高齢出産のデメリットとメリット-何歳までに出産を考えるべきなの?

太田 寛先生

【執筆者】太田 寛

慈桜会 瀬戸病院産婦人科 北里大学医学部公衆衛生学 助教 1989年京都大学工学部電気工学科卒業後、日本航空株式会社羽田整備工場に勤務。2000年東京医科歯科大学卒業。茅ヶ崎徳洲会総合病院産婦人科…

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(編集・制作 (株)法研

35歳くらいまでに自分の子どもを持つ人生を選ぶのか選択を

高齢出産には体力や持病の問題があるが、経済力・精神力では有利。無痛分娩と助産院での分娩についても紹介

「子どもはそのうち」とはいつのこと?

担当していた38歳の妊婦さんが無事に出産しました。かわいい赤ちゃんを抱いて、とてもうれしそうです。この女性は37歳の子宮がん検診のときに、「40歳が近くなると妊娠が難しくなる」ということをお話ししたら、すぐに気持ちを切り替えて妊娠に向かって準備したそうです。運よくすぐに妊娠できて、無事に出産もできました。しかし、このようにうまくいく人ばかりではありません。高齢妊娠や高齢出産にはさまざまな問題があります。

40歳代の芸能人の出産がニュースになるためか、「子どもはそのうち」と思って、後回しにする女性が多くなっているようです。仕事やプライベートでやりたいことをやっていると、結婚や出産が後回しになるのは当然ではあります。もちろん「子どもは要らない」とはっきり決めているなら何の問題もありませんが、「いずれは子どもが欲しい」と考えている人は、考えているよりは少し早めに行動に移したほうがいいでしょう。

さすがに常識になっていると思いますが、30歳頃から妊娠率は徐々に低下を始めて38歳頃からは急に低下します。産婦人科医としては遅くとも35歳くらいまでに、自分の子どもを持つ人生を選ぶのか、子どものいない人生を選ぶのか、じっくりと考えて選択をしてもらいたいと思います。
仮に35歳から妊娠に向けて行動すれば、数年たって子どもができなくても、まだ38歳くらいですから、不妊治療を行えば十分に妊娠の可能性があります。しかし、不妊治療の開始が40歳くらいからだと、治療を行ったとしても、妊娠は困難となり費用もかかることが多いのです。どんなに医学が進歩しても、過ぎ去った時間だけはどうしようもありません。

幸せは人それぞれです。子どもがいなくても人生は楽しいですが、子どものいる人生もとっても楽しいものです。どちらを選んでも正解だと思いますが、自分(たち)でしっかり考えて選ぶことが大事です。

高齢出産のいいこと、悪いこと

高齢出産のデメリットとメリット-何歳までに出産を考えるべきなの?

人間を動物として考えたとき、妊娠・出産に適しているのは20歳代であることははっきりしています。私自身は現在40歳代後半ですが20歳代の頃に比べれば、明らかに体力は低下しています。女性の妊娠・出産についても、統計では25~30歳がもっとも安全であることが示されています。現代においては、出産は仕事のキャリアなども考慮すれば30歳くらいがいいのではないかと考えています。
そもそも、ほんの30年ほど前までは20歳代で出産するのが当然で、40歳を超えてから初めての妊娠・出産をすることは、珍しいことだったと思います。その頃の40歳代は孫の世話をする年代でした。子育ての経験もあるし体力も十分ありますから、子育ての強力なサポーターになってくれていました。先日も42歳で初孫を抱いている人がいて、若いなあと思いましたが、もともと40歳代と言えば孫がいてもおかしくない年代だったのです。

また、35歳以降に初めて妊娠をする人たちには、子宮筋腫や卵巣のう腫など子宮や卵巣に問題を持つ人が多くなります。「困った症状がないから婦人科系の問題はない」という根拠のない自信から、20歳代では婦人科を受診せず、妊娠して初めて産科を受診する人もいます。初診のときに妊娠とともに大きな子宮筋腫が見つかって大病院に紹介することもありました。妊娠を先延ばしするなら定期的なチェックをしておいたほうがいいですね。
また、生活習慣病が増え始める年代でもあるので、高血圧、糖尿病などを合併する確率も高くなります。母親の持病が悪化してはおなかの赤ちゃんも危険ですから、必要な内服薬がある場合などは、持病を診ている医師と相談しながら妊婦健診をしていくことになります。持病の治療をしつつ無事出産できる人のほうが多いので、そんなに心配する必要はないですが、やはり合併症がない若いときの妊娠のほうが安全であることは事実です。

