たくさん笑うだけで免疫力アップ!病気の予防・改善に役立つ笑いの健康効果

ノーイメージ

【お話を伺った人】伊丹 仁朗先生

すばるクリニック院長 1963年岡山大学医学部卒業後、精神医学教室で脳波大脳生理学の研究に取り組む。81年頃より、心身医学的側面からがん・難病治療に取り組み、生きがい療法を開発。がん闘病者とのモン…

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(編集・制作 (株)法研

(「ジャストヘルス」法研より)

作り笑いでも健康効果が! 免疫力アップのほかにもたくさんあった、笑いの健康効果。

NK細胞が活性化され免疫力がアップ

最近よく笑っていますか? 心から笑うと、いやなことを忘れて楽しい気分になったり、ストレスが発散できて、いかにも体によさそうです。英語では“Laughter Is The Best Medicine”ということわざがあります。「笑いは百薬の長」とでも訳せるでしょうか。実際、笑いは免疫力を高めて病気の予防・改善に役立つことから、「笑い療法士」という仕事も登場しているほどです。

どうして笑うと免疫力がアップするのでしょうか。NK(ナチュラルキラー)細胞という言葉を耳にしたことはありませんか? NK細胞とは白血球をつくるリンパ球の一種で、ウイルスやがん細胞など、体に悪さをする物質を攻撃します。全身に50億個も存在するNK細胞が活発に働いていると、がんや感染症などの病気にかかりにくくなります。

この免疫の要(かなめ)ともいえるNK細胞が、笑うことで活性化されるのです。笑うと、免疫をつかさどるセンターの役割をする「間脳(かんのう)」へと興奮が伝わり、情報を伝達する「神経ペプチド」がたくさん作られます。この神経ペプチドは、「笑い」というよい情報が与えられたことで善玉のペプチドになり、血液やリンパ液などを通して全身に運ばれ、NK細胞の表面にくっつきます。そして、よい情報を受け取ったことでNK細胞が活性化されて元気になり、病気のもとを退治するため、病気にかかりにくくなったり、治りやすくなる―つまり免疫力が高まり、健康になるということなのです。

大笑いのあと、免疫機能を示す値が正常値に近づいた

笑いはがんやウイルスをやっつけるだけでなく、リウマチなど免疫異常を原因とする病気にも効果のあることが、実験によって明らかになっています。
すばるクリニックの伊丹仁朗院長が行ったその実験は、ボランティアの男女に漫才や喜劇などで3時間たっぷり笑ってもらい、前後の血液を調べるというもの。その結果、18人中14人でNK細胞の活性が上昇、正常範囲を超えていた4人は下降して正常値に近づきました。また、免疫のバランスを示す値もほどんどの人が正常値に近づいていました。これは、低すぎればがんに対する抵抗力が弱くなりますが、高すぎてもリウマチなど免疫異常を原因とする病気になりやすいといわれています。

「でも大笑いすることなんて、そうそうないんだけど…」という人にも心強い話が。笑いで免疫力がアップする仕組みには運動神経がかかわっていることから、伊丹先生はもう一つ、顔の筋肉の運動活動だけで笑い顔をつくることが免疫力に影響を及ぼすかどうかの実験を行いました。すると、表情だけ笑顔をつくっただけでもNK細胞が活性化する(高すぎる人は正常値に近づく)ことがわかりました。つくり笑顔でも免疫力が高まるのですから、楽しくなくても、いつも笑顔でいるって、本当に大切なのですね。

刺激とリラックスが交互におこって自律神経のバランスを整える

笑うことによる健康へのプラス効果は、免疫力がアップするほかにも、まだまだたくさんあります。

(1)血行促進

思いっきり笑ったときの呼吸は、深呼吸や腹式呼吸と同じ。一回に出入りする空気の量が多いため酸素がたくさん取り込まれる。すると血行が促され、新陳代謝が活発に。

(2)自律神経のバランスが整う

自律神経には体を活動的にさせる交感神経と、体をリラックスさせる副交感神経があり、この2つの神経のバランスが適度に保たれていると体は正常に機能するが、バランスがくずれると体にさまざまな不調がおこる。笑っているときは刺激とリラックスが交互におこるため交感神経と副交感神経が頻繁に切り替わり、自律神経のバランスを整える。

