(編集・制作 gooヘルスケア)文/亀井満月
なんだか体がだるい、いまひとつ元気が出ないー病気ではないものの慢性的に体の不調を訴える人も多いのではないでしょうか。原因は様々ですが、「人間の体は食べたものでできている」といわれるように食事や生活スタイルを見直してみるのも改善への一手。

三代続く漢方薬薬局に生まれ育ち、健康情報を発信
健康にまつわる情報をTwitterで発信している漢方のミドリ薬品 イオン北見店の櫻井大典さん。無理せずにできる養生の方法や気圧と体調不良の関係などをわかりやすく解説しています。フォロワー数が8万人超という数字からも、情報がいかに有益であるかを物語っています。今回は、手軽にできる養生の方法について櫻井さんにお聞きしました。
漢方薬局に生まれ育った櫻井さん。心とからだについて、あらゆる方面から学んでこられたそうです。
私の家は、三代続く漢方薬屋なので、小さい頃から薬に囲まれた生活をしていました。病院に行くよりもまずは薬が親から出されるという、表現がおかしいですが、健康には事欠かないと言いましょうか、そんな家庭で育ちました。だから仮病も使えない。学校に行きたくなくて、頭が痛いとかお腹痛いといっても、熱を測られ、昨日食べたものチェックされ、「同じもの食べてるのに、お前だけおかしくなることはありえない」と言われ、学校に連れて行かれるという(笑)。
そんな家庭環境でしたから、薬のこと、病気のこと、体のことを学ぶのは、私にとってとても自然な行為でした。小学校の冬休みの自由研究でも、心臓や肝臓、肺、など内蔵機能をでかいポスターにイラスト入りで書いて発表していたような少年でした。
大学では「心」について知りたくなり、心理学を専攻しました。それでも解剖学や生理学に加えて、アーユルベーダや中医学を含む代替医療の勉強も同時に進めていました。
毎日の積み重ねが大切!おかゆを使った養生で体調を整える
櫻井さんがTwitterを通じて発信する情報の中に、おかゆを使った養生方法があります。風邪をひいたときに食べるイメージがありましたが、普段から取り入れるとはちょっと驚きです。
香港や台湾、韓国などを旅行された方で、朝にお粥を食べられた方も多いのではないでしょうか。それら国々では、東洋医学と生活が密接につながっていることが今でもよく見られます。女性にとって血を補う重要性が若い方でも浸透していたり、冷たいものを控える意味を理解していたりということがよく見受けられ、そういった食材や商品も手軽に手に入ります。おかゆも其の一つです。
おかゆを食べるなら朝がおすすめ
人間は、寝ている間は体温が下がっているので、起床時は一日の中でも体温が低い時間帯です。そのため、朝に冷たいものを摂ると、体の中がさらに冷やされ、筋肉や組織も収縮し、血流も悪くなります。冷えた体を温めるのにエネルギーも消費し、朝から疲れる要因となります。朝起きて冷たいものを摂るということは、一日のスタート時点で、マイナスからのスタートになるわけです。
そこで朝から温かいお粥を食べれば、体の中から温まり、体温を高めるためのエネルギーはセーブされ、筋肉も緩み、血流も巡りやすくなります。酸素や栄養が体の隅々に流れやすくなるので、活動しやすくなりますし、頭も働きやすくなります。プラスからのスタートを切れますね。
微々たることかもしれませんが、こうした毎日積み重ねが、将来の健康の貯金になります。
おかゆもしっかり噛むべし
◆おかゆ養生を続ける場合、補っておいたほうがいい栄養素など、注意点があれば教えてください。
お粥と相性が良いのは、豆類や豆腐でしょうね。コメの薬膳的効能は、体を潤い、胃腸を整えて、精神を安定させてくれます。小豆には、余分な水分を排出し、不要物を外に出すという力があり、黒豆には、胃腸の機能を高めて、めまいやむくみを解決し、血と潤いを補う力があります。
また大豆を原料にした豆腐にも消化器系の調子を整え、水分代謝をよくして、痰を切り、体を潤い、解毒するという力があります。
粥に豆や豆腐、豆乳を入れたりすることで、朝から胃腸を元気に整えられ、乾いた体に潤いを補給し、不要物を排出して、気分をすっきりさせてくれます。また適度な炭水化物と、適度なタンパク質を朝から摂取することで、エネルギーが持続的に供給され、体だけでなく、頭もしっかり働くようになります。
加えて、お粥を出汁で炊くとミネラルもしっかりとれるので、お勧めです。小さく切った昆布を一緒にいれて炊くだけでOKです。
注意点は、いくらおかゆでも、しっかり噛まないといけません。ちゃんと噛まないとおかゆでも胃もたれすることもあります。噛むことで唾液が分泌されやすくなり、消化が促されるので、噛むことを意識して下さい。
「おかゆは美味しくない」とか、「病人食」といった固定概念がある方は、きっと炊いたご飯に水を加えたおじやや雑炊のことを言ってるんだと思います。試しに、土鍋で生のコメからお粥を炊いてみていただければその印象は変わると思います。そもそも、おかゆは生のコメか炊くものをさしていいます。
最近は100円ショップでも小さな土鍋が売っているので、簡単に少量作れますよ。弱火で30分ほど放置するだけですから、難しくはありません。時間がない人は、スープジャーを使ったおかゆレシピや、炊飯ジャーで多めに炊いて、冷凍しておくのをお薦めしています。
すぐにできる養生のコツ
体に良いとわかっていても、手間がかかると続かないもの……。手軽にはじめられて、続けられるコツについてお聞きしました。
上記でも記載しましたが、スープジャーや炊飯ジャーで用意するのが簡単です。炊飯ジャーはお米を炊く要領で作れますし、スープジャーなら、具材を入れて放置しておくだけで作れます。基本的な作り方は、お米を洗って、スープジャーに入れて、そこに熱湯を注ぎ2〜5分予熱して、一旦お湯を捨てて、また熱湯を入れて放置しておけば2時間ほどでできます。夜作っておけば朝には食べられます。コツは1熱湯を使う、2予熱する、3スープジャーを放置する場所の温度に気をつける。寒いときはタオルなどをかぶせておく(蓋の部分から放熱されやすいため)。などです。
始めることは確かに大事ですが、それよりも続けることが大切です。そのためには飽きないことも一つの鍵でしょうか。Twitterアカウントをお持ちでしたら、ハッシュタグの #ミドリ薬品とお粥 を見てみてください。皆さんのレシピやおかゆの共がたくさん挙げられています。
でもできれば一度土鍋で炊いたおかゆを食べていただきたいと思います。なぜかは私にはわからないですが、やっぱり其のほうが美味しく感じます。