うちの子発達障害かも?と思ったら…早目の支援が社会適応のカギ

提供:gooヘルスケア

出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

発達障害?と思ったら早めの相談を

 普段の生活のなかでわが子の気になる行動が続き、「ひょっとしたら発達の問題があるのかも」と心配になったり、乳幼児健診などで小児科医や保健師に発達の問題について指摘されたりしたときには、できるだけ早目に専門機関に相談することをおすすめします。一人で悩むより専門家に相談することで親御さんの不安も軽くなるでしょう。それだけでもその後の子育てにプラスとなります。この章では、広汎性発達障害の可能性がある子どもとご家族のサポートを行ういろいろな専門機関について紹介します。

障害に早く気づいて、早く手をさしのべるのがカギ

 子どもの心身の健やかな成長のためには、気になる症状などの早期発見、早期からの発達支援が最重要課題です。子どもの成長や特徴にあった適切な医療や保育を提供し、発達を支援することを「療育」といいます。療育を始めるのはなるべく早いほうがよく、できれば小学校就学前が望まれます。発達の問題への対応が早ければ早いほど効果があらわれやすいからです。

判断に迷ったときが相談のサイン

 そうはいっても、「あれ? ちょっと心配だな」と思う程度だったり、何となく違和感を感じながらも「このまま様子を見たほうがいいのかな?」と判断に迷う場合も少なくないでしょう。それは子ども一人ひとりの性格が異なるように、障害の特性や症状もさまざまなため、単なる個性の延長にすぎないと受け取られてしまいがちだからです。

 祖父母や周りの人たちから「まだ小さいからしばらく様子を見てみては?」「父親のあの子も子どもの頃はやんちゃだったのよ」などと言われることもあるかもしれません。ご夫婦の意見が一致しないこともあるでしょう。一見、幼いゆえに見える行動は、発達に問題のある子の場合、残念ながら成長とともに消えてはなくなりません。むしろ「ちょっと変かな?」と思っていたことが「ほかの子とは大分違うのかな?」と感じるまでにはっきりと目立ってくることが多いものです。

 「広汎性(こう はん せい)発達障害という診断がついてしまうと『普通の子』として育てることができないのではないか」という心配をされる方もいます。しかし診断のつくことが子どもの将来にマイナスではないのです。診断は障害のレッテルを貼るためにするのではなく、どのようなサポートをしたらいいのかを明らかにするための道しるべです。できるだけ早く支援の手をさしのべてもらうことができたほうが、将来社会に適応しやすくなります。

 逆に対応が遅くなるほど、その後の成長に影響を及ぼす可能性が高くなります。小学校入学以降の集団行動をスムーズにこなせるようになるためにも、療育を始める時期はとても重要です。「もしかしたら」と感じたときをサインと受け止め、ぜひ行動を起こしてください。

相談できる機関と次のステップへの流れ

 広汎性発達障害について相談できる公的機関には、各都道府県や政令指定都市に設置されている発達障害者支援センター、各自治体の保健所・保健センター(以下、保健センターと略)、子育て支援センター、児童相談所などが挙げられます。また、精神科の医療機関や専門団体で相談できる場合もあります。一般に、公的機関での相談は無料(税金でまかなわれている)で、予約制となっているところがほとんどです。

 どこで相談すべきか迷ったら、まず最寄りの保健センターへ相談するといいでしょう。住所ごとに所轄の保健センターが決まっています。保健センターでは保健師が母子保健に関わる相談を定期的に行っています。相談の結果によっては、保健師が必要に応じてよりニーズにあった専門の機関を紹介したり、連携をとってくれます。無料相談の開催日時は各市区町村のホームページや広報紙で確認することができますし、直接電話で問いあわせてもいいでしょう。

 早期の段階で、気になる子どもとそのお母さんのフォローアップを目的としたシステムを運営している自治体もあります。たとえば静岡県浜松市では、1歳半健診で経過観察や指導が必要と判断された子どもを対象に、「発達支援広場」と名づけられた療育活動を行っています。発達支援広場は保育士、心理士、医師で構成されており、保健師や発達障害者支援センターと連携をとっています。子育てに悩みを抱える親が孤立せず、ほかの保護者とも交流したり、スタッフに気軽に相談できる機会になっています。参加を続けるなかで、より専門的な療育が必要と判断されれば、保健師が対応可能な機関を紹介してくれます。