(3)筋力アップ

笑うときは、腹筋や胸の横隔膜、顔の表情筋など、さまざまな筋肉を使っていて、笑いすぎたときにおなかやほっぺたが痛くなるのはそのせい。笑うことでこれらの筋肉がきたえられ、多少なりとも筋トレ効果が。

(4)鎮痛作用

笑うと脳内ホルモン「エンドルフィン」が大量に分泌される。エンドルフィンにはモルヒネの数倍もの鎮静作用があり、痛みを軽減する。

こんなにある笑いの健康効果。とりあえずいやな思いをしたときも、気持ちを切り替えて笑ってみましょうか。

※この記事は2008年3月に配信された記事です



使うほどお尻にダメージが…ウォシュレットでお尻が悲鳴を上げている

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 –株式会社からだにいいこと

トイレの温水洗浄機能でお尻を清潔に保つのはいいことですが。使いすぎるとお尻にダメージが。間違った使い方とお尻への悪影響をまとめました。

温水洗浄トイレの使いすぎで「温水便座症候群」に

「ウォシュレット」や「シャワートイレ」、「ビューテイ・トワレ」など、温水洗浄機能がついたトイレは、一般家庭でも広く普及しています。いまや、公共のトイレでもついているところの方が多いと感じるほど。
でも、この洗浄機能がお尻にダメージを与え、お尻が悲鳴を上げているのを知っていますか? 私たちは、小さい頃から「お尻は清潔に保つこと」を教えられてきました。排便後に、お尻を温水で洗うことができる温水洗浄トイレは、画期的な商品で、その気持ちよさもあり、生活に欠かせないものとなっています。その一方で、近年では、温水洗浄トイレの使いすぎによる「温水便座症候群(ウォシュレット症候群)」という疾患もあらわれているのです。

使うほどお尻にダメージが…ウォシュレットでお尻が悲鳴を上げている

排便以外でも使うのがトラブルの元に

問題なのは、温水洗浄トイレを排便の時だけでなく、排尿時も使用すること。肛門付近の皮脂や皮膚の常在菌を洗い流してしまい、ただれ、かぶれを起こすというものです。肛門周辺にいる菌は、自浄作用で肛門周辺の皮膚を守っています。それが、毎回洗い流されることで、皮膚が中性になります。そこに、大便に含まれる腸内細菌が付着して、痛みや炎症を起こすのです。

また、女性で温水洗浄トイレのビデ機能を多用しすぎて膣周辺の常在菌が流され、膣炎になる女性も増えているそう。これは、洗いすぎで膣の自浄作用が弱まり、腸内細菌が膣内で繁殖することで起こるといわれています。

ちなみに、排便後の肛門はやさしくティッシュでふけばOK。そして1日1回、入浴時にきれいに洗えば十分です。なお、入浴時に界面活性剤などがはいったボディソープで洗ったり、タオルでゴシゴシ洗うのも肛門の常在菌を取りすぎるほか、皮膚を痛めるので避けましょう。

また、温水洗浄トイレを使う場合は以下のことは避けましょう。

<温水洗浄トイレの間違った使い方>

・ 10秒以上使う
肛門の洗いすぎは厳禁。温水洗浄を使う場合は、2~3秒を目安に。

・ 排便前に使い、排便を促す
毎回、排便を促すように温水洗浄を使うと、温水洗浄がないと排便ができないという「排便障害」を起こします。

・ 水圧を強くしすぎている
肛門の粘膜は繊細にできているので、水圧が強すぎると常在菌が除去されすぎるのはもちろん、粘膜に傷ができる可能性も。そこから雑菌が入る恐れがあるので注意して。

・ 肛門の奥まで温水を入れて洗う
肛門の奥の直腸まで温水を入れると、直腸の粘膜まで洗い流してしまい、細菌に感染するリスクが高まり、直腸炎や大腸炎になりやすくなります。

