ペットとのスキンシップで感染症に!? 動物から人へうつる病気

【お話を伺った人】神山恒夫先生

国立感染症研究所獣医科学部 第一室長 1946年北海道生まれ。1969年北海道大学獣医学部卒業。卒業と同時に国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)に就職。現職・獣医科学部第一室長。獣医学博士。…

もっとみる

(編集・制作 (株)法研

(「ジャストヘルス」法研より)

感染に気づかず治療が遅れると死に至ることも。人獣共通感染症が増えている! かわいいペットと自分の健康を守るために、正しい知識をもって!

身近なペットからの感染症が増えている

イヌやネコなどのペットを飼う人が増えています。ペットがそばにいるだけで心がなごみ血圧も下がるなど、動物との触れ合いは心にも体にもとてもいい影響が。でも、かわいいからといってキスしたり一緒に寝たり…、これはちょっと危険ですよ!

「人獣共通感染症」とは難しいことばですが、最近マスコミなどでさかんに取り上げられているため、ご存知の方も多いでしょう。「動物由来感染症」、「ズーノーシス」ともいわれる、動物から人間にうつる病気のこと。なかでも、身近なペットからの感染症が増えています。ペットを室内で飼うことが多くなって互いに接触する機会が増えたこと、住宅の気密性が高くなって病原菌が繁殖しやすくなったこと、ペットを家族のように扱い濃厚な接触をする人が増えたことも原因と考えられています。

しかし、ペットから病気がうつるなんてと、いたずらに怖がることはありません。どのような病気があって、どうすれば防げるのかを知って予防し、かかってしまったら早めに治療すれば、ほとんどの場合軽症ですみます。ペットとこころおきなく触れ合えるように、人獣共通感染症について十分な知識を身につけておきましょう。

こんなにある、人獣共通感染症

人獣共通感染症は世界で300種類近くもありますが、日本でみられるのは100種類ほどです。その中で、気になる身近なペットを感染源とする主な病気を紹介しましょう。

パスツレラ症

イヌやネコにかまれたり、ひっかかれたり、なめられて感染する。イヌの75%、ネコの100%近くが口の中に病原体を持っているため、飼い主が最も注意しなければいけない病気。傷の周りが赤く腫れて激しく痛む。鼻や口から感染し、せきなどかぜに似た症状が出て、副鼻腔炎や気管支炎になることもある。重症になると肺炎や髄膜炎を起こし死亡した例も。治療は抗生物質が効くので普通は1週間ほどで治る。

ネコひっかき病

ネコやイヌにかまれたり、ひっかかれたり、ときにはなめられて感染する。ひっかかれた部分の皮膚が赤く腫れ、その近くのリンパ節が腫れて痛む。微熱、全身の倦怠感などが現れる。通常は2-3週間で治るが、重症になると脳症をひき起こすことも。

オウム病

オウム、インコなどの鳥の羽毛や乾燥したフンなどを吸い込んだり、口移しでエサを与えたりして感染する。インフルエンザに似た症状が特徴で、1~3週間の潜伏期間の後突然、高熱(39℃以上)、せき、全身の倦怠感、頭痛や筋肉痛がみられる。重症になると血痰(けったん)や呼吸困難感(チアノーゼ)を起こしたり、髄膜炎を起こして死亡することも。初期のうちなら抗生物質で治るケースがほとんど。

イヌ・ネコ回虫症

イヌやネコのフンに含まれる虫卵を口に入れることで感染する。「公園の砂場が危ない」と話題になった感染症。人の体内に入った回虫が体内を移動して内臓や目に入ることでさまざまな障害をひき起こす。子どもに多くみられ、内臓に入ると発熱、ぜんそく、肺炎など、目に入ると視力障害や視野障害が起こる。

トキソプラズマ症

ネコのフンから感染。加熱が不十分な豚肉から感染することも。抗体をもたない妊婦が初めて感染すると、まれに胎児に影響する。胎児が感染した場合、死産や流産を招いたり、神経・運動障害をひき起こすことも。

サルモネラ症

イヌやネコ、ミドリガメ、爬虫(はちゅう)類、鳥、ハムスター、ウサギ、サルなどの排泄物で汚染された水から感染する。激しい下痢や腹痛などの症状がでる。

皮膚糸状菌症(真菌症)

