結婚してからどのくらい妊娠しなかったら不妊? 年齢と不妊の関係

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 –株式会社からだにいいこと

晩婚化で、不妊のカップルが増えていると、ニュースでもたびたび話題に。今、妊娠を望んでいな人も将来のために知っておきたい基礎情報をお伝えします。

結婚してからどのくらい妊娠しなかったら不妊? 年齢と不妊の関係

1年間、自然妊娠しないと不妊に

病気のない健康なカップルが妊娠を望み、避妊をせずに性行為を行ったにもかかわらず、妊娠しない状態。また、治療をしないと、自然妊娠する可能性がほぼなく、排卵日に性行為を行うタイミング療法を用いても自然妊娠の可能性が低い場合、不妊症と診断されます。

どのくらいの期間、妊娠しないと不妊と診断されるのかについては、学会や調査機関によって多少見解が異なりますが、だいたい1年とするところが多くなっています。日本産科婦人科学会では、「1年というのが一般的である」とし、WHO(世界保険機構)でも、1年間と定義されています。アメリカの生殖医学会では、「不妊期間は1年間とし、女性の年齢が35歳以上の場合には6ヶ月の不妊期間が経過したあとは検査を開始することは認められる」とのこと。

日本は晩婚化が年々進んでいる状態です。厚生労働省の人口動態統計によると1980年の平均初婚年齢は25.2歳、第一子出産時の母体年齢は26.4歳でした。それが、2010年だと28.8歳と29.9歳に。都市部だとより顕著になり、2016年東京都が調査した、都内に住む女性の平均初婚年齢は30.5歳でした。

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不妊のカップルは約10組に1組と言われていますが、晩婚化が進んでいることから、現在ではもっと高い割合なのではと考えられています。また、それと同時に年齢が高いほど早期に検査と不妊治療を開始した方がよいという考えも浸透してきています。

平均寿命は延びても出産率は同じ

生理学の見地から考えると、女性が妊娠しやすい年齢は、20歳前後です。そのため、年齢を重ねるごとに、不妊率は高くなります。具体的に、25歳~29歳では8.9%、30~34歳では14.6%、35~39歳21.9%、40~44歳では28.9%。

また、17〜20世紀の女性の年齢と出産数の変化について、まとめたデータによると、17世紀と今ではほとんど変わりがなく30歳以降から出産率は低下し、35歳を過ぎるとさらに低く。40歳以上では、急激に減少します。

17世紀と20世紀を比べると、人の平均寿命は30歳近く延びているにもかかわらず、妊娠出産についての適齢期は昔と変わっていないのです。

病気と加齢で不妊の確率が高く

もし、月経不順や無月経期間が長い、排卵がうまくいっていない場合は、30歳未満でも不妊になる可能性が。さらに、子宮内膜症や子宮筋腫があって月経が辛いなどの症状がある場合は、その傾向がより強くなります。

女性が妊娠できる年齢はだいたい40代前半まで。45歳を過ぎると、排卵や生理があっても、赤ちゃんを作るのに適した卵子ができなくなるため、妊娠が難しくなります。

また、年齢が上がると、子宮周りの病気にかかる確率が高くなります。例えば、感染症のクラミジアによる卵管炎にかかると、卵管やそのまわりに炎症が起き、卵管が狭くなったり、閉鎖されてしまったりします。そのため、受精卵が子宮まで到達できず不妊になったり、子宮外妊娠になってしまったり。子宮筋腫も年齢とともに患者数が増加するので、結果的に不妊につながります。

年齢が40歳に近い場合は、早期に不妊症の診断や治療を開始しないと、可能性はどんどん低くなってしまいます。妊娠について不安なことがある場合は、小さなことでもいいので一度、産婦人科で相談することをおすすめします。




ピルの入手方法や飲み方・ピルの基礎知識|ピルを使用できない人とは?

【お話を伺った人】松峯 寿美先生

東峯婦人クリニック院長・医学博士 東京女子医科大学卒。 専門は婦人科一般、不妊症治療など。 日本産婦人科学会専門医、思春期学会理事、東京女子医科大学非常勤講師など兼任。『マタニティホワイトブック』…

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(編集・制作 (株)法研

正しく使って自分の健康は自分で守る!確実な避妊にはピル、性感染症の予防にはコンドーム!ダブルブロックで自分を守りましょう。

ピルはどこで手に入るの?