・ 排尿時を含め、トイレに行くたびに使う
洗いすぎで、肛門の常在菌が除去されすぎてしまいます。

清潔にするのはよいことですが、清潔にしすぎることでいろいろなリスクが高まります。正しい使い方を理解し、賢く利用しましょう。

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知っておきたい女性の『アソコ』5つの真実|大事な場所の正しいケア方法

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 –株式会社からだにいいこと

デリケートゾーンのケア、適当に自己流で行っていませんか? 繊細で複雑な場所だからこそ、正しいケア法を知ることが大切です。

意外とできていないデリケートゾーンのケア

デリケートゾーンの正しいケア方法を知っていますか? 習ったことがないのはもちろん、親しい友人や姉妹でも話しにくいと感じる人が多いため、自己流で行っている人も多いはず。ただ、デリケートゾーンのケアが不十分だと、臭いやかゆみの原因に。そこで、実は正しくできている人が少ない、大事な場所の正しいケア方法をご紹介します。

知っておきたい女性の『アソコ』5つの真実|大事な場所の正しいケア方法

<『アソコ』5つの真実 大事な場所の正しいケア方法>

1)シャワーだけですませない

デリケートゾーンには、薄い皮膚の部分と粘膜の部分があります。石けんを泡立てて、やさしく洗うのが基本です。でも、デリケートゾーンは複雑な構成のため、シャワーで流したり、泡をのせただけではよごれが落ちません。指の腹を使って、前から順に、陰毛、陰核、性器部分、会陰部分、肛門の順に洗います。ひだになっている部分は、汚れがたまりやすいので重点的に、でもやさしいタッチで洗いましょう。また、お風呂上がりにタオルでふくときも、ゴシゴシこすらず、やさしく当てるように水気をとって。低温のドライヤーを使って乾かしてもOKです。

2)1日2回以上洗わない

デリケートゾーンにも汗腺があり、汗をかくので清潔に保つ必要はありますが、洗いすぎは厳禁。特に膣の中は、弱酸性に保たれることで、雑菌の侵入を防いでいます。そのため、膣内は洗う必要がありません。しかも、膣は表面部分も善玉菌である「表皮ブドウ球菌」が守ってくれています。洗いすぎは、こういった必要な菌まで除去してしまうので、逆にデリケートゾーンでトラブルがおきやすくなってしまいます。

3) ボディーソープで洗わない

体を洗うのと同じ石けんやボディーソープでデリケートゾーンを洗っていませんか? これらの石けんは多くが、アルカリ性。デリケートゾーンにいる、自浄作用を維持する菌まで洗い流してしまいます。デリケートゾーンは、刺激が少ない、弱酸性の石けんで洗うのがおすすめ。デリケートゾーン専用のソープもたくさん販売されているので、使ってみては。

4) 小さすぎる下着を履かない

小さい下着は、食い込みやすく、通気性が悪くなりがち。下着は、股の部分がコットンなどの自然素材でできている通気性のよいものを選びましょう。また、小さいナイロン製の下着は、ムレやすく、カンジダ菌が繁殖しやすくなります。ふだんはコットンなどのショーツをはき、特別な時だけお気に入りのものに。

5)アンダーヘアを放置しない

生理中、アンダーヘアに経血がつくと、そこから菌が繁殖してニオイのもとに。また、アンダーヘアを処理することで、ムレの改善効果も得られます。どこまで処理するかは、好みによりますが、完全に剃る必要はなく、短くカットするだけでも、かなりムレにくくなります。

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仕事と家庭の両立…頑張りすぎて疲れる『スーパーウーマン症候群』に注意!