白癬などともいい、皮膚病(糸状菌症)にかかっているイヌやネコ、ハムスターなどと接触することで感染し、発疹、かゆみ、化膿などを起こす。通常は抗真菌薬を塗ればよくなる。ペットの治療によって感染源をなくすことが重要なので、獣医師に相談する。

感染を防ぐには過剰なスキンシップを避けること

人獣共通感染症は、ペットの病気に気づかずに感染してしまうことがほとんどです。そのため、早めに治療すれば軽症ですむものが、長引いたり重症化してしまうことも。とくに赤ちゃんや高齢者、糖尿病などの病気で抵抗力が低下している人は注意が必要です。
傷口やリンパ節が腫れる、かぜのような症状がつづく、皮膚の異常などの症状がみられたら受診し、医師にペットを飼っていることを伝えましょう。また、以下の基本的な注意事項を十分に理解しておきましょう。

●ペットに触ったり砂遊びをした後や、フンを処理をした後は必ず石けんで手を洗う
●ペットに食べ物を自分のはしで食べさせたり、口移ししない
●ペットと人の食器を一緒に洗わない
●ペットとキスしたり、過剰な口なめはさせない
●ペットと同じふとんで寝ない。一緒にお風呂に入らない
●ネコやイヌの爪は短く切っておく
●食事中は鳥を室内に放さない
●ペットの体や飼育小屋は常に清潔に保ち、フンの始末はこまめに行う。鳥かごの掃除はマスクで鼻までおおって
●定期的に動物病院で検診を受ける
●野生動物は飼育しない

※この記事は2007年3月に配信された記事です



ペットは人のこころを癒す?医学的に実証されたアニマルセラピーの効果

山本 晴義先生

【お話を伺った人】山本 晴義先生

横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長 1972年東北大学医学部卒業。2001年より現職。医学博士。神奈川産業保健推進センター相談員、文京学院大学講師、駒沢大学講師ほか。著書に:『ストレス一日決…

もっとみる

(編集・制作 (株)法研

動物と触れ合う、アニマルセラピーのススメ。アニマルセラピーの効果は、医学的にも実証されています。楽しく遊びながら、いやされましょう!

触れ合うだけで、やすらぎが…

可愛い犬の写真を見ただけで、「なんだか、いやされる」と感じたことはないですか?
動物との触れ合いは、人間にとって、心身両面で大きないやし効果を持っています。それを医療に応用しているのがアニマルセラピー。
アニマルセラピーは、老人介護施設や病院などに、犬や猫を連れて訪問し、動物とともに過ごす時間をつくる、という形でさかんになっています。

ペットは人のこころを癒す?医学的に実証されたアニマルセラピーの効果

犬や猫などのペットに触れているだけで、私達の心はやすらぎを感じ、落ち着きを取り戻します。動物をなでると、柔らかさやぬくもりから、触覚のよろこびが満たされるのです。また、言葉を介さないコミュニケーションによって、感情の交流が生まれます。それによって、緊張がほぐれてリラックスでき、血圧や心拍数が安定してきます。
さらに、その可愛い姿やしぐさには、つい笑顔を誘われ、こちらから働きかけたくなる作用があります。感情面が活発になるため、認知症の症状改善にも効果があるといわれています。

行動的になる暮らし

ペットと触れ合うだけでなく一緒に暮らすと、さらに大きな効果が得られます。
たとえば「ペットの世話をし守らなければ」という責任感が生まれ、必要とされている気持ちが強くなります。これにより、ストレスや孤独感がいやされるのです。

また、犬を飼うと規則的に散歩が必要になります。決まった時間に散歩に出ることで、運動不足が解消されてダイエットにつながったり、愛犬家同士で話がはずむなどして、地域の人とのコミュニケーションがさかんになることがあります。
さらに、犬を連れて散歩をしている人は、連れずに散歩している人に比べ、副交感神経が活発に働いている、という調査報告もあるそうです。
一緒に暮らしているだけで、自律神経が安定し、生活も規則正しくなる…こう考えると、いいことずくめのようですが、自分本位でペットとつきあっていないかどうか、ちょっと考えてみましょう。