低用量経口避妊薬=低用量ピル(以下ピル)は、日本ではかぜ薬などのように薬局などで買うことができません。使用には医師の処方が必要です。一般的には婦人科や産婦人科を受診して医師による問診や血圧測定を受け、問題がなければ処方してもらいます。以前は多くの検査が必要でしたが、2005年12月の「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」の改訂により、基本的には問診と血圧測定だけで入手できるようになりました。

まず問診でリスク因子がないかを確認し、リスク因子があれば必要な検査を行います。子宮がんや性感染症の検査などは健康管理のために重要ですが、ピルの処方に必要というわけではありません。ただ、せっかく産婦人科を受診するのですから、検査を受けていない人はこの機会に検査しておくのもよいことです。
ピルについてわからないことがあればささいなことでも質問し、きちんと説明してくれる医師を選びましょう。これをきっかけに、体のことを何でも相談できる「かかりつけ医」ができるとよいですね。

ヘビースモーカーはピルを使えない!

ピルは月経が始まる10代から50代で閉経するまで、ほとんどの女性が使うことができますが、なかには飲むと危険な人もいます。次のような人はピルの使用を避けるか、注意して使う必要があります。

●血栓症の人、あるいは血栓症にかかったことのある人
●脳・心血管系の病気にかかっているか、かかったことのある人
●乳がん、子宮体がん、子宮頸がんにかかっている人
●肝機能障害、高血圧、糖尿病、高脂血症にかかっている人
●妊娠、授乳中の人
●35歳以上で1日15本以上喫煙する人

血栓症のリスクの高い人はピルを使用できません。また、タバコを吸う人がピルを服用すると、血栓症や乳がんなどのリスクが高くなるといわれています。健康のためにもぜひ禁煙を! また、結核やてんかんの薬、ある種のサプリメントには、ピルの避妊効果を低下させるものがありますから、何か薬を服用している人は医師に相談しましょう。

二つのタイプと服用開始日が選べる

ピルは1カ月分(1周期分)が1シートに入っていて、シートに指示された順番どおりに飲んでいきます。「21錠タイプ」と「28錠タイプ」があり、服用開始日も自分で決めることができます。

服用期間はそれぞれ21日間と28日間で1周期です。「21錠タイプ」の服用方法は、1日1錠を21日間連続して飲み、22日目から7日間休薬し、8日目から新しいシートのピルを飲みます。「28錠タイプ」は、飲み忘れを防ぐため7日間は偽薬(ホルモンの含まれないプラセボ錠)を飲み続けます。飲み終ったら、翌日から新しいシートのピルを飲みます。

服用開始日は通常、月経の第1~2日目ですが、サンデースタートピルといって、月経が始まって最初の日曜日(月経が日曜日に始まった場合はその日)から服用を始めることもできます。サンデースタートピルのメリットは、月経が週の半ばに来るため、週末に用事がある人には便利なことです。しかし、服用を開始して最初の1週間は避妊効果がなかったり、少量の出血が続くことがあるので注意しましょう。

大切なのは飲み忘れしないこと。毎日同じ時間帯に飲むのが望ましいので、例えば朝食時や歯みがきのときなど、毎日の習慣と結びつけると忘れにくいでしょう。携帯電話にアラームをセットするのも一法です。飲み忘れは妊娠と不正性器出血(月経以外の出血)の可能性を高めますから注意しましょう。
それでも飲み忘れた場合は、24時間以内なら気づいたときただちに1錠飲み、その日の分も通常通りに飲みます(計2錠服用することになる)。24時間以上たってしまったら、次の月経開始日から新しいシートの錠剤を飲みます。月経周期を崩したくなければピルを続けて飲みますが、飲み忘れた日から新しいシートを飲み始めるまでは避妊効果がありませんから、別の避妊法との併用が必要です。プラセボ錠の飲み忘れは問題ありません。

性感染症予防にはコンドームを忘れずに!

