長い時間の正座の後には、誰もが味わうあの苦痛だが…

長い時間正座をすると足がしびれる理由-しびれを防ぐ4つのコツ
酸素不足と圧迫により感覚を伝える神経の働きが低下して起こる「しびれ」。お坊さんたちには軽減の知恵

膝下の血管と末梢神経が圧迫される

長い時間正座をすると足がしびれます。お茶やお華の席で、いつもつらい思いを味わっている人も少なくないでしょう。正座をしても足がしびれないよい方法はないものでしょうか。
そういえば、お坊さんはお勤めや法事のときなど長く正座をしているけれど、足はしびれないのでしょうか。

そもそもしびれは、末梢神経の異常を脳に知らせるサインと考えられています。体中に張り巡らされている末梢神経は非常に細い電線のようなもので、熱い、冷たい、痛いなどの感覚刺激を電気信号で脳に伝えています。

正座という姿勢は、膝から下の部分の血管を圧迫して血流を滞らせるため、末梢神経は酸素不足に陥ります。また、末梢神経自体も圧迫されて傷つくことがあります。このような状態が続くと、感覚を伝える神経の働きが低下し、混乱が起こったりします。
こうして感覚がなくなったような、あるいは「ジンジン」「ビリビリ」といった感じがする「しびれ」が起こるとされています。

お坊さんだってしびれるが、それを和らげる工夫をしている

長い時間正座をすると足がしびれる理由-しびれを防ぐ4つのコツ
正座を続ければ足がしびれるのは当たり前のようで、お坊さんの場合も例外ではなさそう。ただし、お坊さんたちはしびれにくい座り方やしびれの散らし方などを工夫して、見た目にはしびれていないように振る舞っているらしいのです。
そういう対処法はお坊さんに限らず、正座することの多い落語家や能楽師、茶道や華道の関係者たちも心得ているようで、職業上の知恵と言ってもよさそう。例えばこんな工夫です。

●重心を膝側へもってくる
足先の血流を少しでも良くする工夫。腰を入れ、背筋をピッと伸ばして座る。

●両親指を重ねる
両足の甲を床にベッタリつけて座ると足の甲の動脈が圧迫されてしびれやすいので、それを避ける方法。片足の甲をもう一方の足の裏に重ねるという座り方もある。どちらにしても、時どき上下を入れ替えると血流が滞りにくい。

●重心を時どき移動する
座ったまま重心を前後や左右に時どき移す。

●立ち上がるとき
直前に足を深く重ねて足先が動くようにすると血流が回復する。立ち上がるときも、つま先を立ててかかとの上に重心を移し、雑談やあいさつなどで時間稼ぎをするとしびれが早くとれて立ち上がりやすい。

しびれは重大な病気を知らせるサインのことも

正座による足のしびれは時間がたてば解消するので心配はありませんが、なかには病気のサインとしてのしびれがあることを忘れてはいけません。
原因となる病気や部位によって、しびれる場所は両足とも、片足だけ、足全体、足裏だけ、手も一緒に、などさまざまです。主に以下のような病気で足がしびれることがあります。

●腰の病気
腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)、変形性腰椎症など。腰の部分の神経が圧迫されたりするために起こる。

●糖尿病
糖尿病によって末梢神経障害が起こると、足先にピリピリしたしびれが現れる。

●脳梗塞
血管の詰まる場所によってしびれの現れる場所は異なるが、体の片側に出ることが多い。ろれつが回らないなど言語障害が起こることもある。

●閉塞性動脈硬化症
足に血液を送る動脈が詰まり、歩くと足が血液不足になってしびれや冷え、痛みが起こる。

正座など思い当たることがないのに足のしびれを感じたり、しびれがなかなか治まらないようなら、整形外科や神経内科などに受診したほうがよいでしょう。

(編集・制作 (株)法研)
※この記事は2015年8月に配信された記事です