ペットにも心地いい環境を

ペットによるいやし効果を満喫して暮らすためには、彼らにとっても快適な環境を作ってあげなければなりません。
まず自分がつき合うペットの習性や特徴などの知識は、身につけておきたいものです。愛しいペットも、私達と同じように、ストレスを感じて病気になってしまうこともあります。ペットの感情の安定、栄養のバランス、運動の管理などしっかり気をつけてあげたいものです。
また、ペットと一緒に眠ることがこの上なくしあわせ、という人もいますが、密着すると感染症が心配です。日頃から予防接種やシャンプーをこまめにするなど、衛生面のケアもしておきたいものです。

自分の都合だけで、ペットを溺愛していては、そのスウィートタイムも長続きしません。ペット自身も“いやし”を感じる、心地いい暮らしをととのえてあげることを、どうぞお忘れなく!

(「ストレスチェックノート」山本晴義監修、法研より)

※この記事は2006年11月に配信された記事です

続きを読む




風疹の抗体はなくなるの?「子供のころかかったから安心」とは言えない事情

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 –株式会社からだにいいこと

予防接種を行っているのに、患者が増加している風疹。子供の病気のイメージですが、実は患者の9割が成人。その理由と、予防対策についてまとめました。

風疹の抗体はなくなるの?「子供のころかかったから安心」とは言えない事情

2010年では87人だった患者が、2013年では5000人超に

子供の頃にかかる病気として知られている風疹。風疹ウイルスによる急性の発心性感染症で、一度かかると免疫ができて二度とかかることがないといわれています。それが、近年では感染者が増加。2010年では87人だった患者数が、年々増加し2013年以降では5000人を超えています。

特に、1〜9歳頃にかかるイメージの風疹ですが、実際の患者の9割は成人。特に、男性は女性の約3.5倍で20〜40代に多く見られます。女性の場合は、20代に多いそう。感染経路は、風疹ウイルスに感染した人の分泌物に触れることによって起こる、飛沫感染。ウイルスが鼻や喉に付着してから1週間後に発熱など、風疹の症状が現れます。

女性は特に風疹に注意して!

風疹は、38度以上の発熱や赤いブツブツの発疹、リンパ節の腫れが特徴。これらの症状は、3〜4日で回復しだすので「3日はしか」と呼ばれることもあります。大人になってからかかると、子供のときより重症化する傾向に。発熱や発疹の出る期間が長くなることが報告されています。
妊娠早期の女性が風疹にかかると、胎児が先天性風疹症候群になる可能性があります。先天性心疾患、感音性難聴、白内障や緑内障、そのほか、低出生体重、髄膜脳炎などの症状が見られる場合もあります。

一度かかったからといって安心できない理由

国内では、現在1歳と小学校入学前の2回、麻疹と風疹の混合ワクチンの接種がおこなわれています。しかし、すでに成人している人の中には、子供の頃1回のみの接種だったり、女子のみの接種、医療機関に自分で行って接種する必要があり接種しなかったという世代も。こういった世代の人は、風疹の抗体が不十分で風疹にかかりやすくなっています。さらに、「予防接種した記憶がある」「子供のころかかったから安心」と思っている人も要注意です。その理由を以下にご紹介します。

・風疹だと思っていたが、ほかの病気だった

「子供の頃に風疹にかかった」と記憶している人も多いはず。これは親から言われた記憶で、間違っている可能性もあります。子供の頃は、風疹と似た「おたふく風邪」や「麻疹」にもかかるので、親が勘違いして伝えている場合も。また、昔は医師が症状だけで風疹の診断をしており、風疹でなかったということも考えられます。不安な人は、医療機関で風疹の抗体検査を受けましょう。

・ ワクチンを接種したが、体に抗体ができていなかった

1回ワクチンを接種しても、抗体が作られないケースが5%ほどあるそう。

・時間の経過とともに、抗体が減少した

時間が経つとともに、抗体が減少することも報告されています。妊娠を望む女性は特に2回目を受けることがすすめられています。

現在では、2回のワクチン接種で約99%が風疹の予防ができるそう。これから妊娠を望む女性はもちろん、パートナー、周りの家族も予防接種がすすめられています。だいたい、費用は単独ワクチンで4000〜8000円、風疹・麻疹の混合ワクチンは、7000円〜1万2000円です。ワクチン接種や抗体検査は医療機関での予約が必要。市町村によって、風疹の抗体検査やワクチンの接種費用に助成金がでる場合もあるので、ホームページなどで確認してみましょう。