ピルを飲んでいれば性感染症にもかからないと思っていたら大変! クラミジアやエイズなど、性行為でうつる性感染症はピルで予防することはできません。性感染症を予防するのはコンドームだけです。
性感染症は感染初期には症状のないものが多く、気がつかないうちにうつしたり、うつされたりすることがあります。しかも多くは女性のほうが感染しやすく、腹膜炎や不妊の原因になるなど被害も大きくなってしまいます。ピルはあくまで避妊用のため。性感染症予防にはコンドームを正しく使用して、自分の健康は自分で守りましょう。

※この記事は2007年2月に配信された記事です

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望まない・意図しない妊娠は約4割|低用量ピルの避妊効果とは?

【お話を伺った人】松峯 寿美先生

東峯婦人クリニック院長・医学博士 東京女子医科大学卒。 専門は婦人科一般、不妊症治療など。 日本産婦人科学会専門医、思春期学会理事、東京女子医科大学非常勤講師など兼任。『マタニティホワイトブック』…

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ホルモンが作る女性のリズム。決めるのはあなた!避妊効果が高く副作用も少ないといわれるピル。あなたはどれくらい知っていますか?

自分のことは自分で決めたい

週刊誌やテレビで、芸能人の「できちゃった婚」のニュースをよく目にしますが、日本では避妊の失敗などによる「意図しない出産」や「望まない出産」が約40%弱もあるといわれています。問題なのは、望まない妊娠で仕事や学校を辞めざるを得なかったり、中絶したりする人が多いということです。

そういったことを避けるためにも、日ごろから避妊について考えておきたいものです。さまざまな避妊方法の中で何を選ぶのか、人任せにせず自分で決めるのが自立した女性!そのためには、十分な情報と正しい知識が必要です。

避妊効果が高く安全といわれるピルが広がらないのはなぜ?

1999年、アメリカから約40年遅れて低用量経口避妊薬=低用量ピル(以下ピル)が解禁され、避妊方法の幅が広がりました。でもピルについて、あなたはどれくらい知っていますか?

ヨーロッパを中心に、ピルは一般的に使われている避妊薬ですが、日本ではコンドームの利用が約8割と圧倒的に多く、ピルを利用している人はわずかです。ピルは避妊効果が高く、副作用も少ないといわれていますが、情報の少なさからか、なんとなく不安、ホルモンを飲むことに抵抗がある、などの理由で服用をためらう人が多いようです。

さらに、ピルの導入にあたってつくられた「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」によって、処方前にさまざまな検査が義務づけられたことも、ピルの利用が進まない原因の一つと考えられています。しかし2005年12月、日本産科婦人科学会などが同ガイドラインを改訂し、検査が大幅に簡素化されただけでなく、製薬会社などがピルの避妊以外の効用をうたってもよいことになりました。

妊娠を防ぐ3つの主な働き

女性には約4週間で1サイクルの月経周期があり、その間に月経と排卵が1回ずつ起こります。そして、排卵のときに出てきた卵子が子宮のほうへ運ばれる途中で精子と出会えば受精卵となり、子宮内膜に着床すると妊娠が成立します。ピルは、排卵を抑える、受精卵を子宮に着床しにくくする、精子を子宮に入りにくくするという、主に3つの働きで妊娠を防ぎます。

ピルは卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)と同じ成分を含む飲み薬で、これを飲むことで体が妊娠中に近い状態になり、排卵がストップします。また、ホルモンの働きで、精子が子宮に入りにくくなったり、受精卵が子宮内膜に着床しにくい状態になります。このように、何重にも避妊効果を高めているのです。

意外と知られていない、避妊以外のメリット

ピルを使ってみようと思ったら、また、ほかの避妊方法と比較するためにも、ピルのメリットとデメリットをしっかり押さえておきましょう。

メリット

●正しく使用すればほぼ100%の避妊効果があり、妊娠を希望するときは飲むのをやめればよい。
●月経周期をコントロールできる。ピルを飲むと月経周期がきちんと28日周期になり、いつ月経が来るかわかるため、スケジュールが立てやすい。ピルで月経をずらすこともできるため、たとえば、月経が旅行に重ならないようすることができる。
●女性の意思で避妊ができ、自分の体は自分で守る意識が生まれる。
●その他、月経痛が軽くなる、貧血が改善される、にきびがよくなる、子宮内膜症になりにくく悪化を防ぐ、長く飲み続けると子宮体がん・卵巣がんのリスクが減る、骨粗しょう症になりにくくなる、など。