 日本全国で同様の支援体制があるわけではありませんが、早い時期から広汎性発達障害の専門家とつながるきっかけをつくることは大切なことです。

相談内容は、まとめて書き出しておく

 保健センターや専門機関で相談するときには事前に相談内容をまとめておきましょう。ノートを一冊用意して、子どもについて気になることや聞きたいことを書き出しておきます。母子手帳も併(あわ)せて持参してください。相談時間が限られている場合は、質問事項に優先順位をつけておくと大事なことを聞きもらさずにすみます。相談のときにもらったアドバイスは同じノートに日付とともにメモしておきましょう。後から見返したり、ほかの家族に相談の内容を説明するのにも役立ちます。

 

●療育手帳
知的障害のある人が生活上の援助を受けやすくすることを目的とした制度で、広汎性発達障害と診断され、日常生活上の支援が必要と認められた人に対して交付される。援助内容は住民税・所得税の控除、自動車税・軽自動車税・自動車取得税の減免、公共交通機関や公共料金の割引や減免など。




【発達障害の子どもと家族】わが子が発達障害と診断されたら…親の対応

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出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

適切なケア、診断後の関わり方が大切

医師から診断結果を告げられて、子どもの障害をすんなりと受け止めることができる親御さんは少ないと思います。そのため、私は診断の際、親御さんの不安を和らげることを常に念頭において接しています。親御さんの精神的安定、それが子どものケアにもつながるからです。

 診察室では個々の発達の特性について説明し、質問に丁寧にお答えしながら、不安な気持ちを受け止められるように配慮しています。それでも、「最初は頭のなかが真っ白になっていて、先生の説明が耳に入らなかった」と語る方も多くいらっしゃいます。

 障害告知がその子の全人格を否定するようなものであってはなりません。発達障害といってもすべての側面で遅れがあるのではなく、むしろ一般の子どもよりも優れた特性を有していることもめずらしくありません。診察や検査の結果からは、子どもの優れた点や、成長の可能性も読みとれます。大切なのは、診断後の関わり方次第で子どもの成長に大きな違いがあるということです。親御さんにはこの部分をしっかりと説明するように私は努めています。

 ですから、診断を告げられるということは悪いことばかりではないのです。診断は適切なケアを開始するための第一歩です。診断名を踏まえ、これからどのようなサポートを、どのような方法でお子さんが受けていけばいいのか、考えていくために必要な情報だと思ってください。

 発達障害者支援法が公布されて以降、医療および相談の窓口といった発達障害児支援のための資源は、昔に比べてかなり整ってきています。道に迷ったら人にたずねたほうが早いのと同じように、子どもへの接し方などで困ったら、親御さんだけで悩むよりも、専門家に相談することを考えてみてください。

 「三人寄れば文殊(もん じゅ)の知恵」と言いますが、行政、学校、医療が連携し、子どもや親御さんの不安やつらさを支えることができると思います。ぜひ、ためらわずに最寄りの相談機関、医療機関を訪ねてください。また、家族の自助的な団体もあります。親御さん同士のネットワークは、当事者でなければわかりにくい悩みや苦しみを乗り切るために、とても重要な役割をもっています。

●発達障害者支援法とは

平成16年4月に施行。症状が低年齢に発現する発達障害に対し、早期発見、早期療育、教育、就労、地域生活に必要な支援と、家族への助言、発達障害の啓発、都道府県の支援センター設置など、自立と社会参加の援助について、国や自治体の責務を規定した法律。

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【発達障害の特徴】家庭内で暴力・暴言をおこす理由と対処法

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暴力的でなかった子が急に暴力や暴言を吐き出す

出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

「家庭内での暴力」発達障害の子ども(中学生~)行動の理由と対処法

 たとえば、「早く学校へ行くから、朝ご飯を早くつくっておいてほしい」と言われたのに朝食の準備が遅れていただけで度を超えて怒りだし、お皿を割ったり、椅子を蹴って倒したりすることがあります。思春期に入ると、身体の成長も著しくなります。思い通りにならないときや、親から注意されたことでイライラし、暴言を吐いたり、家の中のものをこわしたり、暴力を振るったりしてしまいます。

Why ?