続きを読む




ペットとのキスはダメ? 犬や猫から人に感染する病気-ペット由来感染症

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 –株式会社からだにいいこと

空前のペットブームと言われる昨今。ペットとの距離が近づいているからこそ要注意したい、ペット由来感染症についてご紹介します。

 ペットとのキスはダメ? 犬や猫から人に感染する病気-ペット由来感染症

ペットからうつる感染症に注意を

犬や猫など、自分のペットの画像をSNSにアップして人気になっている人が急増中。今、空前のペットブームとも言われており、この15年間で、ペットの病院や餌などにかける金額は2倍に増えているのだそう。ペットを家族同然と考え、手厚いケアをしている人が増えていると考えられます。
大切な家族の一員ですが、やはりペットは動物。動物と人との間で感染する病気「ペット由来感染症(ズーノーシス)」に注意する必要があります。別名「人獣共通感染症」「動物由来感染症」とも呼ばれることも。世界保健機関(WHO)が確認しているもので、150種類以上もあります。犬や猫から人に感染する病気をご紹介します。

犬や猫から感染するペット感染症

◯狂犬病

感染した動物に人がかまれることで感染。発症すれば必ず死んでしまう危険な病気です。かまれた部分の感覚が鈍り、錯乱、興奮状態などの神経症状が起こったあと、呼吸麻痺に陥り、死に至ります。

◯猫ひっかき病

感染している猫にかまれたり、ひっかかれたりすることで感染。幹部が赤くなり、潰瘍に。発熱もともないます。

◯パスツレラ症

感染した動物にかまれたり、ひっかかれたりすることで感染。患部が発赤し、骨髄炎になる場合も。

◯トキソプラズマ症

感染した動物のふんの中にいるものが、口に入ることで感染。ほとんどの人の場合は無症状ですが、妊婦が感染した場合は流産、死産になることも。

◯回虫症

回虫の卵がいる毛、ふん、砂などが口に入ることで感染。子供に多く、発熱、肺炎、神経症状などがあらわれます。

◯Q熱

感染した動物の尿、ふんや獣皮等にふくまれる病原体を吸い込むことで発症。ダニが媒介する場合も。感染すると、発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛などの症状があらわれます。ただし、感染しても半数の人が無症状です。

大切なペットだからこそ一定の距離を

これらの感染症を予防するためには、予防接種はもちろんのこと、飼い主が普段から気をつける方法以外にありません。ペットは大切な家族の一員だからこそ、お互いのために一定の距離を保つように心がけましょう。

ペットの口や爪の中に細菌やウイルスがいます。キスやスプーンの共有、口移しで餌を与えることは避けて。また、タオルの共有もおすすめできません。ペットと一緒に寝ると、睡眠中にひっかかれる場合もあるのでベッドに入れることも避けた方がいいでしょう。そして、ブラッシング、爪切り、お風呂に入れるなど、ペットを清潔に保つことを心がけてください。

細菌やウイルスの中には、動物には病気を起こさなくても、人には病気を起こすものもあります。動物にさわったら必ず手を洗いましょう。

続きを読む



突然顔の半分が動かなくなる顔面神経麻痺(ベル麻痺)|原因はストレス?

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 –株式会社からだにいいこと

ストレスが多い40歳前後の人に起こりやすい顔面神経麻痺。自然治癒もする病気ですが後遺症が残る場合も。症状の特徴と治療法をご紹介します。

突然顔の半分が動かなくなる顔面神経麻痺(ベル麻痺)|原因はストレス?