デメリット

●毎日飲まなければならず、飲み忘れると避妊効果がなくなる。
●医師の処方が必要で、保険適用にならないため費用がかかる(月に約3000円~4000円程度)。
●飲み始めの2~3カ月は吐き気や頭痛、乳房の張りなどが起こることがある。
●血栓症のリスクの高い人は飲めない。
●性感染症は防げない(コンドームとの併用が必要)。

避妊だけでなく、健康面や月経周期の調整など女性のQOL(生活の質)をアップさせる効果が期待できるピルですが、上手に使いこなすためには正しい知識が必要です。
次回はピルの使い方についてご紹介しましょう。

※この記事は2007年1月に配信された記事です

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不妊症の原因とは? 4つの主な治療法|不妊症に悩む夫婦は増えている

【執筆者】久永 浩靖

久永婦人科クリニック院長 1987年奈良県立医科大学卒業。同大附属病院産婦人科助手、東大阪市立中央病院産婦人科医長、奈良県立奈良病院産婦人科医長、和歌山県立医科大学附属病院紀北分院産婦人科助手、A…

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(編集・制作 (株)法研

夫婦でコミュニケーションをとりながら治療にのぞんでほしい。不妊の原因はさまざまだが、女性では年齢の影響が大きい。長引く治療では息抜きも必要。

『不妊症』の定義とは?

不妊症においては他の疾患と異なる特徴がいくつかあります。まず、その定義が明白でないこと。一般的に2年以上妊娠しない場合に不妊症と診断される場合が多いと思われますが、これは健常な男女が定期的に夫婦生活を営んだ場合、1年以内に約80%、2年以内に約90%で妊娠が成立するものの、3年目以降には新しく妊娠するご夫婦が増えてこなくなる、すなわち累積妊娠数が3年目以降は頭打ちになるという統計に基づいて従来からいわれてきたことなのです。したがって約10組に1組のご夫婦が不妊症のカップルということになります。

不妊症の原因はさまざまで、特定が難しい

しかしながら最近ではこの数字は確実に増加しており、現在では7~8組に1組が不妊症のカップルともいわれています。これには女性の社会進出に伴う晩婚化が影響しており、近年問題となっている少子化も、女性の晩婚化が一因となっていると分析されています。不妊症のカップルが増えているのは、女性の結婚年齢および出産年齢が高くなっていることが最大の原因と考えられます。

次に診断基準が明確でないこと。ほかの疾患では、例えば血糖値がある一定値を超えれば糖尿病と診断されますし、胃カメラで胃の中に潰瘍(かいよう)形成が見つかれば胃潰瘍と診断されます。ところが不妊症は病名こそついていますが、ある独立した一つの病気ではなく、一定期間妊娠しない状態、すなわち2年間以上の不妊状態についてこの病名を当てはめています。

ですからその原因は多岐にわたっており、一つの大きな原因が見つかることもあれば、いろいろな相対的な要因が組み合わさっていることもあります。また、機能性不妊あるいは原因不明不妊といわれる、検査所見上は特定できる原因は見つからないものの、なかなか結果が出ないケースもあります。これも正確には原因がないわけでは決してなく、それまでに行われた検査では、原因を見つけることができないというだけのことなのです。よく外来で「私の不妊原因は何ですか?」というようなご質問をお受けしますが、厳密な意味で正確にお答えすることは非常に難しいということになります。

女性は35歳以上になると妊娠率が低下、流産率は増加する

また、妊娠には女性の年齢が大きく関与してくること。すなわち女性の年齢によって、検査や治療の内容やスピードが大きく左右されます。男性があまり年齢の影響を受けないことと比較すると、女性の場合、とくに35歳以上になると卵子の老化に伴う質の低下によって妊娠率は明らかに低下してきますし、運よく妊娠された場合でも流産率は増加してきます。40歳以降の女性のtaking baby home rate(無事に出産して赤ちゃんと共に自宅に戻る確率)は、なんと約2%といわれています。
我々不妊治療を行う側においても患者年齢を考慮し治療計画を立てていかねばならないため、女性の年齢は一番重要なファクターといっても過言ではありません。

