ひと昔前の病気のイメージがある性感染症の梅毒。実は、その患者数が急激に増えているのです。病気の特徴と予防法をご紹介します。

女性に急増中の恐ろしい病気とは? 放置すると大変な症状が

ひと昔前の“不治の病”が最近また復活している?

トレポネーマという病原体により感染するのが梅毒。ひと昔前は、不治の病として非常に恐れられていた病気ですが、抗生物質のペニシリンが発明されると同時に、感染例は激減していきました。その梅毒の感染者数が、現在急増しているのです。東京都感染症情報センターの調査によると、2014年から2016年にかけて女性の20代から40代の患者数が急増しています。特に20~29歳の報告数は約5倍にものぼり、保健所などで注意が呼びかけられています。

一度、終息に向かった梅毒が、なぜ急増しているのでしょうか? その背景には、性経験の低年齢化が原因の一つになっているのではないか、という見方がありますが、実際には因果関係はわかっていません。

症状の出ない無症候梅毒は気付きにくい

梅毒の感染経路は、主に性行為によるもの。感染者と1回性交しただけで感染するといわれるほど、感染力が強い病原体です。感染している部位が皮膚や粘膜と直接触れることで感染します。オーラルセックスやアナルセックスでも感染するほか、感染している部分が口にある場合は、キスでもうつります。不特定多数と性交することは梅毒感染のリスクが高くなるほか、コンドームで100%予防はできませんが、コンドームを使用しないセックスはさらなる感染のリスクを高めます。

梅毒に感染すると、第1期から第4期までを順にたどりながら、下記のように重症化していきます。

<梅毒の症状>

まず、性的な接触から病原体が体内に侵入し感染します。約1週間から13週間の潜伏期間の後、発症します。

◯第1期 感染から約3週間後
性器や肛門、口など感染した部位にしこりができます。このしこりに痛みはなく、それと同時に太ももの付け根のリンパ節が腫れます。どちらも、放っておくと2~3週間で消えるので、自分では気付きにくいのが特徴です。

◯第2期 感染から約3ヶ月~約3年後
病原体が血液を介して、全身に広がり始めます。そのため、顔や手足にピンク色の円形のあざや、あずき~えんどう豆くらいのサイズの湿疹ができます。この症状は「バラ疹」とも呼ばれます。また、脱毛症状が見られる場合もあります。ただし、これらの症状は3ヶ月から3年続いた後、自然に消えます。

◯第3期 感染から約3~10年後
結節性梅毒疹やゴム腫といわれる、皮下組織にできる大き目のしこりができます。

◯第4期 末期状態
心臓、神経、血管、目などに重い障害が出ます。

現在では、抗生物質などの治療により、第3~4期にいたるケースはほとんどありません。ただ、感染者の中には、症状が出ないタイプの人もいます。これを、無症候梅毒といい、第1~2期になる途中や、第2期で発疹が消えた時期も含まれます。無症候梅毒は、症状が出ていないだけで、接触すれば感染します。この時期に、知らずにパートナーにうつしたり、うつされている可能性があるのです。

さらに注意したいのが、梅毒はHIV感染のリスクも高めるということ。梅毒とHIVの両方に感染していると、相互に影響しあい進行を早め重症化しやすくなるという報告もあります。梅毒は抗体が作れないので、一度完治しても、病原体に触れれば再感染します。定期的に性感染症の検査をするのはもちろん、普段から自分の体はもちろん、パートナーの体にも異常がないかチェックをしておきましょう。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

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