ウイルスが顔面神経に炎症を起こす

顔の筋肉が動かなくなるのが顔面神経麻痺です。そのうち突然、片側の神経が麻痺するベル麻痺は60〜75%を占め、発症率は10万人に年20〜30人といわれています。性別は関係なくどの年代でも発症しますが、40歳代がピークという調査があります。また、ほとんどの場合が完全に回復することが可能といわれ、数ヶ月で自然治癒することもあります。ただし、10〜20%の確率で少し後遺症が残るという報告も。

顔面神経麻痺の主な原因はヘルペスウイルスや水ぼうそうのウイルスと考えられています。以前、口唇ヘルペスや水ぼうそうを発症したことがある人が、ストレスや寒さなどをきっかけに、体内に潜んでいたウイルスが活性化。下記のような症状が現れます。

<顔面神経麻痺(ベル麻痺)の主な症状>

・ 額にしわを寄せられない
・ 眼が閉じられない
・ 口笛が吹けない
・ 口角からよだれが垂れる
・ 麻痺している側の耳が過敏になる
・ 味覚障害が起こる
・ 眼が乾燥する

顔には表情筋という筋肉があり、これらの動きを指示しているのが顔面神経です。この神経は脳からの指令を筋肉に伝え、顔の筋肉を動かしています。ウイルスによって顔面神経が炎症を起こすことによって、脳の指令がうまく伝わらず、表情筋が動かせなくなるのが顔面神経麻痺です。

実は、顔には顔面神経以外にも色々な神経が通っており、涙をコントロールする大錐体神経、音を小さくするアブミ骨筋神経、舌の前の方の味覚を感じる鼓索(こさく)神経、顔の表情を動かす顔面神経があります。そのため、顔面神経麻痺を起こした場合は表情筋の麻痺だけでなく、味覚や聴覚の障害などさまざまな症状が同時に起こるのです。

後遺症を残さないために早期に治療開始を

顔面神経麻痺の原因として一番多いと考えられているのが、ストレスです。体内に潜伏していたヘルペスウイルスが、体にストレスがかかり免疫力が落ちた時に再活発化して、神経に炎症を起こします。それは風邪をひいて免疫力が落ちた時に口唇ヘルペスが再発しやすいのと同じ原理です。

ベル麻痺では、ウイルスの活動を抑えるため抗ウイルス薬を処方。そのほか、ステロイド剤で炎症による腫れを抑えて神経の圧迫を取り除いたりする治療もあります。眼が閉じにくい場合は、人工涙液を点眼して眼の角膜を保護します。

治療の開始が遅れると、神経の変性が起こり、後遺症が残る場合もあるので、早く治療を始めることが重要です。また、手で顔をマッサージしたり、冷やしたり、温めたりすることも有効とされています。発症してから、1~2カ月後からは鍼治療も効果的。ただし、自己流でマッサージを行ったり、自己判断で鍼治療を開始すると悪化する場合があるので、担当の医師に相談しましょう。

続きを読む



【体験談】口唇ヘルペス(単純疱疹)を悪化させ入院。症状、発症~回復まで

(編集・制作 gooヘルスケア)文/亀井満月

唇の周りに水ぶくれのような腫れ、複数の口内炎などが発症する口唇ヘルペス。数日で治ることもあれば、場合によっては高熱、全身に湿疹が出るなど症状が広範囲に及ぶケースもあるようです。今回は「口唇ヘルペス」で入院をした方の体験談です。

■最初は唇の湿疹と口内炎その後全身に症状が出た「口唇ヘルペス」

唇の湿疹と口内炎などの症状に気がついていたものの、さほど気に留めずに生活をしていました。ところが3日くらいすると全身にかゆみが出てしまし、寝不足になるほどのかゆみが出ました。ヒザのやや上、内股側から湿疹が出始め、この後 1週間かけて顔、手以外の全身に湿疹が広がっていきました。

4日目の朝、強い倦怠感と微熱を感じたので会社を休みました。全身のかゆみは治まり始めていたこともあり、連日連夜のかゆみによる睡眠不足かと判断して寝ていました。ところが5日目に熱が上昇、38度台になり解熱剤を服用。夜にはいったん熱が引いたものの、入浴の際に初めにできた湿疹の周りに紅斑が広がっていることに気がつきました。何だかおかしい……。

さらに翌日には、目に違和感が。常時目の中にゴミがあるような状態で涙が止まらない。食欲も減退し、食事の際には口内炎を確認しました(口唇ヘルペス)。

■発症から2週目に激症化、検査入院へ

休養をとっても一向に改善しない症状。
昼に熱を計ってみると 38度台。再び解熱剤を飲んで横になったら多少は下がったものの、夜には再び39度後半に。解熱剤もまったく効かず、今度は激しい頭痛に悩まされました。