もちろん理想は自然妊娠ですから、より負担の少ない方法で妊娠していただきたいのですが、一方で患者さんにとっては妊娠することが最終目標ではなく、家庭に新しい家族が増えて、子育てをして新しい生活を営んでいただくことまでを治療のゴールと考えると、効率よく妊娠していただくための治療手段を考えるという点も大変重要な要素になってきます。

不妊治療は二人でじっくり話し合って進めてほしい

そしてもう一つ重要なことは、治療にはご主人の理解と協力が不可欠なことです。よくご主人があまり協力的でなく女性側だけで検査や治療を進めていくケースがありますが、タイミング指導ぐらいまではいいものの、誘発剤を使用したり、人工授精に移行したりと治療のステップアップを考えていく上では、どうしてもご主人の協力がないとうまく治療が進みません。

そして何よりも精神的な支えとして、ご主人のバックアップは必要と考えます。とくにお子さんがすでにいらっしゃる場合の治療に関しては、ご夫婦の間で治療に対する温度差を感じることもたびたびあります。
スムースな治療計画を立てていくためには、長い目で見た場合、まずは検査や治療の進め方について、いつまでするのか、どこまでするのか、といった大きな事柄に関しては、お二人でじっくり話し合ってコミュニケーションをとりながら行ってほしいものです。

治療には根気が必要だが、ときには肩の力を抜くことも大事

さて、不妊治療についてですが、大きく分けると次の4種類になります。

(1)タイミング指導、
(2)誘発剤(経口薬・注射薬)を併用したタイミング指導、
(3)人工授精の併用、
(4)体外受精や顕微授精などの補助生殖医療(ART)です。

通常、(1)から順番に階段を上るように徐々にステップアップしていきます。

妊娠の成立には、排卵から卵管による卵子の捕捉および受精を経て、受精卵の分割や子宮への移送、最終的な着床という一連のプロセスを経てゴールまでたどり着くのですが、それまでにたくさんのハードルがあります。患者さんは毎周期どこかのハードルでつまずいているのです。そのハードルをいくつか取っ払ってゴールにたどり着きやすくするのが不妊治療ということになります。

治療が進むにつれて取っ払うハードルの数が増えるので妊娠率は高くなりますが、その分患者さん側の負担も増大してきます。その際、治療回数やステップアップまでのインターバルを決める上で、前述した年齢や不妊原因、不妊期間、過去の治療歴といった要素が重要になってきます。

また治療の奏功率すなわち妊娠率ですが、タイミング指導で1周期あたり5~10%、一番確率の高い補助生殖医療でも胚移植1回あたりの成功率は30%前後なので、まだまだ十分満足のいく成績ではありません。ですから不妊治療には根気や息抜きといったことも必要で、治療が長引いて精神的に煮詰まってしまわないように、ときには休憩を挟んだりして肩の力を抜くことも大事なことと考えます。

そして医療機関を選ぶ際には、治療に関してご夫婦の希望が第一になりますので、それを尊重しつつ正確な情報を提供し、治療計画を立ててくれる医療機関をお探しください。
あくまでも一般的にですが、妊娠率が比較的高い30歳代前半までは一つの治療を決めた場合には5~6周期は同じ治療を繰り返して次の段階へステップアップを、30代後半からは3周期程度でステップアップということがすすめられています。

※この記事は2009年12月に配信された記事です

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小さく生まれた赤ちゃんの将来の病気リスク|低体重で産まれる原因とは?

