毎年1500件を超える、新規感染者が報告されているHIV感染症。現代では、HIVに感染しても、治療をすれば今までと同じような生活を送ることも可能になってきています。正しい知識を知って、予防につとめましょう。

いまさら聞けないエイズ(HIV)の基礎知識-感染から発症まで

HIVに感染したらすぐエイズになるわけではない

HIVは、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)のことで、体の免疫の重要な細胞である、Tリンパ球やマクロファージ(CD4陽性細胞)などに感染するウイルスです。

HIVが免疫に重要な細胞に感染すると、これらの細胞の中でHIVが増えます。すると、免疫に大切なこれらの細胞が減ってしまい、体を守る力が弱く。そのため、普段は感染しないような病原体にも感染しやすくなり、多数の病気にかかってしまいます。この病気の状態をエイズ(AIDS: Acquired Immuno-Deficiency Syndrome、後天性免疫不全症候群)と言います。HIVに感染したからこといって、すぐにエイズと診断されるわけではありません。

無症状の潜伏期間が10年以上続くことも

HIVに感染してから、エイズを発症するまでには、一般的に数年から10年以上と長い時間がかかります。感染した後は、「感染初期」「無症候期」「エイズ発症期」とたどるのが通常です。まず、2~6週間の感染初期では、体内でHIVウイルスが急激に増殖します。この時、感染者の50~90%には、発熱、咽頭炎、筋肉痛、頭痛、下痢など、インフルエンザと似たような症状が起こります。その後、自己免疫力で症状は改善し、無症候期に入ります。期間は、だいたい数年から10年以上続く人も。この無症候期の怖いところは、自覚症状がほとんどないこと。ただし、体内でHIVは毎日100億個ほど増殖しており、リンパ球も死滅していきます。この段階で自分で気づくということは、ほぼ不可能。無症状にもかかわらず次第に、免疫機能をつかさどるTリンパ球が減少し、健康時には血液の1μl中に700~1500個あるものが200個未満に。すると免疫不全となり、日頃かかることのない病気にかかりやすくなり、エイズを発症します。

早期発見でいつも通りの生活を送れる場合も

現在、HIVを完全に死滅させる治療法はありませんが、抗HIV薬によってウイルスの増殖を抑えて、エイズの発症を防ぐことで、感染前の生活と同じような通常の生活を長期間送ることができます。エイズ発症前の無症候期にHIV感染を知ることができれば、医療機関で最適な時期に治療が始められるのです。

現在では残念ながら、エイズ発症によってHIV感染を知るという人が、感染者全体の3割となっています。エイズ発症後の治療も効果はありますが、発症前に治療を開始した方が、格段に効果が高くなるのです。また、HIV感染を知らない期間にパートナーにHIVをうつしている可能性も否定できません。日本では、2007年以降、毎年1500件以上の新規感染者が報告されています。感染を広めないために、正しい知識を身につけるのはもちろん、少しでも不安を感じたらHIV検査を受けるようにしましょう。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

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