#7119 に電話して、日曜夜でも受診が可能な病院を教えてもらったものの一軒目は急患で対応できないとのこと。体がしんどく、この日の受診はあきらめて横になりました。「寝たら死ぬんじゃないか」そんな気持ちがよぎり、結局、一睡もできずにいました。
深夜には、頭痛に耐えかねて紅茶を飲みました。しばらくするとカフェインの作用か若干楽になりました。まったく食事がのどを通らなくなり、口内炎はさらに酷くなっている感じがしました。

翌日になるとまぶたの状態が良くなり、目がだいぶ楽になりました。湿疹は紫斑になっていることに気がつき、体温はまだ 39度台。月曜なので病院の選択肢が広がり、内科、皮膚科を併設しているクリニックを受診しました。
すぐに詳しく調べた方がよいとの診断を受け、大学病院を紹介されました。皮膚科は 1時間待ち。待機中も発熱で体が辛く、10分ほどで根を上げて横になれないかと申し出ると看護師らの態度が一変。急患扱いになりました。
診察では医師(内科医?)に病状と皮膚の状態を見せ、続いて皮膚科の医師がつき、全身の写真撮影の後に、尿検査、血液検査(採血四本)、レントゲン、心電図等検査をしました。
その後も何名かの医師に質問を受け、感染症の疑いがあるためか最近の海外渡航歴は必ず聞かれました。熱は38度程度に下がったものの、手のひらに水泡のできはじめの様なものを指摘されました。精密検査のため、腕の皮膚を二ヶ所、麻酔を打って切り取り病理検査へ。腕には縫合の跡が残りました。(麻酔は採血よりも痛く、1個所あたり麻酔 4回、計8回)。
ここで医師から検査入院を勧められ、いったん自宅に戻って荷物を整理し、再び病院へ。

【体験談】口唇ヘルペス(単純疱疹)を悪化させ入院。症状、発症~回復まで

■人生初の点滴と入院…「口唇ヘルペス」でまさかの検査入院

8人部屋に空きが無く、また感染症の疑いがあるため人口密度の低い4人部屋(1日 8,000円の差額室料)に。また、フロア外への退出も禁じられました。(入院患者であっても、他階のコンビニなどは行けるらしいがこれが禁止されました。)

病名が判明するまでは「何らかの感染症かもしれないので、なるべく人口密度の低い部屋にしたい」と言われたものの、お見舞いは大丈夫だったので「大事を取って」程度の扱いだったのかもしれません。

感染症等、詳細な血液検査のため、両腕から採血するもそれぞれ 10ml しかとれず、
(採血用の器具ではなく、シリンジの先に針がついただけのものでポイントを探るため両腕をぐりぐりされ、めちゃくちゃ痛い。ここが入院中の一番ひどい体験でした。)
下着を脱いで股座(鼠径部)から採血。(太い血管があるらしく、60、100mlぐらい?多めに採血)
その後、高熱からの脱水を防ぐために人生初の点滴。食欲がない上に、悪化した口内炎のせいで食べ辛く、やっとの思いで白米を1/3ほど口にしました。

【体験談】口唇ヘルペス(単純疱疹)を悪化させ入院。症状、発症~回復まで

その後2日間ほど39度の発熱と不眠、相変わらず頭痛が続き、昼間は缶珈琲のカフェインで紛らわしました。食事も半分ほど食べられるように。口内炎も少しづつ改善していき、白米を食べるのが一番楽でした。

アンテベート(ステロイド外用薬)が処方され朝・夜 2回全身に塗ります。浸透性が悪く、下着(特に上)を換えないと不快感がすごい。同時に洗濯の頻度も増えました。
3日目の朝には解熱剤が投与され、12時間ほど楽になるも夜には再び高熱で眠れません。昼にはドラマ「白い巨塔」で見たような回診を受けました。本当にあるんだこういうの……。
たくさんの医師が自分を囲み、写真もたくさん撮られました。(入院中、平日は1、2 人からほぼ毎日回診を受け、経過写真も何度か撮られていましたがこの日の回診は10名以上だった)。