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【お話を伺った人】福岡 秀興先生

早稲田大学胎生期エピジェネティック制御研究所教授 1973年東京大学医学部医学科卒業後、米国ワシントン大学薬理学教室リサーチアソシエート、東京大学医学部母子保健学講座助教授、同大学院医学系研究科発…

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(編集・制作 (株)法研

出生体重の低下は、子どもの生活習慣病発症のリスクを高める。出生体重低下の背景に若い女性の「やせ」願望と「やせ」傾向。妊娠前からバランスのとれた十分な栄養摂取を。

出生体重の小さい児は心筋梗塞や糖尿病のリスクが高い

産婦人科医でもある早稲田大学の福岡秀興氏によると、出生体重と生活習慣病の関係を最初に指摘したのは英国のバーカー医師です。1986年、バーカー医師は「成人病(生活習慣病)胎児期発症説」を唱え、その最初のデータで、出生体重が低い子どもほど、特に5.5ポンド(2,500g)以下の場合、将来心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)による死亡率が上昇していることを示しました。また、出生体重4,300g以上でも死亡率は上昇していました。

また、インドと米国での、男性の2型糖尿病発症リスクと出生体重との関係を調べた結果では、インドでは出生体重約2,800g、米国では同約3,800gでリスクが最も低く、それよりも高くても低くてもそのリスクが高まることが明らかになっています。

出生体重の小さい女性が妊娠中に罹りやすい病気がある

日本でも、厚生労働省研究班の報告では、出生体重が小さい女性は、妊娠すると妊娠糖尿病になりやすいことが明らかになっています。生まれたときに2,500g未満の女性は、2,500~4,000g未満だった女性より、約5倍も妊娠糖尿病になりやすかったのです。妊娠糖尿病は、十分な栄養(血糖値)管理が行われなくてはならないことに加えて、分娩後に母親自身が将来、糖尿病になるリスクが高いことが知られています。
福岡氏は「日本では妊娠糖尿病になる女性は、肥満の人と必ずしも肥満でない人の比率が約半々ですが、必ずしも肥満でない人の妊娠糖尿病の発症率がこれほど高いのは、世界的にみても特異な現象といえます。」と指摘しています。

出生体重の低下との関連がある病気

さらに、主に海外で多くの疫学調査が大掛かりに行われてきた結果、出生体重の低下による発症リスクとの関連がわかっている病気には、次のようなものがあります。

●出生体重の低下との関連が明らかな病気

虚血性心疾患、2型糖尿病、本態性高血圧症、メタボリックシンドローム、脳梗塞、脂質異常症、血液凝固能の亢進、神経発達異常

●出生体重の低下との関連が想定されている病気(確定したものではない)

慢性閉塞性肺疾患、うつ病、統合失調症、行動異常、子宮及び卵巣腫瘍、思春期早発症、乳がん、前立腺がん、睾丸がんなど

母体の低栄養が赤ちゃんにどう影響するのか?

ではなぜ、出生体重の小さい児は生活習慣病になりやすいのでしょうか。福岡氏はその一例として、亡くなった子どもを解剖した調査の結果を紹介し、出生体重の小さい児では、老廃物をろ過する腎臓のなかで、中心的な役割を果たす「ネフロン」という器官の数が減少していたことを示しています。少ないネフロンで老廃物の処理を行うため、ネフロンへの負担が増大し、生活習慣病に結びつく腎機能障害を起こしやすくなる、ということです。

出生体重の小さい児は、胎内での低栄養に対応した体のしくみをもって生まれてくると考えられています。低栄養という胎内環境で生き抜くしくみができ、エネルギーをため込みやすい体にもなります。その結果、食料が豊富で、運動量も少なく、ストレスが多い現在社会では、肥満になりやすい、というわけです。

このような胎児の低栄養は、母体の低栄養、すなわち「やせ」と密接につながっています。妊娠前にやせていたお母さんは、その食習慣に慣れて、妊娠中に十分な量の食事を摂ることが少ない傾向にあります。しかも、産後の肥満を恐れて食事を制限する妊婦さんもいます。このような妊婦さんからは、十分な栄養が子宮内に届かないために、胎児が低体重になるのです。

妊娠を望む女性の食生活の注意点とは?

