妊娠中は免疫力が弱まっているため、感染症にかかりやすい状態です。感染するとお母さんの体だけではなく、赤ちゃんにも影響が出る可能性も。注意したい病気をまとめました。

知らぬ間に感染して、母子感染や流産の原因になるウイルスとは?

妊婦検診や婦人科検診で定期的にチェックを

女性が妊娠をすると、ホルモンバランスの乱れなどから、免疫力が低下すると言われています。普段と違い、病気にかかりやすい状態ですし、さらに妊娠中は飲める薬も限られてきます。
また、母体に影響するだけではなく、妊娠中の母子感染も心配です。お腹の中で赤ちゃんにうつる「胎内感染」、出産時にうつる「産道感染」、母乳を与えることでうつる「母乳感染」があります。ほかにも、早産や流産などのリスクが高くなるなど、特に注意したいウイルスによる病気をご紹介します。

◯風疹ウイルス
風疹の原因は風疹ウイルスです。母親が妊娠初期に感染して、胎児にもうつると、白内障や先天性心疾患、難聴などの障害が。妊婦健診で抗体検査を受けて、免疫がないと言われたら、風疹ウイルスを持っている可能性のある人との接触を極力さけましょう。家族には予防接種を受けてもらった方が○。

◯麻疹
麻疹ウイルスに感染することでかかる病気が麻疹です。感染すると、発熱、全身性発疹などがでるもの。妊娠中に感染すると、流産や早産の原因になることが。流行性のものなので、流行っている時は外出を控えるなどで予防をしましょう。

◯水ぼうそうや帯状疱疹
水ぼうそうや帯状疱疹の原因となるのが水疱・帯状疱疹ウイルス。妊婦が水ぼうそうを発症すると、水疱肺炎を起こす危険が。また、出産前後に発症すると赤ちゃんにもうつる可能性が高くなります。ただ、ほとんどの人が免疫を持っているので、そこまで大きく心配する必要はありません。

◯B型肝炎ウイルス
赤ちゃんがB型肝炎ウイルスに感染しても多くは無症状ですが、まれに重い肝炎をおこすことがあります。将来、肝炎、肝硬変、肝がんになる可能性も。お母さんがウイルスを持っている場合、出産後の赤ちゃんにワクチンを接種することで感染の予防が可能。

◯C型肝炎ウイルス
B型肝炎ウイルスと同様に、赤ちゃんが感染しても多くは無症状です。ただし将来、肝炎や肝硬変、肝がんになることがあります。

◯HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス-1型)
HTLV−1ウイルスの感染者の約95%は病気を発症しません。残りの5%は成人T細胞白血病、約0.3%はHTLV-1関連骨髄症を発症する可能性があります。母子感染は、母乳感染なので、粉ミルクを使うなど医師と相談を。

◯B群溶血性レンサ球菌
妊婦の2割が保菌しているといわれるウイルスです。常在菌なので特に問題はありませんが、出産前に治療しないと、赤ちゃんが肺炎、髄膜炎、敗血症などの重症感染症を起こすことがあります。

◯サイトメガロウイルス
日本人の成人の半数以上が持っているほどありふれたウイルスで、母乳や子供の唾液、尿、性行為によって感染します。妊婦が初感染した場合や、その妊婦の免疫力がひどく低下している場合は、胎児へ感染する可能性が。流産、死産、脳や聴力の障害が起こる可能性があります。出産時に問題がなくても、成長するにつれて症状がでることも。症状がでる確率は感染時の10~30%と言われています。

◯トパルボウイルスB19(別名:りんご病)
このウイルスに感染すると、1~3週間の潜伏期間を経て、頬がりんごのように真っ赤になります。妊娠中に胎児に感染すると、胎児水腫、流産、死産の原因になることが。

◯性器ヘルペス
ヘルペスウイルスに感染することで性器の周辺にヘルペス(水ぶくれ)ができる病気です。初感染の場合、水ぶくれがつぶれて、ひどい痛みや発熱を伴い、排尿が困難になることも。ただ、再発した場合は、症状が軽く、気づかない場合も。免疫が弱った時に再発しやすく、妊娠時も再発しやすい時期のひとつとされています。母子感染を防ぐため、出産時に性器などにヘルペスの症状が見られる時は、帝王切開がすすめられています。

◯尖圭コンジローマ
HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが性器や肛門に感染し、カリフラワー状のイボができる病気です。外科手術でイボは除去できますが、再発率が高く3カ月以内に25%が同じ症状にみまわれます。

特に女性の場合、軽い痛みやかゆみがでることもありますが、ほとんどが自覚症状なし。出産時に感染している場合、産道感染する可能性があります。赤ちゃんに感染すると、喉にイボができる呼吸器乳頭腫症を発症するリスクが。再発率が高く、予後も悪いので非常に気をつけなければなりません。ただ妊娠中は、妊婦検査を定期的に受けることで母子感染を事前に予防できます。

◯HIV
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)というウイルスに感染すると、数年から数十年かけて免疫力が徐々に低下し、やがてエイズを発症します。母体がHIVに感染している場合、薬や帝王切開での出産、ミルクで育てるといった対策で、母子感染を予防することができます。妊娠初期にわかり対策をとることができれば、赤ちゃんへの感染率は1%以下と言われています。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと