生理周期による体調の変化

女性の体調や気分は生理周期に応じて波があり、女性ホルモンによって左右されています。
女性ホルモンには男性獲得のために女性らしさをアピールする卵胞ホルモン(エストロゲン)と、妊娠を助ける黄体ホルモン(プロゲステロン)があり、卵胞ホルモンが増える生理後や排卵期は、肌もつやつやで元気。ところが排卵後、子供を守る働きをする黄体ホルモンが分泌されると、不調が出始めるのです。

「生理前」はイライラ、「生理中」は生理痛が悩みのトップ

20代~40代の女性247名にアンケートしたところ、生理前、生理中はともに8割以上が心や体の変化を感じると回答しました。
グラフ 生理前、生理中の体調変化

その変化の内訳は、「生理前」はイライラが1位で、乳房の張り・痛み、眠気、過食と続きます。一方、「生理中」の変化は腹部の痛みが1位で、その他には倦怠感やイライラ、肌トラブルや頭痛といった症状を訴える人が多いという結果になりました。

(表 生理前の変化内訳)

(表 生理中の変化内訳)

生理前に増える黄体ホルモンには、毎月の排卵に合わせて受精卵の着床の準備をする働きがあります。それと同時に、食欲を増進させたり、睡眠中枢に働きかけたり、気分を不安定にするなど、体や心の変調を引き起こす作用もあり、これがPMS(月経前症候群)の症状にかかわっていると考えられています。

一方、生理痛は、経血を排出するときの子宮の収縮を助けるために、子宮内膜から分泌されるプロスタグランジンというホルモンによって引き起こされます。プロスタグランジンは、出産時に大量に分泌されて陣痛を誘発する物質で、生理前に分泌量が増えます。プロスタグランジンには痛みを感じやすくする作用や炎症を引き起こす作用があるため、生理前から生理中にかけて腹痛や頭痛などが起きるのです。

自分が変化しやすい時期を把握して、周りの人にも言っておく

最近では、社会的なストレスの影響か、生理痛よりも精神的な症状を訴える人が増えているそう。まずはそれがホルモンによる生理現象だと認識し、生理のリズムに沿った対策を心がけることが大切です。

生理前にはすぐにムカついたりネガティブな不安にかられたりしやすい、生理中は倦怠感で困るなど、自分が変化しやすい時期と状況を日記などに記録、把握することで、対応策がとりやすくなります。

ミスをしたり、普段と違う言動をしたりしても、「生理前(中)だから仕方ない」と気楽に考え、自分を責めないようにしましょう。生理前後は作業を減らしたり、人と会わないなど、自分を楽にする方法を考えることも必要です。また、家族など近しい人には生理痛やPMSの状況を打ち明け、理解や協力を求めるのもよいでしょう。

注意したいのが食べ物や飲み物。生理前には脳内の快楽物質・セロトニンが減る影響で食欲が旺盛になることもあります。また、眠気を解消するためにコーヒーを飲む人もいることでしょう。でも、チョコとコーヒーはこの時期ガマンして。カフェインはPMSの症状に悪影響を与えることがわかっています。コーヒー紅茶、緑茶などのほか、チョコレートにもカフェインが含まれているので要注意です。おすすめはナッツや緑黄色野菜。ビタミンEが生理痛などトラブルの緩和に有効とされています。

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PMS(月経前症候群)の症状を軽くするには

身体的な症状が多い人は、食生活が乱れていたり、運動不足だったりすることが多いので、バランスのよい食事と適度の運動をこころがけ、体を冷やさないように気をつけましょう。

精神的な症状が多い人は、性格が几帳面で何事も完ぺきを目指してしまいがちなタイプかも。すべて完ぺきにこなそうとせず、ときには肩の力を抜くことも大切です。リラックスタイムを十分とるようにするとよいでしょう。

行動面の症状が多い人は、忙しくてストレスがたまっていないか、スケジュールを見直してみましょう。大切なことは後回しにしたり、周囲の人にひとこと伝えて理解を求めるのもよいでしょう。

ただし、症状の程度が重い場合は、婦人科を受診してください。治療には低用量ピルや漢方薬、精神安定剤や抗不安薬、黄体ホルモン剤、ビタミン剤などが使われ、必要に応じてカウンセリングなどが行われます。精神的症状が重い人は精神科や心療内科でもみてくれます。

このほか、日ごろのちょっとした工夫でPMSの症状を予防したり軽くすることができます。PMSに限らず健康な生活に役立つ内容ですので、ぜひ実践してみてください。

(1)食事はバランスよく、PMSの症状を和らげる栄養素を積極的にとる
・栄養バランスよく食べる(主食、主菜、副菜をそろえる)
・一度に食べすぎず、できれば少量を数回に分けて食べる。主食は玄米、分づき米など精製しない穀類を(血糖値の急上昇や急降下をおこさない)
・良質のたんぱく質(大豆など)や良質の油脂(月見草オイルなど)をとり、塩分を減らす
・ビタミンB6、ビタミンE、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、イソフラボンなどをとる(緑黄色野菜、大豆製品、海藻類などを多めに)
・カフェイン、砂糖、アルコールをとりすぎない