では現在、日本では、子どもの出生体重や、妊娠する可能性のある女性の栄養状態はどうなっているのでしょう。

厚生労働省の2010年度『「出生に関する統計」の概況』によると、2009年に生まれた子どもの平均体重は3,020gであり、約30年前の1980年の3,200gに比べて180g減少。また、「母子保健の主なる統計」(母子衛生研究会編)によれば、低出生体重児(出生体重が2,500g未満)の占める割合は、2007年9.65%、2008年9.58%で約10人に1人と高く、1975年以降増え続けています。

一方、厚生労働省の2009年『国民健康・栄養調査』によると、20歳代女性の22.3%、30歳代女性の14.3%が「やせ」(BMI<18.5)となっており、その多さは「先進工業国では世界中でも珍しい、特異な状態」(福岡氏)となっています。

その背景には、これらの世代での過剰なダイエットの広がりが考えられます。実際に、20歳代女性の摂取エネルギー量は最近10年で10%以上も減少しているのです。

このような危機的な状況を改めるため、厚生労働省は「健やか親子21」推進検討委員会に「食を通じた妊産婦の健康支援方策検討会」を設置し、2006年、福岡氏も参加して『妊産婦のための食生活指針』を策定しました。

●妊産婦のための食生活指針

(1)妊娠前から、健康な体づくりを
(2)「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと
(3)不足しがちなビタミン・ミネラル(特に葉酸など)を、「副菜」でたっぷりと
(4)体づくりの基礎となる「主菜」は適量を
(5)牛乳・乳製品などの多様な食品を組み合わせて、カルシウムを十分に
(6)妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
(7)母乳育児も、バランスのよい食生活のなかで
(8)たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
(9)お母さんと赤ちゃんの健やかな毎日は、体と心にゆとりのある生活から生まれます

福岡氏は「小さく産んで、大きく育てるという考え方は間違い。生まれてくる子どもが将来心筋梗塞や糖尿病などの病気を発症するリスクが高くなる可能性がある。」として、妊婦さん本人のためにも、生まれてくる子どものためにも、妊娠以前からのバランスのとれた十分な栄養摂取を呼びかけています。

※この記事は2011年3月に配信された記事です

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妊娠検査薬で妊娠が分かるのはなぜ? 仕組みと使用の注意点

福本 由美子

【執筆者】福本 由美子先生

済生会奈良病院・松原徳洲会病院婦人科医 1986年奈良県立医科大学卒業。同大附属病院、東大阪市立総合病院、湘南鎌倉総合病院、松原徳洲会病院の産婦人科勤務を経て、大阪中央病院泌尿器科・ウロギネセンター…

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(編集・制作 (株)法研

月経の遅れは「妊娠の可能性がある」と考えよう

そろそろ月経が来るはずなのに来ないときには、どんな可能性があるのでしょうか? 卵巣の働きの一時的な不調、過度のダイエット、ストレスなどが原因で起こるホルモン分泌の異常などで月経が遅れることもありますが、性交経験があれば、たとえ避妊していても妊娠の可能性は完全にゼロではありません。月経が遅れれば妊娠の可能性も考えておかなければなりません。

市販の妊娠検査薬の仕組み

しかし、大学生を対象にした調査で、月経の遅れが妊娠を意味することを理解できていなかった例が多いことがわかっています。まずは月経や妊娠について正確で十分な知識をもっておくことが望まれます。そのうえで、妊娠したかどうか調べたいが、いきなり産婦人科に行くのは抵抗があるという場合、市販の妊娠検査薬を利用する方法があります。

妊娠すると体の中ではHCG(ヒト絨毛性<じゅうもうせい>ゴナドトロピン)という物質が作られ、尿の中にも排出されます。それを利用して妊娠しているかどうかを調べるのが妊娠検査薬です。妊娠検査薬は薬局・薬店やドラッグストアなどで市販されていて、妊娠の可能性を自宅で手軽に調べることができ、多くの女性に利用されています。検査薬の使い方については薬局・薬店でアドバイスしてもらえますが、最終的な判断は使用者が行うことになります。

妊娠検査薬の判定が間違う場合とは

妊娠のしくみを簡単に説明すると「卵巣から出た卵子と精巣で作られた精子が卵管の先で受精して、それが卵管を通って子宮に運ばれて根付くこと」となります。

受精卵が子宮に根付くと少しずつHCGが作られ始めますが、受精卵が卵管内を運ばれている約1週間から10日くらいの間はHCGの量が少なく、検査しても「妊娠していない」という結果が出ます。この期間は普通、体調の変化もありません。HCGが尿から検出できるくらいの量に増えて初めて「妊娠」という判定ができることになります。
検査薬の「利用方法」を十分に読んで、その手順に従って判定しないと、誤った結果が出ることがありますから気をつけましょう。

