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急に学校の成績が悪くなる
出典:株式会社法研「子どもの発達障害 家族応援ブック」
著者:高貝 就 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター特任准教授
「テスト問題の意味がわからない」発達障害の子ども(高学年~)行動の理由と対処法
低学年まではあまり気にならなかった学校での成績が急に悪くなってくることがあります。テストの得点も下がり、何か塾に行かせようか、それとも家庭学習を強化しようかと悩む親御さんも多いようです。子どもに「何がわからないの?」とたずねてみると、「問題の意味がわからない」という答えが返ってきます。勉強自体がわからないのではなく、何を問われているのかがわからない状態です。
Why ?
*因果関係や論理的な思考を問われるような複雑な問題は、問題自体の意味がわからないことがあります。
小学校三年生、四年生の頃から、学習内容が抽象的なものや因果関係、論理的な思考を問われるもの、たとえば、分数や余りのある割り算、文章問題などが急に増えてきます。けれども、このような勉強は発達障害の子どもが苦手とする分野です。こうした学習のつまずきは「9歳の壁」と呼ばれています。
●「9歳の壁」とは聴覚障害児が、「小学校低学年(9歳頃)までは健聴児と同じように発達はするが、高学年になると学習が具体的なものから抽象的な内容になるため、学習面や言語面の発達において乗り越えられない壁につきあたることが多い」と聾学校長であった萩原浅五郎氏が述べた言葉。現在は子どもの発達全般にも用いられている。
こう対処
*得意な科目を伸ばし、苦手な科目については学習方法について再検討を。
すべての科目が苦手だと、「何をしてもダメなんだ」とやる気をなくしてしまいますので、あれこれとまんべんなくやるよりも、得意な分野を伸ばしてあげましょう。「できた」という成功体験が、子どものやる気につながるので、そのような環境づくりが望まれます。苦手な科目については時間と工夫をかけた学習が必要です。紙の上での教え方ではなく、実際にものを数えながら教えるなどのきめ細やかな配慮が必要になります。普通学級にいることで、本人のやる気がなくなっていくようなら、支援学級なども視野に入れて、長期的に見て本人に望ましい学び方を検討することをおすすめします。