*悩みや不満、ストレスなどが爆発してしまった結果。暴れると周囲が欲求を受け入れるということを学んでしまったケースも。

 普通の家庭内暴力と発達障害の子どもの暴力とは原因が異なります。前者は親子のコミュニケーションがうまくいかずに起こることが多いのですが、発達障害の子どもの場合は、「自分はダメなのか」と悩んでいるところへ無理解な言葉を投げつけられたなどと感じて爆発するケースが目立ちます。また駄々をこねると周囲がなだめるために欲求を受け入れるといった誤った学習をくり返し、成長してきてしまったという場合もあります。

こう対処

*自分をコントロールするための、トレーニングやカウンセリングが有効。必要に応じて薬物療法も。

 診察中に子どもから「暴力をふるう自分を何とかしたい」と打ち明けられることもあります。子ども自身、何とかしたいと考えているのです。怒りのコントロールについては専門家によるトレーニングやカウンセリングが有効です。衝動性に対しては薬物療法も併用します。時折、暴力に困り果ててご家庭から「強制的に入院させたい」という相談を受けますが、家庭から隔離(かく り)するだけでは問題の解決になりません。何をするための入院なのか、どうなったら退院するのか、などのゴール設定について病院側と話しあうことが重要です。

●怒りのコントロールのトレーニング

  • *カーッとしたら、10数える
  • *深呼吸する
  • *子ども一人で落ちつけるところで気を鎮める
  • *肩に力をギューッといれて、その後、力を抜くことをくり返す

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【発達障害の特徴】ゲームやインターネットで夜ふかし癖がついた場合

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夜ふかしして昼間起きていられない

出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

「昼夜逆転、夜中まで起きてる」発達障害の子ども(中学生~)行動の理由と対処法

 「中学生になってパソコンを使うようになったら、家にいる時間のほとんどを画面に向かっている」という子どももいました。夜中までゲームやインターネットに没頭(ぼっ とう)してしまうと翌日は朝起きることができず、当然、学校に遅刻してしまいます。早く寝ようと思っても、ついゲームなどを始めてしまい、次第に明け方まで続けるようになり、昼に寝るという昼夜逆転が習慣になってしまいます。

Why ?

*小学生時代よりも好きなことに没頭する時間が長くなり、夜寝る時間がどんどんずれて、他人と同じ生活時間にあわせられない。

 視覚優位でこだわりの強い特性にコンピュータやゲームはとてもフィットするようです。小学生の頃と違って親も口うるさくゲーム時間を制限しなくなる家庭も多いので際限なく続けてしまいます。

こう対処

*家族で子どもが守れるようなスケジュール管理の方法を考える。目に見える計画表や達成感が味わえる方法が効果的。

 子どもに好きなだけやらせている環境では改善は難しいです。親子で話しあって約束事をつくりましょう。優先すべきは、

  • ①起床時間
  • ②就寝時間
  • ③ゲーム/インターネットをしてもよい時間

以上の順です。あまり細かい計画にすると長続きしません。広汎性発達障害の子どもは説明を聞くだけではなく、目に見える形でくり返し確認する働きかけや事前の予告があると理解しやすいものです。そこで計画表を家族が集まるリビングなどに貼り、達成できたら、きちんとほめて自信をつけさせるという工夫がおすすめです。「何回守れたら、ごほうび」など報酬を約束するのもこの年頃には効果があります。ただし寝つきが改善されないときは少量の睡眠導入剤を服用した方がいい場合もあります。

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【発達障害の特徴】体調不良で度々学校を休むようになったら…

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どこかが痛いと言い出して学校になかなか行けない

出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

「学校に行けなくなる」発達障害の子ども(高学年~)行動の理由と対処法

 いわゆる登校渋滞(とう こう じゅう たい)とか、不登校と呼ばれるあらわれです。最初は頭や腰、胃腸の痛みなどの身体の変調を訴えることから始まることが多いようです。あまりにも不調が続くので、病院へ行って検査を受けても、明らかな身体の異常は見つかりません。最初のうちは朝の登校時間に間に合わないだけだったのですが、そのうちに、まる一日学校に行けなくなることも増えてくるようです。

Why ?

