熱が出る仕組みを知れば、あわてて解熱剤を飲む必要はなし。体が熱を発する原因や、体温が上昇・低下する仕組みを解説いたします。

解熱剤が必要なのはどんな時? 飲まなくてもいい場合とは

熱は体の防御反応。辛くなければ解熱剤は必要ありません

熱が出た時、その症状を弱めるために使われるのが解熱剤です。ただ、感染症で熱が出るのは、生体の防御反応でもあります。少しの発熱で体が辛くないのであれば解熱剤は必要ないでしょう。

風邪の発熱はウイルスによるもの。こういったウイルスは体温が低い状態の時のほうが繁殖しやすいため、人は体温を上げることで体を守ろうとします。風邪の時はウイルスに対して白血球が反応しサイトカインを作るため熱が出ます。ウイルスは低温の方が繁殖しやすいので、体温が上がると増殖が抑制されます。また、体温が上がることで白血球の働きも高まります。つまり体は熱を出すことで風邪を治そうと頑張っているのです。

また、風邪をひいた時に、ぞくぞくするのは、筋肉を震えさせて熱を作るため。これはまだ熱が上がるサインです。高熱で体力の消耗が激しい時には解熱剤も必要ですが、熱だけ下がっても病気が治るわけではありません。やみくもに解熱剤を飲むのではなく、ゆっくり体を休めることも大切です。

脳が指令を出し、血液の量やホルモンで体温をコントロール

体温は自分でコントロールすることができません。それではどのような仕組みで上がったり下がったりするのでしょうか。
発熱の原因となる発熱物質には、細菌の菌体成分などの外因性発熱物質と、ヒトの体の中で作られる内因性発熱物質があります。発熱物質は脳室周辺の細胞に働きかけてプロスタグランジンE2の産生を促し、サイクリックAMPという情報伝達物質を介して体温調節中枢に作用し、発熱を起こします。

体温調節の中枢は脳の視床下部です。体温が上がり過ぎると、その情報が視床下部に伝えられ、自律神経の働きで皮膚の血管を広げて体表から熱を逃したり、発汗を促して気化熱で体温を下げたりします。
逆に体温が下がると、皮膚の血管は収縮して体の表面近くを流れる血液量が減り、熱が失われないように働きます。寒い時に震えるのも筋肉で熱を産生するためです。さらに寒さが続くと、甲状腺ホルモンや副腎髄質ホルモンの分泌が増し、代謝を高めて熱の産生を増やします。

意外と知らない自分の平熱。体調のよいときに計測しておいて

体温は1日の中で変動があり、年齢によっても変化します。1日の中では、午前2~4時頃に最低、午後2~6時頃に最高になります。年齢では、乳幼児は高めで、高齢になるほど低下。女性は、生理周期によっても体温が変化します。若い頃の平熱は現在とは違っている場合があるので、体調のよい時の平熱を計っておきましょう。具合が悪い時に比較しやすくなるので、健康管理に役立ちます。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

【お話を伺った人】澤田めぐみ(さわだ・めぐみ)先生

内科医。東京医科歯科大学医学部卒。「医学を学ぶのは医師を目指す人たちだけ」という現状に疑問を抱き、「賢い医療消費者を育てたい」という思いから、2011年に日本で唯一の小中学生を対象とした医学教室「とう…

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