発達障害はどんな治療をするの?家庭で親ができることとは?

提供:gooヘルスケア

発達障害ではどんな治療が行われるのか?児童精神科での治療とは

出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

 広汎性発達障害の特性そのものは、治療したら消えてしまうわけではありません。けれども、治療によって子どもが社会生活になじみやすくなり、二次的な精神症状で苦しむことがないようにするための働きかけは大きな意味があります。ここで広汎性発達障害の子どもに対して児童精神科で行われる治療について紹介します。

よい生活習慣を身につけるのが治療の第一段階

 家庭や園・学校での過ごしにくさを減らすことが基本です。広汎性発達障害をもつ子どもには、苦手な分野だけれど生活する上で身につけておいたほうがいい社会のルールや習慣を、具体的な目標に設定して身につけていくのです。たとえば「早起きしよう」という目標では漠然(ばく ぜん)としていてわかりにくいので、「毎日、7時に起きてね」と伝えます。言葉よりも視覚的な情報もあわせて伝える方が広汎性発達障害の子どもには受け入れやすいので、ルールを紙に書き出してリビングなど家族みんなが確認できる場所に貼ります。

 ただ目標を設定するだけではなく、うまく続けるコツは、成功したことを見える形で評価することです。早起きできたら「よくがんばったね、パパ(ママ)はとってもうれしいな!」と大げさなくらいに声に出して、子どもをほめるよう指導しています。また、ささやかなものでかまわないので達成できたごほうびをあげると、子どもが続けようとする意欲につながります。

 私が勤務している病院では、「朝7時に自分で起きることができたら『がんばり表』にシールを1枚貼ってあげる」、さらに「シールが10枚たまったらチョコレートを1枚買ってあげる」というようにごほうびの約束を設けたりしています。これは、トークン・エコノミー法という行動療法を応用したものです。

保護者に正しく理解してもらい、病院と家庭が連携して治療を行う

 同じく大事なのは、お子さんの障害の特性について親御さんに理解いただくことです。わが子に障害があることを受け入れることは簡単なことではないでしょう。しかしそれを受け入れ、正しい知識と対処法を知ることが必要です。このことを心理教育といいます。「親御さんも医療従事者と同様に治療スタッフの一員」というのが私たちのコンセプトです。

 また病棟で看護師が子どもに行っている、生活指導や怒りのコントロールの指導を家庭で親御さんにも実践していただき、治療の場としての家庭のパワーを高めます。こうした指導はペアレント・トレーニングと呼ばれており、うまくできれば医療機関での治療や指導内容が家庭でも行われることになり、効果が高まります。

実生活にあった訓練で社会への適応力を身につけていく

 「イライラしたときの気持ちのコントロール方法」「相手に話しかけたり、ものを頼むときにはどうしたらいいか」といったテーマでロールプレイを行って、子どもが他人とうまくつきあうノウハウを子どもに身につけさせることもあります。現実の生活に即した訓練をなるべく早い段階で集中的に行うことが、生活上の摩擦(ま さつ)や人間関係のトラブルを減らし、適応障害や二次障害の予防につながるのです。

薬物療法と入院が必要なケース

 ADHDの症状や精神症状の緩和のためには薬物療法を用います。ADHD症状に対しては抗多動薬(こう た どう やく)を、精神症状の緩和には向精神薬(こう せい しん やく)や漢方薬を用います。向精神薬としては抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、気分安定薬を、副作用の出現に細心の注意を払いながら投与します。治療は原則として外来で行いますが、身体が弱るほど食事を拒否する、自分を傷つけてしまう、暴力や混乱が激しいなどで、集中的な治療が望ましい場合は入院治療をします。入院に当たって大切なのは、なるべく短期間にすること、また入院中も子どもが教育を受ける機会を確保することの2点です。後者については特別支援学校との連携や院内学級といった環境が望まれます。

●トークン・エコノミー法
「プラスの刺激を与えることで行動を変化させていくこと」が目標。課題を正しくできたときに、あらかじめ約束した報酬を与え、目標の行動ができるようにする行動療法。

●ロールプレイ
現実に起こる場面を想定して複数の人がそれぞれ役を演じ、疑似体験を通じて、実際に何か起こったときに適切に対応できるようにする学習方法。

●発達障害の入院治療について
危険性や緊急性のある場合や集中的な治療が必要な場合は入院治療を行う。 治療は精神保健指定医の資格を持つ児童精神科医が常勤している専門病棟で行うことが望ましい。




【発達障害の子どもと家族】わが子が発達障害と診断されたら…親の対応

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出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

適切なケア、診断後の関わり方が大切

医師から診断結果を告げられて、子どもの障害をすんなりと受け止めることができる親御さんは少ないと思います。そのため、私は診断の際、親御さんの不安を和らげることを常に念頭において接しています。親御さんの精神的安定、それが子どものケアにもつながるからです。

 診察室では個々の発達の特性について説明し、質問に丁寧にお答えしながら、不安な気持ちを受け止められるように配慮しています。それでも、「最初は頭のなかが真っ白になっていて、先生の説明が耳に入らなかった」と語る方も多くいらっしゃいます。