【お話を伺った人】天野 恵子先生

千葉県衛生研究所所長 千葉県立東金病院副院長  1942年生まれ。東京大学医学部卒業(医学博士・循環器内科専攻)。東京大学講師、 東京水産大学教授を経て、現在千葉県衛生研究所所長 兼 千葉県立東金…

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(編集・制作 (株)法研

スーパーウーマン症候群。仕事に家庭に大忙し。でも、知らないうちにストレスをためていませんか? こんな症状に要注意です。

働きものの女性に落とし穴が……

仕事をもっている女性は多忙です。とりわけ家庭を持って、家事などを担当している人は、帰宅してからも、ホッとひと息というわけにはいきません。

あわただしく家に帰ると、食事の仕度が待っている。そして休日も掃除や洗濯などに追われ、のんびりくつろぐ時間はない。子供がいると、さらにその忙しさは加速します。

このように、仕事や家事をバリバリこなす女性の中には、知らず知らずのうちにストレスをため込み、それが心身の不調となって出てくる人がいます。ストレスによるこうした病気は、「スーパーウーマン症候群」と呼ばれます。あなたの場合は、大丈夫ですか?

“完ぺき主義”がストレスをよぶ

「スーパーウーマン症候群」になりがちな女性は、責任感が強く、完ぺき主義をモットーとするタイプ。小さい頃から「しっかりしている」「優等生」などといわれることが多かったでしょう。

会社の仕事もテキパキこなせるため、上司の評価も高いはずです。そして、与えられる仕事のレベルもぐんぐんUPしていくため、それは、つねにプレッシャーとたたかう環境をつくりだします。そしてこのタイプの人は、家庭内でも手を抜きません。理想とするライフスタイルがあって、それを妥協せずに実現しようと努力します。インテリアやファッションセンスなど、きっと生活のあらゆる面で、「こうありたい」というイメージを追求しているはず。

その向上心あふれるチャレンジが、ムリなく行われている間はいいのですが、しだいに疲労がたまってきて、心身の不調となって出てくると要注意です。

「スーパーウーマン症候群」が起こす症状は、慢性頭痛や肩こり、過敏性大腸炎など。そしてイライラなど、不定愁訴を感じる人も多く、重度になるとうつ病を患う人もいます。さらにホルモンのバランスも乱れるため、生理不順やときには若年性更年期障害を起こすことも。これらの病気は、それぞれの器官に異常がある際にも起こります。何かの症状が出たら、まず医師の診断を受けてみましょう。そして検査しても異常がなければ、もしかしたら「スーパーウーマン症候群」かもしれません。

まわりの人に頼ってみる

「スーパーウーマン症候群」を予防するには、すべてのことに完ぺきを求めないこと。真面目な人が陥りやすい病気ですから、最初は手を抜くことに罪悪感を感じるかもしれません。でも、仕事や家事など、すべて自分で背負い込もうとせず、まわりの人の力をかりることを考えましょう。また、一日のうちにわずかでも、自分の時間を持つことも大事です。家族の協力を得て、ゆっくりお風呂に入ったり、本を読んだりする時間を確保したいものです。

とにかく、予防の最大のポイントは、ストレスから解放される時間をつくること。

休日もたまった家事を片づけなければ、とがんばる人が多いのですが、たまにすべてを忘れて、“手抜き放題”の、リラックスした休日を過ごしてみてはどうでしょうか。

(「よくわかる女性のからだ事典」、2006年2月刊、天野恵子監修、法研より)

※この記事は2006年3月に配信された記事です

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“座り続けること”は体にも脳にも悪影響…死亡リスクも増加!?

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 –株式会社からだにいいこと

日本人は世界の中で最も座っている時間が長いそう。“座り続けること”で起こる健康リスクとその改善方法をご紹介します。

11時間以上座っている人は死亡リスクがプラス40%も

世界各国で“座る”ことによる健康リスクが指摘されています。
今まで“座り続けること”でイメージされる健康リスクは、肩こりや腰痛でした。でも、これだけではないんです。姿勢が悪いことで内臓が圧迫され胃もたれになりやすかったり、口呼吸になりやすくなることでウイルスなどの感染リスクも増加します。

さらに、恐ろしいことが2012年に米国の医学誌で発表されています。それが、1日11時間以上座っている人は、4時間以下の人よりも死亡リスクが40%高くなるというもの。「座りすぎによる健康被害は、喫煙に匹敵する」と報道したメディアも。

“座り続けること”は体にも脳にも悪影響…死亡リスクも増加!?

そのカギとなるのが、体の血流。長く座っていると、脚の筋肉が使われません。すると、代謝機能が衰え、糖や中性脂肪が血液の中で増えてしまうのです。その結果、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病のリスクが高まるというもの。現在では、立って作業をした方が、集中力が上がることもわかっています。アメリカ・シリコンバレーのベンチャー企業では、多くの人たちが立ってパソコンで仕事。オーストラリアの小学校では、立って勉強するためスタンディングデスクが取り入れられています。

日本人は世界20カ国で座っている時間が一番長い

気をつけたいのが、私たち日本人。世界20カ国の成人を対象に、平日の座位時間について調査した結果、日本人が最長で7時間と、20カ国中最も長いことが大学の研究で発表されています。
自分の生活を考えてみましょう。デスクワークの場合、1日8時間座って働き、帰宅後は夕食を食べたり、テレビを見たり……。合計すると、前述の11時間に近い時間座っていることがわかります。
でも、仕事の環境を変えるのはなかなか難しいもの。デスクワークでも、“座り続けること”の健康リスクを回避できる方法がこちらです。

<“座り続けること”の健康リスクを減らすテク>

○1時間に一度は、立つ

トイレ休憩に行く、コピーや資料を取りに行くなど、1時間に1回は立ち上がることを意識する。気持ちの切り替えにもなるので、仕事の作業効率もあがります。

○座ったままストレッチをする

できれば靴を脱いで、足を解放してから行いましょう。かかとを上げ下げして、ふくらはぎの筋肉を動かします。次に、つま先を上げ下げして、すねの部分の筋肉を刺激しましょう。座ったまま膝を上げるのもおすすめ。座って圧迫されている太ももの血流を促すことができます。

○座る環境を見直す

空いている会議室を使って立って仕事するなど、“座り続ける”環境をできるだけ改善できないか見直しを。イスをバランスボールにして、いい姿勢を保ちながら仕事をするのも◎。最近では「座りながら運動できる」をキャッチコピーに販売されているデスク用チェアーも。自分に合ったものを積極的に試してみましょう。

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森林浴の凄い効果。ストレス解消、免疫力UP、がん予防にも!

【お話を伺った人】李 卿(り けい)先生

日本医科大学衛生学公衆衛生学教室講師 1984年中国・山西医科大学卒業。医師として働いたのち、1992年鹿児島大学で医学博士学位取得。1992年労働科学研究所研究員、1994年日本医科大学衛生学公…

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(編集・制作 (株)法研

フィトンチッドと森林のリラックス効果が心と体によい効果を。森林浴はNK細胞の活性を高め、がん予防にも効果が。さらに一歩進んだ「森林セラピー」も体験してみては?

森林浴によってNK細胞が活性化し、ストレスホルモンは低下

緑の豊かな森や林の中を歩いていて、何となく安らいだ気持ちになったことはありませんか。誰もが経験的にわかっていたその心地よさには、ちゃんと根拠があることが科学的に確かめられています。それに基づいて、森や林を心身を癒すために活用しようという発想が「森林浴」です。

日本医科大学の李先生らは、森林浴の効果を確かめるために次のような実験を行いました。20代から50代の健康な男女37人に、長野県下の森林において2泊3日の滞在で森林浴を体験してもらい、採血と検尿をしてナチュラルキラー(NK)細胞と呼ばれる細胞の数や活動の活発さ(活性度)、アドレナリンというホルモンの濃度の変化などを調べたのです。
NK細胞は免疫細胞の一種で、抗がん作用があります。アドレナリンはストレスがかかると尿中に多く分泌されるので、精神的なストレスを確かめる指標とされています。

実験の結果は実に明快でした。森林浴を始める前よりは森林浴1日目、1日目よりは2日目のほうがNK細胞の活性度は高くなり、アドレナリンの分泌量は減っていったのです。しかもNK細胞の活性度は、実験後1カ月たっても実験前より高いレベルを保っていました。このことに男女の差はありませんでした。

森林浴の凄い効果。ストレス解消、免疫力UP、がん予防にも!