(2)適度な運動を習慣に
適度な有酸素運動は血流を促し、筋肉の緊張をとる、むくみを解消する、高血糖・低血糖を防ぐ、ストレスを解消するなどの効果が

(3)リラックスする時間をもち、睡眠・休養を十分に
・好きな音楽やハーブティーを楽しむ
・心を鎮める効果がある腹式呼吸、ヨガ、座禅、気功などもよい
・ぬるめのお風呂にゆっくりつかり、手足をよくマッサージするとよく眠れる
ヘルスケア-PMSには体と心、両面の対策を

「ひどい生理痛」という子宮内膜症のシグナルを見逃さない!


ひどい生理痛がある場合には「子宮内膜症」という病気が隠れていることがあります。子宮内膜症は、本来は子宮の内側だけにある子宮内膜組織がそれ以外の場所(最も多いのは卵巣)で増殖する病気で、不妊の原因になることもあります。

この病気は治療をすることで生活が楽になったり、将来の不妊を避けることができたりします。せっかく「ひどい生理痛」というシグナルが出ているのに、それを放置して苦しい日々を過ごし、市販の痛み止めやサプリなどで対処しているうちにさらに将来の妊娠の可能性を低下させてしまう人がいるのが残念です。シグナルを見逃さず、早めに婦人科に行って相談しましょう。

子宮内膜症の人は早めの妊娠・出産を考えよう


婦人科で子宮内膜症(チョコレート嚢腫、子宮腺筋症など)と診断された人は、自分の人生の中で妊娠・出産に対してどのような戦略で望むのかを考えてみましょう。

一般に子宮内膜症は生理のたびに徐々に悪化していきます。痛みが強くなっていったり、症状が進行して痛み止めが効きにくくなったり、卵巣のチョコレート嚢腫が大きくなって手術が必要になったり、卵管が癒着し動きが悪くなって不妊になったり、さまざまなことが起こるようになります。

また、子宮内膜症は完全に治療することができない病気です。それ以上悪化しないように閉経するまでつき合っていく病気なのです。

よって、自分の子どもを産むことを望む女性は、より早めに妊娠や出産を考えたほうが有利です。30代後半になって後悔することのないように、少なくとも妊娠を先送りすることは不利なのだと知っておいてください。

子宮筋腫よりもずっと対応しにくい子宮腺筋症

子宮内膜症の中の一つの形として、子宮内膜が子宮の筋肉の中に潜り込んで増殖する「子宮腺筋症」があります。やはりひどい生理痛を起こし、進行すると子宮が変形して不妊の原因になったり、流早産の確率が高くなったりします。

子宮腺筋症はまた、子宮にできる良性腫瘍である子宮筋腫にも似ていて、月経量が増えて貧血の原因になったり、子宮が大きくなったりします。
ただし、子宮筋腫が手術で取り除くことも比較的簡単であるのに対して、子宮腺筋症は手術で取り除くのはやや困難です。そーっとしておいて、大きくなる前に出産を終えてから、必要なら子宮全摘をするような場合が多く、やはり早めの妊娠・出産が有利です。

低用量ピルはひどい生理痛にも有効

生理痛で最初に行う治療は、痛み止めです。その人に合った薬、その人に合った量、使い方をするだけでも、ずいぶん楽になる人もいます。使いすぎて中毒になるようなことはありません。我慢しても、痛み止めを使っても、病気そのものは同じように進行していきますから、無理しないで痛み止めを使いましょう。

また、低用量ピルを服用することで生理痛が激減し、かつ子宮内膜症の悪化を防ぐことができます。低用量ピルは日本では1999年に認可されて使えるようになり、さらに2008年からは一部が保険適用になっています。子宮内膜症と診断された人は、早めにピルを服用するのが有利です。残念ながら、日本ではピルは婦人科に行かないと手に入りません。

もちろん、ピル以外の方法(偽閉経療法、ジエノゲストなどの内服、手術など)もあります。患者の状態、将来の妊娠希望などを総合的に考えて、さまざまな治療がありますから、病気が進行して治療の選択肢がなくなるまえに、早めに産婦人科で相談してください。

ひどい生理痛は放置せず、早めに診断を受けて適切な治療を始めることで、毎日の生活が劇的に楽になりますし、将来の妊娠や出産に有利に働きます。苦しい生活を送った上に、将来後悔しないように、早めに診断をつけてもらって、対処法を相談しましょう。
ヘルスケア-ひどい生理痛 よくあることと放置はダメ!