 障害告知がその子の全人格を否定するようなものであってはなりません。発達障害といってもすべての側面で遅れがあるのではなく、むしろ一般の子どもよりも優れた特性を有していることもめずらしくありません。診察や検査の結果からは、子どもの優れた点や、成長の可能性も読みとれます。大切なのは、診断後の関わり方次第で子どもの成長に大きな違いがあるということです。親御さんにはこの部分をしっかりと説明するように私は努めています。

 ですから、診断を告げられるということは悪いことばかりではないのです。診断は適切なケアを開始するための第一歩です。診断名を踏まえ、これからどのようなサポートを、どのような方法でお子さんが受けていけばいいのか、考えていくために必要な情報だと思ってください。

 発達障害者支援法が公布されて以降、医療および相談の窓口といった発達障害児支援のための資源は、昔に比べてかなり整ってきています。道に迷ったら人にたずねたほうが早いのと同じように、子どもへの接し方などで困ったら、親御さんだけで悩むよりも、専門家に相談することを考えてみてください。

 「三人寄れば文殊(もん じゅ)の知恵」と言いますが、行政、学校、医療が連携し、子どもや親御さんの不安やつらさを支えることができると思います。ぜひ、ためらわずに最寄りの相談機関、医療機関を訪ねてください。また、家族の自助的な団体もあります。親御さん同士のネットワークは、当事者でなければわかりにくい悩みや苦しみを乗り切るために、とても重要な役割をもっています。

●発達障害者支援法とは

平成16年4月に施行。症状が低年齢に発現する発達障害に対し、早期発見、早期療育、教育、就労、地域生活に必要な支援と、家族への助言、発達障害の啓発、都道府県の支援センター設置など、自立と社会参加の援助について、国や自治体の責務を規定した法律。

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【発達障害の特徴】家庭内で暴力・暴言をおこす理由と対処法

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暴力的でなかった子が急に暴力や暴言を吐き出す

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著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

「家庭内での暴力」発達障害の子ども(中学生~)行動の理由と対処法

 たとえば、「早く学校へ行くから、朝ご飯を早くつくっておいてほしい」と言われたのに朝食の準備が遅れていただけで度を超えて怒りだし、お皿を割ったり、椅子を蹴って倒したりすることがあります。思春期に入ると、身体の成長も著しくなります。思い通りにならないときや、親から注意されたことでイライラし、暴言を吐いたり、家の中のものをこわしたり、暴力を振るったりしてしまいます。

Why ?

*悩みや不満、ストレスなどが爆発してしまった結果。暴れると周囲が欲求を受け入れるということを学んでしまったケースも。

 普通の家庭内暴力と発達障害の子どもの暴力とは原因が異なります。前者は親子のコミュニケーションがうまくいかずに起こることが多いのですが、発達障害の子どもの場合は、「自分はダメなのか」と悩んでいるところへ無理解な言葉を投げつけられたなどと感じて爆発するケースが目立ちます。また駄々をこねると周囲がなだめるために欲求を受け入れるといった誤った学習をくり返し、成長してきてしまったという場合もあります。

こう対処

*自分をコントロールするための、トレーニングやカウンセリングが有効。必要に応じて薬物療法も。

 診察中に子どもから「暴力をふるう自分を何とかしたい」と打ち明けられることもあります。子ども自身、何とかしたいと考えているのです。怒りのコントロールについては専門家によるトレーニングやカウンセリングが有効です。衝動性に対しては薬物療法も併用します。時折、暴力に困り果ててご家庭から「強制的に入院させたい」という相談を受けますが、家庭から隔離(かく り)するだけでは問題の解決になりません。何をするための入院なのか、どうなったら退院するのか、などのゴール設定について病院側と話しあうことが重要です。

●怒りのコントロールのトレーニング

  • *カーッとしたら、10数える
  • *深呼吸する
  • *子ども一人で落ちつけるところで気を鎮める
  • *肩に力をギューッといれて、その後、力を抜くことをくり返す

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【発達障害の特徴】ゲームやインターネットで夜ふかし癖がついた場合

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夜ふかしして昼間起きていられない

出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

「昼夜逆転、夜中まで起きてる」発達障害の子ども(中学生~)行動の理由と対処法

 「中学生になってパソコンを使うようになったら、家にいる時間のほとんどを画面に向かっている」という子どももいました。夜中までゲームやインターネットに没頭(ぼっ とう)してしまうと翌日は朝起きることができず、当然、学校に遅刻してしまいます。早く寝ようと思っても、ついゲームなどを始めてしまい、次第に明け方まで続けるようになり、昼に寝るという昼夜逆転が習慣になってしまいます。

Why ?