■ピークを超えて、症状も緩和へ

発症してから一週間が経過。入院4日目。
熱も微熱程度に下り、医師からは単純ヘルペス(口唇ヘルペス)の初発症、それに伴う全身の多形紅斑との診断を告げられました。
この夜より投薬が開始になりました。
* バラシクロビル 500mg(ヘルペス退治)
* プレドニン 25mg(内服ステロイド、紫斑の治癒)
* ファモチジン(胃薬、ステロイドの副作用を押さえるため)

【体験談】口唇ヘルペス(単純疱疹)を悪化させ入院。症状、発症~回復まで

禁酒を言い渡されます。熱が下がると共に食欲も復活。しかし夜間には全身のかゆみが再発。内服するステロイドが免疫を下げてしまうため、人口密度の高い部屋には移れず、フロア外への退出禁止も継続。まさに一進一退です。

夜間の全身のかゆみを訴えたところ、痒み止め兼、睡眠導入剤(アタラックス)を処方されてかなり楽になりました。激症化から初めてまともに寝られました。
37度台の微熱が続き、以前よりは辛さを感じず、食欲も完全復活。病院食を全て食べられるまでになりました。

■ついに退院、しかしケアは続く

発症してから3週目。体温は時々36度後半にまで下がることもありましたが、常時 37度台の微熱は相変わらず。体調に問題はないものの、あまりにも微熱が引かないので少し不安になりました。2日後、バラシクロビルの投薬が終了。また、プレドニンの量が 20mg に減量され、この量で2〜3日様子をみて、不調がでなければ退院可能と伝えられました。長いトンネルの出口が見えてきました。
2日ほどで微熱が引いて36度台の平熱に戻りましたが、祝日を挟んだために退院の判断はお預け。翌朝に採血を行って退院許可が下りました。最後の昼食を食べたら退院です。

入院期間 11泊12日間、会計は以下の通りです。

会計
123,000 治療費、入院費、薬剤費等
11,000 食事負担金(33食)
96,000 差額室料(8,000×12)
8,000 消費税
===========
238,000

【体験談】口唇ヘルペス(単純疱疹)を悪化させ入院。症状、発症~回復まで

感染症の疑いがあったため差額の室料がかかりました。こればかりは仕方ないのではという気持ちも少々……。

発症から3週間目にして、ようやくいつもの日常を取り戻しました。投薬は続いていますが、この日以降プレドニンを 15mg に減量、定期通院に。1度目の通院では、プレドニンを 10mg に減量、朝のみの服薬。アタラックスの服薬は終了。ステロイド軟膏の強さが一段階下がりました。現在は炎症の引きが悪い足を中心に塗っています。

■アドバイス

医師からは基本的に処方された薬の飲むこと以外はありませんでした。今後については「口唇ヘルペスの再発があったときは最寄りの皮膚科かここ(入院していた大学病院)へ。今回のような激しい症状の場合は直接こちらを受療せよ」と言われ、普段の生活については「引き続き風邪やインフルエンザに注意して過ごすように(免疫が弱ると再発しやすくなるから?)」と言われたぐらいです。
また、「軟膏は対症療法にすぎず、あまり効果はない」という話をされました。自然治癒力に委ねるしかありません。夜間のかゆみはなくなりましたが、アタラックスを服用していたため、どの段階で引いたのかは不明です。
現在のところ再発の兆候はありませんが、免疫力を下げないように、うがいと手洗い、マスクの着用を徹底しています。室内も湿度を40%に保ち、アルコールスプレーや置き型の感染予防ジェルなどを設置して気を使っています。
口唇ヘルペスは免疫の低下によるのが原因のようですが、ウェブ検索をしてみると「ヘルペス脳炎」などの重い疾患もあり、恐怖心が芽生えます。
アドバイスとしてはかぜの症状がないにも関わらず発熱がある場合は、速やかな受診をおすすめします。

■まとめ

重たい症状が出現しない限りは、疲れがたまっただけ、寝不足だったかもと自己診断をしてしまいがちですが、結果的に約2週間の入院に至った今回のケース。
動けるが体は辛いという、救急車を呼ぶまでもない状態の時に「#7119」を利用していたように、あまりにも改善しない場合や、いつもと様子が違うなどの症状が見られた場合には「#7119」で相談してみるのも手です。また、体が辛い時には口内炎などの細かな症状を伝え忘れてしまうもの。気になった症状をうまく伝えられるよう、メモに残しておくとスムーズな診断に繋がるのかもしれません。