一方で、精神的、経済的には高齢妊娠の方が有利な部分もあります。若いときの妊娠・出産では、独身の自由な時間を満喫することができなかった、仕事でもっとキャリアを積みたかったが妊娠のために中断せざるを得なくなった、などマイナスの気持ちで妊娠・出産に臨むことになることもあります。しかし、30歳を超えてからの出産は、経済力や精神力などは若いときよりは身についているはずですから、高齢出産のほうが有利です。こういう有利な点を活かすようにしたいですね。

次に、高齢出産に臨む妊婦さんからわたしがよく質問を受ける「無痛分娩」と「助産院での分娩」について書いておきましょう。

無痛分娩のほうがいいのか?

無痛分娩は、うまくいった場合は痛みが少なくてお産ができるので、とてもいい方法です。その一方で、うまくいかない場合もあり、結果的に「無痛分娩を選ばなければ避けられたであろう」帝王切開になることがあります。あたかも経腟分娩がやりやすくなるかのように書いている本もありますが、そうとは限りません。

無痛分娩は主として硬膜外麻酔により行われています。これは背中を通る太い神経の近くに細い管を挿入して、そこから歯医者で使うような局所麻酔薬を少量ずつ流して痛みを軽くするものです。全く痛くないわけではありませんが、うまく効くと普通に話をしながら産むことができる程度の痛みですみます。
しかし、体の危険を知らせる役目のある「痛み」をとってしまうので、安全なお産にするためには、赤ちゃんの心音モニターなどの医療的な管理が必須で、人手が必要となります。よって、人手のある日中のお産にするために人工的に陣痛を起こして計画分娩にする場合が多くなります。計画分娩は、予定日の1~2週間前に予定を組みます。予定が早すぎると体がまだお産の用意ができていなくて、うまくいかないことがあります。だからといって、予定日に近い日程にすると、無痛分娩の予定日の前に自然に陣痛が来てしまって、予定通りの無痛分娩にできなくなることがあります。

また、無痛分娩には10万円程度の追加料金がかかります。妊婦健診の内容はどちらでも変わりませんが、無痛分娩のほうが血液検査の項目などが多くなることもあるため、妊婦健診の費用が多めになります。

助産院での分娩はどうなのか?

助産院での分娩は家庭的で、健診中に仲良くなった助産師が付きっきりで世話をしてくれるので、無事に終わればとてもいいお産になります。しかし、最後まで何が起こるのかわからないのがお産です。経腟分娩を予定していても、分娩途中で帝王切開になる人も10%程度いますし、出産後に出血が止まらずに輸血や手術が必要になる人もときどきいます。
そのような場合、助産院では対応が限られており、病院に搬送する必要が出てきます。しかし、赤ちゃんやお母さんが病院に搬送される数十分の間に状態が悪くなってしまうことがあります。よって、「病院だったら助かっていたかもしれないのに、障害が残ってしまった」ということが起こりえます。よって、そのような結果になったとしても、それは自然な流れで運命だったと受け入れられる覚悟のある人しか助産院は選んではいけないと思います。そういうときのためにも、提携している病院ははっきり確認しておきましょう。ただし、提携していても、いざというときに受け入れてもらえない場合もあります。そういう場合の対応はどうしているのかも、しっかりと確認しておきましょう。

助産院での分娩方法はそれぞれの助産師によっていろいろですが、共通しているのは病院よりゆっくり長く待つお産になることです。病院だと異常を発見しやすいので、早め早めに医療的な対応をすることができます。もちろん、そのおかげで母児が無事で帰れるという場合も多々ありますが、「結果的に」不要な処置がされる場合もあります。助産院と病院のそれぞれの特徴を考えて選びましょう。