*小学生時代よりも好きなことに没頭する時間が長くなり、夜寝る時間がどんどんずれて、他人と同じ生活時間にあわせられない。

 視覚優位でこだわりの強い特性にコンピュータやゲームはとてもフィットするようです。小学生の頃と違って親も口うるさくゲーム時間を制限しなくなる家庭も多いので際限なく続けてしまいます。

こう対処

*家族で子どもが守れるようなスケジュール管理の方法を考える。目に見える計画表や達成感が味わえる方法が効果的。

 子どもに好きなだけやらせている環境では改善は難しいです。親子で話しあって約束事をつくりましょう。優先すべきは、

  • ①起床時間
  • ②就寝時間
  • ③ゲーム/インターネットをしてもよい時間

以上の順です。あまり細かい計画にすると長続きしません。広汎性発達障害の子どもは説明を聞くだけではなく、目に見える形でくり返し確認する働きかけや事前の予告があると理解しやすいものです。そこで計画表を家族が集まるリビングなどに貼り、達成できたら、きちんとほめて自信をつけさせるという工夫がおすすめです。「何回守れたら、ごほうび」など報酬を約束するのもこの年頃には効果があります。ただし寝つきが改善されないときは少量の睡眠導入剤を服用した方がいい場合もあります。

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【発達障害の特徴】体調不良で度々学校を休むようになったら…

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どこかが痛いと言い出して学校になかなか行けない

出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

「学校に行けなくなる」発達障害の子ども(高学年~)行動の理由と対処法

 いわゆる登校渋滞(とう こう じゅう たい)とか、不登校と呼ばれるあらわれです。最初は頭や腰、胃腸の痛みなどの身体の変調を訴えることから始まることが多いようです。あまりにも不調が続くので、病院へ行って検査を受けても、明らかな身体の異常は見つかりません。最初のうちは朝の登校時間に間に合わないだけだったのですが、そのうちに、まる一日学校に行けなくなることも増えてくるようです。

Why ?

*学習のつまずきや他人とのコミュニケーションの機会が増えたことで、負担が蓄積して登校するのがおっくうになるのです。

 不登校は小学校から中学校にかけて見られますが、先の項目で述べた「9歳の壁」、つまり学習のつまずきがきっかけになっていることもあります。また高学年になると、子ども同士の関わりも複雑になり、それが負担となっているケースもあります。仮病ではなく、本当に腹痛などを感じている場合も多くあります。

こう対処

*行きたくなくなった直接の原因は必ずあるもの。学校と連携してまずその排除を。

 あらわれには必ず原因があり、不登校も例外ではありません。学校に行き辛くなっているきっかけがどこにあるのか、学校の先生と相談することが必要です。きっかけがはっきりしないまま、子どもを叱ったり無理やり学校に連れて行っても解決にはつながりません。また、何もせずに様子を見ているだけでは改善されません。保健室で過ごすようにしたり、放課後のほかの子どもがあまりいない時間帯に登校したりするなど、本人の集団生活での負担を軽くしたかたちで登校をすすめることもあります。場合によっては、市町村の教育委員会が不登校の生徒を対象に運営している適応指導教室の利用も検討してみてください。

 
●適応指導教室とは

教育委員会が長期欠席している不登校の小中学生を対象に、学習援助をしながら普段の学校生活に復帰できるように手助けを行う。教員や元教員が学習援助をするだけでなく、臨床心理士など心理スタッフが勤務している場合もある。

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【発達障害の特徴】高学年から成績が落ちた、勉強が苦手になる理由と対処法

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急に学校の成績が悪くなる

出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

「テスト問題の意味がわからない」発達障害の子ども(高学年~)行動の理由と対処法

 低学年まではあまり気にならなかった学校での成績が急に悪くなってくることがあります。テストの得点も下がり、何か塾に行かせようか、それとも家庭学習を強化しようかと悩む親御さんも多いようです。子どもに「何がわからないの?」とたずねてみると、「問題の意味がわからない」という答えが返ってきます。勉強自体がわからないのではなく、何を問われているのかがわからない状態です。

Why ?

*因果関係や論理的な思考を問われるような複雑な問題は、問題自体の意味がわからないことがあります。

 小学校三年生、四年生の頃から、学習内容が抽象的なものや因果関係、論理的な思考を問われるもの、たとえば、分数や余りのある割り算、文章問題などが急に増えてきます。けれども、このような勉強は発達障害の子どもが苦手とする分野です。こうした学習のつまずきは「9歳の壁」と呼ばれています。

 ●「9歳の壁」とは聴覚障害児が、「小学校低学年(9歳頃)までは健聴児と同じように発達はするが、高学年になると学習が具体的なものから抽象的な内容になるため、学習面や言語面の発達において乗り越えられない壁につきあたることが多い」と聾学校長であった萩原浅五郎氏が述べた言葉。現在は子どもの発達全般にも用いられている。

 

こう対処

*得意な科目を伸ばし、苦手な科目については学習方法について再検討を。

 すべての科目が苦手だと、「何をしてもダメなんだ」とやる気をなくしてしまいますので、あれこれとまんべんなくやるよりも、得意な分野を伸ばしてあげましょう。「できた」という成功体験が、子どものやる気につながるので、そのような環境づくりが望まれます。苦手な科目については時間と工夫をかけた学習が必要です。紙の上での教え方ではなく、実際にものを数えながら教えるなどのきめ細やかな配慮が必要になります。普通学級にいることで、本人のやる気がなくなっていくようなら、支援学級なども視野に入れて、長期的に見て本人に望ましい学び方を検討することをおすすめします。

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