続きを読む



  1. 1 あなたは大丈夫? 使わないと衰える…脚の筋力とバランス力をチェック!
    あなたは大丈夫? 使わないと衰える…脚の筋力とバランス力をチェック!
    (編集・制作 (株)法研) (「ジャストヘルス」法研より) 脚…
  2. 2 放置するとダニ・カビの温床に…寝具のお手入れ方法
    放置するとダニ・カビの温床に…寝具のお手入れ方法
    (編集・制作 (株)法研) 汗を吸い込んだふとんは、カビやダニの温床…
  3. 3
    Wi-Fiのせいで体調不良?「電磁波過敏症」ってなに?
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと イン…
  4. 4 これなら続けられる! ダイエット効果をより高めるウォーキングの仕方
    短時間で効果を上げるウォーキングのフォーム―脂肪を燃やす歩き方
    (編集・制作 (株)法研) (「ジャストヘルス」法研より) 運動効…
  5. 5
    トイレはどこ!?几帳面で神経質なタイプに多い過敏性腸症候群とは?
    (編集・制作 (株)法研) 外出先で突然、お腹を下す過敏性腸症候…
  6. 6
    スマホ老眼!にならないための3つの方法
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 手元…
  7. 7
    忙しい人に知ってほしい、質の高い睡眠をとるための快眠10か条
    (編集・制作 (株)法研) 午後10時から午前3時は睡眠のゴールデン…
  8. 8
    虫刺され跡の茶色いシミをどうにかしたい!早く消す方法は?
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと …
  9. 9
    ストレスやイライラには『ハーブティー』!あなどれないハーブの効能
    (編集・制作 (株)法研) フレッシュ・ハーブは、心を癒す効き目たっ…
  10. 10
    好きなだけ食べても太らない!? 18時間プチ断食で食べすぎリセット
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 腹8…
  11. 11 緊張してなくても手のひらに汗…多量の汗から考えられる病気とは?
    緊張してなくても手のひらに汗…多量の汗から考えられる病気とは?
    (編集・制作 (株)法研) 夏に汗はつきもの。でも、汗をかきすぎる病…
  12. 12
    そのむくみ、病気のサインかも? むくみの原因と解消法
    (編集・制作 (株)法研) デスクワークばかりの運動不足はご用心…
  13. 13 星野源、KEIKOが患った「くも膜下出血」ってどんな病気?【芸能人健康まとめ】
    GENKINGや今井翼が患った「メニエール病」ってどんな病気?【芸能人の健康まとめ】
    (編集・制作 gooヘルスケア) めまいといえばメニエール病とい…
  14. 14
    ヘルプマーク、ハートプラスマークなど、見えない障害を持つ人のためのマーク
    (編集・制作 gooヘルスケア) 外見からはわからない障害を抱え…
  15. 15
    正しく痩せる早道とは? 間違ったダイエットの落とし穴
    (編集・制作 (株)法研) 過剰なダイエットはやせないどころか、命を…
  16. 16 みぞおちの辺りが痛い 激しい痛みor鈍痛? 痛むのは真ん中・右・左?
    みぞおちの辺りの腹痛 激しい痛みor鈍痛? 痛むのは真ん中・右・左?
    お腹の上の部分、みぞおちあたりの痛み。胃痛? それとも、ほかの病気? …
  17. 17
    実はかなり他人にみられてる…背中・うなじニキビの原因と治療法
    シャツの襟からのぞく背中やうなじのニキビ。治らないとあきらめていません…
  18. 18
    内臓が悪いと口臭がキツくなる!? こんなニオイがしたら注意して!
    執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと 口臭…
  19. 19 むくみスッキリ! 夜の【美脚エクサ】
    毎日のむくみ解消が美脚への近道-寝る前のストレッチでデトックス
    毎日リセットして老廃物をためないことが、美脚への近道 「…
  20. 20
    ダイエットにも健康にも!体に嬉しい『お酢』の取り入れ方
    (編集・制作 (株)法研) 酢にはヘルシーな成分がたっぷり。種類別に…

一覧