本来の目的以外の好ましくない働きが副作用。副作用が起こる仕組みと、起きた場合の対処法について解説します。

漢方薬だからといって、副作用がゼロではない

病気を治したり、症状を軽くするために役に立つ薬。こうした薬本来の目的に合った働きのことを「主作用」、本来の目的以外の好ましくない働きのことを「副作用」といいます。
副作用は誰しも避けたいと思うもの。漢方薬には副作用がないと思っている人も多いようですが、漢方薬だからといって副作用がゼロというわけではありません。
例えば、薬の副作用によって肝機能が障害される「薬剤性肝障害(薬物性肝障害)」では、健康食品や漢方薬が原因のものが2割近くを占めていたというデータもあります。

患者さん側の要因は、アレルギーや肝臓・腎臓の機能低下など

副作用が起こる原因には、薬を使う人、つまり患者さん側の要因である場合と、薬自体の性質による場合があります。
患者さん側の要因としては、アレルギーなどの体質や年齢などのほか、薬を分解・排泄する肝臓や腎臓の機能低下のため、薬が効きすぎて副作用が起こることもあります。薬を使った後に気になる変化が見られたら、すぐ主治医に報告しましょう。薬をすぐやめなくてはならない場合もありますし、副作用とは全く関係のない場合もありますので、自己判断は禁物です。薬の名前と副作用を忘れずに記録しておきましょう。

薬自体の性質による副作用は、薬の目的次第で主作用にもなる

では、薬自体の性質による副作用とはどのようなものでしょうか。
例えば、アスピリンなどの消炎鎮痛剤は、痛みや発熱の原因になるプロスタグランジンという物質の生成をブロックすることにより、痛みを抑えて熱を下げます。しかし、プロスタグランジンの仲間には、止血作用に関係する物質や、胃粘液の分泌を促して胃を守る物質もあるため、アスピリンによって出血傾向や胃潰瘍といった副作用が現れることがあるのです。その半面、止血作用を妨げる働きを期待して、血栓予防にアスピリンが使われる場合もあります。このように、薬の性質が目的としたところで発揮されれば主作用に、望まないところで出れば副作用になるのです。

他の薬との飲み合わせによる副作用にも注意

他の薬との飲み合わせや、一緒にとる食品との組み合わせに影響を受け、薬の効き目に変化が起きる場合もあります。この影響を相互作用といい、薬の効き目が強くなりすぎて副作用が出やすくなったり、反対に薬の効き目が弱くなることもあります。
他の病院で処方された薬を服用している場合や、市販薬や健康食品などを利用している場合は、必ず医師や薬剤師に伝えましょう。
医薬品には、使用上の注意などを記した添付文書の作成と添付が法律で義務付けられており、同時に使ってはいけない薬についても明記されています。添付文書は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の公式サイトなどでも閲覧することができます。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

【参考】
『医師に聞けないあんな疑問 医師が解きたいこんな誤解』

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更年期障害と薬「更年期障害に効く漢方薬」

更年期障害と薬「更年期障害に効く漢方薬」

西洋医学と東洋医学の違いは、木と森で例えられます。西洋医学は木。体が異変を起こすとその症状を抑えたり、悪くなった部分を切り落とします。つまり部分的な治療。それに対して東洋医学は、体(森)のバランスを考えるもの。つまり治療で体全体のバランスを取り戻していき、健康体にするのです。

その考えに基づき、漢方では、更年期障害の原因を「腎虚(じんきょ)=下半身の筋力・血流低下」と考えて治療をします。

下半身に集まった血液を下す漢方薬の働き

卵巣は、閉経期になるまで排卵し、毎月妊娠に備えます。妊娠が成立しなければ子宮内膜がはがれて月経になります。卵巣と子宮は、閉経を迎えるまでフル稼働しているのです。

「しかし閉経を迎えると、卵巣と子宮の血流は急激に減少します。卵巣と子宮は下半身にある臓器ですから、卵巣と子宮の血流が減るということは、下半身へ供給される血流が減るということです」と教えてくれたのは、石原クリニックの石原新菜先生です。

「今まで下半身を流れていた血液が十分に流れないと『頭熱足寒』になり、下半身が冷えるのに上半身がのぼせる『冷えのぼせ』、ホットフラッシュ、突然の発汗、動悸、イライラなどの症状が現れます」(石原先生)。
その時、血の異常である「血虚(けっきょ)」や「瘀血(おけつ)」を伴うことも多いそうです。

「また、漢方では上につきあげてくる症状を『昇症(しょうしょう)』と言いますが、これは下半身の血流が低下し、上半身に血液が集まるために起こります。そのため、下半身をよく動かして血液を集めることが大事です」(石原先生)

更年期障害に効く漢方薬

更年期障害に効くとされる漢方薬には以下のようなものがあります。ただ、その人の体質や状態は自分ではわかりにくいので、自己判断はせず、漢方医や漢方薬局、漢方を処方する婦人科で相談しましょう。

●半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)……更年期障害で、うつ症状がある場合。冷え性で疲れやすい体質、神経質な人。気分が塞いで、のどに何か詰まっているように感じがする、めまい、動悸、吐き気などの症状がある

●八味地黄丸(はちみじおうがん)……下半身の筋力低下が著明な場合。体力がなく、高血圧、糖尿病、腎臓病がある人。疲れやすい、だるい、足腰の冷えや痛み、しびれがある、頻尿、乏尿などの排の異常がある

●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
体力がなく、色白で皮膚がやわらかいタイプの人。冷え症、肩こり、頭痛、めまい、生理痛、生理不順などの症状がある場合。

●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
比較的体力があり、赤ら顔で体格がよいタイプの人。肩こり、頭痛、のぼせ、生理痛、生理不順などの症状がある場合。

●四物湯(しもつとう)
体力がなく、顔色が悪く(茶色っぽい)、しもやけになりやすい、肌が乾燥しやすいタイプの人。冷え症、肩こり、頭痛、めまい、生理痛、生理不順などの症状がある場合。

●加味逍遥散(かみしょうようさん)
体力がないタイプの人。不安、不眠、イライラなどの精神症状がある。冷え症、肩こり、頭痛、めまい、足が冷えるのに上半身だけ熱い、生理痛、生理不順などの症状がある場合。

●六味丸(ろくみがん)
比較的体力が低下した人。疲れやすい、足腰の冷えや痛み、しびれがある、頻尿、夜間頻尿、乏尿などの排尿異常がある場合。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

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