*学習のつまずきや他人とのコミュニケーションの機会が増えたことで、負担が蓄積して登校するのがおっくうになるのです。

 不登校は小学校から中学校にかけて見られますが、先の項目で述べた「9歳の壁」、つまり学習のつまずきがきっかけになっていることもあります。また高学年になると、子ども同士の関わりも複雑になり、それが負担となっているケースもあります。仮病ではなく、本当に腹痛などを感じている場合も多くあります。

こう対処

*行きたくなくなった直接の原因は必ずあるもの。学校と連携してまずその排除を。

 あらわれには必ず原因があり、不登校も例外ではありません。学校に行き辛くなっているきっかけがどこにあるのか、学校の先生と相談することが必要です。きっかけがはっきりしないまま、子どもを叱ったり無理やり学校に連れて行っても解決にはつながりません。また、何もせずに様子を見ているだけでは改善されません。保健室で過ごすようにしたり、放課後のほかの子どもがあまりいない時間帯に登校したりするなど、本人の集団生活での負担を軽くしたかたちで登校をすすめることもあります。場合によっては、市町村の教育委員会が不登校の生徒を対象に運営している適応指導教室の利用も検討してみてください。

 
●適応指導教室とは

教育委員会が長期欠席している不登校の小中学生を対象に、学習援助をしながら普段の学校生活に復帰できるように手助けを行う。教員や元教員が学習援助をするだけでなく、臨床心理士など心理スタッフが勤務している場合もある。

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【発達障害の特徴】高学年から成績が落ちた、勉強が苦手になる理由と対処法

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急に学校の成績が悪くなる

出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授

「テスト問題の意味がわからない」発達障害の子ども(高学年~)行動の理由と対処法

 低学年まではあまり気にならなかった学校での成績が急に悪くなってくることがあります。テストの得点も下がり、何か塾に行かせようか、それとも家庭学習を強化しようかと悩む親御さんも多いようです。子どもに「何がわからないの?」とたずねてみると、「問題の意味がわからない」という答えが返ってきます。勉強自体がわからないのではなく、何を問われているのかがわからない状態です。

Why ?

*因果関係や論理的な思考を問われるような複雑な問題は、問題自体の意味がわからないことがあります。

 小学校三年生、四年生の頃から、学習内容が抽象的なものや因果関係、論理的な思考を問われるもの、たとえば、分数や余りのある割り算、文章問題などが急に増えてきます。けれども、このような勉強は発達障害の子どもが苦手とする分野です。こうした学習のつまずきは「9歳の壁」と呼ばれています。

 ●「9歳の壁」とは聴覚障害児が、「小学校低学年(9歳頃)までは健聴児と同じように発達はするが、高学年になると学習が具体的なものから抽象的な内容になるため、学習面や言語面の発達において乗り越えられない壁につきあたることが多い」と聾学校長であった萩原浅五郎氏が述べた言葉。現在は子どもの発達全般にも用いられている。

 

こう対処

*得意な科目を伸ばし、苦手な科目については学習方法について再検討を。

 すべての科目が苦手だと、「何をしてもダメなんだ」とやる気をなくしてしまいますので、あれこれとまんべんなくやるよりも、得意な分野を伸ばしてあげましょう。「できた」という成功体験が、子どものやる気につながるので、そのような環境づくりが望まれます。苦手な科目については時間と工夫をかけた学習が必要です。紙の上での教え方ではなく、実際にものを数えながら教えるなどのきめ細やかな配慮が必要になります。普通学級にいることで、本人のやる気がなくなっていくようなら、支援学級なども視野に入れて、長期的に見て本人に望ましい学び方を検討することをおすすめします。

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