NK細胞の活性度は、ストレスがかかると低下することがわかっていますから、アドレナリン分泌量の減少から併せて考えると、森林浴が実験参加者たちの精神的なストレスを低下させ、NK細胞の活性度を高めた、つまり免疫力を高めたことは明らかです。このことから、森林浴のがん予防への効果も期待されています。

このような結果をもたらしたのは、樹木が発散しているフィトンチッドと呼ばれる揮発性物質であろうと考えられています。フィトンチッドは、病原菌や昆虫などからその樹木自身を守る働きがありますが、人間に対しては自律神経を安定させる効果があります。また、豊かな緑の視覚的効果や、その中でゆっくり過ごせるという精神的なゆとりも、おそらく影響したことでしょう。

特別なことをするわけではない森林浴

前述の長野県での森林浴実験に参加した37人の人たちは、森林浴と称していったいどんなことを行ったのでしょうか。タネ明かしをすれば、それは実にシンプル。滞在1日目は2.5km、2日目は午前と午後に2.5kmずつ、それぞれ2時間かけて森林の中を貫いている遊歩道を歩いただけなのです。

つまり森林浴といっても、森林の中に分け入って特別なことをするのではなく、多くの樹木が私たちに与えてくれる有形無形の恩恵を、五感をフル稼動し、文字どおり全身で浴びるように受け止めることにほかなりません。それには歩くだけでなく、以下のような楽しみ方があってもよいでしょう。

●樹木や草花の放つ香りをかぐ
●葉にさわり樹皮をなで、気に入った大木を抱いてみる
●森林の中で聞こえるさまざまな音、例えば風に揺れるこずえのざわめき、野鳥の鳴き声、川のせせらぎなどに耳をすます

また、森林浴の後に温泉に入ると、体の疲れがとれ、さらにリラックスできるのでおすすめです。

自然に分け入る心がまえと準備も必要

ところで、森林とは大きな自然の一部です。そこには樹木だけでなくいろいろな生物も暮らしているし、地形や天候の変化に伴う多少の危険が存在します。そのため、以下のようなそれなりの心がまえと準備を整えて行きたいものです。

●注意点:山間地だと坂や足元が不安定な所が多く歩きにくい場所がある、天候が変わりやすい、標高が高いと木陰などでは気温が平地より低い、トイレが少ない
●靴:歩きやすいトレッキングシューズか、道が整備されているなら運動靴でもよい
●服装:虫刺されや小枝による引っかき傷の予防に長袖、長ズボンを着用。頭を保護するための帽子もあるとよい
●持ち物:雨具、防寒着、虫よけ・虫刺され用の薬、傷ばんそうこう、飲み物、軽食など

森林セラピーを体験できる「基地」「ロード」

森林の与えてくれる恩恵をより積極的に健康づくりに役立てようと、林野庁が中心になり、リラックス効果などが実証された森林を「森林セラピー基地」「森林セラピーロード」として認定しています。その数は北海道から沖縄まで、候補地も含めれば40カ所(2009年7月現在)にのぼります。

「森林セラピー基地」では歩くだけでなく、森林浴から一歩進んだセラピーとして効果が考えられるさまざまなプログラムを利用することができます。さらに休息・宿泊施設なども備え、初めての人でも安心して「森林セラピー」を楽しむことができます。

一方、都会暮らし、そのうえ、ヒマやお金がなくてなかなか本格的な森林浴に出かけられない、という人もあきらめることはありません。樹木の多い公園に出かけてみる、庭やベランダの緑を楽しむ、室内に観葉植物を置くなどでもそれなりの癒し効果が期待できます。興味深いのは、森林浴にひたっている情景を想像することで心拍数が下がって穏やかな気持ちになることもあるそうです。今年の夏休みは、「森林浴」をキーワードにした休暇の計画はいかがですか?

※この記事は2009年7月に配信された記事です

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