妊娠検査薬の利用には注意が必要

妊娠検査薬の市販にあたっては、一部の産婦人科医から反対意見が出ていました。検査結果の判断を誤ると危険であるというのがその理由でした。検査薬で「妊娠」という結果が出ても、必ずしもそれが問題のない妊娠とは限らないからなのです。
たとえば子宮外妊娠や胞状奇胎(ぶどう子)などの場合も、検査薬による検査では大抵「妊娠」という結果が出ますが、このような異常妊娠を早く発見できると、体に影響が少ない治療をすることができます。発見が遅れると、体に影響の大きい治療を選択せざるをえなくなり、その結果、将来妊娠しにくくなることもありますし、命にかかわることもあります。

こうしたことを防ぐために、妊娠検査薬で「妊娠」という判定が出たときには、早く産婦人科の診察を受けることが大事です。順調な妊娠であった場合も、なるべく早期から妊娠の経過をチェックしておくことは、赤ちゃんにとってもお母さんにとっても大事なことです。

判定が陽性でも実は妊娠していた…という場合も

また、いったんは「妊娠していない」という結果が出ても、実は妊娠していたということがまれにあります。HCGがまだ検出できる前の段階に検査を行ってしまうと、そのようなことが起こります。たまたま排卵の時期がずれ込んだ場合や、性交渉から受精までに日数がかかった場合には、妊娠と判定できる時期が予測よりも1~2週間ずれ込むことがあります。

一度「妊娠していない」という結果が出ても月経が来ない場合には、慎重を期して再度妊娠検査薬を利用したり、産婦人科で相談したりすることが大事です。

月経だと思っていても、いつもより出血量が少ない場合は月経ではないこともあります。実際に、3,000gの赤ちゃんを出産した方で、出産直前まで不定期ながら出血があり、それを月経だと思っていたという例があります。出血イコール月経ではないのです。出血の状態や体調に気を配る必要があります。

妊娠検査薬の判定で自己判断は禁物

月経や妊娠については、時に判断がしづらいケースもあります。妊娠検査薬で「妊娠」という結果なら早めに産婦人科を受診して、赤ちゃんと自分自身のために健康管理を行っていきましょう。もし「妊娠していない」という結果であっても、1~2週間待って月経が来ないようなら、ごく初期段階の妊娠や卵巣の不調の可能性もありますので、再度検査薬で検査するか産婦人科で相談してください。

せっかくの検査結果を活かせるように、「かかりつけ産婦人科医」をもつなど、いろいろと相談できる状況を整えておくといいでしょう。

※この記事は2009年5月に配信された記事です

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  5. 5 飲みたくなくなるかも!? ペットボトルのお茶に入っている意外なもの
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    コンビニ弁当を食べ続けると早死にする? その理由は…
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  9. 9 知っているようで知らない“ネイルの危険性”について
    爪の状態をみればからだの不調が分かる!こんな爪の人は要注意
    (編集・制作 (株)法研) (「よくわかる女性のからだ事典」天野恵子…
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    女性ホルモンを増やす5つのコツ!不調の原因はホルモンの減少かも?
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  14. 14 ブラジャーを外すと跡がくっきり! この原因はなに?
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    下着売り場でブラジャーのサイズを測ってもらったのはいつ? 実はサイズが…
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    口ぐせやしぐさで分かる、ちょっと面倒な人の見抜き方
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    大豆イソフラボンは納豆1パックに何mg? 毎日どれぐらい摂るといい?
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    女性にも急増! 自覚症状なく進む「膵臓」の病気 7つの危険な症状
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  18. 18 知っているようで知らない“ネイルの危険性”について
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  19. 19 【医師が回答!】目の下のクマを治す方法を教えてください
    目の下のクマの原因は寝不足だけじゃない?体調不良のサインとは?
    それは単なる寝不足のせい?それとも重い病気の前ぶれ?クマが出る原因と理…
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