後悔のない選択をするためにも、30歳くらいで自分の人生をどうするか、家族をどうするか、仕事をどうするか、そして子どもをどうするのか、考えてもらいたいと思います。

※この記事は2013年3月に配信された記事です



妊娠初期の流産の確率は? 6つの症状と兆候|流産予防策とは

妊娠中は誰もが、順調な赤ちゃんの成長を願うもの。でも、実際は妊娠の15%が流産に至るというデータも。できるだけ、自分で防ぐにはどうしたら? その方法をまとめました。

妊娠初期の流産の確率は? 6つの症状と兆候|流産予防策とは

流産全体の80%が 妊娠12週未満

「流産」とは、妊娠22週より前に妊娠が終わること。妊娠したにもかかわらず、早い時期に赤ちゃんが死んでしまうことは、出産を待ち望む人にとっては悲しいことですが、妊娠の15%前後が流産になるという統計もあります。特に、妊娠12週未満の早い段階での流産が多く、流産全体の約80%をしめます。

最も多い原因は、赤ちゃん自体の「染色体異常」。受精の瞬間に流産が決まることがほとんどで、母親の妊娠初期の仕事や運動などが原因で流産することはほぼありません。

流産しやすい妊娠12週目までは、下記の症状に注意を払いましょう。流産の兆候とされていますが、まったく症状がない場合もあります。そして、同じ症状がでたとしても、すぐ流産の危険性があるわけではありません。わずかな違いですが、症状に差がありますので、ご紹介します。

・不正出血
妊娠初期には正常妊娠でも少量の出血や腹痛を感じることがあります。流産の場合も出血がありますが、それだけでは医療機関も対処法がなく、緊急外来を受診する必要はありません。出血にともない、つらい腹痛がある場合は子宮外妊娠の場合がありますので、救急外来を受診してください。

・腹痛
流産や子宮外妊娠の可能性が高いので、すぐに婦人科を受診しましょう。出血がなく腹痛だけの場合は、切迫流産の可能性が。また、進行流産に移行する可能性も十分にあります。

・腰痛
流産がおこると、体は子宮の内容物を排出しようとします。それにともない腰痛が起こることがあります。この場合は通常2週間ほどで治ることが多いようですが、3カ月ほど続く人も。腰痛のほかに、腹痛や足のしびれなどがある場合には、子宮ら卵巣に炎症が起こっている場合があるので、はやめに産婦人科を受診しましょう。

・お腹が張る
急速に子宮が成長する妊娠初期に、下腹部に違和感や重さを感じることがあります。心配のない場合がほとんどですが、切迫流産や早産の兆候である可能性も。お腹の張りに加え、出血があれば、産婦人科に相談をしてください。

・急につわりがなくなる
妊娠12週頃までつわりが続く場合が多いですが、流産になると急に症状がなくなります。特に8~10週頃がつわりのピークといわれているので、この頃に急になくなった場合は流産を疑い、すぐ産婦人科を受診しましょう。

・基礎体温が下がる
妊娠すると3週間以上の高温期が続きます。そして、この基礎体温が急に低温になりだしたら、妊娠中に分泌されるホルモンが減少しているということ。流産の可能性がありますので、産婦人科で診察を受けてください。

流産を予防するために 自分でできること

前述したように、流産は母体が原因ではなく、染色体異常が原因。それでも、できるだけ流産しないように、妊娠中にできることに、「冷え対策」があります。冷えて血行が悪くなって子宮内膜の機能が低下すると、胎盤がうまく作られないことが多く、おなかの赤ちゃんの成長の妨げに。日頃から腰回りを冷やさないように工夫をしましょう。

●衣類
・ストールやカーディガンを持参する
・レギンスやタイツをはく
・腰回りにシャツを巻く
・腹巻をする
・靴下を重ね履きする

靴下を重ね履きする

・使い捨てカイロを冷えやすいところにあてる

使い捨てカイロを冷えやすいところにあてる

●食事

・なるべく温かい飲み物をとる

なるべく温かい飲み物をとる

・生姜をとる

生姜をとる

・根菜類などをとって体を温める

根菜類などをとって体を温める

●生活習慣

・入浴後は髪をすぐ乾かす
・適度なウォーキング
・ストレッチ
・入浴できない時は足湯をする

また、赤ちゃんの細胞形成を助けてくれる葉酸や、母体の血行を促進して、赤ちゃんへの栄養を送りやすくするビタミンEのサプリメントを活用するのも手です。気にしすぎるとストレスになりますので、できる範囲で行いましょう。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

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妊娠初期の自然流産の兆候はどんな症状? 流産の種類と対処法

妊娠中は「もし流産してしまったら」と不安を抱くことがあるはず。無駄に大きな心配をしないためにも、その症状と、処置方法をご紹介します。流産したからといって、次の妊娠が望めないわけではないので、心に負担をかけすぎないようにしましょう。

妊娠初期の自然流産の兆候はどんな症状? 流産の種類と対処法

妊娠中の諸症状と似ている 流産のサイン

妊娠初期に流産を発症する確率は10%~15%と高く、用心する必要があります。原因は、胎児側の染色体異常と言われており、決してお母さん側に責任があるものではありません。

流産の兆候としては、出血、腹痛、腰痛、お腹の張り、つわりが急におさまるなどがありますが、どれも妊娠中の諸症状と似ており、自己判断するのは難しいもの。不安に感じたら、産婦人科医に相談することをおすすめします。

ただ、出血と腹痛が同時に起こったり、大量の出血が急に起こる、生理のような鮮血が出た場合には、流産の可能性が高いため、すぐに産婦人科を受診してください。その場合、出血の色や量を覚えておき、診察時に医師に伝えられるようにしましょう。

妊娠が継続できる流産もある

ひとくちに流産といっても、胎児の状態によってさまざまな名前があり、対処法も違います。

●稽留(けいりゅう)流産
胎児は死亡しているが、まだ出血・腹痛などの症状がない場合。自覚症状がないため、婦人科の定期診察で初めて確認されます。

●完全流産
子宮内容物がすべて自然に出てしまった状態。すでに出血、腹痛等はおさまってきている場合が多い。経過観察で対応できることが多い病態ですが、子宮収縮剤を投与する場合もあります。

●不全流産
子宮内容の排出が始まっているが、まだ一部が子宮内に残存している状態。出血・腹痛が続いていることが多く、子宮内容除去手術を行う場合が多い。

●感染流産
細菌などによる感染を伴った流産。母体死亡のリスクが上昇するため、慎重な管理が必要となります。

●習慣流産
流産を3回以上繰り返した場合。流産は、多くの妊娠で見られ、誰にでもおこる病態です。3回以上繰り返す場合は両親に何らかの疾患がある場合もあります。専門医療機関で精査を行うことも可能ですが、原因がはっきりしない場合も多いのが特徴です。

●化学流産
妊娠検査薬で妊娠の陽性反応がでたものの、超音波で妊娠確認できる前に流産してしまった状態。妊娠検査薬が、一般的に普及したために言われるようになったものです。

●切迫流産
胎児が子宮内に残っており、流産の一歩手前である状態。妊娠が継続できる可能性があります。妊娠12週までの切迫流産に有効な薬剤はなく、経過観察で対応することに。子宮の中に血液のかたまりがあるような切迫流産では、安静が効果的とする研究報告も。

早期流産の場合、妊娠6~7週では、子宮の収縮を促進する薬のみで、手術をしない場合もあります。ただ、だいたい早期流産のときは、子宮の中から残った胎嚢や細胞などをかきだす手術を行います。この手術は麻酔をして行い、日帰りも可能。容体が悪い場合は、安静にして回復してから、帰宅静養します。手術費用は保険が適用されるので、日帰りで2~5万位が相場のよう。3~6カ月安静にし、生理が順調に回復したら、次の妊娠が望めるそうです。

早期流産ではなく、妊娠12週目を過ぎて流産した場合は赤ちゃんの死亡届が必要となります。同時に火葬するために火葬許可証の交付を受ける必要があります。医師に確認しつつ、進めるようにしましょう。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

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